『第一特異点 炎上汚染界隈youtube』
「……どうしたもんですかね……これ」
馬の覆面を被った奇人、もといばあちゃるは冬の青空を見上げ一人語散る。
「ねえ馬!しっかりして、ぼんやりしてたらシロ、置いていっちゃうよ?」
「はーいはいはいはいシロちゃん、今しっかりしましたから置いて行かないで下さいね」
今ばあちゃるに楽しげに話しかけているのは白髪青目の幼びた美少女、電脳少女シロだ。
「いやぁ、でもこの状況何なんですかね、ヤバーしですよヤバーし」
ばあちゃるは困惑していた。
会社の健康診断の結果を受け取りに行っただけの筈が突然連れ去られ、気が付けばシロと名乗る美少女とともに雪山を連行されている。
シロが友好的なこととばあちゃるの馬のマスクがシロに受けたのもあり和気藹々とした雰囲気ではあるものの、現在進行形で誘拐されているのは紛れもない事実である。
そうこう思い悩みながら真白な雪をギュウと踏み固め雪山を登っていると、ポツリと小さく建物が見えてくる。
「シロちゃんに質問していいっすかね」
「ん〜〜良いよ!どんな質問?」
「オイラが連れていかれるであろうあそこの建物が何なのか教えて欲しいんですよハイハイハイハイ」
「そういう事ね、おけまる!あそこはねぇ、未来の観測所、それ以外の役割もあるけど、まぁいくらでも説明する時間は有りますし〜」
「未来の観測所?何かヤバーシーっすね」
>>2
ポツリとだけ見えていた建物は近づく程にグングンと存在感を増し、十分も歩かない内に到着した。
シロが扉を開けばそこには巨大な大広間が広がっている。
如何にも近未来チックな内装と、不可思議な紋様で埋め尽くされた床。そしてその中央に浮かぶ金髪の女性の似顔絵に立体感を足したようなもの、それが大広間の中央にズンと鎮座している。
「アレは……なんすか?」
「アレこそが、この未来観測所ブイデアの要、未来演算及び時間跳躍装置、KANGONだよ。凄いでしょ」
>>3
「KANGON?随分変わった名前っすね、と言うかサラッとヤバーし気な単語が」
「そーだねぇ、今の事情含めて説明出来る子がいるんだけど、、、いた!あずきちゃん!」
「ハァイ」
背後から突然返事が聞こえたことに驚き、その弾みで前にバタンと倒れてしまう。咄嗟に手を突いたおかげで怪我は無いが、馬のマスクが90度程回転し古代エジプトの壁画のような珍妙な姿になってしまう。
「キュアアアッッwww、ごめん、ちょっと待って、笑っちゃうwww人の不幸を笑っちゃ駄目っておじいちゃんに言われてるのにwww」
「ハイハイハイハイ、ばあちゃる君はね全然不幸になって無いので笑ってもね問題無いですよ」
「www…………ふぅ、ありがとう。じゃあ改めて紹介するね、この子は木曽あずきちゃん。このブイデアの主席研究員でKANGONを実用化した凄い子なんじゃぁ」
「それは凄いっすね、そんな子がオイラに説明してくれるなんてばあちゃる君感激ですよ」
「ハァイ、あずきですぅ。さっきは驚かせてすみませんでした。呼び名なんですけど、あずき、あずきち、どんな風に呼んでもらっても構いません。でも、出来れば強そうな名前でお願いしますぅ」
紫髪隠れ目の大人しそうな見た目、しかし内面はいい意味で掴みどころが無い。それがばあちゃるの受けた木曽あずきの印象だった。
>>4
あずきはスタスタとKANGONの前まで歩くとばあちゃる達を手招きする。
「ハイハイハイハイ、これがKANGONでいいんすよね?改めて見るとなかなかヤバーしな見た目っすね」
「ハァイ、これこそ未来観測器KANGONですぅ。元々は神道の家の家宝だとか、色んな逸話があるんですけど、、、まぁ良いや。未来観測やはたまた未来から物を持ってこれたりと時間に関してなら一見万能なんですけど、、、とりあえず触れて見てください。」
そう言われ、ばあちゃるは恐る恐るKANGONに手を触れる。そしてその瞬間流れ込む強烈なイメージ。
燃え盛る室内、崩落する天井、瓦礫が四肢を砕き潰す音。
その余りの内容とリアリティに打ちのめされ、思わず床に座り込む。
「フゥ……フゥ……」
「馬、大丈夫?息が相当荒いよ……」
「多分、嫌な未来が見えたんだと思いますぅ。でも安心してください、半年前からKANGONの未来観測は当たたっていません。」
「……え?そ、そうなんすか。それは良かったーーーそれヤバく無いっすか!?」
「ハァイ、かなりヤバいです。半年前までですら未来観測の精度は3割程度だったのに、今じゃ0割。2つ目の能力しか機能していないですぅ。」
ばあちゃるは会話をしながら考えを整える。
あずきの言葉をそのまま受け取るなら、あの流れ込んできたイメージが現実になる事は無いと言うことだろう。あってまだ数分だが、あずきが嘘をつくようには見えない。だから、あの光景が現実になる事は無い、無いのだ。強く自分に言い聞かせた。
>>5
「………えーっと、2つ目の能力と言うと時間跳躍、であってるすよね」
「そうです。時間跳躍ですぅ。未来や過去から物を取り寄せたり、こちらから未来や過去に行くことも可能です。ちなみに、私やシロさんはKANGONを用いて未来から呼び出された英霊なんですけどね」
「そう!そうなの!シロ達は英霊なんだ!あとあずきちゃんは恥ずかしがって言わないけど……任意の未来や過去に行く方法を確立したのはあずきちゃんなんじゃぁ」
「恐縮ですぅ」
ポウと頬を染めるあずきとばあちゃるの驚く顔を見て得意げなシロ。
英霊、英霊なら知っている。新入りとの話題づくりの為に見たfateで聞いた言葉だ。嘗て世界に名を刻んだ英雄達、それらが仮初の命を得た存在。
「まだまだこれからの事とか話すべき事は沢山あるんですけどぉ、それは明日説明しますね。」
「……そうっすね。そろそろばあちゃる君頭がパンクしそうなんで嬉しいっす」
>>6
あずきとシロに別れを告げた後、寝泊まりする部屋へと案内される。
近未来的な扉を開けると、部屋の中は温もりを感じる木張りの内装、趣味の良い家具、それと先客がいた。それは死にそうな雰囲気を出しながら書類と格闘していた。
机にかじり付くその先客は小麦畑のような金髪にアホ毛をぴょこんと生やした、中性的な少女だった。
「あのー」
「あっ、ごめん。すぐ片付けるからちょっと待っててね」
「ハイハイハイハイ、終わるまでやっちゃっても全然大丈夫っすよ。オイラこれからお風呂入るんでねハイ」
「うん、ありがとう。でも大丈夫、仕事が丁度一段落したところだから。あと、僕の名前は牛巻りこ、君の名前は?」
「オイラの名前はばあちゃるでフゥ。大分疲れてる様に見えるっすけど大丈夫なんすか?」
「全然大丈夫だよ!平気平気!もう慣れっこだしね」
「それ大丈夫なんすかね……」
牛巻と駄弁っていると、牛巻の目見麗しい姿と強い個性、そこからシロとあずきを連想する。
「そう言えば、りこりこも英霊、なんすか?」
「そうだよ。牛巻達は13人の英霊なんだ。シロちゃん、あずきちゃん、めめめちゃん、すずちゃん、いろは、ふたばちゃん、イオリン、なとりちゃん、ピノちん、ちえりちゃん、牛巻、もちにゃん、夜桜ちゃん。しめて13、凄く多いでしょ」
「いやー思ったより多いっすね。顔写真とかもあるっすかね。顔と名前一致させときたいんでねハイ」
「もちろんあるよ。なんたって牛巻はブイデア全員の健康の管理をになっているからね!」
「それって……まあ無理はしないで下さいね、、、おお!どの子もかわいいっすね」
>>7
渡された写真に写る13人の子達。どの子も百人いれば百万人が振り返るような美少女だった。これからこの子達と仕事をするのが楽しみだ、と思った時。ふとばあちゃる自身の日常を思い出す。
部下を笑わせようとしてよく滑る上司、生意気だが根はまっすぐな部下、先月結婚したばかりの同僚、さんざん自慢されたのを覚えている。両親とは年に数度しか会え無いが、それでも大切な家族だと間違いなく言える。そんな思い出が堰を切ったようにどんどんと溢れ出てくる。
堪えきれずソファーに座り込む。馬のマスク内部の湿度がほんの少し上昇する。
「大丈夫?」
「大丈夫っす……いや、少しだけ大丈夫じゃ無いですね。なんで俺は攫われたんですかね……いつになったら俺は帰れるんですかね」
「それは……そうだね。少しくらい早く教えてあげても大丈夫だよね、うん。難しい事は省いて説明するね。ここ一年程、世界はあちこちが切り取られて無かったことにされているんだ。牛巻達もKANGONを使って過去の世界と見比べて初めて気づいたんだよ」
「世界が切り取られる?」
「そう、そして無かったことになる。家族や友人、恋人が切り取られた場所にいれば、その人達は居なかった事になる」
「なんすかそれ。そんなのどう仕様もないじゃ無いっすか……」
ばあちゃるは更に姿勢を低くして座る。
これからは大切な人や思い出を失ったことにすら気づけない恐怖に気づき、更に気分が沈む。
>>8
「いや、どうにかする方法はある。切り取られた世界は寄せ集められて、3個の世界を作っているの。そして各世界には、切り取られた世界のパーツを繋ぎ止める楔の様なものがあると見てる。だから牛巻達が楔を壊せば世界はもとに戻る筈なんだよ」
「なるほど、突飛な話ですがばあちゃる君は信じまフゥ。でも、なんでオイラなんすかね。ばあちゃる君魔術とかわからないっすよ」
「それはね、ばあちゃる含めて十人程しかその3つの世界に行けないからなんだ。その世界はただの時間跳躍じゃ辿り着けないifの時間軸に位置してるの、牛巻達はKANGONの雑さを利用して無理矢理行かないと行けないから本当に適正のある人間は少ないの。」
ばあちゃるは背筋を伸ばし、さっきよりも明朗な声を作る。
「そうっすね、確かにばあちゃる君には頑張る理由があるみたいですねハイハイハイ」
「酷い事を言ってるのはわかってる。でも今は、今だけはお願いします」
「いやいやいやいや、全然大丈夫っすよ、りこりこ。ばあちゃる君は大人なんでねハイハイ」
「うん、ありがとう」
会話がひと仕切り終わると牛巻は書類を持ち部屋を退出する。
ばあちゃるはそれを見届けると、着替える事も忘れ、ベットに倒れ込み、眠りにおちる。
>>9
深夜、ばあちゃるは赤い光とサイレンに突然叩き起こされる。
慌てて部屋の外に出ればそこに見えるのは赤く燃え盛る廊下、罅割れてコンクリートを剥き出しにした青白い床、歯抜けの天井から覗く満天の星空。
「ちょいちょいちょい!何なんすかこれ!?ばあちゃる君まだ夢でも見てるんすかね!?」
「いーや馬、これは夢じゃ無いよ。現実だよ」
「あ!シロちゃんじゃないすか!と、とりあえず他の人達は?他の人達は無事なんすか!?」
「そうだよー、シロだおー。ブイデアの人達に関しては安心して、今管理室にいるリコちゃんとあずきちゃんがスタッフの保護をしてるから。シロが思うに、あの二人がいればここの人達は大丈夫。だから馬、今は馬が一番危ないの、早く行こ?」
「エグーー!ばあちゃる君が一番危ないんすか!?ばあちゃる君も怪我するのは嫌ですから速攻で行きますよハイ」
ばあちゃるのもとに駆けつけたシロ。一見すれば日中の時と同じ落ち着きを保っている様に見えるが、やはり節々に焦りが見える。
今の状況について走りながら聞こうとも考えたが、今にも崩れそうな壁や天井、そしてばあちゃるの手をクイと引いて走るシロを見てそんな暇は無いと思い直させられる。
シロに連れられてばあちゃる達は牛巻とあずきのいる管理室へと向う。しかし管理室へと向う途中、不幸な事に瓦礫が道を塞ぎ大広間に立ち往生してしまう。
そして不幸は続く。
「シロちゃん危ない!」
「え?」
>>10
ばあちゃるがシロを突き飛ばす。そうやってばあちゃるはシロの上に落ちてきた瓦礫を代わりに受け止めた。
次の瞬間ばあちゃるの四肢はグシャリと潰れ、その音にばあちゃるはデジャヴを感じると、不思議と冷めた頭でそう考える。
掠れた視界でも辛うじて見える黄色い物体、それを認識したばあちゃるはデジャヴの正体に思い至る。
(ああそうだ、これはKANGONに触れた時見た、、あの光景だ、、、)
当たらない筈の予言が当たった、その事に可笑しさを覚え、思い出した記憶と同じ風景の中で思わず笑ってしまう。
「馬!……ねえ馬!!しっかりしてよ!」
「アハハ、すんません……シロちゃん。もう駄目そうですね……世界を救う……やってみたかっんすけどね……」
「ねぇ、シロは英霊なんだよ!?馬より強いの!シロが瓦礫に当っても無事な可能性のほうが高いんだよ!?それに今のは瓦礫に気付かなかったシロの責任なの!シロが怪我するべきだったのに何で!?」
「シロ……ちゃん、ばあちゃる君はね……誰かが悲しんだり……怪我してる姿は……苦手なんですよ……だから……つい……」
「…………そうだったね、馬はいつもそうだもんね、バカだよ、ほんとにバカ」
「アハハ……返す言葉も無いっす」
>>11
どんどんと体から命が抜けていく、眠る直前のように瞼が落ちていく。冷えていく。
シロがばあちゃるの前にかがみ込みマスクを取り去る。吐息の音すら聴こえる距離でシロは問い掛ける。
「ねえ馬、まだ生きたい?」
「ーーーーーーーーー」
「わかった、、、宝具『ーーーー
大広間は加速度的に崩壊を速めるが、シロはそれを気にも掛けずKANGONのそばまで行くと宝具を使い始める。
少しするとシロとばあちゃるは白い光に包まれだす。それと同時にシロはKANGONに触れ魔力を流し込む。
次の瞬間、大広間からシロとばあちゃるは消滅した。
>>12
■月■■日ーーー私は生まれた時から毎晩不思議な夢を見ている。人間、小人、鳥、はたまた怪物。様々な者が様々に登場し退場し、その中に私はいる。そして目が覚めると、時折物を夢から持ち帰っているのだ。
しかしこの頃は以前にも増して変な夢ばかり見る、、何か意味がある様に思えるので、内容を書き記して置こうと思う。
廃墟と化したコンクリートジャングルを闊歩する人の様なナニカとそれに怯えて暮す人々。唯一繁栄した場所、そこは人気者が全てを決める街、名はグーグルシティ。金に暴力、あらゆる手段でもって自分を誇示し『天国』を目指す醜悪な街。
しかし目を引くものはあった、自由を求め街を抜け出した者達、そしてーーー
ーー日記より抜粋ーーー
>>13
朝日が眼球を焼き、ばあちゃるを目覚めさせる。
二度寝しようとする体に活を入れて起こし、辺りを観察する。
真っ先に目に入るのは崩れかけの室内と、ダイナミックに跳ね回る真白なアホ毛に真夏の湖畔の様に澄み光る蒼い目。シロだ。
「あれ……ここは?」
「おはよう、馬。ここはねぇーー切り取られた世界を改変して作られた3つ箱庭その1つ。シロ達は特異的Yと呼んでるかな」
特異的Y、、、りこりこの言ってた開放すべき世界の事っすね。………?でもばあちゃる君は何でここにいるんですかね?実はばあちゃる君昨日寝てから記憶が曖昧何すよねハイ」
「それは、、うん。実はね、馬が寝てる間にブイデアで火災が起きてね、シロが馬を担いでも間に合いそうになかったからね、取り敢えずKANGONを使って避難の為にここに跳んだの」
シロは会話を区切ると、鍋を持ってくる。
立ち昇る匂いが鼻をくすぐる。堪らず鍋を覗きこめば蜜を溶かしたようなスープに蜜柑色のニンジン、柔く透き通るタマネギ、そして湯気立つジャガイモが顔を見せる。暖かな野菜のスープだ。
「もう朝だしお腹空いてるでしょ?野菜スープ、お上がりよぉ!!」
シロは威勢よく叫ぶと2つ皿を並べスープをよそう。
「「いただきます」」
ばあちゃるとシロは手を合わせると少しの間無言で朝ご飯を味わう。
>>14
「…………フゥ。これ美味しいっすね。不思議と懐かしい味ですねハイ。これシロちゃんが作ったんすか?」
「もちろん!この家から調味料と調理器具、あと家庭菜園から野菜をちょっとだけね、ちょっとだけ拝借したの、まぁここ廃墟だしぃ?問題無い問題無い」
「それ大丈夫なんすかね……あと今更何ですけど、ここは特異的Yの何処なんすか?」
「ごめんね、実はシロもここが何処なのか判らないの。KANGONはとにかく大雑把だからね。あずきちゃんの補助が無いと何処に出るかわからないんじゃぁ」
「そうなんすか、あの時ブイデアに残っていたりこりことあずあずは大丈夫だといいっすけどねハイ」
「大丈夫だよ。守る戦いで牛巻とあずきちゃんにかなう存在はいないからね、例えシロと他の子が束になってもあの二人の守りは抜けないからねぇ」
「じゃあ安心っすね……ごちそうさまです」
「ごちそうさま」
朝食を食べ終わると二人は最低限身嗜みを整え外に出る。
外から今まで滞在していた場所を見れば、やはりそこは廃墟と化した一軒家だった。そして外の景色はと言えば、ただ広がる荒廃し切ったビル群と住宅街、そしてーーー
「シロちゃん危な、「大丈夫だよ」
さっきまで滞在していた廃墟の屋根から人影がシロに襲いかかる。しかしシロは最初から上を警戒してたのだろう。いつの間にか手に持っている自動小銃の照準を合わせ、余裕を持って頭を撃ち抜く。
「〜〜≮‰%」
しかし頭を撃ち抜かれた筈の人影は、奇怪な叫び声を上げながら四足で着地し、そのままの体制で今度はばあちゃるへ猛然と走り出す。
「うわ!ヤバーしですよヤバーし」
「馬、もう少し緊張感持って」
>>15
慌てふためくばあちゃるを脇目に、シロはナイフを4、5本取り出し投げつけ、地面に縫い止める。
トドメを刺そうと近づくが、頭を撃ち抜かれても平然としていたソレは既にピクリとも動かない。
「あるぅぇぇ?何で動かないの?死んだふり?」
「今死んだふりをしても意味ないんでねハイ、死んでると思いますよシロちゃん」
「凄い落ち着いてるね馬、もしかして強がりぃ?」
「ばあちゃる君はもう決意固めですからねハイ。それにしてもシロちゃん、これ人間じゃ無いのはわかるんすけど、何なんですかね?」
「シロも見た事無いかな……ほんとに何なんだろこれ。殆ど植物で構成されてる事と、さっきナイフの刺さった胸にコアみたいなのがあるのは解るけど、それぐらいかな。」
「そこまで解れば十分だと思いますよハイ。じゃあ出発しちゃいましょうか」
「そうだね」
シロとばあちゃるは立ち上がり、ビル群へと向かい歩き出す。
続く
取り敢えず移行と一部表現の変更をしました。本筋にはなんの影響も無いです。
あとなんで原作の様に歴史の焼却にしなかったかと言いますと、まだVの歴史が短いからです。原作がウン千年単位で燃やしてやっとなのに、その百分の一未満では流石に足りないかなと思いました。
ちなみに現時点ではほぼ黒幕の思惑通りの状況です。
>>16
2人はひび割れた道路を歩く。ばあちゃるが前を、シロが後ろを警戒して歩いているが先の化物はあれ以降姿を見せない。
「あの化物全然見掛けないですねハイ。そういえばシロちゃん、今オイラ達は何処に向かってるんですかねハイハイ」
「今向かってるのは霊脈だねぇー。霊脈に行けばあずきちゃんと牛巻と連絡が取れるかもだから」
「霊脈って便利なんすね……」
「まあそうだね、この特異的の霊脈はシロ達の世界から切り取ったものだからねぇ。元の世界と魔術的な繋がりが残ってるんだよね」
「ハイハイハイ、なるほど、勉強になりますよシロちゃ、、ん、、、、!?」
微かに聴こえるペタペタと言う足音。ばあちゃるが遠く前方に化け物を見つける、それも1、2体では無い、2桁は確実に居る。
シロとばあちゃるは咄嗟に身構えるが、化け物達は一心不乱に霊脈の方へ向かっている。
「一体何が起こってるんですかね……?」
「わからないねぇ、でも嫌な予感がする。急ぐよ、馬」
「了解っす」
化け物達の向かう方、霊脈へと2人は急ぐ。
辿り着いた霊脈の周囲に辿り着いた2人は化け物達を警戒し、ビルの中から様を見る。
そこには予想外の光景が広がっていた。
>>19
「「うわぁ……」」
2人がドン引きするのも無理はない。霊脈に辿り着いた化け物達は仲間割れを起こしていた。
切り裂き、傷付け、喰らい合う。化け物が血も流さず緑色の中身をこぼし戦う様は何処かシュールですらあった。
「何やってるんですかねアイツら。ばあちゃる君もドン引きですよはい」
「シロもほちょにドン引きだよ……なんで霊脈まで来てやってるんだろうねぇ」
「さあ……あの化け物達は孤独が好きなんじゃないっすかね?」
「ウフフ、もしそうならパリピ嫌いのシロと気が合うねwwwん?まって、馬今なんて言った?」
「ハイハイ、あの化け物達は孤独が好きって言ったんすよシロちゃん」
「孤独、、、こどく、、蠱毒。馬、護身用にこれ持ってて、少しマズイかも」
シロは手早く武器を渡す。ズシリと重い拳銃に軍用の真っ黒なハンドアックス。
渡し終わるとシロは間髪入れずナイフを呼び出し、一人残る化け物のコアへ投げつける。ナイフは狙い通りの所へサクリと突き刺さる。
しかし化け物は凄まじい速度で膨張をし、ナイフはコアまで届かない。
「遅かった!本格的にマズイねぇ……」
「化け物が進化しましたよシロちゃん!ばあちゃる君もびっくりですよ」
「馬、あれはーー蠱毒の法かな。毒虫に共食いをさせて人を殺せる毒虫を作り出す儀式だけど、毒虫を化け物に変えて行ってるね……」
「グルオオオオオオ!!!!」
化け物の膨張が終わる。身長は3メートル程まで巨大化し、体の色も返り血を思わせるくすんだ朱へと変わる。
元々あった鉤爪は無くなったが、代わりに2本新しく生えた4本の長く強靭な腕。戦車を想起させる重厚な体躯。左胸に刺さるナイフすらこの化け物の脅威を表す装飾品に成り下がる。
しかしシロは、そしてばあちゃるも臆しはしない。
>>20
「おほほい!おほほい!シロちゃんはー!アイドルになるんだからー!こんなやつー!屁でもないんだコラー!!」
「ばあちゃる君はどうすれば良いっすかね!?」
「周囲を警戒してて!!」
「了解!!」
シロは先端にナイフを括り付けた自動小銃、いわゆる銃剣を取り出し銃弾を何発も叩き込みながら朱い化け物に突撃する。
殆どの弾は表面を削るに留まり効いてる様子は無く、避ける様子も無い。が、胸に刺さるナイフに当たりそうな弾だけは大げさに避ける。
「グルルルゥゥ……」
「!?、シロちゃん!押し込んじゃいましょうアレ!」
「解ってるよ馬!」
化け物は4本の腕をブンと素早く振り回しシロを叩き潰そうとする。しかしシロはそれらを軽々避け続ける。
「頑張れシロちゃん!」
「もちろん!」
ばあちゃるはせめてものの加勢としてシロを応援する。応援しか出来ない自分を密かに恥じながら。
渡された武器を持つ手に自然と力がこもる。体の血がうるさく鳴る。
「グ、グルオオオオオオ!!」
「まだまだ行くよぅ!」
化け物の動きは徐々に精彩を欠いていくが、シロの動きに陰りは無い。
そして決着の時が来る。
化け物が4本全ての腕を振りかぶった瞬間、シロは銃剣の先端を地面に叩きつけ飛び上がり化け物の左胸に強烈な蹴りを叩き込み胸のナイフを深々と押し込む。
「グルアアア……」
ナイフがコアまで辿り着いた化け物はついに倒れ伏す。
>>21
「凄い、凄いですよシロちゃん!こんなでっかい化け物倒しちゃうなんて、ばあちゃる君驚き桃の木さんしょの木ですよハイ」
「んふふー。もっと褒めても良いんだよー」
「もちろんですよハイハイ。シロちゃんがいたからばあちゃる君は助かったんですからねハイ」
ばあちゃるからの感謝を聞いたシロはふと顔をうつむかせる。
「助ける、か…………馬。褒めてくれたのは嬉しいけど、シロ達のこと恨まないの?シロ達が馬を巻き込んだんだよ?」
「逆ですよシロちゃん。ばあちゃる君は感謝してるんです。確かにばあちゃる君は日常から無理やり引き離されちゃいましたよ。そこはちょっとだけ恨んでます」
「…………うん」
「でもねシロちゃん、あの時ばあちゃる君は立ち向かう権利を得たんですよ。ばあちゃる君ぐらいの年になるとね、もう会えない人、忘れたくない思い出、今の自分を作り上げる記憶、本当にたくさんあるんです。大人を支える柱は過去を土台にしてるんですよ。だからねシロちゃん、俺は世界を切り取って無かったことにする、過去を踏みにじる所業を許せない。ばあちゃる君はばあちゃる君が望んでここにいるんです」
「だから恨まないの……?」
「違いますよ、恨みでなく感謝してるんです」
「うん、、、解った。ありがとう」
シロは顔を上げると頬を叩く。ほんのり赤くなった頬を携え明るい笑顔を浮かべる。
「よし!早速牛巻とあずきちゃんに通信しよう!!」
「そういえばその目的で霊脈に来たんでしたね……ばあちゃる君すっかり忘れてましたよハイ」
続く
今回は中ボス戦でした。最初は腕から伸縮性のある蔦を出したり、コアが2つあったり、死んだふりをする悪知恵が働くやつになる予定でしたが流石に長くなりすぎるなと思い大幅にナーフしました。結果予定していたばあちゃるの覚醒イベントが先送りになりました。
戦闘シーンが、戦闘シーンが書きにくいのが悪い……!!
あとついでにいくつか質問です。
「おほほい!」
「おほほい!」
と
「おほほい!」
「おほほい!」
のかどちらが読みやすいでしょうか
もう一つです、この化け物の名前を決めたいのですがいい名前が思いつきません。思いついた方は教えてくれると嬉しいです。(人と植物の)ハーフで趣味は鉤爪の手入れ、待ち伏せが出来る程度には頭の回るいい子達です。
>>23
間開けてくれると個人的には読みやすいです
あと名前なのですが自分ネーミングセンスないので単純に
植物から名前を持って来たのですが「カカラ」はどうでしょう?
サルトリイバラという鉤爪状の棘を持った植物の別名で
秋ごろになると赤い実をつけます
…花言葉が不屈の精神、屈強、元気で化け物っぽくないけど
>>24
解りました!これからはカギカッコは間を開けます。
カカラ、凄くいいネーミングセンスだと思います!ありがたく使わせて頂きます
現地民の口からカカラの名前を聞く、見たいな形で出す予定です!
>>22
シロは霊脈の上に黒い布を敷き、宝石を並べ、宝石の間を絹糸で繋いでいく。
「星空見たいでキレイですねハイ。ばあちゃる君魔術見るの始めてなんで感激ですよハイハイ」
「んふふー。馬にしては鋭いねぇ?馬の言う通りこれは星空の模倣。近しい星空に近しい霊脈、これだけ揃えればブイデアとパスを繋げられるんだよねぇ」
「魔術って意外と大変なんすね……」
「魔術も根本は科学と同じだよ……っと。よし!出来た!!」
星を宝石で、星座の繋がりを絹糸で表した星空の中央、北極星に当たる場所にシロは立つと魔力を流し込む。
周囲の風景がユラリと揺らぎ、世界の境目が曖昧になっていく。灰色のビルはかつての姿を取り戻し、薄く重なる影の雑踏が地面を満たす。
そしてブイデアへとパスが繋がる。
『ヤッホヤッホー!ハウディー!牛巻りこだよー』
『木曽、あずきですぅ。いやぁばあちゃるさんもシロさんも元気そうで何より』
「牛巻ぃ!それにあずきちゃん!大丈夫だった?」
『牛巻達は大丈夫だよ、ただ……ね』
『ブイデアは半壊。スタッフと食料、重要な機材以外は全滅ですぅ』
ひとまず繋がりホット一息つくシロとばあちゃる。しかし牛巻とあずきの後ろに見える壁には亀裂が見える。
「そういえば、ブイデアの外はどんな感じ何ですかねハイ」
『それね、吹雪がキツくて外に出られないしネットも電話もなーんも繋がんないの、まさに『陸の孤島ですぅ』
『あずきち!?それ牛巻の決めゼリフゥ!』
とは言え、牛巻達に現状を悲観する様子も、思考停止する様子も無い。
まるでトラブル慣れしたプログラマーの様だ、とばあちゃるが考えているとシロにツンと脇腹を突かれ本題を思い出す。
>>27
「何はともあれケガが無くてばあちゃる君嬉しいですよハイハイ。それはそうと『楔』の場所って解りますかねハイ」
『もちろんわかるよー。ここから東に真っ直ぐ進めば辿り着ける筈だよ』
『あずき達がナビゲートするので安心してください』
「ありがとうね!牛巻、あずきちゃん。あの2人のナビがあればこの先も安心だよ」
「ガァララララ!!!」
「カカラは轢殺だヒャッハー!!」
「そうっすね!行きましょうか!」
『『「「ん?」」』』
突然現れた例の化け物と、そしてゴトゴトと地面を鳴らし爆走するトラック。車体には神楽運送と書かれている。
「待て待て待て!逃げんじゃねえ!!」
「ガ、ガガガガ!!」
グシャア
化け物を轢殺し停止するトラック。
中にはモヒカンの男が乗っているのが見える。鋼鉄の肩パットはピカピカと光を反射し、厳つい顔はニンマリと笑顔を浮かべている。
>>28
「ヒャッハー!仕事完了!!……ん?そこのお嬢ちゃんと馬男!見ない顔だな!何処のモンだ?!」
「えっとね、外から来た旅人見たいな感じかな」
「ボスと同じか!なら来てくれ!そんでボスの話し相手になってくれねえか!?寝床もあるからよ!」
恐ろしげな男の怪しい提案。何故かシロはそれに即答する。
「良いよ」
「ちょっ、シロちゃん!?知らない人に付いていったら駄目ですよ!」
「大丈夫。シロの予想が正しいなら、あの人のボスはシロの後輩だからね」
「本当に大丈夫ですかね……人攫いじゃ無いかばあちゃる君心配ですよハイ」
『あずきの考えはシロさんと同じですぅ。殆ど人のいない荒野で人攫いをする意味は無い、とあずきは思います』
『牛巻も同じかなー。あのモヒカンの人ね、化け物を追ってここまで来ただけみたいだよ』
「確かに……それもそうっすね。怪しいとか言ってすみません!ばあちゃる君たちを乗らせて貰えますか?!」
「ヒャッハー!!気にしちゃいねえよ!乗りな!」
結局、ばあちゃるは説得されモヒカンの男の提案に乗ることになった。
>>29
ひとまずトラックの助手席にシロが、荷台にはばあちゃるが乗り込む。
転ばないようにソロソロと乗り込み、モヒカンの男から渡された明りを灯すばあちゃる。
しかし光の照らす先、そこにあの化け物がいた。
「ウビイイイイイイ!!」
「馬!どうしたの!」
「た、助けて!」
「あ、いけね。荷台にカカラの死体乗せてるんだった」
「馬!それただの死体だって!」
「ウビビビビビ…………え?あー確かに、これ死体っすね」
「すまねえ!後で埋め合わせするから許してくれ」
「全然大丈夫っす。それよりもカカラってこの化け物の名前なんすかねハイハイ」
「おうともよ!コイツラはカカラって言うんだよ。誰がつけたか判らんがこのプラントモンスター共には勿体ない良い名前だせヒャッハー!!」
「それにしても何でカカラの死体なんかわざわざ運んでるんすかね?」
「あ、それシロも気になるかも」
「こいつらは家畜の飼料、畑の肥料に使えるんだぜ。こんな環境じゃ使えるモン全部使わねえと生き残れねえからな」
「へー。為になるなぁ」
シロとばあちゃるはトラックに乗りモヒカンの男の住む街へと向かう。
今までいた場所からドンドン離れ、数時間もすれば街が見えてくる。
「ようこそ。ここは俺らはみ出しものの街。ニーコタウンだぜ」
「ここが……」
「この世界の街……」
>>30
瓦礫を積み上げて作りあげたねずみ色の防壁に設けられた錆びた鉄の門。
キイキイと煩い門を通り抜けて目に入るのは廃墟のビルにペンキを塗り、木の板で穴を塞いだだけの粗末な住居。しかし廃墟では無い。
人が歩き、人の営みがあり、人の温度を感じる街。ニーコタウン。
「悪くない街だろ?」
「もちろんっす」
「当たり前だよぉ」
「ヒャッハー!!照れるぜ!この街はボスと俺らで築き上げものだからな!この街は俺らの誇りそのものなんだよ」
「それは凄いっすね……そういえば、『楔』……じゃ無くて何か物凄く凄そうなモノとか見たこと無いっすかね?ばあちゃる君たち探しものしてるんすよハイハイ」
「何か凄そうなモノ……すまねえ。判らん。ただボスなら何か知ってるかも知れねぇな!」
「あずきちゃん、何かわかる?」
『ハァイ。ここらへんにはそれらしいモノは無さそうですぅ』
「だって。取り敢えずボスのところに行っちゃおう!」
「本当に大丈夫すかね……あんまりにも怖い人だったらばあちゃる君泣きますよ……」
街の一番状態の良いビル、その最上階の部屋へと案内される。
バイオリンと書棚の並ぶ部屋は程よく明るく、トラックが顔を突っ込んでいる事を除けば趣味の良い部屋と言えるだろう。
「ボス!客人を連れて来ましたぜ!」
「ありがとうございますヒャハオさん。………あ、ああ、あああ!!シロさん!プロデューサー!会えて良かった!!」
「すずちゃん!」
『すずちん!』
『すずさん』
「りこさんにあずきさん!お二人も無事で本当に良かった!」
緑色の髪に透き通る声、清楚な言葉遣いの眼鏡で綺麗な娘。それがばあちゃるの神楽すずに対する『最初』の印象だった。
続く
最近忙しくて余り書けなかった……
トラックを乗り回してる人たちは運送族と言い、主な構成員はモヒオ、ヒャハオ、ノリスケ、ゴリラなどです
>>31
神楽すずは二人をソファに座らせると緑茶を振る舞う。縞柄の湯呑みに緑の色がよく映える。
「心配でしたよ…………ここに飛んでからずっと通信の調子が悪かったけど、昨日から完全に音信不通になっちゃうんですもん」
「すずちゃん、心配させてごめんねぇ」
『現状ブイデアの施設は先日の大火事により半壊状態ですぅ。あずきの見立てによると、復旧に一月はかかるかなぁ、と』
「火事!?大丈夫でしたか!?そして何が原因なんです?」
すずがテーブルに身を乗り出してシロ達に尋ねる。グリーンの髪がフワリと揺れる。
『それがね、解らないの。牛巻が何度調べてもボンヤリとした結果しか出ないの。複数の箇所から同時に出火してたから人為的な火災なのは確かなんだけどね』
「私たちがいない間にそんな事が…………スタッフさん達は無事ですか?」
『幸いな事に、みんな大怪我も無く生きてますぅ。完全に無傷とは言えないですけどね』
「そうですか…………それなら良かった。本当に良かったです」
すずはホッとした表情になりソファに体を戻すと、茶をグイと勢い良く飲み干す。
それに釣られてシロとばあちゃるも茶に口を付ける。仄かな甘みと爽やかな苦味が心地よく広がる。
>>33
アッツ…………そう言えば『楔』の有る場所が解りましたよ」
「へぇ、そうなんすかハイハ………………え!?解ったんすか?」
「ハイ」
『『「「えぇ!?」」』』
「す、すずちゃん。本当なの?いやすずちゃんを疑う訳じゃないんだけどね」
「ハイ、本当です」
サラリと爆弾発言をするスズ、驚く四人。
「グーグルシティ。この世界で唯一栄えた街。それが『楔』のある場所です」
「グーグルシティ…………どうしてそこにあるって解ったんすか?」
「それは…………知りません」
頬をかいて照れるスズ、ずっこける四人。
「え、じゃ、じゃあ何で解ったの?」
「アハハ、すみません。双葉さんとピノさんから教えられた話なので詳しい事は知らないんです」
「あー、なるほ
シロがスズの答えに返そうとした瞬間、シロのお腹がクゥと鳴る。
顔をぽっと赤く染めるシロを見ない様にしながらばあちゃるが窓際に行き、外を見ると青空はすでに夜空へと変わっていた。
「シ、シロじゃ無いよ?」
「知ってますよシロちゃん。なにせ今のお腹の音は間違い無くばあちゃる君のですからねハイハイハイ」
「…………シロが言うのもアレだけど、かばい方不器用過ぎない?馬らしいと言えばらしいけどさ」
咎めるような、それでいてどこか照れるような口ぶりでシロは答える。
それを見てスズがボソリと呟く。
「白馬てぇてぇ…………」
「え?」
「な、何でも無いです!ハイ!えっと、そうだ。シロさんとプロデューサーを歓迎する宴を開くんですよ。来てくれますか?」
「シロにお誘い?もちろん行くよ!」
「オイラももちろん行くっす」
ウルトラスーパーお久しぶりです。大学受験で手一杯でしたがやっとこさ終わりました。
ですが勉強に専念したおかげで理科大の理工学部に合格しました…………イヤッフーッ!!!!!
今回はリハビリがてらなので短めです
久しぶりなのであらすじをば
ばあちゃる誘拐→世界を救う為と説明受ける→不服だったけどなんやかんやあって決意→火事が起きる→シロと一緒に逃げる→体がグシャァ→シロが治す→やむなくレイシフト→通信を回復させる→神楽すずと合流→歓迎を受ける(イマココ)
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