・Vチューン! > VチューンVtuber掲示板 > シロちゃんとアイドル部はシークレットゲームに参加するようです。【SS】
シロちゃんとアイドル部はシークレットゲームに参加するようです。【SS】
▲▲▲全部▼▼▼戻る
1 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:40:47 ID:RgyL2VcjJv
※この注意事項を確認してから読んでね※

・このSS内で行っているゲームは『シークレットゲーム』『キラークイーン』というゲームに登場するゲームを元にしております。
気になった方はswitch版が出ているのでそちらをどうぞ。

・元ネタはデスゲームですがルールや設定を一部変えて【デスゲーム風レクリエーション】みたいな感じにしております。そのためアイドル部の面々が裏切りを行ったりしますが、あくまでゲームだから行っているのであってゲーム以外では普通に仲良くしている設定です。ドカポンで裏切りしているようなもんだと思ってください。

・作者は『キラークイーン』『シークレットゲーム』やそれを元ネタとした創作の影響を当然受けているので似たような展開があっても許してください。個人的には『彼らは最後まで殺しあうようです。』とかがオススメの創作キラークイーンです

・視点がコロコロ変わります。作者はプロじゃないので許して。あとキャラ崩壊も許して。

・不定期更新です。失踪する気は無いので気長にお待ちくださいませ

< 12345
2 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:44:52 ID:RgyL2VcjJv
「……あれ?ここは?」

先ほどまでベッドに横たわっていた緑髪の少女が呟いた。
どうやら眠っていたらしく、微妙に寝ぼけた目で自分がいる部屋を見つめている。
あまりに生活感が無く、整いすぎた部屋は明らかに彼女の部屋ではない。

ほんの少しの時間が経過すると自分の今の状況をようやく理解できた彼女は困惑した様子で周りを見回そうとしたが、何かに気がついた様子で動きを止め、自分の首元に手を当てた。

「何ですか?この首輪」

手が触れたのは彼女の首でなくそこについた銀色の首輪。機械が内蔵されているように見えるその首輪は高校生くらいに見える彼女には似つかわしくない異物だった。
一旦視線を元に戻した彼女はある物に目を止めた。それはこの部屋に存在するもうひとつの異物。

「……誰かに監視されている?何のために?」

天井に備え付けられていた物々しい監視カメラだった。

『シロちゃんとアイドル部はシークレットゲームに参加するようです。』

OP的なもの→http://nicovideo.jp/watch/sm33312258
※あくまでこの動画はイメージです。実際とは異なります

3 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:45:40 ID:RgyL2VcjJv
残りメンバー:13人

Side:神楽すず 一人称視点


「んー……知らない部屋、謎の首輪、監視カメラ。これは完全に……」

私はとてつもなく焦っている。というかこの状況で焦らない人なんぞいないでしょう。
どうやら私は今誘拐されているらしい。電脳世界で遭遇するなんてありえないと思っていたけれどやっぱり世の中に起こらないものは存在しないようですね。

「とりあえずこのドア蹴っ飛ばしてみましょうかね」

とりあえずこの部屋から脱出してみようと思っていたそのとき

ピピピピピピピピピピピピ

「え?何ですか!?」

部屋にあったタンスの方からアラームのような電子音が鳴り響いてきた。
ゆっくりとタンスの方へと近づいていく。慎重に進んだ末に見つけたのは、タンスの上にあるスマホのような何か。

「えっとこれは……」

どうやら先ほど部屋を見渡したときには気がつかなかったようだ。
携帯すら没収されているのにうっかり回収し忘れたとは思えない。置いてあるのには意味があり、私の今の状況を紐解くヒントがあるはず。

慎重に電源をつけるとスタート画面のようなものが点いた。

4 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:46:45 ID:RgyL2VcjJv
充電ノコリ99%     00:01:12

   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 解 除 条 件 ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  ル ー ル  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  マ ッ プ  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 機能拡張ソフト ┃
   ┗━━━━━━━━━┛


「!!!」

解除条件?ルール?もしかしてこれは何かのゲームなの?
少なくともこれは間違いなく私が今ここにいる理由と関わりがあるはず。

……とりあえずルールが気になる。チェックしよう。

ルールの項目をタッチすると画面が切り替わった。その画面に映ったのは馬の被り物をつけた男性。
……ばあちゃるプロデューサーじゃないですか!?
えっプロデューサー?なんで!?とか混乱している内に映像が流れ出した。

5 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:48:06 ID:RgyL2VcjJv
―――はいどうもーアイドル部のプロデューサーのばあちゃるです
この映像を観ている皆さんはね、困惑していると思うので簡単に説明いたしますとー
これはアップランドがですね。その場のノリで作った特殊な電脳空間上で行われるゲームのテストプレイみたいな感じでですね
詳しくはお手元のPDAをご覧くださいね。はい。
最初は殺し合いみたいな物騒なものだったんですけどね、いくら電脳世界上ならいくらでも復活できるとはいえ、グロデスクはNGってことでね。表現をマイルドにしましたので一歳のシロちゃんだろうとよゆーで出来ますのでねはい。
このゲームはどんなことがあっても死なない磐石なシステム上で行っているので安心しながらデュクシデュクシって感じで戦ってくださいね。
あと、ちゃーんと勝利者にご褒美とか敗者には死ぬよりキツイ罰ゲームがあったりなかったしますよー。
じゃあ負荷がそろそろ高まってきたんでおつかれっしたー

プロデューサーを見て安心と呆れが織り混ぜになった感情が沸いていた。やっと落ち着いて色々考えられる。
……焦り損じゃないですか!先に概要を教えてからゲームで良かったのに!まったくもう!
とりあえず自分に危害が及ぶ可能性はなさそうで良かった。……勿論ゲーム上での危害の可能性はあるけれど。プロデューサー戦うって言ってたし。

……とりあえずまず、ルールを確認しよう。ご褒美と罰ゲームが何なのか知りたいし、ルールを知らないことにはゲームに参加することもできないですから。

馬Pのムービーを消すとようやくルールの一覧表のようなものが画面に映る。まずはルール1から確認だ。

6 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:48:26 ID:RgyL2VcjJv
▼ルール1
参加者には特別製の首輪が付けられている。それぞれのPDAに書かれた状態で首輪のコネクタにPDAを読み込ませれば外す事ができる。条件を満たさない状況でPDAを読み込ませると首輪が作動し、15秒間警告を発した後、着用者を【死亡判定】にする。【死亡判定】を行ったあと首輪は消滅する。
一度作動した首輪を止める方法は存在しない。

さっき馬Pも言ってましたけどこれPDAって言うんですね。
どうやらさっきホーム画面にあった【解除条件】を達成しなければ首輪は外れないんですかね。
で、解除条件を満たさなかったり失敗すると負けと。
【死亡判定】をよくわからない機械に握られているのも嫌ですね。他のルール次第でこの首輪で気がついたら殺されているっていうのもあるかも。

7 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:48:52 ID:RgyL2VcjJv
▼ルール2
このゲームは本来の体ではないアバターを使って行われている。アバターが傷つき現実なら死んでいるような状態になったや首輪が作動したとき【死亡判定】となり、強制ログアウトが行われる。ログアウトした者は敗北となる。
ログアウトした瞬間アバターは等身大のマネキンに変化する。持っていたものは作動済みの首輪を除き、基本的にそのまま残る

これは……youtubeのBAN対策ですね間違いない。
死んだら負けとだけ覚えておきましょう。


▼ルール3
参加者には1〜10のルールが4つずつ教えられる。与えられる情報はルール1〜3と、残りの4〜10から2つずつ。およそ5、6人でルールを持ち寄れば全てのルールが判明する。

んールール全部貰える訳じゃないですね。とりあえず他の参加者に出会わないといけないと。そういえば他の参加者って誰なんでしょう。他のアイドル部の皆かな?

8 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:50:38 ID:RgyL2VcjJv
さて次はランダム配られたルールですか。有用なものだと良いんですけど。

▼ルール6
侵入禁止エリアが存在する。初期では屋外のみ。進入禁止エリアに侵入すると首輪が警告を発し、その警告を無視すると首輪が作動し強制ログアウトが行われる。また、2日目になると侵入禁止エリアが1階から上のフロアに向かって広がり始め、最終的には館の全域が侵入禁止エリアとなる。

おっと上にどんどん上がっていかないと死んじゃうみたいですね。上に上がりながら武器を探してルール交換して自分の解除条件を満たさければならない。
……あー!ルール難しすぎませんか!?もっとゲームっていうのは爽快性があるべきだと思いますよ私は!


▼ルール8
指定された戦闘禁止エリアの中で誰かを攻撃した場合、首輪が作動する。

……指定された戦闘エリアってどこでしょう?書いてないですね。立て看板でも置いてあったりするんでしょうか?


とりあえずわかったことは自分の解除条件が分からないと何とも言えないってことですかね。

私は戻るボタンを押してホーム画面に戻って解除条件の項目をタップした。
お願い!なるべくクリアしやすそうなの出て!

画面に映ったのはトランプの8とその解除条件の内容だった。


https://vt-bbs.com/upl/1542977438-1.jpg


9 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:52:08 ID:RgyL2VcjJv
解除条件はPDAの破壊。他人のPDAを集めなきゃいけないのはタイヘンですね。絶対他人と接触しなきゃならないし。
というかこのトランプ昔スタッフさんの誰かが試しに作ってみて没になったやつじゃないですか!
8番だから……これはいろはさんのやつですね。私の絵柄に変えてくれても良かったと思うんですけど……

    /||ミ
   / ::::||
 / :::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||ガチャ
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \ ::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||


私は瞬間的にドアの方に向きながら構える。
まだマップとか見ていないんですけど!
最悪の場合戦闘になるかもとか思いながらドアの方を見るとそこにいたのは……

10 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:52:51 ID:RgyL2VcjJv
やべっAAずれた

11 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:53:30 ID:RgyL2VcjJv
「あ、かぐらん発見!あ、戦う気はないから落ち着いて落ち着いて!」

金髪アホ毛の少女。そう我らがアイドル部のメンバー牛巻りこさんだった。



Side:神楽すず&牛巻りこ 三人称視点

「りこさん。どこに連れていくんですか?ルールの確認したいんですけど」

神楽すずが目の前を歩く金髪の少女―牛巻りこに疑問を投げかける。彼女達は今廊下におり、りこが先導してどこかに向かっているようだ。
廊下はほの暗く、窓のようなものは一切見られない。迷路のような廊下も相まって一度入ったら抜け出せないような雰囲気を感じさせる。

「ちょーっと待ってね。目的地に着いたらちゃーんと話すから、ね?」

「はい……分かりました」

すずは小さく返事をした。りこのことを少し疑っているのか渋々と返事したような様子だ。
だが、すずが疑ってしまうのも無理はない。りこの首についている首輪からも分かるように彼女もまたゲーム参加者である。しかもすずよりもこのゲームのことを知っているかのような口ぶりだ。なのになぜ情報交換をしないのかが不明なのだ。
疑っていてもちゃんと後を着いていき、半信半疑でも一応信用をしているように見えるのは二人が元々友人だからだろう。もしそうでなかったら今頃二人は一緒に行動していなかったに違いない。


数分後、りこは一つの扉の前で立ち止まった。

「かぐらんやっと着いたよ」

「ここ……ですか?」

「うん。じゃあ入るよ」

りこが何の警戒心もなくドアを開けたのとは対照的にすずが少し警戒しながらドアの中を覗いた。
すずが居た部屋とは違い、その部屋は会議室のようであった。そしてその中にはすずと同じアイドル部のメンバーである八重沢なとり、猫乃木もち、ヤマトイオリ、花京院ちえりがいた。

12 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:55:05 ID:RgyL2VcjJv
「コホン。ではでは情報交換と現状確認の為の会議を始めたいとおもいます!」

6人が入ってなお余りある部屋の中で現状を把握するための会議が始まった。
備え付けられていたホワイトボードの前に立って今喋ったちえりを除いて全員座っており、座っている面々はPDAを持ちながら、ホワイトボードに視線を向けている。

「えっと……ルール交換の場ってことで良いんですか?皆さんどうやらまだルール交換はしていないようですけど」

先ほど来たばかりのすずがおずおずと質問した。すずの推察した通りまだこのメンバーはルール交換を行ってはいない。

「うんうん。そうだよすずちゃん。だけどまずは現状についての話だねー。すずちゃんはうまぴーの映像見た?」

「見ました。あとルールと自分の解除条件の確認はしましたね。途中でりこさんと遭遇したのでマップと機能拡張ソフトは見てないですけど」

すずの言葉によってりこの方に一斉に視線が行く。全員がどうしてすずをここに連れてくる間に見させてあげなかったの?と言いたげな顔をする。

「ごめん!かぐらん全部把握していると思い込んでた!」

りこがすずの方に向いて手を合わせる。
それを見ていたなとりは溜め息を吐きながら立ち上がって喋りだした。

「まったくりこさんったら。すずさん後で自分でも確認してほしいんですが、時間が惜しいので教えます。マップはそのままこの場所のマップです。現在位置は表示されないので推測になりますが、このマップ異常に広いです」

13 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:55:42 ID:RgyL2VcjJv
なとりの言う通り、電脳世界の中の更にシミュレーションシステムによって作り出されたこの空間は異常に広い。迷路のように複雑な廊下と様々な大きさの部屋が大量に存在しており、更に6階まである。
現実では外国の広大な平野をまるごと買い取った上で上の階層の重さで潰されないような軽くて頑丈な素材を使わないとまず再現は不可能な代物である。

「それとソフトの方ですが開いても現在インストールされているソフトウェアは存在しませんとしか出てこないので使い方は不明です」

そう言うとなとりは私が喋ることは終わったとばかりに席について、ちえりの方に目を向ける。
ちえりはそれを話を進めてくださいと言う合図だと受け取ったようだ。

「ルール交換をするのででは皆さん自分が持っているルール番号を読み上げてください。ちなみにちえりちゃんは8番と10番です」

ちえりはそう言うとホワイトボードに一番近い位置に座っていたもちの方に目を向けた。

「えーっとね。私は5番と8番かなー。いきなり被っちゃった」

「イオリはね。4番と7番って書いてあるよ」

「牛巻は4と9だね」

「私は5と9ですね」

もち、イオリ、りこ、なとりが順番に言う。
それを聞いたすずは少し嬉しそうな顔で「私は6と8です。番号全部わかりましたね!」と自分の番号を言った。

14 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:56:13 ID:RgyL2VcjJv
「じゃあ4番から順番に見ていこうか?反対の人いる?」

ちえりの言葉に反対する者はいなかった。

「じゃあ牛巻が4番をだそうかな」


▼ルール4
PDAは全部で13台存在する。13台にはそれぞれ異なる解除条件が書き込まれており、ゲーム開始時に参加者に1台ずつ配られている。この時のPDAに書かれているものが、ルール1で言う条件にあたる。他人のカードを奪っても良いが、そのカードに書かれた条件で首輪を外すのは不可能で、読み込ませると首輪が作動し着用者は敗北する。あくまで初期に配布されたもので実行されなければならない。


「最初に配られた解除条件でってことは難しい条件を他の人に押しつけて簡単なのでクリアするのは無理っぽいね」ともちが言った。

「解除条件次第ですが他人のPDAを取る必要性は薄いですかね」とすずがそれに同意する。

「13台あるっていうことは13人いるんですかね。参加者」となとりが言った。

「でもアイドル部って12人じゃんあと誰だろうねーばあちゃる号?シロぴー?」りこが首をかしげながら呟いた。

「うまぴーばGMポジションっぽかったしなくない?」ちえりがそれに疑問を呈する。だがその疑問に答えられる者はいなかった。

15 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:57:18 ID:RgyL2VcjJv
「んー?とりあえずPDAを二つ持っている人は誰かから盗んでるっていう目印になりそうだね」とイオリが別の切り口から分析する。

「それがねぇいおりん。残念ながらそうとは限らないみたいだよ」もちがその分析を覆す自分のPDAに書かれたルール5を読み上げた。


▼ルール5
最初に配られる通常の13台のPDAに加えて1台ジョーカーが存在している。これは、通常のPDAとは別に1階のどこかに置かれている。ジョーカーはいわゆるワイルドカードで、トランプのカードをほかの13種のカード全てとそっくりに偽装する機能を持っている。制限時間などは無く、何度でも別のカードに変えることが可能だが、一度使うと1時間絵柄を変えることができない。さらにこのPDAでコネクトして判定をすり抜けることはできず、また、解除条件にPDAの収集や破壊があった場合にもこのPDAでは条件を満たすことができない。


「ジョーカー!?」

ルール5を既に持っていたなとりともち以外が一斉に驚いた。

「うわっこれお互いの解除条件見せてもらっても完全に信用できないやつですね」とすずが言う。

「一階にずっと居てジョーカー探した方が良いのかな……皆で見つければ悪さ出来ないだろうし」とりこも続けていった。

「残念ですがそれは出来ないですよ。りこさん」
すずはルール6を読み上げることにした。

16 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:57:59 ID:RgyL2VcjJv
「かぐらんちょっと待った。いちいちPDAを読み上げるのもめんどうだし、PDAの画面を残りのルールの画面にしてみんな一斉に机の上に出して見せあおうよ。勿論触れないように注意して」

牛巻のこの言葉に他の面々も同意し、一斉に残りの番号を見せ合うことになった

「じゃあいくよ!いっせーのせ!」

▼ルール6(既に>>8で一度登場済み)
侵入禁止エリアが存在する。初期では屋外のみ。進入禁止エリアに侵入すると首輪が警告を発し、その警告を無視すると首輪が作動し強制ログアウトが行われる。また、2日目になると侵入禁止エリアが1階から上のフロアに向かって広がり始め、最終的には館の全域が侵入禁止エリアとなる。

▼ルール7
開始から3日間と1時間(73時間)が過ぎた時点で生存している人間を全て勝利者とし、200億電脳ペリカの賞金を山分けする。ゲーム終了後電脳ペリカで購入可能なショップをオープンする。
逆に強制ログアウトした者はちえりーらんどかカルロ総合病院での無償労働14日間の罰が与えられる。

▼ルール8(既に>>8で一度登場済み)
指定された戦闘禁止エリアの中で誰かを攻撃した場合、首輪が作動する。

▼ルール9
開始から6時間以内は全域を戦闘禁止エリアとする。違反した場合、首輪が作動する。正当防衛は除外。

17 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:58:39 ID:RgyL2VcjJv
「……ってあれ?ちぇりたん。ルール10は?」

ルール10が出ていないことに気がついたもちが責めるようにちえりの方を見た。他の面々も何故出さないのかという疑惑の目線で見つめる。

「違うよみんなー!ルール10の内容がメチャメチャ多かったから。ルール9まで確認してから見ようと思っただけだよー!」

ちえりが顔を><のようにしながら弁明する。多くは納得して引き下がったが一人だけその言い分を疑問に思ったようだ。

「ルール9まで自分が把握したら逃げ出そうとか思わないでくださいね。ちえりさん」とすずが釘を刺すように言った。

「ま、まさかすずちゃん。ちえりはそんなことしないし、するっていう発想すらなかったよー!」

ちえりはかなり動揺しながら言った。すずの指摘が図星だったから動揺したのか、それとも協力していく仲間のはずだったすずに疑われたことに動揺したのかは誰も分からなかったようだ。

だが、少なくともこの出来事がこの後起こってしまう悲劇に繋がる疑心暗鬼の芽を生んだのは間違いないことであった。

18 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:59:22 ID:RgyL2VcjJv
「うわぁどんどん狭くなっていくんだー。PUBGみたいですね」
会議室の静寂を破ったのはイオリの言葉だった。
イオリの少々わざとらしくも感じる言葉で……実際恐らくわざといつもよりも明るく喋ったのだろうがそれによって他の面々も疑心暗鬼から抜け出すことができたようだ。

「あ、ルール6ですか?そうですね。確かにそんな感じですね。どちらかといえばバトロワですけど……こんな広い建物から階段まで辿りついて上に登らなきゃ辛いですね」となとりが言う。

「バトロワも制限時間が3日間だったし首輪付きだったし、このゲーム確かにバトロワに似ているね」ともちが本題とはあまり関係がないところに食いついた。

「でもバトロワには戦闘禁止エリアがないけどこれにはあるのは楽だね!誰かに襲われてもそこに逃げ込めば良いんだし!そもそも死なないし!」とちえりが言う。

一度は暗くなった会議室の雰囲気が明るくなっていく。しかし、この雰囲気は牛巻りこの言葉によって再びブチ壊されてしまった。

「でもこれ死んだ方がマシかもしれないよね……ちえりーらんどだよ?」

19 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 21:59:48 ID:RgyL2VcjJv
「酷いよ!りこぴん!みんなも黙っちゃってひどい!ちえりーらんどは笑顔が絶えない職場だよ!」
ちえりが再び弁明した。机をドンドンと叩き、如何にも不服そうだ。

「でもちぇりー。ちえりーらんどで働きたい?無償で。二週間も」

「えっ、いや、いや嫌っていう意味じゃなくて。従業員はみんなちえりに優しいから大丈夫だよ!」

「じゃあカルロ総合病院に送られるんじゃないの?」

りこに完全に論破されてしまったちえりは完全に意気消沈してしまった様子だ。

「でも電脳ペリカ200億って凄くないですか?」
イオリがポジティブな話題にしようと喋りだした。しかしあまり他の人には電脳ペリカ200億は魅力に映らなかったようだ。

「いおりん。電脳ペリカってシロちゃんの動画に出てくる架空の通貨でしょ?私たちは円使っても嬉しくなくない?」

20 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:00:15 ID:RgyL2VcjJv
イオリはもちの言っていることに何故かピンと来ていなかった様子だがやがて何かに気がついたのかポンと手を叩いて自分のPDAを操作し始めた。

「そういえば皆さん見せていませんでしたねごめんなさい」

そういうとイオリはPDAを別の画面に変更した

「これって……」

誰かが固唾を飲む。だがそれも無理は無い。画面の中には電脳ペリカ5000万でベリーベリータルトチーズケーキ、電脳ペリカ一億でアップランドが好きなゲームを購入など豪華なラインナップがずらりと並んでいた。そうこれはゲーム終了後開かれるショップのカタログだったのだ。
だが、誰かが固唾を飲んだラインナップは恐らくこの店一番の高額商品だったのだろう。

その高額商品の名前はばあちゃるを一日借りられて、しかもお願いを出来る限り聞いてくれる券(5億ペリカ)であった。


ゲーム終了した後に彼女達はこのゲームについてこう語った。
『勝てばばあちゃる』『負ければちえりーらんど』
この思考のどちらか、あるいは両方に取り憑かれた結果があのゲームの惨状であったと。
誰も彼もが皆、自分の勝ちたい負けたくないという欲望に染まりきり、他人を出し抜こうとしていたのだと。

21 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:00:47 ID:RgyL2VcjJv
「さてそろそろ10番を見せるときなのではー?」
ちえりが勿体ぶった口調でPDAを差し出す。すっかりさっきの状態から立ち直ったようだ。そんな彼女が見せたルール10は勿体ぶった理由が分かるほどのものであった。

▼ルール10
カードの種類は以下の13通り。

AのPDA…QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。

2のPDA…JOKERのPDAの破壊。このPDAのみ半径1m以内でJOKERの偽装機能は無効、初期化される。

3のPDA…3名以上の殺害。ただし首輪の作動は含まない。

4のPDA…自分以外の首輪を3つ取得する。首を切り取っても、解除条件を満たし外すのを待つのも良い。

5のPDA…館全域の24個のチェックポイントを全て通過する。特殊効果として地図上にポイントの表示がされる。

6のPDA…JOKERの偽装機能を5回以上使用。自分で使う必要も、近くで行う必要も無い。

7のPDA…開始から6時間目以降に全員と遭遇。死亡している場合は免除。

8のPDA…自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する。

9のPDA…自分以外の全参加者の死亡。手段は問わない。

10のPDA…首輪が5個作動すること。ただし2日と23時間より前に行うこと。

JのPDA…開始から24時間以上行動を共にした人間が2日と23時間時点で生存していること。

QのPDA…2日と23時間の生存。

KのPDA…PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

22 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:01:21 ID:RgyL2VcjJv
「うわっずるい!このルール持っている人メチャメチャ有利じゃないですか!」すずは驚きを隠す気もないようだ。

「うわー普通に他人を殺すのが条件のやつあるねー。9とか酷いわ。全員殺さなきゃいけないとか誰かが条件達成して首輪外して侵入禁止エリアに入られた時点で敗北確定じゃん。これ当たった人可哀相」もちは思ったより驚かなかったのかすぐに分析をしだしたようだ。

「でもこれ条件達成した人のPDAや首輪もらって作動させたり壊したりも出来そうですから思ったよりみんなで協力は可能そうですね」なとりも動揺に分析する

なとりの発言で何か思うところがあったのかもちが少し悩むそぶりを見せた後、ちえりが落ち込むまで立っていたホワイトボードの前まで移動した。

「じゃあみんな。協力するために解除条件の教え合いしようか?」

ガタッ

猫乃木がそう言った瞬間、なぜかイオリが立ち上がった。表情は動揺しきっており、いつのまにか自分のPDAを握っていることもあってか、今すぐこの部屋から逃げ出してしまいそうであった。

「あ、あの。イオリ……あっ!そうだ。イオリジョーカー探しに行きたいので失礼しますね!ルール交換ありがとうごさいました!」

そう言うとイオリは一礼した後にこの部屋から本当に出ていってしまった。
あまりの急さにみな固まってしまっている。最初にその硬直から抜け出したのは八重沢なとりだった。

「ちょ、イオリさん!?……皆さんごめんなさいイオリさん一人には出来ないのでイオリさんを追います。ありがとうごさいました!」

そういうとなとりはイオリを追って出ていってしまった。

23 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:01:47 ID:RgyL2VcjJv
「解除条件の見せ合いするけどみんな良いよね?」

しばらくの静寂の後、気を取り直したもちは再び言った。3人から反対の意見が出る様子はなかった。

「じゃあ私から……とその前に皆さんに一つ質問です。皆さんの解除条件はA、3、9のいずれかですか?」

A、3、9。この三つの解除条件は他のプレイヤーの殺害が必要不可欠なものだ。
死亡判定になった者は死ぬわけではない。だがちえりーらんど送りというある意味死んだ方がマシとも言える罰ゲームがあることもあって、他3人ももちが言わんとしていることが理解できたのか緊張の面持ちで他の面々を見る。
しかし、誰も喋らなかった。

それを質問への否定だと判断したもちは自分のPDAを操作し始めた

「あーよかった。みんなそれじゃないんだね。ならおっけまーる!私の解除条件はこれです!」

もちは操作し終えたのかPDAの画面を3人から見えるように前に出した。

24 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:02:11 ID:RgyL2VcjJv
「私の解除条件はコレ!お願いだからAから守って!」

画面に映っていたのはカルロピノが描かれたトランプのカード。Qのカードであった。


https://vt-bbs.com/upl/1542978131-1.jpg


25 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:02:41 ID:RgyL2VcjJv
Side:八重沢なとり 一人称視点


「ハァハァやっと見つけた!待ってくださいイオリさん!」

会議室から外に出た私はすぐにイオリさんを追った。
長い長い廊下を走り抜けた先でようやく辿りついた。

「あ、なとなと!?何で追ってきたの?」

「イオリさんが心配だから追ってきたんですよ!」

本当はイオリさん関係なしに会議室を抜け出す予定ではあったけど、イオリさんが心配だったのは事実だ。

「なんでイオリさんは抜け出してきたんですか!」

私のその言葉に思うことがあったのかイオリさんは腕を組んで考え出した。その間に私は息を整える。いくらイオリさんの方が先行していても着物の方が疲れそうなのになんでイオリさんは走っていたのにそこまで疲れていないんですか!
……やっぱり吹奏楽部は体力使うんでしょうか

「……わかった。なとなとの解除条件を教えてくれたらイオリも理由と自分の解除条件を教えるね」

そんなことを考えている内にイオリさんが覚悟を決めたような顔で私に問いかける。私の解除条件か……別に言っても大丈夫そうだ。

「分かりました。私の解除条件は2。JOKERの破壊です」


https://vt-bbs.com/upl/1542978161-1.jpg


26 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:03:35 ID:RgyL2VcjJv
私は自分のPDAをイオリさんに見せながら言った。さてイオリさんが逃げ出した理由はなんでしょうか?
……想像はある程度できますが


「はーよかったぁ、これならイオリも解除条件言えますね」

イオリさんはそんなこと言いながら自分のPDAを操作しはじめる。きっと自分の解除条件を見せるためだけど……私の解除条件によっては逃げだすつもりだったんですか!?

「はいなとなと。これがイオリの解除条件です」

イオリさんの解除条件は……A


https://vt-bbs.com/upl/1542978215-1.jpg


27 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:04:00 ID:RgyL2VcjJv
イオリさんが私にちょっと泣きそうな声で語りかけてくる

「なとなとーイオリ誰かをちえりーらんどに送りたくないよー助けてー!」


……あの。よりにもよってイオリさんがキラークイーンってミスマッチすぎません?


第一章『お花畑のキラークイーン』終

28 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:07:43 ID:RgyL2VcjJv
生存者残り13人

A【ヤマトイオリ】…QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。

2【八重沢なとり】…JOKERのPDAの破壊。このPDAのみ半径1m以内でJOKERの偽装機能は無効、初期化される。

3【???】…3名以上の殺害。ただし首輪の作動は含まない。

4【???】…自分以外の首輪を3つ取得する。首を切り取っても、解除条件を満たし外すのを待つのも良い。

5【???】…館全域の24個のチェックポイントを全て通過する。特殊効果として地図上にポイントの表示がされる。

6【???】…JOKERの偽装機能を5回以上使用。自分で使う必要も、近くで行う必要も無い。

7【???】…開始から6時間目以降に全員と遭遇。死亡している場合は免除。

8【神楽すず】…自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する。

9【???】…自分以外の全参加者の死亡。手段は問わない。

10【???】…首輪が5個作動すること。ただし2日と23時間より前に行うこと。

J【???】…開始から24時間以上行動を共にした人間が2日と23時間時点で生存していること。

Q【猫乃木もち】…2日と23時間の生存。

K【???】…PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

29 名前:1[age] 投稿日:2018/11/23 22:11:04 ID:RgyL2VcjJv
というわけで今回の更新はここまでです
動画に関してですが同一人物なので問題ないです

次の章で残りの7人を出した後に誰が生き残るかのBETを行うので少しだけお待ちくださいませ

なるべくルールとかが分かりやすいように登場人物の喋らせ方を工夫したのですが限界があると悟ったので色々質問を受け付けますのでどうぞ

30 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/23 23:36:19 ID:byA0D.tPK6
思考の読み合いとか裏切りとか複雑そうだけど面白そうだ……ドル部すずすずしか知らんけどいい機会だし応援するで

あと>>7の与えられる情報の数ミスってるで(小声)

31 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/23 23:41:34 ID:EnHHfSwplx
>>30
よしいい機会だ、全員見てみよう
ドル部スレで温かく受け入れるぞ

32 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 00:10:38 ID:RgyL2VcjJv
>>30
うわ本当ですね。原作では存在しないルール2をねじ込んだのでそこの修正忘れていました

アイドル部はいいぞぉ……ニコニコの切り抜きとかでいいから少しずつ見てけ

33 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 00:24:28 ID:RgyL2VcjJv
ルールまとめ(ルール10は>>28と同じなので省略)
賞金にミスがあったので訂正してます

▼ルール1
参加者には特別製の首輪が付けられている。それぞれのPDAに書かれた状態で首輪のコネクタにPDAを読み込ませれば外す事ができる。条件を満たさない状況でPDAを読み込ませると首輪が作動し、15秒間警告を発した後、着用者を【死亡判定】にする。【死亡判定】を行ったあと首輪は消滅する。
一度作動した首輪を止める方法は存在しない。

▼ルール2
このゲームは本来の体ではないアバターを使って行われている。アバターが傷つき現実なら死んでいるような状態になったや首輪が作動したとき【死亡判定】となり、強制ログアウトが行われる。ログアウトした者は敗北となる。
ログアウトした瞬間アバターは等身大のマネキンに変化する。持っていたものは作動済みの首輪を除き、基本的にそのまま残る。

▼ルール3
参加者には1〜10のルールが5つずつ教えられる。与えられる情報はルール1〜3と、残りの4〜10から2つずつ。およそ5、6人でルールを持ち寄れば全てのルールが判明する。

▼ルール4
PDAは全部で13台存在する。13台にはそれぞれ異なる解除条件が書き込まれており、ゲーム開始時に参加者に1台ずつ配られている。この時のPDAに書かれているものが、ルール1で言う条件にあたる。他人のカードを奪っても良いが、そのカードに書かれた条件で首輪を外すのは不可能で、読み込ませると首輪が作動し着用者は敗北する。あくまで初期に配布されたもので実行されなければならない。

34 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 00:24:55 ID:RgyL2VcjJv
▼ルール5
最初に配られる通常の13台のPDAに加えて1台ジョーカーが存在している。これは、通常のPDAとは別に1階のどこかに置かれている。ジョーカーはいわゆるワイルドカードで、トランプのカードをほかの13種のカード全てとそっくりに偽装する機能を持っている。制限時間などは無く、何度でも別のカードに変えることが可能だが、一度使うと1時間絵柄を変えることができない。さらにこのPDAでコネクトして判定をすり抜けることはできず、また、解除条件にPDAの収集や破壊があった場合にもこのPDAでは条件を満たすことができない。

▼ルール6
侵入禁止エリアが存在する。初期では屋外のみ。進入禁止エリアに侵入すると首輪が警告を発し、その警告を無視すると首輪が作動し強制ログアウトが行われる。また、2日目になると侵入禁止エリアが1階から上のフロアに向かって広がり始め、最終的には館の全域が侵入禁止エリアとなる。

▼ルール7
開始から3日間と1時間(73時間)が過ぎた時点で生存している人間を全て勝利者とし、20億電脳ペリカの賞金を山分けする。ゲーム終了後電脳ペリカで購入可能なショップをオープンする。
逆に強制ログアウトした者はちえりーらんどかカルロ総合病院での無償労働14日間の罰が与えられる。

▼ルール8
指定された戦闘禁止エリアの中で誰かを攻撃した場合、首輪が作動する。

▼ルール9
開始から6時間以内は全域を戦闘禁止エリアとする。違反した場合、首輪が作動する。正当防衛は除外。

35 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 00:39:11 ID:JfcSHeqPBM
面白いわ
期待してる

差し出がましいかもだがイオリンが敬語なの違和感w

36 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 00:46:09 ID:f16FRVhU5V
確かに200億山分けなら全員ばあちゃる使えるもんな
(ところで馬そんなにほしいか?

37 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 01:02:09 ID:EI6/dkrPvr
>>35
動揺しているところ以外は敬語にしてないはず……と思って見直したら半分以上敬語になってました。
すいません……たぶん「○○なんだなぁと思いました」みたいなイオリンが話題の〆によく使う敬語の印象が強くてミスったんだと思います

>>36
200億はミスで20億なんです!すいません……
何だかんだみんなばあちゃるさんのことを慕ってはいるようなので一日券を使うことで多忙なばあちゃるさんを休ませてあげようって考えてるんじゃないでしょうか。ホラ、実質有給みたいなもんですし。
カップリングかどうかはご想像にお任せします。少なくともカップリングと確定できるように書く気はありませんが

38 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 02:52:49 ID:Kwvor3MwZh
おお、当時めっちゃ楽しくプレイしてたゲームだ
期待してます

39 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 06:35:06 ID:T6.IlH2Png
ここまでですごいワクワク
楽しみです

40 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 13:35:28 ID:8maWzei9u1
今日の更新予定(暫定版)

13:30 Side:チーム猫乃木
14:30 Side:電脳少女シロ
15:00 Side:カルロピノ
15:30 Side:木曽あずき

41 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 13:37:29 ID:8maWzei9u1
作者は原作だと麗佳さんが一番好きです


1章裏【信じるための開示、信じるための不開示】


Side:チーム猫乃木 三人称視点 【00:02:30】

もちの解除条件のカミングアウトを受けた3人はそれぞれ物騒な解除条件じゃないことを喜ぶ者、自分の解除条件とのシナジーに対して喜ぶ者、そして……明らかに落ち込んだ顔になる者に別れた。


「クイーンか……じゃああんまり私といない方が良いかもね……」ちえりが呟いた。申し訳なさそうな顔でもちの方を見つめる。

「えっ?ちぇりーどういうこと?」りこが困惑したような声をあげる。視線は明らかにちえりのPDAの方を向いており、原因が解除条件にあるのだと思っているかのようだ。
実際、牛巻の推察の通りちえりは自分の解除条件がもちの解除条件の不利になることは間違いない。
ちえりは少しだけ悩むそぶりを見せた後、意を決したように自分のPDAを見せた。

「ちえりのPDAは7なの。だから……Aとも会わなきゃいけないんだ」


https://vt-bbs.com/upl/1543034249-1.jpg


42 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 13:40:47 ID:8maWzei9u1
「うーん別に悩む必要なくない?一緒に行こうよ」もちが少し考えた末にちえりに言った。特に嫌な顔をしておらず、本当に悩む必要がないと考えている風に見える。

「えっ?何で?」もちに嫌な顔をされると思っていたのかちえりはきょとんとした顔でもちの次の言葉を待っていた。

「だってルール上たぶん生存するのは5、6人くらいだからその頃にはAは死んでいるかもしれないし、Aに遭っても私がQだってことがバレなければ良いんだよ?」

もちの言う通り、ルール上生存可能な最大人数こそ10ほどになるものの、実際はそうはいかず5〜6人程度に絞られてしまうだろう。
どちらかといえば本当にちえりが気をつけなければいけないのは9との遭遇である。しかし、9にしても9は全員の敵である上にほぼ戦闘必須なので死亡する可能性が高い。

「ありがとうもちちゃん!」

ちえりはもちに抱きつこうとして……それがルール8で言うところの攻撃に当たるかどうかが分からないことに気がついてやめた。

「そういえば6時間超えるまで攻撃してはならないんでしたよね……今何時間経過しているんでしょう?」とちえりがルール9を思い出して抱きつくのをやめたことに気がついたすずが言った。
この会議室には時計がなく、アバターはいつも身に付けている服装を除いては何も持っていなかったため、当然スマホや腕時計を持っておらず、現在が朝か夜であるかすら体内時計でしかわからない。

43 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 13:41:36 ID:8maWzei9u1
だが、一つだけ残り時間を知る方法はある。それにこの中で唯一気づいていた牛巻はすずの方にPDAを差し出した。

「あ、それはねかぐらん。PDAのホーム画面っぽいところに載っているんだよ。ほら、右上に」


充電ノコリ98%     00:02:32

   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 解 除 条 件 ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  ル ー ル  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  マ ッ プ  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 機能拡張ソフト ┃
   ┗━━━━━━━━━┛


「一番右の桁が分。真ん中の桁が時でどれくらいゲーム開始から経ったかを表しているっぽいんだよねー。一番左はたぶんだけど一日たったら01って感じになるんだと思う」

3人ともりこの分析に感心しているような顔で「へー、本当だ」と言う。
それに恥ずかしくなったのかりこは慌てて……

「あ、そうだついでに牛巻の解除条件も見せとくね」と言ってPDAを操作した。

「牛巻のカードはジャック。もっちーとずっと一緒にいれば解決!」


https://vt-bbs.com/upl/1543034496-1.jpg


44 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 13:44:23 ID:8maWzei9u1
「お?私が生存すればりこぴんは確かに確実だね?……私が生存すれば だ け ど」
もちがいたずら好きの子供がするような意地悪な笑みを浮かべながらりこの方を見て言った。明らかな冗談である。

ちえりはそんなもちに何らかのリアクションを取ろうとして……面倒くさくてやめたのかジャックのPDAについて考察した。

「いや、たぶんこの解除条件って首輪を外した人も含まれるから解除した人に一番下の階に逃げてもらえば解決じゃない?まぁ念のためにもちちゃんと居た方が良いと思うけどね?」

だが、その発言を茶番へのパスだと受け取ったもちはさらに冗談めかして言う。

「酷いわあなた!私とは遊びだったのね!」

「違うよもっちー!牛巻はみんなを愛しているんだ!だからいつだって一人一人の本気なのさ……」

「トゥンク…」


「……あの?そんなことやってるからアイドル部じゃなくて芸人部だとか言われちゃうんですよ?」

このまま茶番が続いてしまい、本筋に戻れなさそうだと判断したすずは強引に軌道修正を図った。

「私の解除条件も見てください。ぶっちゃけぶっちぎりに皆さんの解除条件と一番ミスマッチですから」


https://vt-bbs.com/upl/1543034663-1.jpg


45 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 13:45:46 ID:8maWzei9u1
「うわぁ……」猫乃木が思わず呟いた。

だがそれも無理はない。PDAは首輪を外すときに使う都合上、基本的には解除条件を達成しないと他人に譲ることはできない。だが、ここにいるメンバーの内二人はどうあがいても2日と23時間後の解除条件が確定しているし、ちえりのものだって運が良くない限り終盤での解除となるだろう。
つまり、すずはこのメンバー以外からPDAを大量に入手しなければもちとりこより後の解除となる。

「3人は実質一蓮托生の関係だねー」とちえりがまるで自分は違うかのように言った。

とにもかくにもほぼずっと一緒に仲良くいることが確定した彼女達は今後の方針を決めることにした。


「まずジョーカーどうしよっか?」

「別に偶然見つけたら取っておくけどわざわざ探しにはいかなくて良くない?私のQを偽装するくらいしか有効活用できる方法無いし」

「それにあの言葉が本当ならイオリンが探してるしね」

という流れでジョーカーについてが決まり、


「他の参加者を見かけたらどうしますか?」

「基本はもっちーの解除条件を隠して相手の解除条件を教えてもらう。相手の解除条件が問題なければ一緒に行く感じかなかぐらんの解除条件のために」

「ありがとうございます」

といった風に他プレイヤーとの遭遇したときの動きについて決まり、

46 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 13:46:49 ID:8maWzei9u1
「武器見つけたらまず最初に誰が持つ?」

「ちえりさん」

「ちぇりー」

「うんうん。やっぱまずはちぇりたんだよね!」

「……なんかひどいよー」

という風に武器についてが決まり、戦闘禁止時間の内に仮眠休憩を取ってから行くことにした。


「じゃあおやすみー」

他の部屋から調達してきた目覚まし時計をセットして4人は横になった。
一見完全に信頼しきった様子だが、よく見ると全員きちんとPDAを肌身外さず身に付けており、取られないようにしていた。

47 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 13:47:50 ID:8maWzei9u1
「「「zzz……」」」

暗い会議室の中三人が眠っている。
三人が眠っていることを確認した残りの一人は……

ムクッ

ガチャ

ドアを静かに開けて外に出ていった。


???「目覚まし時計が鳴る30分前に戻ろう」

彼女は廊下に出て呟いた宣言通り、誰にもばれずに30分前に戻ってきていた。



next……Side:電脳少女シロ

48 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 14:25:00 ID:gXKfB8bWxv
お、来てた
早速動き始めた人がいるけど最初に動くのはどうしてもかませっぽく思ってしまうけどどうなるかな
個人的には牛巻ジャックはぴったりだと思った

49 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 14:37:34 ID:8maWzei9u1
シロちゃんの素の一人称は私派です。
文句があるやつはかかってこい!


Side:電脳少女シロ 一人称視点


「足りないルールはルール9か……なんなんだろ」

目の前のオレンジ色の髪の少女が特徴的な声で呟いた。

「3人でルール被りないって凄いことだけど……ランダムに配布されるルールは7個だから一個足りないのは仕方がないよね。とはいえルール9……気になるぅ〜!」

オレンジ髪の少女―北上双葉に対して耳が美味しそ……特徴的なもこ田めめめが慰めているのかそうじゃないんだかよく分からないことを言っている。

足りないものは仕方がない。そろそろルールの整理みんな出来たと思うし、次の話に進もうか。

「じゃあ二人とも。ルール交換をしたけど……どうしよっか?解除条件」

現在暫定的にリーダーとなっている私―シロが二人に語りかける。

ここはおそらくプログラムの世界の建物の中の一角にある部屋。

私達はそこでゲームで勝ち抜くための『一時的な』協力関係を結ぶための会議をしていた。

50 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 14:46:05 ID:8maWzei9u1
私と二人が出会ったのは私が起きてからすぐのことだった。ルールと自分の解除条件を把握して、馬を一発ぱいーんしようと思いつつ、廊下を歩き始めたところ、すでに合流していたらしい二人と出会った。

軽い情報交換……といっても半分くらいは急にこんな場所に飛ばした馬への愚痴だったけど……まぁ情報交換をした私達はそれぞれ誰がどのルールを持っていることだけは教えあった。

私はルール7とルール10を、めめめはルール4とルール5を、ふたふたはルール6とルール8を持っていると分かり奇跡的に被りがないと判明した私達は即座に交換を選択、今に至る。



「解除条件……めめめは別に教えて良いけれど……」

「ふーたんも大丈夫だけど……」

「シロも大丈夫だけど……待った。この協力関係はとりあえず一時的っていう話だよね?なら今すぐに解除条件の教え合いはしないほうが良いよ」

私の発言に二人は目を丸くする。どういう風に状況が動くか分からないからとりあえず3階ぐらいまでの協力関係にしようという話は最初の情報交換の時点で決めていたけれど、解除条件を教えないという発想はなかったみたい。
うーんどうやって説明しようかな。

51 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 14:54:23 ID:8maWzei9u1
「ルールの交換は基本的に自分に対してデメリットはないけど解除条件の交換は明確なデメリットがあるって分かる?」

「うん。殺す系の解除条件だったら人から避けられちゃうよね。あとQはAにばれたら不味いし」

ふたふたが考えついたデメリットを上げるている。だが、甘い。協力してなるべくちえりーらんどの犠牲者を少なくしてクリアするのが頭の中で前提となっているからそれしか思いつかないんだろう。

「もっと色々あるよ?例えば2の解除条件はジョーカーの破壊だけど、別の人が先にジョーカーを入手して破壊したらどうなる?」

「え!そんなことしたら2は絶対達成出来なくなっちゃうよ!他の人はジョーカーを壊しても利点が……」

めめめが驚きの声を上げる。なんでそんなことをするんだ。そんなことをしても意味がないと思って……気づいたようだ。

「あ!貰える賞金が増える!」

「更に言うと、他の人を排除するっていうことは自然と自分が敗北する可能性が減るんだよね。どんなPDAも妨害をすることが出来るし、成功すればするほどどんどん賞金が増えていく。だから元々賞金狙いの参加者は出来る限りPDAの妨害をした方が良いに決まっているんだよね」

52 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 15:03:19 ID:8maWzei9u1
そう、誰も危害を加えない自分一人で完結するような解除条件は自分を殺すような解除条件にのみ気をつけなければいけないかと言ったらそうではない。賞金のために妨害してくるであろう存在にと気をつけなければいけないのだ。

「9もいるし、そもそも出来ることなら情報を流さないほうが良いっていうのは分かった?二人とも」

めめめとふたふたはコクコクと首を振る。
ちなみに二人には言わなかったがもう一つどんな人の解除条件だろうと重要な理由がある。それはある程度解除条件を集めれば残りの人物の解除条件も当たりを付けられるということだ。
このゲームにおいて他人の解除条件の情報は下手をすれば自分の命と同等の価値を持つ。

「だからシロ達は解除条件を今は渡さない方が良いってこと。わかった?」

「……シロちゃんはめめめ達のことを信用していないの?」

めめめが何とも言えない顔で見つめてくる。

「めめめもふたふたも信用しているよ?でも信用しているからこその情報の不開示っていうのがあるんだよ」

53 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 15:16:19 ID:8maWzei9u1
「え?どういうこと?」
めめめが明らかにピンと来ていない顔で見る。ふたふたも同じだ。

ぶっちゃけ今の発言は結構適当に言っちゃったから根拠はない。安心させるための半分出任せだ。
私の本当の思考を正しく言うならば『情報の不開示によって信用できる』と言ったところだ。
うーんどうやって説明しようかな……諦めて誤魔化そう!

「このゲームで裏切りが発生するのってどうしてだと思うふたふた?」

誤魔化すためにふたふたに質問を投げかける。今からする話は『情報の不開示によって信用できる』ことの理由だ。

「うーんと、相手が自分にとって必要なくなったから?」

「そう!相手が死ぬことのリターンがリスクを上回るから起こるんだよね。例えば……相手が持っている情報を全て入手したとかね。つまり、自分の解除条件をみんなに伝えてしまうことは自分の価値を下げる行為なんだよ」

めめめとふたふたがなるほど……といった顔をしている内に一気に畳かける!

「逆に言えばさ、全員解除条件を言わずに目的地まで行ったら解除条件を教えるって条件にしておけば『そこに辿り着くまでは』裏切りが発生しないとは思わない?」


私の説得に納得したのか二人は解除条件を言うのはやめて少しここで休憩してから出発することになった。


私の解除条件を言わないという作戦が吉と出るか凶と出るかはまだ分からない。

next……Side:カルロピノ

54 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 15:18:10 ID:8maWzei9u1
ここで残念なお知らせです。
少し予定時刻を遅らせます。理由は書き溜めの中にとんでもないミスを見つけたこととふーたんの生放送です。

16:00 カルロピノ視点
16:30 木曽あずき視点

とさせてください

55 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 15:21:15 ID:8maWzei9u1
>>48
牛巻がジャックっていうのは分かります。なんとなく従者っぽい性格なのと(実際電脳バイトのどれ……げふんげふん)協調性の高い性格なのがそれっぽいですよね。
……勿論ジョーカーで本当は別のカードの可能性はありますが

56 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 16:02:33 ID:8maWzei9u1
速報。作者もちにゃんにやらせた茶番の台詞を間違えてた。正しくは「酷いわあなた!私はキープだったのね!」だった模様

Side:カルロピノ 一人称視点 一階【00:05:08】

「やっと見つけましたわ!待ってくださいごんごんお姉ちゃん!」

やっと人影を見つけた私はこのタイミングを逃さないように駆け出した。
PDAに表示されている時間が正しければ現在ゲーム開始からすでに5時間が経過済み。それにも関わらず私は今まで誰一人として出会っていない。運が悪すぎますわ。
二階に一度上がって下りてきて、それでやっと見つけた相手。ここを逃す手はありません!


「あ!ピノちゃん!おはよー!」

「ごんごんお姉ちゃん。ルール交換してください!」

ルールをランダムで貰うというルールは明らかに情報交換を前提としています。PDAを奪うという手もありますが、どちらにせよ他人との接触は必須!それなのに運が悪すぎます!

「良いよー……けれどピノちゃん何持ってるの?」

ここで私が持っているルールをごんごんお姉ちゃんが両方既に持ってしまっていた場合、交渉はおそらくダメ。そこまで私の運は悪くないと信じたいですけれど……

57 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 16:04:41 ID:8maWzei9u1
「わたくしが持っているのは、ルール7とルール9ですわ」

これで被っていた場合は奥の手を切らなきゃいけない。出来れば切りたくないのですけれど……

「えっと私はルール4とルール9かな!」

一被り!まあ仕方ありませんね……わたくしは数学が嫌いですけれどたぶん半分位の確率で被りが発生するはず。
わたくしはごんごんお姉ちゃんとルール交換しました。ルール交換後、ごんごんお姉ちゃんが更に私に交渉をしてくる。

「そういえばピノちゃん。いろはね。あずきちゃんと出会ってね。ルール10を交換してもらったんだー!ピノちゃんの解除条件を教えてくれたら教えてあげるよ!」

くっ、後から追加で情報を出してくるなんて……ごんごんお姉ちゃんなのにやりますわね……

仕方ありません。解除条件を出しましょう。奥の手はまだ切りたくありませんから。わたくしはPDAを操作してごんごんお姉ちゃんの方に差し出した。


「わたくしの解除条件は10。首輪の作動を5個しなければいけませんの」


https://vt-bbs.com/upl/1543043081-1.jpg


58 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 16:06:03 ID:8maWzei9u1
「じゃあねーピノちゃんー!」

ごんごんお姉ちゃんが走り去っていく。わたくしはそれを見つめながらごんごんお姉ちゃんから貰ったルールを精査する。
まあわたくしの解除条件は余り流出しても痛くないので大丈夫でしょう。わたくしは攻撃側に回るつもりですし。

わたくしは二階に居たときに見つけた戦利品を眺める。
手に持っているのはスタンガンと二つのPDAの機能拡張ソフトウェア。


これを使ってわたくしは勝ち抜きますわ。


next……Side:木曽あずき

59 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 16:35:47 ID:8maWzei9u1
Side:木曽あずき 三人称視点 二階【00:04:42】


木曽あずきは大広間のような場所で自分のPDAを眺めていた。先ほど金剛いろはから教えて貰ったルールと他のルールを精査しているようだ。

かなり集中していたせいか彼女は後ろから来る少女に気がつかなかったようだ。

チャキ

「!?」

「あずきちゃん。殺されたくなかったら持っているPDAを床下に置いて、持っている情報を話して」

後ろから抱きつくような形でナイフを首元に突き立てて脅しているのは夜桜たまである。
今の状況を一瞬で分析し、明らかに形勢不利と判断したあずきはPDAを床に落とすふりをして……

銃口をたまに突きつけた。

「!?」

「夜桜さんが1mmでもあずきの皮膚に刃が触れた瞬間、死ぬのは夜桜さんの方ですよ……?」

たまの表情が驚きに染まる。体に少しだけ触れている感触は明らかに銃口の形である。明らかに形勢が悪くなったと判断したたまはナイフを突き立てるのはやめて、あずきから離れた。

60 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 16:40:49 ID:8maWzei9u1
「ベタオリするからナイフ離すから撃つのはやめて?」

あずきが持つ銃が自分の方を向いているのを確認したたまは更にあずきから距離をとるとナイフを床に落として両手を上げた。

それを確認したあずきは……

「ふぅ。やっと落ち着いて話せますね」
と呟くと自分のPDAを操作して、そこに書かれた内容を読み上げる。

「ルール9。開始から6時間以内は全域を戦闘禁止エリアとする。違反した場合、首輪が作動する。正当防衛は除外。……もしあなたがナイフを突きつけていたら、本当にあなたは死んでいたんですよ?」

ルール9を読み上げた後、たまが見えるように近づいてPDAの画面に書かれたルール9を見せた。

たまはあずきの発言に驚き、ちゃんと考えるそぶりをみせた後に、あずきの言うことを信用したのか

「はー危なかったんだ。ありがとうあずきちゃん」

と言って手を上げるのをやめた。あずきもまたルール通りなら銃を撃てないはずだからだ。とはいえ今更敵対する理由がないたまはあずきの次の言葉を待った。


たまが完全にあずきの話を聞いてくれる姿勢になったのを確認したあずきの次の発言はたまを困惑させることになった。

木曽あずきは自分のPDAを操作しながら

「夜桜さん。あずきと手を組みませんか?」と言ったのだ。

61 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 16:47:30 ID:8maWzei9u1
「え?うそでしょ?」当然驚いたたまはあずきに疑問を投げかける。さっき殺そうとした相手と手を組むなんて……と思っているような感じだ。

「たまさんの解除条件は人を殺すことで利益に繋がる解除条件なのは分かっています。ですが、だからと言って協力できないとは限りません。一旦あずきと協力関係を結びましょう。あずきにも協力関係を結ぶ利点はありますし」あずきはその思考を知ってか知らずか続ける。

「え?でもいつ私があずきちゃんを殺すか分からないよ?」まだたまは疑っている様子だ。

「あくまで一時的な協力関係ですし、あずきは銃を持っていますから殺されそうだと思ったらいつでも迎え撃てます。第一……先ほどまでルールを知らなくて死にそうだったのにここであずきと手を結ばないでどうするんですか?今ならあずきが持っているルール教えますよ?」

たまは図星だったのか狼狽えて……協力関係を結ぶことに決めた。


「分かった。あずきちゃんと手を結ぶよ。じゃあまずはルール交換しよっか。私はルール6とルール7」

「私はルール9とルール10。それに金剛さんから貰ったルール4ですね。それとたまさん。あなたがどんな解除条件だったとしても一つ頼みたいことがあります」

あずきは銃をポケットにしまってたまと近づいた。そしてPDAを操作してたまに見せる

「あずきのカードは4。殺した相手の首輪はください。これがたまさんと協力関係を結ぶ利点です」


https://vt-bbs.com/upl/1543045650-1.jpg


62 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 16:59:19 ID:8maWzei9u1
「なるほど確かにこれなら他人を殺そうとしている人と組む利点はある解除条件だね。そういえば私の解除条件は言わなくて良いの?」

「大丈夫です。どうせ途中で協力関係は終わりますし、自分を解除条件を言わなくて済む方が安心できるでしょうし、あずきは解除条件を言われないための口封じで殺されるのが嫌ですから」

あずきが肩をすくめて言った。ちょっと冗談めかした言い方であった。


「……そういえばよくあの状況で私に銃口突きつけられたね。触ってない私と違って触ってたけれどルール9に抵触するとは思わなかったの?」

たまはふと思い出して言った。きっとあずきには何らかの理由があってやったのだろうと思っているようだ。
だが、あずきに視線を向けたたまは驚いた。


「イ、いやべつにそのことに気がつかなかったとかそんなことあるわけないじゃないですか」

明らかに動揺していた。そんな彼女を見たたまはクスクスと笑うと再び協力のための作戦会議の方に思考を戻した。


彼女は気づかなかった。あずきが持っている銃は『本物ではなく只のモデルガン』だということに。

このことを知らなかったことが彼女の思考を狂わせることを、夜桜たまもそして木曽あずきですらもこのときは気づいていなかった。


1章裏【信じるための開示、信じるための不開示】終

63 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 17:09:25 ID:8maWzei9u1
ばあちゃる「はーいはいはい世界初男性バーチャルyoutuberのばあちゃるです!視聴者の皆さん楽しんでいますかー?今回はアイドル部とシロちゃんによるデスゲーム風レクリエーションをお送りさせて頂いておりますが。なんとなんとですよー誰が生存するかを予測する賭け事的なことをねー今回やってしまおうということでですね。やることにしました。」

「皆さんはですね。架空のお金での賭け事になっちゃうんですがねーぜひBET【生存しそうな人物の名前】って感じでコメントしてもらえばオッズ表を出させて頂きたいと思いますよ。勿論ゲームに関する質問や感想、考察とかはどんどん出して貰えるとメチャクチャ嬉しいんでね。よろしくお願いいたしますねー」

64 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 17:13:52 ID:7OOSvA2NSa
ごんごんがなんというか怪しく見えるな

65 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 17:15:20 ID:8maWzei9u1
生存者残り13人

【猫乃木、神楽、牛巻、花京院】抜けルールなし
【八重沢、ヤマト】抜けルールなし
【シロ、北上、もこ田】ルール9抜け
【カルロピノ】ルール5・6・8抜け
【金剛いろは】ルール5・6・8抜け
【木曽、夜桜】ルール5・8抜け

A【ヤマトイオリ】…QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。

2【八重沢なとり】…JOKERのPDAの破壊。このPDAのみ半径1m以内でJOKERの偽装機能は無効、初期化される。

3【???】…3名以上の殺害。ただし首輪の作動は含まない。

4【木曽あずき】…自分以外の首輪を3つ取得する。首を切り取っても、解除条件を満たし外すのを待つのも良い。

5【???】…館全域の24個のチェックポイントを全て通過する。特殊効果として地図上にポイントの表示がされる。

6【???】…JOKERの偽装機能を5回以上使用。自分で使う必要も、近くで行う必要も無い。

7【花京院ちえり】…開始から6時間目以降に全員と遭遇。死亡している場合は免除。

8【神楽すず】…自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する。

9【???】…自分以外の全参加者の死亡。手段は問わない。

10【カルロピノ】…首輪が5個作動すること。ただし2日と23時間より前に行うこと。

J【牛巻りこ】…開始から24時間以上行動を共にした人間が2日と23時間時点で生存していること。

Q【猫乃木もち】…2日と23時間の生存。

K【???】…PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

JOKERの持ち主【???】

カード不明……シロ、北上、もこ田、夜桜、金剛

66 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 17:20:40 ID:nYDc55FJ9/
BET【牛巻りこ】
不憫枠だからこそ頑張って欲しい

67 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 17:22:14 ID:8maWzei9u1
というわけで
BET【もこ田めめめ】
未だにカードが何か分かっていないし、生存本能つよつよマトンだから

みたいな感じでBETしてくださいませ。少なくとも全員死亡、勝者なし!というパターンは無いのでご安心を

ちなみに少し訂正をします

・一文書き忘れたせいで分かりにくくなっていますがちゃんとピノ様はごんごんから追加でルールを貰っています

・あずきちが持っているのはモデルガンじゃなくてエアガンです

68 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 17:43:45 ID:pUURdmY/CQ
拡張機能が気になるところ、今後の展開楽しみだぁ

BET【木曽あずき】
倫理感にさえ目をつむれば、そこまで難易度高くなさそうな……?どうなんやろ分からんわ

69 名前:1[age] 投稿日:2018/11/24 18:06:34 ID:8maWzei9u1
>>68
原作では実際に首を切り取るんですが流石にどうかと思ったんで>>33のルール1と2の通り死亡したら等身大のマネキンアバターに変化するって設定にしてます

というわけで倫理的な面はあまり問題無いです。ただ、人間の脊椎を切るのとマネキンの首を壊すのは……どっちの方が難しいんでしょうかね?

攻撃側に回る……つまり殺す側に回る宣言をしたピノ様はどんな拡張ソフトウェアを使って殺しにかかるのか注目しててくださいませ。

70 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/24 23:14:21 ID:gXKfB8bWxv
BET【金剛いろは】
なんかつよそう(小並感)
今のところ一番情報が少ないけど急いでそうな感じからチェックポイント行きたい5番かJOKER探したい6番に思えたけどルール56知らないこと考えると違いそう(ごんごんだからそこまで考えてないのかも)

71 名前:1[age] 投稿日:2018/11/27 00:20:57 ID:qxxAxh.eLL
Side:ばあちゃる 3人称視点

「いやー中々凄いっすねこれ。映画化できるんじゃないっすかー?」

馬の覆面を被った男が大量のモニターの前で呟いた。モニターに映るのは彼がプロデュースするアイドル部と電脳少女シロが参加している『シークレットゲーム』のリアルタイム中継。
どこを向いているかも分からない彼にスタッフらしき人物がカンペのようなものを見せる。

「えーと何々?あーなるほど分かりました。はーいどうもー世界初!?男性バーチャルyoutuberのばあちゃるです!はいはいはいはい。えー皆さん楽しんでいると思うんですけどね。もうすぐ第一回BETタイムが終わっちゃうのでね。ここでBETの手助けになるヒントを教えてあげようということでね。現在もうすぐ6時間経過なんですがー実はもうジョーカーは誰かの手に渡っているんですよねーつまりですよーその人がジョーカーを手に入れたタイミング次第ですが、提示された解除条件がなんとなんとですよ!ジョーカーの偽装である可能性がある訳なんですよ。え?もう時間ですか?では再びゲームにカメラを戻しますんで皆さんお早めにBETしてくださいねー」

配信する内容が終わったのか、馬の覆面をつけた男が椅子に座る。

「はーついに6時間経過ですかーちょっと一触即発みたいなところもありましたけどやっと戦闘解放ですねー」

彼はある一つのモニターを見ながら呟いた。そのモニターには他のモニターのように建物の中を映しているのではなく文字と数字だけが書かれている。
そこには現在の生存人数などが表示されているがその中でも一際目立つ中央の表示が少し変化しようとしていた

現在ノ経過ジカン【00:05:59】戦闘不可

現在ノ経過ジカン【00:06:00】戦闘可能




ついにデスゲームが始まる。



第二章【ふりだしにもどれ】

72 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/27 08:39:46 ID:Lhn7cYJjd2
あーやっぱもうもってるのか
すずすずの殲滅すればいいんですよに期待(違)
そういえば1って>>2のmadの作者?
ここで知ったけどけっこう好きだった

73 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/27 08:54:44 ID:p4EDOlgugp
BET【ヤマトイオリ】
解除条件と性格からして全然生き残れそうにないので逆に大穴狙いで

74 名前:1[age] 投稿日:2018/11/27 16:46:36 ID:bS1LAMX6ex
>>72
そうです!ご視聴いただきありがとうごさいます!
今リアルがバタバタしててこうやって妄想書き綴ることしかできなくて動画は作れないんですけど来年3月くらいには何らかの動画投稿したいなあって感じです
もしかしたらこのシークレットゲームを動画化するかも……?

75 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/27 23:23:00 ID:5gJvAqxJn4
今日はちえりちゃんサイドのみの更新です


Side:花京院ちえり 一人称視点 一階【00:07:31】



   |
   |
   |
   |__
   |―へ \
   ||    \\
   | ̄|    \\
   | ̄ ̄|    \\
   | ̄ ̄ ̄|    \\
   | ̄ ̄ ̄ ̄|   \\
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   \\
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   \\
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   | |__________________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_」_」:.工工工工工工工工工工工工工工工工工工
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



ちえりだよ(四人一組)


ちえり達は今、階段の近くで作戦会議をしている。

「思ったより階段に来るまで時間が経っちゃったせいで6時間過ぎちゃいましたよね。そのせいで私達今めちゃくちゃ困ってますね」とすずちゃんが言う。

「6時間より前に来れれば何も考えずに上がれたんだけどねー」ともちちゃんもそれに続く。

「牛巻は様子見に一票かな。怖いよー待ち伏せ」


現在ちえり達が階段の近くに居て上に上がっていないのは単純明快、階段の途中で待ち伏せされているパターンが怖いからだ。
そもそも階段に着くのがこんなに遅くなったのは行きながら武器や防具になりそうなものを探していたからだ。しかし、見つかったのは紙とペンと硬式球とタライだけだ。こんな武器もない状態でデスゲームなんて出来るか!クソゲーだ!って最初は思ったんだけど……あまりにおかしいということで歩きつつ議論を重ねた。
議論の末にちえり達はこのことと上に行かなければいけないというルール。それとこんなに広いエリアなのに階段が3つしかないということからこう結論付けた。

上の階に行けば行くほど強い武器が手に入る。

76 名前:1[age] 投稿日:2018/11/27 23:23:51 ID:5gJvAqxJn4
「階段上がってみたらマシンガンで蜂の巣とか嫌だなー」

ちえりは3人に同調するように呟いた。

「でもですよ?階段が3つあってエレベーターが1つあるならこの階段に人が集まる確率は少ないんじゃないですか?初期地点バラけて配置すると思いますし」すずちゃんが何やら紙にメモを取りながら話す。

「かぐらんさ。イオリンとこめっちのこと忘れていない?」

「あっ!」

すずちゃんの意見は確かに良かったけどりこぴんにダメ出しされる。
しかし、すずちゃんは反論を思いついたようだ。

「いやでもイオリさんはジョーカーを探しに行ったはずです。なとりさんもそれに同行しているならすぐに見つけていない限りもう階段を上がっているってことはあるんでしょうか?」

んー的を得ている気がする。そう思ったちえりだけど次のすずちゃんの一言で前言撤回しそうになった。

「だから特攻しましょう特攻!」

ちえりは即座に突っ込もうと思ったけど、よく周りを見渡すと何か普通にすずちゃんに賛同しているようだ。あれ?普通なのはちえりだけ?

「まー結局のところ上には行かなきゃいけないんだし、そうするしかないよねー」

「うんうん。そうだね」

金髪コンビはそう言いながら頭をコクコクと動かしながらすずちゃんの意見に賛成する意思を示した。そしてちえりの方を見つめてきた。

……ん?ちえり?

「じゃあよろしくねちぇりたん!」
「頼んだよ!ちぇりー!」

……えっ?

……えっ?

77 名前:1[age] 投稿日:2018/11/27 23:25:40 ID:5gJvAqxJn4
スマホ勢はAAずれてると思うけど許して



私は今タライを盾のように構えて階段の前で一人立っている。


三人曰く、この中で一番リスクとリターンが釣り合っているのは全員と会わなければならないちえりだ。ということらしい。

確かにそうなるけど!確かにそうなるけど!

どうせ自分が行かなくても良い理由を探したかっただけだよ!

とか心の中で毒づきながら一歩ずつ歩みを進める。

関係ないけどタライを両手に構えてゆっくりと歩く女子高生ってとてつもなく変じゃない……?

……ちえりはかわいいから何でも似合う。大丈夫!

「あれ?」

とか考えている内にいつのまにか二階に辿り着いていたようだ。明らかにここにはちえりしかいない。

結局のところ取越苦労でした。

ちえりの苦労はいったい……私は今タライを盾のように構えて階段の前で一人立っている。

三人曰く、この中で一番リスクとリターンが釣り合っているのは全員と会わなければならないちえりだ。ということらしい。

確かにそうなるけど!確かにそうなるけど!

どうせ自分が行かなくても良い理由を探したかっただけだよ!

とか心の中で毒づきながら一歩ずつ歩みを進める。


関係ないけどタライを両手に構えてゆっくりと歩く女子高生ってとてつもなく変じゃない……?


……ちえりはかわいいから何でも似合う。大丈夫!


「あれ?」

とか考えている内にいつのまにか二階に辿り着いていたようだ。明らかにここにはちえりしかいない。

結局のところ取越苦労でした。


ちえりの苦労はいったい……

78 名前:1[age] 投稿日:2018/11/27 23:34:47 ID:5gJvAqxJn4
「もー酷いよ。皆ー!結構怖かったんだからね!」

ちえりは愚痴を吐いた。三人とも少し罪悪感があるのかちゃんと話を聞いてくれている。
よし、もうちょっと愚痴ろう。
そう思って紡ごうとした次の言葉ははすずちゃんの一言によって止められてしまった。

「あ!部屋発見です!」



入った部屋は倉庫のような場所。このタイプの部屋は始めてだ。
りこぴんが早速積まれているダンボールに手を出す。

「あっ!こっちには水!こっちには携帯食料みたいなのが入っている!」

「え!まじ!?やったー!ごはんだー!」

ちえり達、実はこの6時間水は飲んでいても食料は食べていなかった。水は水道みたいなところがあったから何とかなったけど食料は全くなし。当然全員大喜びした。

「やったー!ちえりおみずのむー!」

ちえりも勿論喜んだ。ちえりも戦利品を手に入れようとちょっとりこぴんから離れたところにあるダンボール箱に駆け出そうとして

転んだ。


「いたっ!」

「大丈夫ですかちえりさん!?」

「だ、大丈夫……転んだだけだから……」

ピピピピピピピピピ

一先ず起き上がり、……突如自分の前方から聞こえ始めた謎の機械音の存在に気がついてちえりはつい顔をしかめてしまった。うるさい……

この音ちえりが転んだときから聞こえてきた気がするけどいったい何だろう?
音の鳴るところを確認するとそこには2つのUSBメモリ?のような物が。

「なんだろこれここから音が鳴っているみたいだけど……PDAの機能拡張ソフトウェア?」

その二つの表にはPDAの機能拡張ソフトウェアと書かれており、裏にはそれぞれ
『ルールブック』『地図拡張機能』と書かれていた。

79 名前:1[age] 投稿日:2018/11/27 23:38:19 ID:5gJvAqxJn4
「とりあえず差してみたら?ちぇりー。運営側の仕込みなら悪いようにはならないでしょ」

これの取り扱いについてあーだこーだ5分くらい話していたちえり達だったが、りこぴんの鶴の一声でちえりのPDAに差してみることが決まった。

「よし、じゃあ『地図拡張機能』を入れるよ?」

ピコン

私がPDAにソフトウェアを差し込んだ瞬間、PDAの画面が変化した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  このソフトウェアはPDA拡張ツール【地図拡張機能】です。
    PDAの地図上に部屋の名前とアイテムの表示機能を追加します


             ※ 注 意 事 項 ※
   @インストールする事によりバッテリー消費量が増加します
   A強力なソフトウェアほどバッテリー消費が激しくなります
   B一つのソフトでインストール出来るPDAは1台までです
   Cインストール中は絶対にコネクタを外さないでください


            インストールしますか?
              (消耗度:微量)

            はい       いいえ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


え?何これ!凄い機能じゃん!ちえりは何も考えずにすぐさまはいを押した。

80 名前:1[age] 投稿日:2018/11/27 23:42:23 ID:5gJvAqxJn4
え?何これ!凄い機能じゃん!ちえりは何も考えずにはいを押した。

「ちぇりたん何も聞かずにやっちゃったねー」

「え?ちえり何か不味いことした?」

「よくさっきの読んだ?入れるとバッテリー消費するみたいだよ?まあ微量みたいだから大丈夫だと思うけど」

「あっ……」

もちちゃんの指摘で始めて気づく、まだ全然バッテリー残っているから気にしなかったけど、このゲームにおいてPDAのバッテリーが切れるということはすなわち死を意味する。首輪が外せなくなっちゃうからだ。
軽はずみにはいって押しちゃいけなかったな……反省。

「まあまあもっちー。たぶん結局入れることになってただろうし、何より凄い便利だよ!見てみてちえりちゃんのPDA」とりこぴんがちえりのことを擁護してくれた。優しい……

私もりこぴんと同じように自分のPDAに視線を向ける。現在開いているのはマップ画面。そこには今までにない表示がなされていた。それぞれの部屋に倉庫、会議室、戦闘禁止エリアなど書かれており、武器や食料、機能拡張ソフトウェアなどのアイテムがあると思われる場所には更にマークがついている。
現在位置表示機能はないからあくまで推定になるけどちえり達がいるこの部屋もアイテムマークは書かれている。

えっこれバッテリー消費微量でいいの?

81 名前:1[age] 投稿日:2018/11/27 23:47:40 ID:5gJvAqxJn4
『地図拡張機能』があまりにすごい機能だったから他の人のPDAに入るか試してみたけどどうやら一つのソフトウェアは一度しか入れられないようだ。

まあそもそもインストールするときの注意画面に書いてあったんだけどね。まあ一応ってことで。


それともう1つあった『ルールブック』の拡張機能についてだけど『ルールブック』の効果は

ルール3〜9が全て表示される。だった。

全部のルールを知っているちえり達には意味は無かったので『ルールブック』は誰かとの交渉用にして、ちえり達は使わないことにした。


食料も水もある部屋でちえり達はしばらく休憩することにした。


あまりに満たされた状態。ちえり達はここがデスゲームの場であることを忘れそうになった。

だけど、そのことをある人物との出会いによって思い出すこととなった。


next……Side:金剛いろは

82 名前:1[age] 投稿日:2018/11/28 00:30:45 ID:5gJvAqxJn4
今日はちえりちゃんだけと言ったなあれは本当だ。
だが、もう明日となったのだ!というわけで貼ります
短いです


Side:金剛いろは 三人称視点 二階【00:09:03】


金剛いろはは長い廊下を歩いていた。
小声で何やら歌っており何ともご機嫌そうだ。

「デデッデデッデデッデッデッデン!」

その視線の先にはPDAがあり、どうやら何かを確認しているらしい。

「うーん。どうしよっかなー?」

いろはは急に何かに悩みだした。だが、考えながらも歩みは止めていない。そのため彼女はすぐに気づかなかったようだ。

ガタガタガタガタガタ

「えっ!?何!?」


突然自分の前方のシャッターが閉まり始めたことに。

「え?まじ!?」


それを見たいろはは閉まり始めたシャッターの先も確認せずに走り出す。
もし、シャッターが閉まり始めたことに気づいたら、もしくはちゃんと注意深く確認していれば気づいたことだろう。

そのシャッターの先もシャッターが降りてきていることに。


「あ!奥にもシャッター!?やばい!」

それに気づいたときにはすでに遅く、途中からシャッターのスピードが早くなり出したのもあり、いろはは二つのシャッターの間に閉じこめられてしまった。

83 名前:1[age] 投稿日:2018/11/28 00:33:22 ID:5gJvAqxJn4
いろはは閉じ込められてすぐ天井にある監視カメラを見ながらシャッターを叩いた。

「これずっとこのままかな!?このままじゃ特に誰とも食料の奪い合いとかしないまま餓死で敗退になっちゃうんですけどー!」

いろはは恐らく……ゲームの運営側に語りかけているようだ。だが、当然誰からも返答はない。


数分経ち、いろはがシャッターを叩き始めたそのとき、天井が開いて縄ばしごが降りてきた。

「わかっちゃったぁ……元からはしごが降りてくるとこまで含めた仕掛けでしょこれ……つまり何人かいるチームの分断用だ!」

いろはは珍しく明察な答えを導きだした。この建物にはゲームをおもしろくさせるために仕掛けがいくつもあり、これめその一つなのだ。

いろはは早速縄ばしごに登り始める。しかし、服装も相まってか登るのに時間がかかっているようだ。

「上に行きたくないのに行かなきゃいけないし、行くのにも時間がかかってる……しかもたぶんこれ以外にも色んな仕掛けがあるでしょ!嫌だもうー!帰りたいー!」


やがて誰もいない三階に声が響く。
皆が上がりたいと思っている三階に一番乗りしたのは上がりたくない彼女であったようだ。


next……side:あずたまチーム

84 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/28 07:18:48 ID:6Kh01AJMbY
支援

85 名前:1[age] 投稿日:2018/11/28 19:14:27 ID:mbvkYkO9V1
人によってキャラへの印象は違うと思いますし、彼女達も電脳存在とはいえ人間ですからその日その日によって性格も変わると思うので、
このSSにおける彼女達のキャラ付けのイメージをお伝え致します。

シロ『殺し側の視点を持つ歴戦の戦士』
双葉『ゆるふわナイフ(日常と戦闘の性格の差的な意味で)』
めめめ『生存本能つよつよマトン』

牛巻『明るく不憫な常識人』
ちえり『トラブルに弱いけど戦闘力ドバドバお嬢』
もち『頭脳明晰ハイテンション清楚ギャル(分からなくても答えがやってくる)』
すず『理性的なバーサーカーその1(理性寄り)』

たま『理性的なバーサーカーその2(脳筋寄り)』
あずきち『狂人RPをしているドジな自由人』

なとり『洞察力は高いけどときどきふにゃる』
イオリ『ちょっと負けず嫌いな頭お花畑』

ごんごん『知識はあるけどIQ足りない系お気楽脳筋プレイ』

ピノ『思い切りが良い策略家』


性格が本人とちょっと違く無い?って思うのもあると思いますがたぶんそれは一部の動画での性格のみを反映させてる故だと思います。
なんでそんなことしているかっていうと……展開の都合ですかね

86 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/11/30 14:52:32 ID:1y8/r3yD.m
ちえりちゃんの全員との遭遇ってのはどれぐらい近づけば遭遇判定なんだろう?
ジョーカーもだけど始まってから気がつくまでにPDAすり替え起こってたらとかも怖い

87 名前:1[age] 投稿日:2018/12/02 23:52:12 ID:Is/sZb1c4d
更新再開です


Side:木曽あずき 一人称視点 二階【00:09:20】



「はい、たまさん。もしきこえているようでしたら緑オリオンをどうぞ」

「え?ザリガニオリオン?じゃなくて!そもそも見える位置にいないんだから身振り手振りはいらないでしょ!?」

ノリ良いな……
あずきは今、かなり長い廊下に立っている。たまさんと会話してはいるものの本人の姿は全く見えてない。何と命の危機の末バディを組んだたまさんと別れてしまったのだ。

え?それなのに何で話せているんだって?それは


「これってどれくらい離れているの?」とPDAからたまさんの声。

「2km位ですかね?そんなに離れてはいませんよ」

あずきは自分のPDAに向かって話しかけた。

今、あずき達はさきほど手に入れたPDAの機能拡張ソフトウェア『トランシーバー』の動作確認をしている。
このソフトウェアは二人一組のソフトでPDAを電話のように使用することが出来る。
便利な分バッテリーの消費もまあまあ。致し方ないとは思いますが。


「やっぱりこのソフトウェアはどこでも使える神アプリなんでしょうね」

「最初の説明文にも書いてあったとおりだね」


さて動作確認も終わったところだし、合流しますか。

「じゃあ今からそっちに向かいますね」

「オッケー」たまさんの返事を聞いたので自分の足を踏み出した。そのとき

88 名前:1[age] 投稿日:2018/12/02 23:52:39 ID:Is/sZb1c4d
「……ん?」

「え?なになに?何かあったの?」
たまさんが少し慌てた様子で話しかけてくる。

「たまさん。話し声が聞こえてきました。数はおそらく3人以上。どうしましょうか?」

まだ距離はある。今なら通話をしていてもトランシーバー持ちであることはバレないはず。あずきはそう考えながら、たまさんに尋ねた。
まぁ……返事は予想がつきますが。

「じゃ例のアレを試そうよ。オーケー?あずきちゃん」

やっぱり予想通り。正直もっと色々準備をしたりしたかったけれど、まあぶっつけ本番でいきましょうか

「分かりました。では」

ピッ

あずきは一度トランシーバーを切ると、自分の今の見た目を確認してから話し声が聞こえてくる方へと歩きだした。

89 名前:1[age] 投稿日:2018/12/02 23:54:19 ID:Is/sZb1c4d
「あ!誰かと思ったらあずきちゃんじゃん!」

花京院ちえりさんが話しかけてきた。あずきが出会ったのは牛巻りこ・花京院ちえり・神楽すず・猫乃木もちの四人チームだった。
……ちょっと多いですね。リスクが少ないデスゲームなら少数で動く人が多いと踏んでいたんですが。
まあ流石に全員突然現れた人物にくらいは警戒心は持っているみたいですけど。

「あ、こんなところで偶然ですね」

「あずきちは一人なの?」

「いや夜桜さんも一緒だったんですけど一旦別行動中ですね」

少しずつ歩みをしていくと花京院さんが何やらPDAを確認しはじめた。
さらに近づいていくとちょっと笑みを浮かべたあとあずきを確認……いや、違うな。あずきと自分の距離の距離を確認しはじめた。

おそらく……全員と遭遇の解除条件。

ちょっと揺さぶりをかけてみますか。


「中々近づいてきてくれないですね?やっぱりあずきのことを警戒していますか?大体3〜5mくらいまで近づいてきているのに。そこから中々近づいて来てくれませんね」

90 名前:1[age] 投稿日:2018/12/02 23:54:50 ID:Is/sZb1c4d
「!!」


ビンゴ。他3人が警戒ってところで動揺したのに対して花京院ちえりさんだけは3〜5mってところに反応した。これは確定。


「いやそんなことないですよ!あずきさん。ただ……」と神楽さんが大きくこっちに近づいてきた。ただ……のあとは解除条件が何か分からないから怖いってところでしょうか。


「分かりました。解除条件を見せれば信じてくれますか?あずきの解除条件は『自分以外の首輪を3つ取得する』です。皆さんと一緒に行動させて貰えれば、皆さんが解除に成功したら簡単に解除できるので同行させてもらっても良いですか?」

あずきは解除条件を表示したPDAを4人に見せた。


「オッケー一緒に行こうあずきち!ついでに会長のところにも案内してね」

もちさんの一言であずきは4人の中に受け入れてもらえることになった

91 名前:1[age] 投稿日:2018/12/02 23:59:16 ID:Is/sZb1c4d
同行して10分。たまさんのいるところの近くまでやってきた。相手もまだ警戒しているのかルール交換や解除条件の提示の申し出は無い。欲しいと言って揺さぶっても良いけれど……このあとの展開に差しつかえがあったらマズイのでやめておこう。


「おーい!みんなー!りこぴんー!」

「あ!さくたまちゃん!」

廊下の先からたまさんが手を振ってやってきました。準備完了ってところでしょうか。
あずきは密かに4人よりも一歩前に出た。

「私合わせて6人!すごーい!」

たまさんが目を輝かせながらこちらを見る。たまさんは既にあずきがこの中にいることもあってかすぐに近づくことができた。
そのキラキラした目の意味は仲間が増えた喜びじゃなくて……獲物が増えた喜びでしょうか?
多人数狙うのは難しいし辛いだけなので個人を狙った方が良いと思うんですけど。


「あ!そうだみんな!さっきあっちの部屋ですごいの見つけたんだ!来てきて!」

ぐいっ
「あっ!ちょっ、たまさん!?」


たまさんはそう興奮した様子で言うとすずさんの腕を引っ張って駆け出した。急なたまさんの動きに対処が遅れたすずさんは警戒していたのにも関わらず、抵抗もできずただ引っ張られていく。


「え?何?会長!?」

当の本人も対処できていないのだから他の人びとがすぐに行動できるわけがない。

一瞬の間の後、ようやく他のメンバーも慌てて駆け出す。勿論あずきも二人を追った。

92 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 00:04:46 ID:Is/sZb1c4d
「ここここ!さあさあ入って入って」

数分後到着した先にあったのは何の変哲も無い扉。
たまさんは手を掴んでいたすずさんの後ろに回り込むと背中を押していくがすずさんは当然抵抗して前には進まない。


「何があるんですか?」まだ困惑中のすずさんはたまさんに尋ねた。

「あのねーこの部屋だけ凄い豪華な装飾でお菓子とかがいっぱいあるんだ!」たまさんは食いぎみに答える。よほど早く入りたいんだろう。

すずさんは少し考えたあと意を決してドアを開けた。その先には……

カーペット、ベッド、冷蔵庫、机の上のお菓子、高級ホテルのような豪華な部屋があった

「わっ!豪華な部屋!ほんとだ!」
ドアの先にあったのは今までデスゲームにいたとは思えないほどの豪華絢爛な部屋。
そのため全員先ほどまで持っていたたまさんへの警戒心を忘れ、部屋に入りたそうにウズウズしだした。

「よし、じゃあ入ろうか?すずちゃん」たまさんがすずさんを押して部屋に入っていく。というかあずきの後ろにいるりこちゃん、花京院ちえりさん、猫乃木さんもあずきを押してでも入ろうとしている気配を感じる。

「はい!」すずさんはたまさんに押されるどころか自ら入った。そしてたまさんもそのまま入っていく。次はあずきが入る番だ。
あずきはポケットの中を確認した。

93 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 00:05:48 ID:Is/sZb1c4d
豪華な部屋のところでAA貼るつもりだったんですけれど弾かれちゃったので即席で文追加しました……

94 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 00:06:31 ID:Is/sZb1c4d
「え?」

そう声を漏らしたのはおそらくりこちゃん。だが、無理もないことだろう。何故ならあずきは部屋に入らずに急にドアに背を向けるように後ろを振り返ったから。



「ミッションスタート」

後ろ側からたまさんの合図の声が聞こえた。

バタン

部屋のドアが閉まる。勿論閉めたのはたまさん。今ごろすずさんも急に閉じられたドアに混乱しているだろう。勿論、こちらの三人も絶賛混乱中。だからこそ一気に畳み掛ける。

チャキ

「抵抗は無駄です。渡す情報によっては命を助けないこともありません」

あずきはエアガンを三人に向けて構えた。

95 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 00:36:30 ID:Is/sZb1c4d
Side:夜桜たま&木曽あずき 三人称視点 二階【00:09:50】



「抵抗は無駄です。渡す情報によっては命を助けないこともありません」

あずきが3人に対して銃と見せかけたエアガンで脅す頃、たまも同様にすずを脅していた。

「これなーんだ」

たまがあずきに行った脅し行為と同じ、背後から抱きついてナイフを首元に近づける。

「たまさん……何をすれば殺さないでくれますか?ちえりーらんどは嫌なんですけど」すずが少し怯えた様子でたまに話しかけた。
抵抗することも可能だがその前に首にナイフの刃が当たることは目に見えているため抵抗するつもりはないようだ。


「うーんそうだね……助けてほしいんだったら、まずは解除条件教えて欲しいな」とたまは言った。だがしかし、本当に助ける気は一切ないようだ。

たまとあずきは最初からこの作戦をする気で4人組に接触した。その作戦の内容とは部屋に一人だけを入れて武器で脅して情報収集。そのあと部屋に招いた人間を殺し、たまはこの部屋に存在するもう一つの扉から首輪とPDAを持って逃走。
それを確認後あずきも逃走し、トランシーバーで合流という作戦であった。
だからすずが殺されるのは規定路線であった。


「えっと、PDAの破壊です」

そうとも知らないすずは自分の命の為に自らの解除条件を伝える。だが最初の質問は殺してPDAを奪うつもりであるたまにとっては何の意味もなく。あくまですずに疑念を抱かせないものである。そのため当然次の質問を続ける

96 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 00:37:06 ID:Is/sZb1c4d
「じゃあ次。仲間の解除条件は知ってる?嘘をついても無駄だよ。今ごろあずきちゃんが同じ質問しているだろうし、知ってたら解除条件教えてね?」


すずは悩むことなく自身のちえりーらんど行き阻止のために三人の解除条件を喋った

「もちさんはQ、りこさんはJ、そしてちえりさんは7です」

たまは即座に返答が来たことに少しだけ戸惑って、よく考えたら当然かと考え直し口を開く。

「じゃあ次の質問。ルール何知ってるか教えて?」

これに対し、すずが返答したそのときだった


「たまさん!一旦すずさんに攻撃しないでください!」

あずきの初めて聞くような大声が廊下から聞こえたのだった。

97 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 00:38:24 ID:Is/sZb1c4d
「で?花京院ちえりさん。それは本当のこと何ですか?」廊下側では先ほど大声を出したあずきが銃を構え続けながらもちえりに質問をしていた。

「うんそうだよ。このソフトウェア拡張マップ機能によるとこの部屋は戦闘禁止エリアって書いてある。だからこのままだとこの部屋でたまちゃん。もしくは二人両方が死んじゃう」

ちえりは自分のPDAを出しながら言った。ちえりが言ったことは正しい。現在たまとすずがいる部屋は戦闘禁止エリアだった。だが、この部屋に戦闘禁止エリアであるという目印は無く、そもそも戦闘禁止エリアについてのルールを所持していなかったたまとあずきにはこの部屋が戦闘禁止エリアだと知ることは不可能だった。


「戦闘禁止エリア……あずき達が知らないルールですか。くっ」
戦闘禁止時間に救われたものの、戦闘禁止エリアに苦しめられているあずきは現在の状況を呪った。


「そこで提案なんだけどあずきちゃん。ルールあげるからさ。ここは引いてくれない?」
あずきの苦しむ顔を見てこのことを二人が想定していないことを把握したちえりは畳み掛ける。しかし、この提案はあずきにとって受け入れることは難しかった。

「すでに敵対しているこの状況でルール確認?無理に決まってますよ。いつ襲われたり、嘘教えられたりするか分からないのに?」

98 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 00:38:45 ID:Is/sZb1c4d
あずきの言う通りこの状況で銃の構えを解いてPDAの画面を見せてもらってなどいたらいつ襲われてしまうかなど分からない。銃は没収されること確実な為、いくらエアガンといえど優位性を失ってしまうのは確実。
かといって、この場で読み上げてもらうのは嘘を付かれる危険性がある。
持っているのが銃ではなくエアガンのため、この場で3人殺してPDAを奪うのは不可能であるし、出来たとしてもルールの内容が分かっていないため、戦闘禁止エリアがどこまでなのかが不明。
まさにこの状況。あずきとたまにとっては詰みに等しい状況であった。

「大丈夫だよ。あずきちゃん。ほらこれ見て」と言いながらちえりは自分が持っていたもう一つの機能拡張ソフトウェアを取り出した。

「……ルールブック?まさか!」

「そう!このソフトウェアはルール一覧を読むことが出来るソフトウェアなのです!今からこれを廊下のあっち側に放り投げるからそれで手打ちにしない?」

ちえりの提案に裏や見落としが無いか少しだけ考えてあずきはその提案を了承した。

99 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 00:39:26 ID:Is/sZb1c4d
「今の話たまちゃん聞こえてたー?」とちえりは大声で喋った。

「……大体聞こえてたよ!」
たまもそれに対して大声で返した。ちなみに既にたまはすずのことを解放し、反対側のドアに手をかけている。


「オッケー!じゃあぽいっ!」


ちえりがソフトウェアを廊下の方に投げた瞬間。二人は駆け出し、そのまま何処かに消えていった。

100 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 18:47:27 ID:tgWn2h.v0z
寝落ちしたマーン!すマーン!


5分後

「ふぅーやっと合流できた。というか私二連続で戦闘禁止のせいで失敗しているんだけどどう思う?」たまがあずきに対して愚痴を言った。二人はトランシーバーもあり、元々の逃げ出すルート通りだったこともあり、すぐさま合流することが出来た。

「そんなことより聞いてくださいたまさん。世紀の大発見しました」

「なにあずきちゃん?」あずきの真剣な声にたまは身を構え、返事を待った。

「踵を蹴ると死ぬほど痛いです」
あずきは真顔で言った。

「ようするにしばらく走れないってことね。はぁ……」たまは呆れながらも呟いた。

「じゃあ早速ルールブックタウンロードしますか……どちらが入れますか?」あずきは唯一の戦利品であるPDA拡張ソフトウェアをスカートのポケットから取り出した。

「私いらないよ?やだよバッテリー消費。さっきの作戦失敗はあずきちゃんのミスだし、あずきちゃんが入れておいてよ」

あずきはたまの言葉にしぶしぶ納得し、PDAに差し込んだ。

101 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 18:47:50 ID:tgWn2h.v0z
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 このソフトウェアはPDA拡張ツール【ルールブック】です。
  PDAで1〜10の全てのルールを確認することができます。


       ※ 注 意 事 項 ※
@インストールする事によりバッテリー消費量が増加します
A強力なソフトウェアほどバッテリー消費が激しくなります
B一つのソフトでインストール出来るPDAは1台までです
Cインストール中は絶対にコネクタを外さないでください


       インストールしますか?
         (消耗度:微量)

       はい       いいえ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


あずきは『はい』を選択した。インストール終了後、二人はまだ知らないルールを確認した。

102 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 18:50:03 ID:tgWn2h.v0z
「あ、そういえばそのソフトウェア」ルール確認後、たまはふと思った疑問をあずきに聞くことにした。

「実はこれがもう既に使用済みのソフトウェアで騙されてた可能性もあったと思ったんだけどよく見抜いたね。どうやって見抜いたの?」


「あっ」


「えっ」


「い、いや、えっとー」あずきは明らかに動揺していた。おそらく、そんなことは考えてもいなかったという感じだろう。


「あずきちゃん……結構ドジっていうか抜けているところあるよね……」たまはクスクスと笑った。

作戦には失敗したものの明るい雰囲気だった。

やがて、二人は少し廊下で休んだあと、また行動を始めた。

103 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 18:53:57 ID:tgWn2h.v0z
Side:??? 一人称視点 二階戦闘禁止エリア外の廊下【00:10:11】


ガチャ


3人が豪華な部屋で寛いでいる中、私はなに食わぬ感じで廊下に出た。


「えっと……確かここ」

廊下に出た私は辺りを見渡して、ドアの近くの壁に近寄った。暗くて見ずらいけれど……

「あった」

そこにあったのは壁につけられている謎の機械……の残骸だ。既に何者かによって壊されてグチャグチャになっており、何の機械かは全く想像が出来ない。
普通ならば。


まあ私はこのゲームの『サブマスター』だから知っているんだけれど。

私はゲーム開始前に既にこのゲームのルールや建物に関する知識などの誰がどのPDAを持っているか以外の情報は大体知っている。何かゲーム内で何らかのトラブルが生じたときの報告係などの仕事を任されているのだ。
……ゲーム開始前にランダムに選ばれたらしいんだけど運が良いのか悪いのか。

そのため私は当然『この機械がプレイヤーが戦闘禁止エリアに入ろうとするのを感知する動体センサーであること』も『この機械が壊れていなければ本来ならドアを開けた時点で備え付けられたスピーカーがこの部屋が戦闘禁止エリアであることを伝えてくれる』ということも知っているのだ。

「にしてもこれは酷いなー何発もバットで殴り続けたって感じだ。全く……一体誰がやったんだか」私はぶつぶつと小声で呟いた。

あの二人は知らなかったみたいだし、これをやったのは別の人物。
あの二人より早くここにたどり着いて、この機械の意味に気付き、壊した存在がいる。しかもこれをやって利益があるというということは犯人の候補は9、10、そして……


「賞金が欲しい人……か」

104 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 18:57:57 ID:tgWn2h.v0z
私は軽く身震いした。サブマスターとなったおかげで他人より有利な私でも、他の人を自分が貰う賞金のためにちえりーらんど送りにする勇気はない。
それなのにゲームに積極的に参加している人がいるのだとしたら。


『自分が狙われてしまうかもしれない。』

その恐怖から更に思考は進む。

……自分が狙われてしまうくらいなら先に

そう思考したその瞬間ドアが勢いよく開いた。

「えっとーいたいた!なんてそこでしゃがんでいるの?」

「あ、ここに謎のネジが落ちてたからこれは何かなーって」拾い上げた残骸の部品を見せる。

「ごはん出来たよ!早く食べようよーりこちゃん」

「おっけーちぇりー今行くよっ」

私……牛巻は明るい部屋へと入っていく。

席に付きながらも頭の中では考えて続ける。
あ、犯人候補はもう一人いた。牛巻じゃないもう一人のサブマスターだ。サブマスターかぁあの場所に機械があるってのも知っているし、上に行けば行くほど強い武器が手に入るってのも知っているから……有力候補だな。

……でも、もう一人のサブマスターって誰なんだろう?



next……Side:電脳少女シロ

105 名前:1[age] 投稿日:2018/12/03 19:04:44 ID:tgWn2h.v0z
今日の更新はこれで終了です。
実は牛巻はサブマスターでした。とはいえPDAの時計の見方を教えたりと本人にあまり隠す努力はなかったようですが……
一応>>86の質問にお答えしますとあずきちの揺さぶり通り3〜5m以内に入れば遭遇扱いです。距離のみが判定の条件なので壁越しでも遭遇扱いになります。7のPDAの特殊機能で遭遇人数のカウントメーターがあるのでそこで確認可能です。

次回、負傷者が出ます!それで二章は終了し、ついに三章では死人が出ます!お楽しみに!

106 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/03 19:46:42 ID:gZQ4kXNJkC
>>105
更新乙
ついに戦闘開始か、楽しみやわ

107 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/03 20:24:57 ID:mBoO3llOXQ
更新乙です
サブマスターがジョーカー持ってたらやばそうやな……

108 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/04 19:30:03 ID:SysA84fNTr

サブマスターどこだろう?

109 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/04 19:53:27 ID:arsAKbCOaa
死人(ちえりーらんど行き)
乙です

110 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:24:52 ID:oQpYJCmZmp
次は戦闘開始だと言ったな。次はシロちゃんsideだと書いたな。

あ れ は ミ ス だ

すいません…3章に入れる予定だったエピソードよく考えたら時系列的にこのタイミングだったので。
本当のシロちゃんsideは土曜辺りに投稿する予定です


Side:八重沢なとり 三人称視点 一階【00:13:21】


「見つかりませんね……。もうそろそろ諦めて階段に行きますか」

なとりとイオリは現在一階のとある部屋でジョーカーのPDAを探していた。現在の経過時間をPDAで確認したなとりはジョーカーのPDAの捜索を諦めることにしたようだ。

「えーっ?なとなともう諦めちゃうの?まだ1階にあるかも知れないし、まだ11時間もあるよ?」
それに対してイオリは疑問の声を投げかけた。

「いや、もう13時間経っているんですよ。もう見つけた食べ物なくなりそうですから早く二階に上がらないと」なとりは焦った表情で言った。声色からもその様子が伝わってくる。

「まぁもうジョーカーが誰かに取られちゃっている可能性もあるもんね。よいしょっと」

イオリは何かを手に持って立ち上がった。イオリの言う通りジョーカーは一階のどこかに置いてあるという性質上、誰かが既に見つけて持っているという可能性も高い。その場合、完全に今ここでジョーカーを探している時間は無駄である。

「はい。……ん?イオリさん何を持っているんですか?」なとりはイオリが何かを持ちながら立ち上がったことに気付き、持っている物に興味を持ったようだ。体をぐいっとイオリの方に曲げて顔を近づけた。

「これは……箱?何が入っていたんですか?」

「えっとねーいろんな色の紙とかハサミとかペンが入ってたよ。さっきここで見つけたの」

111 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:25:57 ID:oQpYJCmZmp
イオリが持っていたのはおどうぐばこ、もしくは工作セットというべきラインナップのアイテムが詰め込まれた箱だった。本人の言う通り、このアイテムはこのゲームの運営が置いたアイテムだ。

「護身用……に使えそうなのはハサミくらいですかね」
なとりは箱の中身を見ながら呟いた。すぐに武器に使えるか考えてしまう辺り完全に今の状況に適応してしまっているようだ。
その状態をほんの少しだけ不満に思ったのか一瞬だけイオリはムスッとした顔をして、すぐに気を取り直した。

「なとなと!見てこれ!こんなのも入っていたんだよ!」

イオリが取り出したのはかなり大きなサイズのスーパーボールだった。イオリはとりあえず投げるのは当然とばかりスーパーボールをぶん投げる。


トントントントン

部屋の中でスーパーボールが縦横無尽に跳ね回る。

「懐かしいけど危ないですねこれ。……これやっても何にも無いですしそろそろ行きません?」
なとりは少しその様子に呆れながら呟いた。早く部屋から出たいという感情が喋っている合間にもどんどん強くなってしまっているのは、いつまで経っても跳ねるのが終わらないからかそれとも喋っている途中で自分の目の前にスーパーボールが跳んできてぶつかりそうになったからか。

なとりの早く出たいという願いがどこかに繋がったのか思いがけない形で達成されることとなった。

112 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:26:38 ID:oQpYJCmZmp
イオリが持っていたのはおどうぐばこ、もしくは工作セットというべきラインナップのアイテムが詰め込まれた箱だった。本人の言う通り、このアイテムはこのゲームの運営が置いたアイテムだ。

「護身用……に使えそうなのはハサミくらいですかね」
なとりは箱の中身を見ながら呟いた。すぐに武器に使えるか考えてしまう辺り完全に今の状況に適応してしまっているようだ。
その状態をほんの少しだけ不満に思ったのか一瞬だけイオリはムスッとした顔をして、すぐに気を取り直した。

「なとなと!見てこれ!こんなのも入っていたんだよ!」

イオリが取り出したのはかなり大きなサイズのスーパーボールだった。イオリはとりあえず投げるのは当然とばかりスーパーボールをぶん投げる。


トントントントン

部屋の中でスーパーボールが縦横無尽に跳ね回る。

「懐かしいけど危ないですねこれ。……これやっても何にも無いですしそろそろ行きません?」
なとりは少しその様子に呆れながら呟いた。早く部屋から出たいという感情が喋っている合間にもどんどん強くなってしまっているのは、いつまで経っても跳ねるのが終わらないからかそれとも喋っている途中で自分の目の前にスーパーボールが跳んできてぶつかりそうになったからか。

とりあえずなとりの早く出たいという願いは思いがけない形で達成されることとなった。

113 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:27:06 ID:oQpYJCmZmp
ピコン

なとりとイオリの二人のPDAから音声が鳴った。画面にメッセージが映し出される。

『隠し通路の発見おめでとうございます。このエリアはマップには表示されていません。ただし、ゲームマスターは隠し通路の位置を知っているのでご注意を』

なとりとイオリは目を合わせ、互いにサムズアップしたあと、階段をゆっくりと登り始めた。

114 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:29:20 ID:wjD3MJF.Tc
Side:八重沢なとり 三人称視点 二階【00:13:27】


なとりとイオリは隠し階段を登っていき、二階のとある部屋へと辿り着いた。二人はとりあえずその部屋を探索していくつかの食糧と防具となるバックラーを発見した。


「ふーっ。やっと一息ですね」

なとりとイオリは探索が一段落し、休憩中のようだ。

「そういえばなとなと何で三階まで行けそうだったのに一旦二階に行こうって言ったの?なとなとの考えじゃ上の階に行けば行くほど良いものが手に入るんじゃないの?」

一段落ついたことで疑問を思い出したのかイオリが階段の中でなとりが言った言葉の真意について尋ねた。
イオリの言う通り、隠し階段はまだ続きがあり、階段をそのまま登れば三階までは行くことが可能だった。それなのに一旦二階に留まったことに疑問を抱いたようだ。

また上の階に行けば行くほど良いものが手に入るという考察も正しい。
なとりはどうやら長い間一階で探索していても殺し合いの武器になりそうなものがなかったこと。そしてとあるルールからそのことを予想したようだ。

「イオリさん……ルールの6って覚えてますか?侵入禁止エリアのやつ」

「うん覚えてるよ侵入禁止エリアに侵入すると強制ログアウトしちゃって、そのエリアがどんどん下から上へと広がってくってやつだよね」

115 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:34:14 ID:wjD3MJF.Tc
「そうです。だから上行ってから下に戻るのって難しいから一旦二階で良いもの探してから三階に行こうかなって思ったんです」

「なるほどー」

「と言ってもそんなに長居する気は無いですよ。一階が侵入禁止エリアになる時間こそおそらくルールの書き方からして2日目になる辺りだと予想は付きますが、それ以降の時間は全く分かりません」

「……その2時間後に二階封鎖とかだったら怖いね」

「そうです。それが怖いのですぐ三階に行きますよー。まあ隠し通路を発見したときにメッセージが届いたのを見るに禁止エリアになる一・二時間くらい前にはメッセージで教えてくれそうですけどね」


なとりとイオリはそのあとも10分程度話したあと、周辺を探るためにこの三人がいる部屋から出ていった。



そう、現在この部屋にいる人間は二人ではない。

三人いた。

なとりとイオリが気づかない場所にもう一人潜んでおり、二人の話を密かに聞いていたのだ。

116 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:36:10 ID:wjD3MJF.Tc
Side:カルロ・ピノ 一人称視点 二階【00:13:27】


「そういえばなとなと何で三階まで行けそうだったのに一旦二階に行こうって言ったの?なとなとの考えじゃ上の階に行けば行くほど良いものが手に入るんじゃないの?」

イオリの声が響く中、ピノは息を殺して彼女達の『上から』盗み聞きをしていた。

(PDA機能拡張ソフトウェアの換気ダクトの見取り図を使って換気ダクトの中に入ってみたら遭遇!ラッキーですわ)


彼女が手に入れていた二つのソフトウェアの内の片方『換気ダクトの見取り図』の効果はその名の通り、換気ダクトの入り口やそのルートを表示させる機能だ。
換気ダクトの入り口は分かりづらい所にあり、基本的にはこのソフトウェアが無ければ利用できない。

ピノはこの不意打ちや盗み聞きには持って来いのソフトウェアを試していたところ偶然にもなとりとイオリが話しているところに遭遇した。

(まぁ、今は武器を持っていないので奇襲は無理ですわね。おとなしくここで息を潜めていましょうか)

「イオリさん……ルールの6って覚えてますか?侵入禁止エリアのやつ」

(!!ルール 6!?)

ピノが知っているランダムに配られるルールは4・7・9・10の4つであり、ルール6は知らない。この話題でルール6が何かわかると考えたピノは一言一句聞き漏らさないように集中した。

117 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:37:15 ID:wjD3MJF.Tc
「うん覚えてるよ侵入禁止エリアに侵入すると強制ログアウトしちゃって、そのエリアがどんどん下から上へと広がってくってやつだよね」

「そうです。だから上行ってから下に戻るのって難しいから一旦二階で良いもの探してから三階に行こうかなって思ったんです」

「なるほどー」

(なるほど。どうやらルール6は侵入禁止エリアについての話のようですわね。侵入禁止エリアにいると強請ログアウト……ということは首輪が作動していまう……わたくしの解除条件的にも重要なルールですわね)


「と言ってもそんなに長居する気は無いですよ。一階が侵入禁止エリアになる時間こそおそらくルールの書き方からして2日目になる辺りだと予想は付きますが、それ以降の時間は全く分かりません」

「……その2時間後に二階封鎖とかだったら怖いね」

「そうです。それが怖いのですぐ三階に行きますよー。まあ隠し通路を発見したときにメッセージが届いたのを見るに禁止エリアになる一・二時間くらい前にはメッセージで教えてくれそうですけどね」

(24時間経過時点でおそらく一階が侵入禁止エリアに……わたくしの持っているもう一つのソフトウェアを使えば……閃きましたわ)

カルロピノはすぐさま動きたい気持ちに駆られたが、じっと息を殺す。更なる多くの情報を入手するために。

結果的には彼女はその後あまり多くの情報を二人の話から得ることは出来なかった。が、彼女は得られた情報だけでも満足をして二人が部屋から出た瞬間、行動を開始した。


next……Side:電脳少女シロ

118 名前:1[age] 投稿日:2018/12/06 23:54:00 ID:wjD3MJF.Tc
今日の更新はここまでです。

実はPDA君は結構色々なことを知らせてくれます。実はごんごんが罠に引っかかって強請的に上の階に行かされたときも知らせてくれているはずです。描写し忘れましたが……

描写といえばもう一つ。サブマスターについてですが書き方が悪くて誤解させてしまっている気がするのでちゃんと説明します。

13人の中にルールや建物の構造を教えてもらったサブマスターが二人います。二人は誰がもう一人のサブマスターかは知りませんが存在自体は知っています
ちなみにゲームマスターとサブゲームマスターが一人ずついるわけではないです。ばあちゃる君がゲームマスターなので

119 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/07 00:15:38 ID:Sk.BofgDwJ
更新乙です
センサー破壊したのちえりちゃんかもちにゃんあたりかなぁ……

120 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/08 23:25:37 ID:XrbmdgBoKN
更新乙です
9のPDAが誰か気になる…条件見て内心ブチ切れてそう

121 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:20:04 ID:HgQrj9VlWI
書き終わりかけていたデータがメモ帳がフリーズして全部吹っ飛んで書き直しすることになったけれど私は元気です。



他のグループと一切遭遇していない電脳少女シロ・北上双葉・もこ田めめめのグループ。
そんな彼女達は

今!

なんと!


「めめめー大人のたけのこの里取ってー」

「えっ?シロちゃんたけのこの里派?嬉しい!めめめたけのこ派なんだぁ!」

「残念でしたーシロは基本きのこ派ですぅー!大人のたけのこだけ例外なの!というか早くたけのこの里取ってよ。駄目ならふたふたでも良いよ?」

「ふーちゃんは人を駄目にするソファに心も体も囚われてしまったので無理ですー」

「ふたふた!お母さんの言うことを聞きなさい!」

「シロちゃんだろうと嫌なものは嫌ですぅー。第一イオリちゃん曰くアイドル部の母親はうまぴーですぅー」



戦闘禁止エリアでとても寛いでいた!


Side:電脳少女シロ 三人称視点 二階【00:16:54】

122 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:20:57 ID:HgQrj9VlWI
「めめめこのままずっとここにいたい……」

「シロもシロもー」

彼女達がいる戦闘禁止エリアはたまとあずきが拠点にしていた場所とはまた違う場所にあった部屋。
二階に上がっても武器や防具しか見つからず、ひもじい思いをしてさ迷っていた三人は数時間前にこの部屋を発見。あまりの快適さからなかなか出れず、この部屋に入り浸っていた。

「二人とも。もうそろそろ出た方が良いんじゃない?」ようやくこの現状が不味いと気がついた双葉が二人に言った。

「うん。そうだねー」とシロ

「あと5分だけ……」とめめめ

明らかに二人はまだやる気が出ていないようだ。このままだとしばらくは動かないだろう。

「もう!二人とも!」

双葉は怒って声を張ったが、元の声質のせいかあまり怒っているように感じられなかった。

何度も声をかける内にようやく二人は動いたが、結局出るのに20分はかかったのだった。

123 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:21:40 ID:HgQrj9VlWI
「さあ出発だー!」

「「おー!」」

三人は今までに手に入れた武器や防具。更には戦闘禁止エリアにあったお菓子まで持つという万全な体制で遂に外に出た。

「めめめ、例のアレお願い」

「おっけーシロちゃん!」

めめめはシロに言われてPDAを取り出し、マップ機能を開いた。表示されたマップには他のPDAのマップと違い、廊下に謎のアイコンが一つ存在していた。

「便利だよねーめめめちゃんの『疑似GPS機能』」

「うん!とっても便利なんだよねー」

めめめのマップに表示されたアイコン。これはPDAの機能拡張ソフトウェア『疑似GPS機能』によるものだ。
これは地味ながら広大なエリアから自分の位置が一発でわかるという大変有用なものだ。
実はちえり達やいろはもマップを見て行動をしていたが、自分の位置を勘違いして行動を間違えることは何度かあった。
しかし、これにより自分の位置を誤認するリスクが無くなる。

このソフトウェアのおかげで三人は階段がある方向に一切迷わずに進むことが可能だった。
そのため途中にある分かれ道にすら目を向けずに進んでいった。

「あっ!お姉ちゃん方!」

そのためか三人は後ろから声をかけられるまで、分かれ道の先に人がいることすら気づかなかったようだ。

「ごきげんよう皆様方」

三人が振り返った先には分かれ道からカルロ・ピノがひょっこりと顔を出し、にこりと微笑んでいた。

124 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:22:33 ID:HgQrj9VlWI
「もうすぐ着きますわ!」

カルロ・ピノに呼び止められた三人は最初こそ、警戒感を露にしていたものの、隠し通路を見つけたという情報と即座に自らのPDAを開示したことでピノの後を着いていくことに決めた。

「シロちゃん。そんなにピノちゃんのこと信用できないの?」

「いや、そんなことは無いんだけど……」

そんな中、あまり意外でも無いことだが……シロはピノのことを信じきることが出来なかった。
しかし、ピノ自身が自らをボディーチェックすることを要求。隠していた武器などは一切確認できず、隠さずに唯一持っていたスタンガンはシロが一旦預かることでシロも納得したはずだった。
しかし、未だに何故か渋っているようだ。シロ自身も何故未だに警戒心を露にしてしまうのかが分かっていないようだ。

「大丈夫ですわ、シロお姉ちゃん。わたくしシロお姉ちゃんの気持ちも分かりますから。普通こんなゲームで接触してきた相手など絶対疑ってしまうものですからね」

双葉とシロの会話が聞こえていたのかピノが振り返って言った。
現在歩いている四人の位置は学校での廊下は左側通行というルールが抜けないのか左側で歩くピノが一番先頭で次がめめめ、双葉と来て最後にシロという順番だ。ちなみにピノ以外の三人はまん中をずてずてと歩いている。

「あっ!あそこですわ!」
ピノは少し大きな声を出しながら正面右側にあるドアを指差した。どうやらそこに隠し通路がえるらしい。少し早歩きになってそのまま真っ直ぐ進んだ。

125 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:23:02 ID:HgQrj9VlWI
後から着いていく二人も早歩きになりながら真っ直ぐ進む。
先行したピノはある所まで進むと振り返り、すぐ後ろにいためめめと双葉を見つめ、にこりと微笑みながらこう言った


「ふりだしにもどれ」


めめめと双葉はどうしてピノがそんなことをしたのか分からずに次の一歩を踏み出す。
……踏み出してしまった。

そして

めめめと双葉は



 を
  踏
   み
    し
     め
      た


いや、正しく言うならば、足を踏み出そうとした先には床が無かった。

「えっ?」

落とし穴のようになっていた床で二人は落下する。落下先は一階だ。
最初二人は現場がまったく飲み込めず、混乱していた。しかし、やがて落下しているという状況に気づいたのか顔を青褪める。
しかし、二人は落下先の一階を見て更に顔を蒼白にさせることとなった。
そこにあったのは……

床一面に敷き詰められたまきびしだった。

126 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:29:06 ID:HgQrj9VlWI
二人はパニックに陥った。

当然だろう。まきびしである。しかも鉄製の物だ。
そんなものが敷き詰められているとあっては最低でも片足の怪我は確実。下手すれば全身がはちの巣になって死亡だ。
しかも落下中とあってはもはや天に任せる他はない。

その状況をピノとシロは上から見つめるが助ける方法など無かった。しかもその内の片方……穴を境にしてドア側にいるピノに至っては助ける気すら無い。

そして二人は一階に落ちた。

「痛い!痛い!!」

運が良かったのはめめめだった。
着地地点こそ運が悪くまきびしがあり、片足が踏んづけてしまったものの、痛みで跳び跳ねた先の床はまきびしが敷き詰められた場所より外側であった。

「いだっ!い゛だい゛!」

一方運が悪かったのは双葉だった。
落下した先にはまきびしが無かったが着地に失敗して足をひねり、ひざと手をまきびしがある床に着地させてしまった。
しばらく両足、腕ともに使い物にはならないだろう。
ただ、運が良かったのはゲームのプログラムによって痛覚軽減機能が発動し、痛みがすぐさま押さえられたおかげで、痛みに転げ回らずに済んだということだった。

127 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:30:55 ID:HgQrj9VlWI
「良かったですわ。痛覚軽減機能はちゃんと発動したようですね。自分も事前にわざと怪我してみたかいがありましたわ。」

ピノは実質的に自分がこの状況を仕込んだというようなことを呟いた。明らかに残虐なこの方法に対してピノ自身も思うところがあったらしい。自分で一度わざと軽く怪我をして、このゲームの中で痛みがどうなるかを確かめてみたようだ。
そんなことを言いながらピノは徐々に後ろ―つまりドアがある方向へと下がる。


「動かないで」


落とし穴が作動したことによる影響か少し煙か砂埃が立ち込めている。
そんな中、ピノの動きは止めたのはシロの脅しであった。
シロはカラーボールのようなものをセットしたパチンコを構えて脅した。ピノは少し考えて……不利を悟ったのか動くのをやめて両手を上げる。
彼女が回避できる可能性にかけて逃げ出さなかったのはおそらく、ボールがどのようなものかが判断がつかなかったからだろう。

ここは電脳世界の中に作られたプログラムの中、しかも彼女達の今の身体は本物ではなく見た目をコピーしたアバターだ。そのため彼女達は実際の身体に害が無いことを知っている。
だからこそ、ボールの中身の判断がつかないのだ。身体に害が無く、しかも仮想空間の中とあっては現実世界では作り得ないものもある可能性がある。
ボールの中が毒である可能性などあたりまえで、王水、更には想像のつかないようなものである可能性すらあるのだから。

128 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:32:21 ID:HgQrj9VlWI
「シロお姉ちゃんは何で落ちなかったんですか?明らかに落とし穴が作動する前に足を止めたように見えたんですけれど、それどころかわたくしが振り返るより前に止まってましたよね?なぜ見破られたのか知りたいですわ」

ピノは時間稼ぎか単純な興味かシロに質問を投げかける。ピノの言う通り、シロは確かにピノが振り返るより前に足を止めていた。

「それはね、右側の目的地が近づいたのにそのまま左側をまっすぐ……いやむしろ更に左に進むっておかしくない?それであれ?っと思って足を止めていたらこんな酷いことになったんですよね。はぁ……ちゃんと二人も静止させてあげれば」

シロは構えは一切解かずに質問に解答した。ピノと……静止させることができなかった自分へ怒りが表情から伺える。

落とし穴は壁から壁まで全てが穴となった訳ではなく、壁に近い部分は残っている。おそらくピノはこの床部分に進むこと床に一定の重さがかかることで落とし穴となる床を回避したのだろう。
とは言っても残った床部分は狭く、簡単には反対側に進むことはできない。そのためシロは未だにピノを捕まえることができていないのだ。


ピピピ

急にピノを除く三人のPDAから音が鳴り響く。

129 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:38:48 ID:HgQrj9VlWI
「おや?シロお姉ちゃん。PDAから音が鳴っていますわよ。確認した方がよろしいのでは?」

ピノがシロに問いかける。
しかし、シロは一切構えを解かない。

「こんなタイミングでピノちゃん以外から鳴るってことは十中八九この落とし穴に関することだから見る必要は無いよ。それよりピノちゃんを逃がさない方が遥かに大事だし」

ピノはその返答に対して少しだけ苦虫を噛み潰した顔をして、すぐさま元に戻った。
どうやら運が良ければここで逃げられるかもしれないと考えていた程度でそこまでこのタイミングで逃げられるとは思っていなかったようだ。

一方そのころめめめは双葉を救出して二人でまきびしが無い床に退避していた。
今の一連の会話を聞いていたのかPDAを取り出した。

「シロちゃん!来た内容を読み上げるよ!」

【「罠」にご注意を】
・「罠」はゲームエリア内随所に設置されており、踏み板や電子センサーによって起動します。
・「罠」はプレイヤーの殺傷ではなく、集団の分断を目的としたものです。しかし、場合によっては致命的なダメージを与えることもあるのでご注意くださいませ。

130 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:39:55 ID:HgQrj9VlWI
「ありがとうめめめめ!……ふぅん殺傷を与えるのが目的では無いってことはまきびしはピノちゃんが撒いたんだね……」

「ご名答ですわ」

めめめが伝えてくれた内容からシロは思考を巡らしたようだ。事実、ピノは二階で見つけたまきびしをわざわざここまで持ってきて使っていた。


「じゃあ逆に質問。何でピノちゃんはこんなことをやったの?」

「ちえりーらんどに行きたくないからですわ。ほら先ほど見せたではないですか解除条件」

ピノはシロに動くなと言われたのに関わらずPDAを取り出した。

「解除条件を達成するためにこの機能拡張ソフトウェア『罠探知機能』を使用してこの落とし穴を探して、わざと一度落とし穴を起動させてまきびしを撒いて、床が元に戻るのを待ったのです」


https://vt-bbs.com/upl/1544355595-1.jpg


131 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:40:52 ID:HgQrj9VlWI
このゲームのエリアにある罠の多くは起動しても一定時間経過後元に戻るようになっている。ピノはそれを何かしら重いものを投げて落とし穴を発動させ、二階からまきびしを撒き、落とし穴が元に戻るのを待つことでこの罠を完成させたようだ。

「……なんで解除条件が関係するの?てっきり賞金が欲しいのかと思ったんだけど」

「……ところでめめめお姉ちゃん。PDAの最初の画面を開いてもらっても構いませんか?」

ピノはシロの質問に答えずめめめにPDAを開くように言った。
それに対してめめめは従うべきか少し悩んだあと……PDAのスタート画面を開いた。



充電ノコリ89%     00:17:06

   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 解 除 条 件 ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  ル ー ル  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  マ ッ プ  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 機能拡張ソフト ┃
   ┗━━━━━━━━━┛


「めめめお姉ちゃん。今何時間経過って書いてありますか?」

「……17時間6分」

132 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:43:20 ID:HgQrj9VlWI
「では続いてルールの侵入禁止エリアに関する項目を開いてください」

「ちょっと?シロの質問に答えられないのぉ〜?」

シロが目のハイライトが消えた状態でピノに話しかける。しかし、ピノはそれを意にも介さない。

「開いたよ。読み上げればいいの?」

「はい。そうすればシロお姉ちゃんも何でわたくしがめめめお姉ちゃんにしてもらったことの理由が分かりますわ」

「えっと……侵入禁止エリアが存在する。初期では屋外のみ。進入禁止エリアに侵入すると首輪が警告を発し、その警告を無視すると首輪が作動し強制ログアウトが行われる。また、2日目になると侵入禁止エリアが1階から上のフロアに向かって広がり始め……あっ!」

めめめ含め、全員が気づいた。

「わたくしの解除条件は『首輪が5つ作動すること』一階に落ちて怪我してそのまま二階に上がれない人が出れば……解除への第一歩ですわ。ところでめめめお姉ちゃん、双葉お姉ちゃん……こんなところにいていいんですの?今すぐ階段に向かった方が良いのでは?」

めめめと双葉が焦ったような顔をした。それを見て……ピノは何かに気がついたのか一瞬だけ驚いた顔をして再び喋り出す

「では皆さまわたくしもそろそろ行きます。というわけで皆さんごきげんよう」

133 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:44:23 ID:HgQrj9VlWI
ピノはそう言ってダッシュでドアの方に走り出した。
シロはすぐさまパチンコを構えるが、いつのまにか濃くなっていた煙によって視界が悪かったせいで弾を外してしまう。
どうやらピノはシロ達と出会う前に発煙筒か何かを事前に用意していたらしい。喋っていたのもその時間稼ぎだったようだ。

シロは持っていた食糧を幾つか双葉達の方へと投げ込んだあと、煙の中に見えるピノのシルエットを追ってすぐに駆け出した。

しかし、穴を乗り越えるのに少しだけ時間がかかってしまった。

ガチャ

シロはピノが逃げこんだと思われるドアの中に入った。
しかし……

「もう、隠し通路に逃げ込んじゃったか……」

ドアの先にあった広い部屋にピノの姿はなかった。
どうやらピノは彼女の言っていた隠し通路の中に逃げ込んでしまったらしい。

シロは隠し通路を発見するためにしらみつぶしに部屋を探索しはじめた。

134 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 20:55:15 ID:HgQrj9VlWI
悲報:もう一度データが消える。急ピッチで生配信を見ながら打ち直ししている模様



Side:カルロ・ピノ 三人称視点 二階【00:17:12】


(ふぅ……何とかシロお姉ちゃんから逃げ出すことに成功しましたわ。やっぱり『換気ダクト見取り図』のソフトウェアは素晴らしいですわね)

ピノは隠し通路……ではなく換気ダクトでシロから逃げおおせたようだ。そもそもあの部屋には隠し通路は存在しない。まあ隠し通路と換気ダクトは似たようなものかもしれないが

(めめめお姉ちゃん……はともかくとして双葉お姉ちゃんはあの怪我では確実に二階にたどり着くことはできないでしょう。これで一人目ですね。やりましたわ!)

ピノは事前に安全を確保していた部屋へと降り立った。
ピノは現在喜びの感情に包まれている。喜んでいる理由は複数あるが最も大きな理由は双葉とめめめを罠にはめることが出来たからではないようだ。

(あーそれにしてもよかったー!本当に侵入禁止エリアに関するルールがあって!あそこまでやって実はお米お姉ちゃんの虚言とかだったら恥ずかしいにも程がありますわ!)

135 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 21:19:09 ID:HgQrj9VlWI
訂正>>121
Side:電脳少女シロ 三人称視点 二階【00:16:54】
の時間を00:16:34に変更します


Side:もこ田めめめ 三人称 一階【00:17:12】


「シロちゃん食糧投げてくれたね……」

ピノとシロが言ったあと、双葉がか細い声で呟いた。現在二人は痛覚軽減機能により痛みは軽くなったものの、足を踏み出そうとすると倒れてしまったり、よろけたりしてしまうなど、実際にダメージを負ったように体が反応してしまっているようだ。そのためめめめはともかく双葉はほとんど動けない。

「双葉ちゃん!諦めちゃだめだよ?」
めめめはもう諦めてしまった風の双葉を励ます。

「ピノちゃんはめめめが持っている『疑似GPS機能』を知らないからそこで計算に狂いが生じてるはずだよ!」
めめめは更に双葉を理論立てて説得しようとした。確かに階段への道のりを迷わず行ける『疑似GPS機能』は強力だ。
確かにこれがあれば二階に制限時間より早く確実に行けるだろう。

めめめ一人ならば

双葉もそれに気づいているのか何も言わない。めめめはやがて無理矢理双葉を背負うと歩き始めた。
双葉は小さくありがとうとだけ言った。


「痛っ!」

双葉と比べれば遥かに軽傷なもののめめめも足を怪我していることは間違いなく、痛覚軽減は痛覚オフではない。

しかし、めめめは歩みを止めない。

一歩ずつ
一歩ずつ
階段へと足を進めていった。

136 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 21:19:53 ID:HgQrj9VlWI
Side:八重沢なとり 三人称視点 二階【00:17:08】



私達は二階をある程度探索したあと、あの隠し通路を使用して三階へと上がった。

三階には、爆弾や銃などがあり、どんどん殺しあいの激化が想像できるラインナップで、イオリさんなんかは武器を見ただけで青褪めていました。

そんな中、私はとても有用なものを発見することができ、今からそのソフトウェアをインストールしようとしています。


「なとなと。どう?インストールできた?」

「今、差し込んだばかりですよ。ほら、今画面が変わったじゃないですか」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 このソフトウェアはPDA拡張ツール【ジョーカー探知】です。
   PDAの地図上にジョーカーの位置表示を追加します


          ※ 注 意 事 項 ※
@インストールする事によりバッテリー消費量が増加します
A強力なソフトウェアほどバッテリー消費が激しくなります
B一つのソフトでインストール出来るPDAは1台までです
Cインストール中は絶対にコネクタを外さないでください


          インストールしますか?
            (消耗度:普通)

         はい       いいえ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

137 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 21:21:44 ID:HgQrj9VlWI
「当然はいですね!」

インストールが始まった。私はずっと心配だった。もし誰もジョーカーを手に入れていなかったら。もしずっと一階にあり続けていたら。

もしそうだったら私は詰み。つまりちえりーらんどに……

そんなことを考えている内にインストールが終わったのを確認した私はマップ機能を開いた。
ジョーカーはどこだ?

「三階にはない……二階に…………あった!よかった!一階に取り残されているわけじゃない!」

本当によかった。私の解除条件的にジョーカーは必須。ですがもし誰にも見つかっておらず一階にあった場合、もうこの時間じゃ手遅れだった。
だけれど実際は誰かが持っている。これなら交渉で何とかなる!

しかし、そう簡単には行かないようで……

「なとなと!誰かがこっちの方に来ているみたいだよ!」

あまりに機能拡張ソフトウェアに集中していたせいか近づいて来る足音に気づくのに時間がかかった。
……どうしましょう!

「うわわっなとなとどうしよう!」

「えーっととりあえずとりあえず!」

焦っている内にドアが開く。とりあえず私は銃を構えることにした

「待ってぇ!撃たないで!」

「あれ?ごんごんちゃん?」

ドアを開いた先に居たのはPDAを持ちながら両手をあげているいろはさんだった。

138 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 21:38:44 ID:HgQrj9VlWI
Side:北上双葉 一人称 一階【00:17:15】


自分は一体何をしているんだろ……

「大丈夫?双葉ちゃん?痛い?」

双葉は今、めめめちゃんにおぶられている。めめめちゃんも片足は痛いはずなのに背負ってもらっている。
こんなの完全に足手まとい。
確かにめめめちゃんのソフトウェアがあればめめめちゃんは二階に行けるはず。ピノちゃんが二階で待ちぶせして攻撃するつもりだったとしてもピノちゃんよりも早く辿り着けるだろう。
でも今の状態じゃ無理。だって双葉を背負っているんだから。このままじゃ共倒れだ。

だから……

「めめめちゃん。双葉を置いていって。このままじゃ共倒れだよ」

双葉だってちえりーらんど行きは嫌だし、せっかくなら賞金でお菓子とか欲しい。
けれどこれじゃあ絶対無理。ならせめてめめめちゃんだけでも。

139 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 21:40:16 ID:HgQrj9VlWI
「双葉ちゃん」

「めめめちゃん?」

めめめちゃんがいつになく真剣なトーンで私の名前を呼ぶ。

「めめめ絶対に諦めないから!めめめ絶対双葉ちゃんも連れていくから!」

めめめちゃんは双葉を話す気は無いようだ。むしろ双葉を背負う腕の力が少し増したように感じられた。


……双葉も覚悟を決めるときが来たみたい。

これを言ってしまったらどんなペナルティが来るか分からない。けれど別に良いや、めめめちゃんだけでも助けたい。
もう言っちゃおう。

すーっ……はぁーっ……良し。


「めめめちゃん。シロちゃんが解除条件みたいな秘密は互いに言わない方が良いって言ってたじゃん」

「うんそうだね」

「あれ。今から双葉破るね」

「えっ?ええ〜!!」


今から双葉が言うのは二つ。

一つは解除条件。そして……


双葉がサブマスターだって言うことだ。


めめめちゃんをサブマスター専用の隠し通路に連れていこう。


めめめちゃんは絶対死なせない。絶対に。



第二章【ふりだしにもどれ】終

140 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 21:52:52 ID:HgQrj9VlWI
Side:ばあちゃる

「はーいどうも世界初&#8265;男性バーチャルyoutuberのばあちゃるです。はいはいはい皆さま楽しんでいますかー!いえーいはいはいはい!というわけでですね。遂に動きましたね!いやーあんな作戦思い付くなんてやばーしーですねピノ様。それに関することなんですけれどね。現在のBET比率を公開したいと思いますね」

ピノ 【10】1.1
シロ 【?】1.2
ちえり【7】1.233
なとり【2】1.4
いろは【?】1.4
あずき【4】1.667
りこ 【J】2.0
たま 【?】2.111
すず 【8】2.111
もち 【Q】2.111
めめめ【?】2.667
イオリ【A】3.5
双葉 【?】10.0

「右に書いてある倍率が賭けに勝ったときに現在戻ってくると思われる額ですのでね。ぜひ皆さん今からでも投票お願いしますねはいはいはい。ちなみにもうすぐ誰か死にそうということでね。誰が最初にちえりーらんど送りになっちゃうかの予想もしていただければねって感じでですね。あーばあちゃる君に負荷がかかってきたんでね。とりあえず終わります。あざーす」

141 名前:1[age] 投稿日:2018/12/09 22:00:24 ID:HgQrj9VlWI
というわけで二章終わり&今日の更新終了です。

こんな感じで進んで行きますのでこういう怪我描写が嫌な方はこれから先に見ないことをおすすめいたします。
ただ、彼女たちは全員レクリエーションとかスポーツのつもりでやっているので陰湿でギスギスみたいな展開にはならないとだけは先に言っておきます。疑心暗鬼くらいですかね。

BETに関しては事前に自分がこんな感じになるだろうなっていう13人それぞれの掛け金を決めた後に皆さまのBETした分を追加して計算して算出しています。
また次の章の終わりにでBET公開いたしますのでよろしければ最初のちえりーらんど送りに遭う人予想といっしょに一度既にBETした方も改めてBETしてもらいたいなと思います。

142 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/09 22:14:21 ID:BrG/hetOwe
【BET】花京院ちえり
最初のちえりーらんど送りはめめめちゃんと予想

143 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/10 00:03:12 ID:YIJO6UZtD2
BET【猫乃木もち】
らんど行きはピノ様かなあ

144 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/10 01:18:31 ID:sfoKk8C49W
更新乙です
【BET】シロちゃん
ランド送りは牛巻かな

145 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/10 01:24:39 ID:i4MuM1ZO9C
乙です
【BET】シロちゃん
らんど送りは流石に生き残るの厳しそうだし双葉ちゃんだろうか

146 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/10 06:32:40 ID:IxOmUMouZA
【BET】もこ田めめめ
らんど送りはピノ様と予想

147 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:08:47 ID:193RNEESJG
御披露目回の前に更新!

Side:八重沢なとり 一人称視点 三階【00:17:10】


「撃たないで〜!!ほら、武器捨てるから〜!!」

いろはさんは手に持っていたショットガンのようなものを床に放り投げた。
銃を持っているなら私と同じように構えれば良かったのにしなかったということは元々戦闘する気はなかった。ということでしょうか?

いや、だけどまだ、あやしい。
この廊下にはこの部屋のドアの両隣にも部屋がある。それなのに他のドアを一切開ける物音はしなかった。つまり、まっすぐこの部屋にいろはさんはたどり着いているということ。
けれど……

「なとなと!何でまだ武器構えているの?駄目だよ」

同行者の心証も大事ですからね……

私は銃を降ろした。

あっちは武装してないですし大丈夫でしょう。いろはさんは落とした武器を拾わずにこちらの方に近づいてきた。

「ごんごんちゃん……解除条件って見せて貰える?見せてくれたらイオリ達も見せるよ?」とイオリさんが言う。
これたぶんいろはさんのことを信じきれないから解除条件を見せてほしいっていうことじゃなくて自分がAだから相手がQだったら困るから聞いているんだろうなぁ……

148 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:11:09 ID:193RNEESJG
「うーん。いろはにもなにかメリットあればね……」いろはさんはちょっと悩むそぶりを見せている。

いろはさんがジョーカーを持っていないっていうのは私が持っている『ジョーカー探知』ソフトウェアの効果で既に分かっているので、別に解除条件を教えてもらわなくても良いんですがどうしましょうかね……


……あっ、やっぱり解除条件見せてもらう必要がありますね
私はちょっと考えを改めた。

「じゃあお菓子要ります?下の階で大量に見つけてきたんですけれど」

私は大量のお菓子を取り出した。いろはさんは大きいバッグを持っているようには見えないし、現在の所持品はそう多くないはず。……と思ったんですけど想像以上にいろはさんは食いついた。

「えっ!欲しい!わかった見せるよ!」

いろはさんは私が取り出したお菓子の中からモトヤンツケボーとかポテトチップスとかを取っていった。
そしてPDAを私達の方へと見せた。

「私の解除条件は5番だよ!」


https://vt-bbs.com/upl/1544692269-1.jpg


149 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:11:38 ID:193RNEESJG
「よかったーイオリの解除条件はAだからQだったらどうしようかなって思ってたんだよー」イオリさんが安堵したような声で言った。
解除条件を見せてもらったのはジョーカーは誰かに化ける都合上、誰かと条件は被ってしまう。だから同じ解除条件を持っている人が二人いればどちらかは解除条件を偽装しているのは確定的になる。
だから誰がどの解除条件かという情報はあればあるほど良い。

「私の解除条件は2番。ジョーカーの破壊ですね。ところでいろはさん。誰か私やイオリさんと同じ解除条件の人と出会ったりしていませんか?」

そして当然私やイオリさんの解除条件に偽装している可能性はある。だから聞いておこうと思ったのですが……

「ごめーん!いろはさー運が悪かったのか全然人に会ってなくてさーピノちゃんの解除条件しか知らないんだよねー」

どうやらいろはさんはまだあずきさんとピノさんにしか会っていないようでピノさんの解除条件が10という情報しか持っていなかったようです。
まあせっかくなのでルール交換や今まで見たものとかの情報交換をお菓子を食べながら行うことにしました。

150 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:12:13 ID:193RNEESJG
「ところでごんごんちゃんはチェックポイントをいくつ通過したの?」

「それなんだけどさー見てよー」
いろはさんはPDAを取り出してマップを見せた。一階、二階、三階と順番に見せてくれる。あれ……?

「あれ?いろはさん?緑色の丸がチェックポイントですよね?で、それにバツ印が付いているものが通過したところと」

「うん。そうだよー!」

「なら何で一階と三階は既に全部チェックが付いているのに二階は一個だけチェックが付いていないんですか?」

「あ、それはねー!私が下からどんどん侵入禁止になるっていうルールを知らなかったのも理由なんだけど、一番の理由は二階の廊下で歩いていたら急にシャッターで閉じ込められて上に行かざるを得なくなったからっていうのが一番の理由なんだよねー。三階のチェックポイントはそんな遠くなかったから全部行けたんだけどさー二階に降りる階段全部遠いんだよね。二人ともこういう罠がここにはいっぱいあるみたいだから気を付けてね!」

151 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:14:05 ID:193RNEESJG
いろはさんは笑い話のように喋った。罠とかあるんですね……気を付けておきましょう。そんなことを考えていたらイオリさんが少し得意気な顔でこっちを見た。あ、あれを言う気ですね。良いですけど。

「ごんごんちゃん。イオリ達下に降りられる隠し階段知っているよ。案内してあげようか?」

「えっそんなのあるの!お願い連れてってー」

私達が三階まで上がってきた隠し階段はここからそう遠くない場所にある。少なくとも下に降りる普通の階段よりは近いはず。別に教えてあげても問題はないですし。


「ごんごんちゃんマップ貸して」

イオリさんがいろはさんのPDAを手に取って触りはじめる。おそらく隠し階段の場所を教えてあげようっていう考えでしょう。
しかし、マップは現在位置が分かりづらいので苦戦している様子。すると、いろはさんが得意気な顔でイオリさんか操作をしているマップ画面のとある場所をタッチした。

152 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:14:33 ID:193RNEESJG
『首輪の現在位置をマップ上に表示しますか?』

画面にメッセージが現れる。いろはさんは選択肢の内はいをタッチした。するとマップ上に黄色の点が表示される。

「機能拡張ソフトウェア『首輪の位置表示』これでいろは二人の位置も把握したんだー」
三階のマップのとある部屋の部分に3つの点が表示される。三階に他に黄色の点の表示はない。つまりここが私達がいる場所でしょう。なるほど擬似的にGPSみたいなことが可能なんですね。
そしてこれがあったから私達の場所が分かって真っ先にこの部屋に来れたと。このソフトウェア怖いですね……バッテリー消費も多そう。
イオリさんもマップ上の自分の位置が分かったからか隠し階段の位置をすらすらと説明できるようになったみたい。

……ん?待って

私は自分のPDAのソフトウェア。ジョーカーの表示をONにした。

「いろはさんちょっとマップ見せてください。これで誰がジョーカーを持っているかがある程度区別が付くかもしれません」

153 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:16:09 ID:193RNEESJG
そう、私といろはさんのソフトウェアを合わせればジョーカーを誰がもっているのかがある程度わかるということに私は気がついたのだ。

私はマップの二階を開く。ジョーカーの位置は二階のここ……そしていろはさんのマップの二階と照らし合わせた。首輪が無いところにあったらいろはさんと一緒に二階に降りて回収しなきゃいけないなぁ……

そんな私の不安は結局当たらず、ちゃんとジョーカーは首輪がある位置にあった。

首輪の表示が4つあるところに。

「部屋の中の四人の首輪があるところにジョーカーのPDAがあるみたいですね……つまり四人一組のチームの所にジョーカーはあります。他の人達はみんな一人か二人で行動しているようなので四人一組のチームに出会ったらほぼ確実にジョーカー持ちだと考えて良いでしょう」

四人一組。それで思い出されるのは最初に別れたちえりさんすずさんりこさんもちさんの4人。
もし、その4人が今でも一緒に行動しているなら……


4人の中にジョーカー持ちがいる!

154 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:17:00 ID:193RNEESJG
Side:神楽すず 三人称視点 二階【00:17:20】


結論から言うならば、なとりの予想通り、ちえり、すず、りこ、もちの中にジョーカー持ちはいる。
4つの首輪のマークが表示されていた部屋はあずき、たまと一触即発になったあの戦闘禁止エリアだった。
彼女達は今、そこで休憩と睡眠を取っていた。


ピピピピピ

「ん?何ですか?煩いですね」

戦闘禁止エリアということもあり、凄くリラックスして眠っていた4人だったが一斉に4人のPDAが鳴ったことで目を覚ました。

一番早く自分のPDAを開いたのは神楽すずだった。

「えっと何々?」

画面の中に映っていたのはメッセージ。
そこには
『エクストラゲームのお知らせ』と書かれていた。



第三章【エクストラゲーム】

155 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:18:31 ID:193RNEESJG
Side:木曽あずき 三人称視点 二階【00:17:20】

「『エクストラゲームのお知らせ』?」
同じ頃、木曽あずきと夜桜たまのPDAにも同じメッセージが届いていた。
正確に言うならば、全員一斉にメッセージが届いていた。

「あずきちゃん?エクストラゲームって何だろう」

「あずきにも分かりません。ルールにも書かれていませんでしたし、とりあえず二人とも届いているなら全員に届いているのでは?」

たまはとりあえず画面をタップする。するとばあちゃるがサムネに映った動画が表示された。
またか……と思いながらもたまは動画の再生ボタンをタップした。
再生された動画はやはり……ばあちゃるが映っており、喋り始めた。

「はいどうもーばあちゃる君です。今回このゲーム初のエクストラゲームということでね。エクストラゲームとは何?というところから説明させていただきますとまあ簡単に言うと最初に提示したルールとはまた別でゲーム内に行われるミッションですね」

156 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:19:34 ID:193RNEESJG
「というわけで今回のエクストラゲームの題名はですね【ロッシーちゃんを捕まえろ】ということでね。皆さん二階に上がった人は気づいているかもしれないんですが何かゲーム内の設備が一部壊れていたり汚れていたりしているんですよ。でこれは何故かと言いますと、なんと本来スタッフ側だったロッシーちゃんがですねーなんとなんとですよ予備のPDAを勝手に持っていってゲーム内に入っちゃったんですね」

「でゲーム内で悪戯を繰り返しているので運営側も凄く困っちゃってるので皆さんにロッシーちゃんの討伐を頼みたいなっていうものでフゥゥゥゥ!基本的にロッシーちゃんは二階にいるので見つけたロッシーちゃんを倒してください!倒した方にはロッシーちゃんが持っている予備のPDAをそのままプレゼントしちゃいます」

「なんとなんとですよーそのPDA。解除条件は何も書かれていないんですけど、それ以外の機能は他のPDAと全く同じなんですよー。つまり機能拡張ソフトウェアも入れられますし、マップも見れますし、ルールもランダムな二つがちゃんと書いてあります。それにーPDAの破壊や収集が解除条件の人に朗報ですよー予備PDAはその解除条件の数の一つに含んで構いません!」

「というわけでメリットだらけのロッシーちゃん討伐大作戦なんですがー最後一つだけ注意してほしいことがありまして、なんと!ゲーム開始から24時間経過時点でロッシーちゃんは消えてしまうんですね!マジンガー?……お早めの討伐をお勧めします。では負荷がかかってきたのでね。この辺で締めさせていただきます。あざっしたー」

『補足:ロッシーちゃんは首輪は付けておらず、討伐しても三人殺すの条件を達成することはできません』

157 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:22:20 ID:193RNEESJG
動画再生が終わったあと、補足説明のテキストが出てきた。

たまとあずきは顔を見合わせた。

「このゲーム乗る?」

「あずきは乗る気ないです。旨味薄いですし、それよりさっさと三階に急ぎましょう。もう階段すぐそばのようですし」

「うんそうだね。そうしようか」

二人は迷いもなく言った。どうやら二人はこのエスクトラゲームに乗る気はないようだ。


数分後、あずきとたまは三階に到着した。

158 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:28:10 ID:193RNEESJG
というわけで本日の更新は終了です。
ついにちえりーらんど送りが現れる三章のプロローグということであえてあっさり目に仕上げてみました。
色々予想してくださった方がいましたが戦闘禁止エリアの機械を壊したのはなんとゲーム参加者では無いロッシーちゃんでした。
ちなみにロッシーちゃんは本当に悪戯で入り込んだのでは無く、元々エクストラゲームがこうなるのは運営で決めていたようです。ばあちゃるの話は説明だけでなく演出でもあったんですね

BETはまだまだ募集中なのでどんどんどうぞ

159 名前:1[age] 投稿日:2018/12/13 18:36:25 ID:193RNEESJG
現在の解除条件一覧

A【ヤマトイオリ】…QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。

2【八重沢なとり】…JOKERのPDAの破壊。このPDAのみ半径1m以内でJOKERの偽装機能は無効、初期化される。

3【???】…3名以上の殺害。ただし首輪の作動は含まない。

4【木曽あずき】…自分以外の首輪を3つ取得する。首を切り取っても、解除条件を満たし外すのを待つのも良い。

5【金剛いろは】…館全域の24個のチェックポイントを全て通過する。特殊効果として地図上にポイントの表示がされる。

6【???】…JOKERの偽装機能を5回以上使用。自分で使う必要も、近くで行う必要も無い。

7【花京院ちえり?】…開始から6時間目以降に全員と遭遇。死亡している場合は免除。

8【神楽すず】…自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する。

9【???】…自分以外の全参加者の死亡。手段は問わない。

10【カルロピノ】…首輪が5個作動すること。ただし2日と23時間より前に行うこと。

J【牛巻りこ?】…開始から24時間以上行動を共にした人間が2日と23時間時点で生存していること。

Q【猫乃木もち?】…2日と23時間の生存。

K【???】…PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

JOKERの持ち主【???】

160 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/13 20:24:07 ID:KoMZ0mCFKm
更新乙です
ジョーカー持ちは3か9かな
6だったら普通に言えばいいし
Kは特に利益ないし

161 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/14 01:50:34 ID:EYRQuR030p
更新乙です
武器によるけど基本的に集団で行動するのはリスク高いし、最初は単独行動しようとしてたたま会長が9かな?

162 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:23:52 ID:obu752LbNp
Side:神楽すず 一人称視点 二階【00:17:39】
このチームでのラストはここ→>>154


「で、どうする?ロッシーちゃんは狙う?なんか意見ある人は挙手どうぞー」

ふかふかソファーに座っているもちさんがエクストラゲームについての動画を確認してから言った。
現在私達は安全かつ豪華な戦闘禁止エリアにいる。そろそろ外に出る予定なので持ち物はちゃんと持って武器になる物も携帯はしているものの全員寛いでいる。

「私は勿論ロッシーちゃんを狙いたいです。私の解除条件的にPDAはあればあるほどありがたいです」私は勢いよく手を上げて言った。
私の解除条件である8はPDAを5個も破壊しなければならないという難易度が高い物。解除成功した人からPDAを譲ってもらうにせよ、死んだ人のPDAを使うにせよ、壊すということはその中に入っているソフトウェアも消えてしまうことになる。バッテリーの心配もあるし、このチームには長く生き残らなければならないJとQがいる以上、有用なPDAはなるべく壊さないでおきたい。
やっぱり多少のリスクは負ってでも予備のPDAは確保したいところ。

「でも、二階にしかいないって言ってもさー。二階ってとっても広いじゃん?その辺考えるとあと6時間くらいで見つけるのって難しくない?」ちえりさんが現実的なことを言ってたしなめる。確かにとてつもなく広いエリアで動き回る対象を見つけるのは難しいかも。

163 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:24:29 ID:obu752LbNp
「でもさーこのミッションの内容って明らかに元々決まっていた茶番じゃん。しかも動画も撮っているなら、参加者の誰一人としてロッシーちゃんを見つけられないってことは無いんじゃない?」ともちさんがそれに反論する。
確かにこんなに綿密にルール、舞台、道具が用意されているこのゲームでスタッフの謀反がそんな簡単に起こってしまうわけがない。なら、元々このエクストラゲームはやる予定だったということだろう。なら確かにエンターテイメントとしては一度も遭遇出来ないということはないでしょう。その遭遇をモノに出来るかは分かりませんが。
関係無いですけど挙手制の意味無くなってません?いや別にそこはどうでも良いですけど。

「めっちゃメタ読みだねー。でもね朗報だよ。おそらくこの近くにロッシーちゃんはいました!そしてたぶん今もこの辺にいるはず!とりあえず外に行けば牛巻の言っていることは分かるよ!」
牛巻さんはめちゃくちゃ得意気に言って、私達を外に連れ出した。
そういえば起きてすぐ、牛巻さんは廊下の外に出ていたけど何かそれと関係があるんでしょうか?
私達は廊下に出ると、ドアから少しだけ離れた位置の壁に取り付けられている機械を見せられた。
ん?これは何かのセンサーでしょうか?見た感じもう破壊されているみたいですけど。

「これは……?」

「これはねー牛巻の見立てによれば戦闘禁止エリアに人が入ろうとしたときに感知するセンサーだよ」

「おやすみタイムの前にりこちゃんが調べていたやつ?」

「そうそう。二つの入口の内片方だけ入ったときにここが戦闘禁止エリアだっていうアナウンスが流れたじゃん?それって流れた側のセンサーが誰かによって破壊されていたからなんだよね」

164 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:26:15 ID:obu752LbNp
「なるほど……ってこっち側の廊下のドアはちゃんと流れた方でしたよね?何でこっちのセンサーが壊れているんですか?」

りこさんの言っていることに一瞬納得仕掛かったけれどよく考えたらおかしい。私達が今いるのはたまさんが出ていった側の廊下。鳴らなかったのはたまさんと私が入った側のドアのはずだから、壊れているのはそちら側の廊下のはず。

「そうそう実はこれねー牛巻達が寝るまでは壊れていなかったんだよね。つまり……寝ている間に壊した人がいるんだよ。参加者の誰もそんなことをするメリットが無い以上、やった人は単に悪戯でやったっていうことになる」

「つまりりこぴんはそれがロッシーちゃんだと?」

「うん」


なるほど……確かにその可能性は高い。
……ん?あれ?


「皆さん……ちょっとあそこ見てください」
私は廊下の奥を指差した。私は視力低いですし、もしかしたら見間違えかもしれない。
でもどうみてもあの水色のシルエットは……

「ん?何?」

「あのおくーの奥の方……ロッシーちゃんいません?」

165 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:26:47 ID:obu752LbNp
見れば見るほどロッシーちゃんにしか見えなくなってきました。
……すぐに突撃出来るようにしておきましょうかね。ロッシーだと確認出来たら。

「あっ本当だ」
「ロッシーちゃんだね」
「マジ?マジだ……」


私は三人の言葉を聞いた瞬間即座に走り出した。当然ですね。見つけた以上、すぐに確保に向かうのは当然のこと。ここで悠長にしていて見失ってしまったら最悪ですからね。

「死ぬ覚悟で…行きます」

「ちょっ、かぐらん!ストップ!ストーップ!」

「早くあの紛い物に追い付いて殺さなきゃ私が死んでしまうんですよ!だから私、真っ直ぐ進む気しかありません!」

「分かった!確かにすぐ追い付くのは最重要事項だけど準備とか色々あるし、止まって!」

「死ぬ準備ならできてるんですけど…何の準備ができたって言いました?」

「準備出来たなんて言っていない!言っていない!心の準備とかー!元々そろそろ外に出る気だったから持ち物は全部持っているけど!」

牛巻さん達が後ろで追いかけながら何か言っている。まぁ着いてきているなら大丈夫でしょう。

166 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:29:06 ID:obu752LbNp
Side:電脳少女シロ 三人称視点 二階【00:18:11】
この人のラストはここ→>>121


「うりゃっ!」

シロは走りながらナイフを投げた。走りながらなのに関わらずかなり上手い。


「いたっ!もう、しつこいですわ!そんなにお暇なんですの!?」

そしてそのナイフは……ピノの脚を掠めた。


現在シロとピノは廊下で追いかけっこの真っ最中。逃げるピノをシロが追う展開だ。
ピノは換気ダクトを使って逃げたが、思ったよりシロがそれに気づくのが早く、追いつかれてしまったのだ。


「わたくし落とし穴作戦が失敗した以上、別にシロお姉ちゃんと事を構える気は無いんですけれど!どうしてシロお姉ちゃんは益が無いのに追うんですかー?シロお姉ちゃんは二人と一緒にいましたし、3や9では無いんでしょう!?」

ピノは振り返りもせずに全力で走りながらシロに質問する。

「このあとのピノちゃんの動きがもう読めているからね!それを阻止するために追い回しているの!」

シロは息を切らしながらも投げたナイフを回収して言った。この二人、どちらもあまり体力が無いが実はより体力が無いのはシロの方である。

「ピノちゃん。このあと一番近い一階と二階を繋ぐ階段の所に行って確実に二人を二階に上がらせないつもりでしょ?シロがピノちゃんならそうするからね!」

シロの言葉が的を得ていたのかピノは少し狼狽える。

「くっ仕方ないですわ!見てくださいこれを!爆弾ですわ。シロちゃんがこれ以上近づくなら投げますよ!」

もう疲れ、逃げられないと悟ったのかピノが足を止めて振り返って脅す。ピノが持っていたのは手榴弾だった。

167 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:30:33 ID:obu752LbNp
流石にシロもそれを見て足を止める。

「ピノちゃん!ここで投げたらピノちゃんも巻き込まれるよ!」

シロは少し焦ったような声で言った。しかし、ピノは一歩二歩と後退りながらも構え自体は解かない。

シロはピノの方に突撃しようか一度引き下がろうか迷っている様子だ。ピノはほの様子を確認したあと、PDAを取り出した。
それを隙だと見たシロは突撃を敢行した。
しかし、


「ふっふっふっ。シロお姉ちゃん。もう遅いですわ」

シロの目の前でシャッターが閉まる。

ガシャン

「わたくしのPDAには罠感知機能が入っていると先ほど親切に説明してあげたではありませんか」

「つまり、分断用のシャッターがここにあるのをピノちゃんは知っていてここまで来たって訳かぁ……」

「その通りですわ」

「なるほど。これはシロちゃん一本取られましたね」

168 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:33:17 ID:obu752LbNp
シロはシャッター越しにピノと会話しながらもどうにかしてシャッターを開ける方法が無いかを確かめる。
しかし、明らかに認証用のカードキーのようなものが必要そうなもの以外は特に何も見当たらない。PDAをかざしてみても開かないようだ。

シロはここを突破するのを諦めて別の道を探そうとしたとき、自分の後ろに誰かがいることに気がついた。
振り返るとそこには……


「ロッシーちゃん?」

そこにいるのはなんとエクストラゲームの標的であるロッシーと……更にはるか後ろに4人牛巻りこ、猫乃木もち、神楽すず、花京院ちえりがいた。
しかし、どうやらシロはロッシーに気をとられ、後ろの4人には気づいてないようだ。

ロッシーは、呆然としているシロが我に変える前にタックルをして吹き飛ばすとシャッターの前に立った。

ピピッガチャ

ロッシーは持っているカードキーをシャッターにかざす。
すると強固に閉じていたシャッターが徐々に空いていく。ロッシーはどうやらすず達4人から追いかけ回されており、シャッターのせいで袋小路となっていたこの通路から逃げるためにシャッターを開いたようだ。

169 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:34:24 ID:obu752LbNp
「えっ?」

まだシャッター前にいたピノは急にシャッターが開き、驚いたような声を出す。

シャッターが開き、ピノ側の今の状態が明らかになっていく内にピノがシャッター前から動けなかった理由が分かった。


「あれ?いっぱいいる!これじゃあ攻撃されたとき銃の弾足りないなぁ……どうしようー」

二階に降りてすでに最後のチェックポイントを通過し終えた金剛いろはは銃を構えてピノよりも向こう側のところに立っていたのだ。


尻餅をついて倒れているシロ、まだどうしてシャッターが開いたのかが分かってないピノ、4人から逃げるためにシャッターを開いたロッシー、そしてロッシーを追い求めて走ってきてここまで辿り着いたりこ、もち、すず、ちえりの4人。既にこの階でのやることを終えている金剛いろは。


なんと二階にいる八人全てが
ここに集結していた。

170 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:35:56 ID:obu752LbNp
Side:もこ田めめめ 一人称視点 一階【00:18:32】
このチームのラストはここ→>>138


まさかふたばちゃんがサブマスターだったなんて……!

急に気力が湧いてきた気がするふたばちゃんの秘密暴露はすごいのだらけでまだ頭の中で整理できていない。
とりあえず隠し階段の方向は頭の中に入れて現在はそちらに向かって歩いている。

「なに?めめちゃん?あまりの情報の多さにびっくりしちゃったの?双葉はめめめちゃんから暴露してもらった情報で混乱は全くしてないけどね」

「ふーちゃんに渡せるような情報が自分の解除条件だけのめめめと、色々情報を抱えてたふたばちゃんを一緒にしないでよー!」

よし、ふたばちゃんに教えてもらった情報を一旦頭の中で整理しよう。

まずふたばちゃんはサブマスター。
サブマスターはこのゲームの情報をいくつか知っており、ゲーム内で不測の事態が起きたときに対応するのと原作再現のために用意された役職。ランダムに13人の中から二人選ばれるみたいだけれどふたばちゃんはもう一人のサブマスターが誰だか知らないし、おそらくもう一人もふたばちゃんがサブマスターであることは知らない。

171 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:36:34 ID:obu752LbNp
基本的にサブマスターはサブマスターであることを他の参加者に言ってはいけない。
ただし、どうしても言わなければならないような事態に陥った場合や他参加者から運営側だと疑われた場合は言っても可。
今の状況はその『どうしても言わなければならないような事態』に含まれるかどうかは分からないし、破ったときのペナルティーは何かは知らない。

サブマスターが事前に渡される情報は自らこのゲームから離脱する方法や運営と連絡を取る手段、マップの位置関係と隠し通路。そしてルールとルールに書かれていないいくつかの隠し仕様とか……らしい。
結構色んなことを事前に教えてもらっているようだけどエクストラゲームの内容とか誰がどの解除条件かまでは教えてもらっていないようで。

めめめは誰が危険な解除条件かを知りたかったんだけどなー

そうそう解除条件といえばふたばちゃんの解除条件を教えてもらった。
ふたばちゃんの解除条件は6。ジョーカーの5回使用らしい。


https://vt-bbs.com/upl/1544844994-1.jpg


172 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:37:56 ID:obu752LbNp
この解除条件なのにめめめやシロちゃんと一緒にすぐに上に行っちゃった理由もふたばちゃんは教えてくれた。
たしか実はジョーカーの位置はある程度決められていて、参加者が最初に眠っている隣の部屋にランダムにジョーカーのPDAが置かれるという仕様になっているからよほどランダムに選ばれた人の運が悪く無い限りジョーカーをすぐに手に入れることが出来るからわざわざ一階で探索をしてまでジョーカーを探す意味はほぼ無いから……だったかな。

他にも戦闘したって判定になる条件は殺意を持った状態で攻撃を仕様としたor本人が意図しているか意図していないかに関わらず、誰かが負傷する可能性があるような行動を取るが条件らしい。
つまり、戦闘禁止エリアで銃を構えて脅しても実際に引き金を引かない限り首輪は作動しないし、戦闘禁止エリアで料理に睡眠薬を混ぜても戦闘判定にはならないから眠ったところで戦闘禁止エリアの外まで引きずりだして外で殺すということも可能とのこと。
んー複雑。難しいけど殺そうとしたらアウト。脅しならセーフってことかな?ちえりーらんど送りにはなりたくないから気をつけないと。

173 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:48:16 ID:obu752LbNp
さて隠しエリアについてだけどどうやらいくつか事前にサブマスターは場所を教えてもらっている通路や階段がいくつかあり、そこはなんとマップには載らず、各種探知系ソフトウェアにも映らないようだ。とはいえ誰でも見つけられる可能性はあるようにしているみたいだけれど。

というわけでめめめが向かっているのはここから一番近い一階から三階まで一気に行ける隠し階段なんだけれど……

「着いた!ここだね!」

脚が痛いから結構時間かかっちゃったけれどようやく着いた。
いや、18時間30分だから……結構余裕あるかな?とりあえずドアを開いた。

ガチャ

部屋を見た限りは普通の部屋だ。いや、違う。良く見ると一点、壁が崩れているように見える箇所がある。

「えっ?崩れているってことは誰かがもう使っているっていうことだよ!」

ふたばちゃんが少し焦ったような声で言う。

めめめは緊張してゆっくりになりながらも階段の状態が見える位置まで近づいた。


しかし、階段は今すぐに通れるような状態ではなかった。


「まきびし……ピノちゃんここも知っていたの?まさか……ピノちゃんがサブマスター?」

階段一段一段にびっしりとまきびしが撒いてあったのだ。

174 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 12:55:18 ID:obu752LbNp
一度部屋から出て作戦会議をする。しかし、ふたばちゃんの顔は暗い、おそらくめめめの顔も似たような感じだろう。

「めめちゃん。まきびし撤去はできる?」

「出来るか出来ないかで言ったらたぶんできる……でもちょっとトラウマになっている上にあんなにびっしりだから時間は結構かかるかな」

「しかもあれのせいで他に何か仕込んであっても分かりにくいしね。爆弾とか」

ふたばちゃんにさっき聞いた話によるとこのゲームでは一階二階と上がっていく内に落ちている武器もどんどん強くなっていくらしい。
なかでも三階からは一気に武器が強くなっていって、二階の主な武器がナイフなのに対し、三階からは爆弾や銃が解放されていく。
つまりピノちゃんがそれを知っているサブマスターだったら先に三階に上がってそれを入手している可能性が高い。
この隠し階段は三階まで繋がっているし、入手しに行くだけなら簡単だ。

「それに……そもそもこの階段の上で待ちぶせている可能性もあるんだよね」

「かと言って今から他の階段に行くのも時間はきつい」

「うん」

「まあめめちゃんが双葉を置いていってくれるなら一人は助かるんだけど」

「めめめそれは絶対しないからね」

それは絶対しない。ふたばちゃんを絶対見捨てない。ゲームだろうと味方ならそのスタンスは絶対変えない。


「ともかく、この階段を登るか別の階段を探すか……どちらにせよ早く決めないとね」

どちらもリスクが高い二択

めめめ達は今、それをやらざるを得なくなっていた。

175 名前:1[age] 投稿日:2018/12/15 13:01:24 ID:obu752LbNp
というわけで本日の更新はここまでです。

ここまで1に付き合ってくれている聡明な読者の皆様ならピンと来ていることだと思いますが、実は双葉ちゃんが登ろうとしていた隠し階段はイオリンが見つけた隠し階段と同じです。
ピノ様はイオリンとなとなとが作戦会議をしている様子を換気ダクトから聞いていたのでこの隠し階段を知っていて、一応のためにまきびしで埋めておいたのですね。それをやったせいでシロちゃんには追いつかれてしまいましたが

実はもう誰がジョーカー持ちとかは誰がどの解除番号とかはある程度既に目星がつけられるようにしています。
ヒントを挙げるなら……会話自体に注目。でしょうか

176 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/15 13:46:33 ID:2Vj7DXUHuC
更新乙です
シロちゃんが9か?解除条件厳しいみたいだし、情報の不開示も警戒されない為に…とか
あとごんごんが強武器手に入れてて草

177 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/15 13:49:24 ID:b4pmbltfRl

ジョーカー持ちはなんとなく予測ついてるけどそれぞれ何の番号なのかははっきりしないかなあ
こうなるとちえりちゃんは遭遇判定大量入手チャンスになるね

178 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/15 20:49:44 ID:3mb4w5v0Mp
シロちゃんは双葉ちゃんとめめめちゃんがあのままちえりーらんど送りになると困るのかな
9なら見殺しにした方が確実だし

179 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/15 21:23:31 ID:2Vj7DXUHuC
現在の解除条件一覧(最新版)

A【ヤマトイオリ】…QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。

2【八重沢なとり】…JOKERのPDAの破壊。このPDAのみ半径1m以内でJOKERの偽装機能は無効、初期化される。

3【???】…3名以上の殺害。ただし首輪の作動は含まない。

4【木曽あずき】…自分以外の首輪を3つ取得する。首を切り取っても、解除条件を満たし外すのを待つのも良い。

5【金剛いろは】…館全域の24個のチェックポイントを全て通過する。特殊効果として地図上にポイントの表示がされる。

6【北上双葉】…JOKERの偽装機能を5回以上使用。自分で使う必要も、近くで行う必要も無い。

7【花京院ちえり?】…開始から6時間目以降に全員と遭遇。死亡している場合は免除。

8【神楽すず】…自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する。

9【???】…自分以外の全参加者の死亡。手段は問わない。

10【カルロピノ】…首輪が5個作動すること。ただし2日と23時間より前に行うこと。

J【牛巻りこ?】…開始から24時間以上行動を共にした人間が2日と23時間時点で生存していること。

Q【猫乃木もち?】…2日と23時間の生存。

K【???】…PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

JOKERの持ち主【???】

たま会長の候補が3か9(殺人の必要があるため)
シロちゃんの候補が3か9かK(7.J.Qもあり)
めめめの候補が3か9かK(7.J.Qもあり)

まとめるとこんな感じか?

180 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/15 22:03:45 ID:JqpqXKlYA6
>>179
会長Kもあるかなって思ってる

181 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/15 22:18:02 ID:dbFR5SeUtJ
殺すことに利益があるたまちゃんは3・9・Kのいずれか
シロちゃんはたまちゃんとめめめが死んでほしくないっぽいからKかJあとは自分で殺したい3、デコイにしたいってことでQも一応あるかも
めめめはふたばちゃんは味方って言っていて置いていけとは言っても殺せとはいっていないから3と9は無い。K・7・J・Qのどれかかな?

182 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/15 22:53:27 ID:QD5vTKaQmZ
双葉ちゃんが善意とはいえあんなに情報を開示しているのにめめめちゃんはまだ解除条件を教えていない
ということでメタ推理になっちゃうけどKではなさそう

183 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/16 00:01:56 ID:2Vj7DXUHuC
読者には分からないだけでめめめは解除条件伝えてるぞ

184 名前:1[age] 投稿日:2018/12/16 19:28:23 ID:cnOJ7RORuU
【速報】作者矛盾に気づく

>>132でめめめちゃんがピノ様に言われてルール6を読み上げるシーンがあるのですがよく考えたら>>50にある通りめめめちゃんはルール6を持っていませんでした。
なのでめめめちゃんはルール4とルール6をふーたんはルール5とルール8を持っていることに変更いたします。

185 名前:1[age] 投稿日:2018/12/16 19:29:33 ID:cnOJ7RORuU
ついでにそのときのピノ様のセリフも変なので
>>132冒頭のピノ様の「では続いてルールの侵入禁止エリアに関する項目を開いてください」というセリフを
「ではもしめめめお姉ちゃんが侵入禁止エリアに関するルールを知っているならばその内容を読み上げてください」に
めめめの「開いたよ。読み上げればいいの?」を
「そのルール持ってるよ。そのまま読み上げればいいの?」に変更いたします。


次の更新でついに死人(ちえりーらんどか総合病院行き)が出ます。二階の乱闘で死人が出るのか、一階で二人が死んでしまうのか。そもそも死ぬのは一人なのか二人なのか。
たぶん明日には投稿出来そうなのでお待ちください。

このSSはまとめOKなんですけどまとめてもらうならイオリンの最初の方のセリフミスも訂正した方が良いのかな……

186 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/16 20:32:25 ID:YI7/Bus6sg
ちえりーらんど送りから逃れたいだけか賞金狙いかによって行動も結構変わってくると思うけど今回賞金狙いの人いるんだろうか

187 名前:1[age] 投稿日:2018/12/16 22:06:07 ID:cnOJ7RORuU
>>186
あ、これ予想する上で重要そうなんでちゃんと言いますね
この段階ではまだ時間もそんなに経っていないので賞金狙いたい人もまだ様子見しています。なので賞金狙いで殺そうとする人は『まだ』いません。24時間経過した頃からそういう人も出てきますが、今の段階ではそこ考慮で予想しなくて大丈夫です。
敢えて言うならピノ様は殺さなくても達成可能な解除条件なのに殺しに動いているので賞金狙いと言ってもいいかもしれませんが。

イオリンについてはまとめてもらうときにわざわざ管理人さんに差し替えてもらうのも大変だと思うのでとりあえずやらないことにしました

188 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/16 22:34:42 ID:YI7/Bus6sg
あとルールや解除条件の細かい部分についてどのくらい把握しているかも今後の展開の鍵になりそうだな

189 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2018/12/17 00:08:10 ID:Rs3HFmlRBQ
現時点で一階組は(すぐには)死因ないように見えるし四人組はまだ動かなさそう、ジョーカーも動くには早いだろうし
残りの二階勢の乱闘が一番ありそうだけど三階も戦闘起こる可能性はあるね
いろいろ考えたけどやっぱり初の敗北者はピノ様予想武器ない(ダクトに隠してあったら別)し挟まれてるし

190 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 15:37:33 ID:sfbuGru1qB
最初の6人は情報交換で把握
めめめコンビはサブマスターの情報で把握
たま会長のコンビはルールブックで把握
ごんごんもイオリンたちと情報交換して把握
今ルール抜けあるのはシロちゃんが【9】ピノ様が【5.8】かな?

191 名前:1[age] 投稿日:2018/12/17 17:15:27 ID:6bzAlspGSy
めっちゃ考察進んでる……嬉しい……


Side:北上双葉 一人称視点 一階【00:18:40】
前回のこのチームのラスト→>>170


「さて、めめちゃん。さっさと決めなきゃいけないんだけど、この選択が命運を分けるからちゃんと考えよっか。まず双葉達はこれから二つの選択が出来るよね?」

双葉は今、廊下の壁に寄っ掛かった状態でめめちゃんとお菓子を食べながら会議中。
文面だけ見るとほんわかしてそうだけど実際は双葉もめめちゃんも血を流しているし、話している内容は死活内容だ。

「隠し階段のまきびしを撤去してそこから上がっていくのと、別の階段まで行くのだよね」

「うんうん。で隠し階段のメリットは確実に24時間経過までには2階に上がれること。デメリットは罠がしかけてあったり、誰かが待ち構えていたら確実に全滅すること」

「別の階段に行くメリットとデメリットは隠し階段のメリットデメリットの裏返しだよね」

「いや、別の階段に行くメリットはめめちゃんが双葉を置いていけばめめちゃんは確実に生き残れるっていうのもあるよ」

「却下」

くっ、めめちゃんに却下されてしまった……

192 名前:1[age] 投稿日:2018/12/17 17:19:35 ID:6bzAlspGSy
ピピピピピピピピピピ


双葉のPDAが鳴り出す。この音はPDAが何かメッセージを受信したときに流れる音だ。
さっきのエクストラゲームの連絡のときは双葉とめめちゃん両方のPDAが鳴っていたから、エクストラゲームの通知ではない。
となると双葉のだけが鳴る理由は一つしか思い付かない。

そう、今鳴っているのは『サブマスター』の北上双葉宛て。

緊張しながらもPDAを開く、その画面に映っていたのは……

……赤ピーマンだった


『もしもし、お母さん』

第一声を聞いてPDAを粉砕してやろうかと思ったけどなんとか心を落ち着かせる。

「おい、ピーマン。双葉のことを次その呼び方で呼んだら【自主規制】するぞ?分かったか?というかそもそもあんた達を作ったのはクソインキャな園芸部じゃん?殺されたいの?」

あまりの怒りに言葉に熱がこもってしまう。つい園芸部のみんなも無駄に罵倒してしまった気がするけど……まあいいや。

『ごめんなさい双葉ちゃん。もう次からしないから許してよ。最近ピーマンくん再評価の動きとか出てたり、二次創作で可愛い妹とかが出来たりしてて調子に乗っちゃったんだ……てへぺろ』

「うるさい。叩き割ってやろーか?」

『ふぅん良いよ。首輪作動させられても良いならね。……関係ないけど隣にめめめちゃん居るよね?』

193 名前:1[age] 投稿日:2018/12/17 17:23:52 ID:6bzAlspGSy
目の前のめめちゃんが一気に不安そうな顔で挙動不審になった。

そして双葉も、一気に、体が緊張した。

忘れてたけどコイツも運営側。双葉専属のスタッフって事前に言われた気がする。たしかもう一人のサブマスターは緑の方らしいけど……
ともかくコイツがやろうと思えば、スイッチ一つでちえりーらんど行き……!


『まぁまぁそんなに怒らないで。観客もいるからよほどの理由が無い限り、そんな横暴はボクの権限じゃ出来ないよ。……よほどの理由があれば別だけどね。例えば……約束破りとか』

サブマスター暴露のペナルティ……
めめちゃんがめめちゃん自身を責めるような顔をしてこちらを見ている。いや、双葉が決めて言ったんだからめめちゃんは全く関係がない。双葉が巻き込んだ側だし、足手まといになっているのも双葉だ。

なら、めめちゃんに被害が及ばない限りはなんでもしてやる

『そうそうサブマスター暴露のペナルティなんだけれどね。これで許してあげることになったから。なんと!次の行動の双葉ちゃん達の行動をアンケートで決めることにしました!これがペナルティです!』

194 名前:1[age] 投稿日:2018/12/17 17:27:31 ID:6bzAlspGSy
「え?」

そう声を漏らしたのは双葉とめめちゃん両方だった。
もっと酷いのを想定していたから大分マシで安堵の声を漏らした。

『安堵しちゃっていいのー?これからアンケートを観客に取って、その結果で隠し階段か別の階段に行くかが決まっちゃうんだよー?命運を分けるとか自分で言っていなかったー?』

そうだった。この選択が命運を分ける。

お願い。良い方に転んで……!



メタ的なお話
今日はこのあといくつかの視点を投稿して終わります。皆さんは感想と一緒で良いのでふためめコンビの命運を分ける選択を選んでもらいます。
選択肢は
A隠し階段を進む
B別の階段の所に行く
です。ただし、他に案があれば提示してくださっても構いません。
基本はみなさんの投票を見て、多数決で決めるつもりです。
ですが話し合い可能なら話し合って決めてくださっても構いません。
結果が出たなとこっちが判断したタイミングで早ければ明日、その結果に基づいた三章ラストを投稿させていただきます。
今日の残りの視点の分は8時くらいの投稿を予定しているのでそれが来る前に投票してくださっても構いません。

195 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 17:48:15 ID:sfbuGru1qB
更新乙です
ゴンゴンがイオリンに教えてもらった隠し階段で二階にいったらピノ様と遭遇したんだよね?…たしか
今二階に行ったら巻き込まれそうだし自分は【B】かな

196 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 17:57:58 ID:FfrhBC0gFX
やっぱり僕は王道を行くAですかねぇ

197 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 18:04:04 ID:q8DepA4Uhh
うーん…【A】かな
単純に二人の生存確率が上がるっていう点でこっち。【B】だとタイムオーバーの予感。
ピノ様が脅しに使ったのは手榴弾だし、設置する系爆弾は持っていなそう
待ち伏せはタイミング的にあり得なそうだし、 バッタリ出会うとしてもピノ様、ゴンゴン、あと牛巻も知っているかな?確実に敵対するのは1人だけだしそんな運悪いってことは無いでしょ(フラグ)

198 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2018/12/17 18:45:41 ID:jFB2GuNqEq
投下乙!
自分も【A】かな

199 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:01:36 ID:lgMS8NfOKF
自分も【A】を選択

200 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:15:46 ID:yLmEnC4RUx
バトル描写苦手なんであっさり済ませます
許して


Side:ロッシー 三人称視点 二階【00:18:18】
前回はこちら→>>166


この状態で最も早く動いたのはロッシーだった。
ロッシーは何かを取り出すと4人組がいる方に投げとばした。
そしていろはの方に走る。4人組から逃げることを優先した結果だろう。

「攻撃して来るのか!まあ当たり前ですよね!」

他の3人よりも早く飛び出していたすずは投げられたボールのようなものを回避しそのままダッシュする。
その背後でボールが地面落ち、何かが割れるような音がした。

シュゥゥゥゥ……

「これって煙玉!?」

すずより遅れた三人は煙玉で足を止める。目の前にはナイフをもったシロ、脚を怪我しているように見えるピノ、煙玉を持っていたロッシー、そして銃を構えたいろはがいる。
明らかに突入したら攻撃されるのは間違いない。視界が悪い中、彼女達が戦っている場に行きたいと思う者はそういないだろうし、そもそもすずを除く三人は自分から戦闘して利益がある解除条件ではない。しなくても良い戦闘を行いたいと思う人間など戦闘狂だけだろう。

ロッシーの投げた煙玉の勢いは強く、すぐさま煙で廊下は充満しようとしていた。

201 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:16:25 ID:yLmEnC4RUx
ロッシーを狙おうとする者は三人いた。
すず、シロ、そしていろはの三人だった。
最初に攻撃したのはいろはである。

パン

いろははロッシーに向かって後退しながら射撃をした。
しかし、ロッシーには当たらず……

ロッシーの後ろでナイフを構えていたシロの左腕にヒットする。

「いてっ!」

シロは堪らず動きを止めた。シロを追い越したのはすずだ。
いろはは後退しながらも牽制なのか更にすずに向かって一発撃つが誰にも当たらない。

「そんなチマチマ撃っててもね、当たらないんですよ、私には」

すずは更に突撃する。その向こう見ずな姿に、解除条件的に戦闘するのは旨味がないいろはも流石にたじろいだ。
一方、ロッシーはいろはの銃に驚き、警戒をしているのか動きを止めている。
すずはいろはもロッシーも動きを止めているこの状況をチャンスと見て、ロッシーに向かって自分が唯一持っている武器であるカナズチを構えた。

「お前をシェイクにしてやる!」

202 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:18:47 ID:yLmEnC4RUx
ロッシーは降り下ろされたカナズチを何とか回避した。
それを見ていろはは戦闘する旨味はない上にこのまま何もしなければ自分が攻撃されることは無いのではないかと気がついた。

いろはは煙幕を背に駆け出す。

背後は既に煙は充満し、廊下の先はほとんど見えなくなっている。

そして、爆発音すら聞こえてきた。

爆発音を聞いたいろはは危機感から走る速度を更に上げて逃げ出した。



一方、見えなくなっていた煙の中では更なる大混乱が沸き起こっていた。

その原因は爆発音。誰にも爆発によるダメージはなかったようだが、爆発と煙幕の結果、それぞれがバラバラな行動を取りはじめる。
爆発がわざと自分達から離れたところで起こったということにも、この真意にも気づかずに。

203 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:19:39 ID:yLmEnC4RUx
逃げ出す者、逃げ出した者に対して追撃をかけようとする者、動かずにじっとその場に留まる者。
多種多様の動きを彼女達は見せた。

誰かが怪我したのか小さな悲鳴が上がる。しかし、煙の中でそれが誰だか判別することは叶わない。
複数の足音が煙の中心から別々に離れていく。


煙がはれ、廊下に残っていたのは……

「あれ?みんなは?」

辺りに血が散らばる中、残っていたのは牛巻と……


「りこお姉ちゃん。わたくしもいますわよ」


片腕をおさえて立っているピノだけだった。

204 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:20:12 ID:yLmEnC4RUx
「うわっ!ピノちー!?その怪我は!?」

ピノはりこの目の前では一切誰かに攻撃する姿を見せていなかったので、牛巻はあまりピノのことを警戒していないようだ。

「あーこれですか?……シロお姉ちゃんですわ。煙の中走ってきてすれ違いざまにぐさり。です。腕でガードしたのでちえりーらんど送りは防げましたがね。ところでりこお姉ちゃんは弱っていてちょうど良いわたくしを殺す気はありますの?」

205 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:20:40 ID:yLmEnC4RUx
いかにも無害な存在であるように言っているが、ピノは手榴弾を始めとしたいくつかの武器を換気ダクトの出口に隠しておいていた。

しかし、大きな物はシロとの追いかけっこの最中に邪魔になって投げ捨てたので、今はバッグの中に入るような小さな武器だけ。そのためりこは少なくとも表面上は警戒していないように見える。


「殺す気なんて無いよ!ピノちーが納得するようにちゃんと理由を言うと思わぬ反撃が怖いし、メリットも無いからね!」

ピノはりこの言っていることに納得したらしい。ピノは牛巻に背を向けて廊下を歩き出す。
牛巻は宣言通りピノを追撃することなく、そのまま廊下に残っていた。

「うーん。みんなとはぐれちゃったなぁ……これからどうしようかな」

206 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:41:21 ID:yLmEnC4RUx
Side:猫乃木もち 一人称視点 二階【00:18:35】


ふぅー煙玉びっくりしたー
まさかロッシーちゃんが反撃してくるとはね、てっきり動画での話だと無害だと思ってたんだけど……

私は今、長い廊下の端の方にいる。とりあえず煙幕にいるのはまずいと思ったからごんごんが行かなかった方向に、つまり私達が来た道を引き返した。
うーん迷子になっちゃったなーせめて一人くらいは合流したいんだけど。
にゃんこは寂しがりやなんだぞー!

ん?

何かこの長い廊下の私がいる方じゃない端を通りすぎるシルエットが見えた気がした。けれどすぐに見えなくなった。うーん何だろう。分からなかったな……
この廊下めちゃくちゃ長いからなー

するとすぐに同じように通りすぎるシルエットが見えた。
うん。今度は誰が通り過ぎたかわかった。分かったけれど……

「すずちん速いよ!置いてかないで!」

こんな長い廊下の端から端に行くのに時間がかかる上にあんなスピードで爆走しているんじゃ追いつけないよ!

ていうか最初に見たシルエットってもしかしてすずちんが追っているってことはロッシーちゃん?

207 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:50:15 ID:yLmEnC4RUx
ジョーカーは基本的に偽装しているPDAの解除条件に関する特殊効果もきちんと表示されます。(例:5のチェックポイント表示機能)


Side:花京院ちえり 一人称視点 二階【00:18:35】


ちえりだよ(現在迷子)

7のPDA
解除条件
開始から6時間目以降に全員と遭遇。
死亡している場合は免除。

現在遭遇人数……7人


ちえりはもう確認し終えた解除条件を閉じて、視線を廊下の方に戻した。

ちえりは煙の最中、たしかいろはちゃんが行った方向に進んだはず……そしてすぐある分かれ道をたしか左に進んで……

せっかくだし、探索でもしようかな。
そう考えて最寄りのドアを探そうとして、あることに気づいて足を止める。

あれなんか近くで声が聞こえるな……?

『ここは戦闘禁止エリアです』

……これりこちゃんが実験って言って私達が休んでいたところで鳴らした声と同じだ。

っていうことはつまり誰かが戦闘禁止エリアに入ったってこと。それもすぐ近くで。

……どうしよう。行くべきか行かないべきか

行ったときのメリットは入った誰かがすずちゃん、りこぴん、もちちゃんだったら合流できることと、戦闘禁止エリアという安全な場所に行けること。


デメリットは三人以外だったら襲われる可能性があること。戦闘禁止エリアの中なら問題ないけど、戦闘をしていた二人の内片方が戦闘禁止エリアに逃げこんで……っていうパターンだったら戦闘禁止エリアに入る前に襲われる可能性が非常に高い。


うーん……

私はちょっと考えた後に戦闘禁止エリアの方には行かず、引き返すことにした。

208 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 20:58:03 ID:yLmEnC4RUx
本日はこれで終了です
戦闘描写って戦闘をリアルに書くなら回避回避回避!ってことにならない限りそんなに長引かないと思うんですよね
というわけであっさり書いちゃうので戦闘描写苦手です。おい、デスゲーム書いてるのにそれで良いのか?

アンケートについてなのですが書きたい展開が多すぎてプロットが途中で分裂しちゃったのでじゃあ読者様に決めてもらおうかなっていうやつです。

209 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 21:15:37 ID:sfbuGru1qB
今殺すことを明確に考えてるのは
たま会長、ピノ様の2人
たま会長は今3階だし、ピノ様も怪我してる上に強力な武器持ってないみたいだし【A】で問題なさそうかな…

210 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/17 23:20:30 ID:jFB2GuNqEq
投下乙!
牛巻ピノ様のシーンが若干不穏ですねぇ…

こういうデスゲームものって所謂「かませ犬ポジション」が定番だと思うけど、それを無しにここまで話を書けるのはすげーなぁ
>>1って結構SS歴みたいなの長い感じ?

211 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/18 00:04:02 ID:yLmEnC4RUx
>>210
SS書き自体は数年前からやってたけれど誰にも見せないもので、本当に書いてネットに投稿しはじめたのはほんとここ1年ですかね
その分SSやなろう、やる夫スレとかをずっと読んで、小説ではない二次創作やSSの書き方を勉強してから書いたのと、TRPGが趣味なのが大きいかもしれません。
だからみなさんのコメント一言一言がとても嬉しいです
ちなみにこのスレで他に書いたのは
これとかhttp://vt-bbs.com/index.cgi?read=301&ukey=0
これですねhttps://vt-bbs.com/index.cgi?read=361&ukey=0

212 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/18 00:15:22 ID:sfbuGru1qB
シリアスな作品を書いてる裏で、とんでもなく為力のある作品書いてて草

213 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2018/12/18 23:59:46 ID:3VuRctZubZ
>>211
おお親分の奴もそうだったんか。それ好きだぜ
いつかそのうち休止中の奴も再開してほしいな

214 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 20:52:05 ID:qoofihSBVt
>>213
【キズナアイがいない世界】はあの炎上の件と被る内容があってプロット変更しようと思ったんですがプロット変更に難航して放置してます。
できれば再開したいんですけれどね

215 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 20:54:25 ID:qoofihSBVt
これから三章終わりを投稿しますがかなりルールが重要なので再掲します

▼ルール1
参加者には特別製の首輪が付けられている。それぞれのPDAに書かれた状態で首輪のコネクタにPDAを読み込ませれば外す事ができる。条件を満たさない状況でPDAを読み込ませると首輪が作動し、15秒間警告を発した後、着用者を【死亡判定】にする。【死亡判定】を行ったあと首輪は消滅する。
一度作動した首輪を止める方法は存在しない。

▼ルール2
このゲームは本来の体ではないアバターを使って行われている。アバターが傷つき現実なら死んでいるような状態になったや首輪が作動したとき【死亡判定】となり、強制ログアウトが行われる。ログアウトした者は敗北となる。
ログアウトした瞬間アバターは等身大のマネキンに変化する。持っていたものは作動済みの首輪を除き、基本的にそのまま残る。

▼ルール3
参加者には1〜10のルールが5つずつ教えられる。与えられる情報はルール1〜3と、残りの4〜10から2つずつ。およそ5、6人でルールを持ち寄れば全てのルールが判明する。

▼ルール4
PDAは全部で13台存在する。13台にはそれぞれ異なる解除条件が書き込まれており、ゲーム開始時に参加者に1台ずつ配られている。この時のPDAに書かれているものが、ルール1で言う条件にあたる。他人のカードを奪っても良いが、そのカードに書かれた条件で首輪を外すのは不可能で、読み込ませると首輪が作動し着用者は敗北する。あくまで初期に配布されたもので実行されなければならない。

216 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 20:54:52 ID:qoofihSBVt
▼ルール5
最初に配られる通常の13台のPDAに加えて1台ジョーカーが存在している。これは、通常のPDAとは別に1階のどこかに置かれている。ジョーカーはいわゆるワイルドカードで、トランプのカードをほかの13種のカード全てとそっくりに偽装する機能を持っている。制限時間などは無く、何度でも別のカードに変えることが可能だが、一度使うと1時間絵柄を変えることができない。さらにこのPDAでコネクトして判定をすり抜けることはできず、また、解除条件にPDAの収集や破壊があった場合にもこのPDAでは条件を満たすことができない。

▼ルール6
侵入禁止エリアが存在する。初期では屋外のみ。進入禁止エリアに侵入すると首輪が警告を発し、その警告を無視すると首輪が作動し強制ログアウトが行われる。また、2日目になると侵入禁止エリアが1階から上のフロアに向かって広がり始め、最終的には館の全域が侵入禁止エリアとなる。

▼ルール7
開始から3日間と1時間(73時間)が過ぎた時点で生存している人間を全て勝利者とし、20億電脳ペリカの賞金を山分けする。ゲーム終了後電脳ペリカで購入可能なショップをオープンする。
逆に強制ログアウトした者はちえりーらんどかカルロ総合病院での無償労働14日間の罰が与えられる。

▼ルール8
指定された戦闘禁止エリアの中で誰かを攻撃した場合、首輪が作動する。

▼ルール9
開始から6時間以内は全域を戦闘禁止エリアとする。違反した場合、首輪が作動する。正当防衛は除外。

217 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 20:55:43 ID:qoofihSBVt
今まで投下した分を読んでて、双葉ちゃんはもう少し子供っぽい喋り方だなって思いました。
というか全部ひらがなにしようかな……
それアイドル部のSSである必要ある?って言われるんじゃないかとビクビクしながら書いているのでせめて他のキャラもですけど口調は絶対合わせないとって思いながら書いています


Side:北上双葉 三人称視点 一階【00:18:47】


双葉とめめめはまだ廊下にいた。
その理由は簡単でまだ、アンケートの集計が終わってないため身動きか取れないのだ。
それぞれ自分が望むアンケート結果になることを願いながら、ピーマンを待っている。


ピピピピピ


双葉のPDAから音が鳴り響く。
双葉は手の平はまだだいぶ痛いものの、軽傷だったためすでに痛みが引いてきた腕と指を動かしてPDAの画面を開いた。
そこに表示されていたのは……忌々しくも待ちわびていたピーマンだった。


『はい!集計が終わりました!』

画面の中にいる赤ピーマンが言った。
その様子を双葉とめめめは不安そうな顔で見ている。

『双葉ちゃん、めめめちゃん。君達は……隠し階段で上に上がるのを目指してください!』

「良かったー!こっちだ!」めめめが喜んで言った。

それに対して双葉はため息を付く。

「あーあ。別の階段から行くんならめめちゃんだけでもかくじつだったのに」

めめめはその言葉を聞いて何か言おうとして……それを止めた。

「とりあえず撤去作業だぁ!ふたばちゃん腕はもう動かせるんだっけ?」

「うん。まだいたいけど。ちょっとなら」

双葉はガッツポーズを取って、腕をアピールした。

ガチャ

めめめが隠し階段がある部屋のドアを開ける。


二人はまきびしの撤去作業をはじめた。

218 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 20:56:32 ID:qoofihSBVt
Side:カルロ・ピノ 一人称視点 二階【00:18:35】


りこお姉ちゃんと別れたあと、わたくしは一旦換気ダクトの中に身を隠していた。
この換気ダクトはシロお姉ちゃんに見つけられてしまったものとは別のルートの物なのでそう簡単には見つからないはず。
それに換気ダクトに入るために鉄網を外さなければならないので、入ってくる音は普通の換気ダクトよりは広いこの空間といえど、音が響くため対処もできる。

わたくしは自分の目の前に今の持ち物全てをぶちまけている。

わたくしが現在持っているのは、まず命と同等の価値を持つPDA。これが壊れたら首輪が解除できないですからね。その中に入っているのは、今も使わせてもらっている超便利ツールの『換気ダクトの見取り図』と『罠探知機能』
そしてPDA以外にも目を向けると、さっき脅しにも使った手榴弾が三つ。それと誰かが脱落して入れ替わったマネキンと遭遇したときに、マネキンの頭部を破壊して首輪を手に入れるためのハンマー。あとは携帯食料が少し。

リュックサックとか大きな手提げバッグを持っていた他のお姉ちゃん方とは違ってわたくしはポーチしか見つけられなかったから。見つけた他の武器はシロお姉ちゃんに追い回されている間に棄ててしまった。

219 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 20:58:20 ID:qoofihSBVt
これでシロお姉ちゃんを倒せるでしょうか?もうあの二人を狙わないと言ってもたぶんシロお姉ちゃんは信じないでしょう。きっとまた狙いに来ます。
ここまで執拗に狙うということは解除条件が絡んできそうですが、何かは情報が無さすぎてわかりませんわ……
普通に考えるなら同行者が死んでほしくない解除条件ということで長い時間一緒にいた相手が死なないのが解除条件のJでしょうか?
首輪やPDAを集める条件の可能性がありますがわたくしが10ですので、あるとしたら4、8、K……。
相手が4ならわたくしが首輪をわざと発動させないで、相手に預けるという条件で交渉することは……可能でしょうね。わたくしの解除条件は解除済みで外れた首輪や死体の首輪をわざと発動させても大丈夫でしょうし。見えている4となら協力はできる。
……一応考慮に入れときましょうか。


さて、気になるのは煙幕の中、シロお姉ちゃんがナイフで刺すだけで逃げた理由ですが……おそらく三つの理由が考えられますね。

一つ目は煙の中に長居して流れ弾で死ぬのを防ぐため。
二つ目は結構深く刺したので致命傷ではなくてもかなりとダメージだと思ったから……実際はわたくしは腕で身体を庇ったのでそこまでではありませんでしたが。
そして三つ目は……シロお姉ちゃん自身、怪我をしているからでしょう。

220 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:00:15 ID:qoofihSBVt
なのでおそらくシロお姉ちゃんは現在休憩中。だから狙うなら今しかありません。
シロお姉ちゃんはおそらく双葉お姉ちゃんとめめめお姉ちゃんと合流するまでわたくしを追い回し続けます。
……運が悪ければ、いや、かなりの確率でわたくしは狙われ続けたら

ちえりーらんど送り。

身震いする。
なら、わたくしはシロお姉ちゃんを殺しに行かなければなりません。

でも、この武器でどうしましょう。

とりあえず武器を探すべき?

わたくしがそんなことを考えていると、遠くから声が聴こえてきた。
……これは録音された声?それともソフトウェアの効果でしょうか?それともこの施設に備え付けられた何かかも?

少し考えたあと、わたくしはその声が聴こえてくる方へと匍匐前進をはじめた。

221 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:03:54 ID:qoofihSBVt
少し経って目的地に到着した。廊下の天井の換気ダクトにいたわたくしは金網を外したあと、降りて着地した。

えっと……こっちでしょうか?たぶんこの辺だと思うのですが……
とりあえずわたくしは忍び歩きで最寄りのドアに近づいた。すると

『この部屋は戦闘禁止エリアです』

どこからか声が流れ始めた。さっき聞こえたのはこれ。この音はスピーカーでしょうか?
わたくしがドアの前に立って鳴ったということはつまり……高確率でこの部屋に中に誰かいる。

「誰?」

部屋の中から録音された声と被って誰かがわたくしに問いかけてきた。
この声は……
シロお姉ちゃんですわ!

ガチャ!

わたくしは手榴弾を手に持って、勢いよくドアを開ける。

部屋の中にはシロお姉ちゃんだけが居た。

222 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:05:00 ID:qoofihSBVt
シロお姉ちゃんは一瞬の困惑のあと、驚きの顔に変わる。

「ここは戦闘禁止エリアだよ!」

シロお姉ちゃんが大声で言った。
……戦闘禁止エリア?今の流れたアナウンスみたいなのでも言ってたけれど何だ?
まぁいいや
わたくしは特に何も深く考えずに手榴弾を投げ込んでしまった。

すぐにわたくしはドアから離れる。

バン!

手榴弾が爆発する音がきこえていた。
一度も試していないのでどのタイミングで爆発するか分からなくて不安でしたが、早めに爆発してくれて助かりましたわ。

わたくしはドアを首だけ出して覗きこむ。
そこにはシロお姉ちゃんがいた。凄い目で睨んでこっちを見ている。
どうやら部屋にあったベッドの裏に隠れることで何とか爆発をしのいだらしい。
ですが、もうベッドは爆発を受けてボロボロですし、もう一、二発投げ込めば確殺ですわ!

「なんでシロのこと攻撃してるの!戦闘禁止エリアだよ!」

とまたシロお姉ちゃんが言う。

223 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:07:46 ID:qoofihSBVt
わたくしルールを持っていないので分かりませんが、首輪が作動する様子もありませんし、シロお姉ちゃんが言うペナルティが本当にあるのならペナルティはわたくしが知らないような何かなのでしょうか?
……まぁ死なないペナルティなら別に良いですし、シロお姉ちゃんがそもそも嘘をついている可能性もにります。
それに、もう既にペナルティを食らっているならもう一発やっても同じことでしょう。

というわけでもう一発手榴弾を部屋に投げこんで
わたくしはドアから離れた。

224 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:08:29 ID:qoofihSBVt
Side:電脳少女シロ 一人称視点 二階【00:18:46】


まさかピノちゃんがここまで話の通じない頭ゴンゴンだとは思っていなかった……
爆発を何とか防いだシロはピノちゃんを何とか説得しようとしたけれど、全然聞いてくれない。

……そもそも何でペナルティが発生してないの?首輪が作動するはずじゃ。この世界がプログラムである以上、誤差なんてないし、観客がいるだろうからすぐさま対応してピノちゃんを止めるはず。なら、何故?

……もしかしてそもそもピノちゃんはペナルティを破っていない?
ルールの文を思い出す。めめめとふたふたのルールの全文を書き写したメモは持っているけれど今すぐ取り出すことは出来ない。たしか『戦闘禁止エリア内で誰かを攻撃したとき、首輪が作動する。』みたいな感じだったはず。
……あ。もしかしてピノちゃんは戦闘禁止エリアの外から攻撃しているから大丈夫なの?

225 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:10:00 ID:qoofihSBVt
とか色々考えている内にピノちゃんが手榴弾をもう一発投げてくる。なーんかこの手榴弾リアルのやつより威力が高いんだよなぁー。……投げ返そうか。

パシッ

投げ飛ばされた手榴弾をキャッチする。

そして私は思いっきり手榴弾をドアの外へと投げた。

投げてしまった。


その直後、私はとんでもないミスをしてしまったことに気がつく。


ピー!ピー!ピー!ピー!


私の首元から鳴る耳障りな機械音によって。


『電脳少女シロ様、あなたは【戦闘禁止エリア】で戦闘行為を行いました』


『ルール違反の罰則により、15秒後に首輪が作動します』




え?

226 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:11:30 ID:qoofihSBVt
……あぁ、なるほど。爆弾投げ返したの戦闘行為になるんだ。外からの攻撃は自由だけど中から外への攻撃はアウトなんだねぇ。
さっきルールについて考えていたおかげでなんとかすぐに冷静さを取り戻すことができた。もう色々遅いけど。

……正直ルールに突っ込みたいところはありますけどぉーなっちゃったものは仕方ないから別にいーですよ!ぷん!

まあそれより残った15秒をどうするか考えないと。
ピノちゃんを道連れは……無理だね。ドアの外に手榴弾投げ返しちゃったから自分がピノちゃんを道連れにしようと部屋から出たタイミングでドカン!だろうし。

じゃあせめて情報を消そうかな。ピノちゃんにあげないように。
自分のバッグからルールをメモした紙や色んなメモを取り出す。

……やっぱりやーめた。

227 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:13:31 ID:qoofihSBVt
「ピノちゃーん!シロちゃんに勝ったピノちゃんにはプレゼントをあげまーす!シロの知ってる情報がたくさん書かれたメモでーす」

『残り10秒。カウントダウンを開始します』

「その代わりお願いがあるんだけど、もし出来たらなるべくめめめとふたふたは見逃して欲しいなぁ。真剣勝負なのは分かっているから、できたらで良いからね!」

そう言いながらふたふたとめめめに関するメモだけを粉々に破り捨てる。

カウントは残り7を読み上げていた。手榴弾が爆発する音が聞こえる。

ピノちゃんからの返事は無い。まぁ自己満足だしね。
それよりも時間余っちゃったな……そうだ。これたぶん生配信でやってるんだろうし、観ている皆にもお礼言っておこうか。
私は体を監視カメラの方へと向けた。

「観ている皆さん!シロを応援してたのにシロ負けちゃってごめんなさい。……そしてシロを応援してなかったみんなは分かってるよねぇ〜?暗い夜道には気をつけてねぇ〜?」

3

2

1

「じゃあ、ばいば〜い!」

0



【電脳少女シロ】脱落

228 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:15:41 ID:qoofihSBVt
Side:カルロ・ピノ 一人称視点 二階【00:18:51】


カウントが終わった。正直、わたくしは今めちゃくちゃ混乱している。
頭の中には疑問符だらけだ。

シロお姉ちゃんはわたくしにも視聴者の皆さんにもメッセージ送れるくらい冷静だったみたいですが、シロお姉ちゃんだって何に引っかかったのかはわかりませんがペナルティは想定外だったはず。わたくしだったらあんな冷静になることは出来ませんわ。
わたくしシロお姉ちゃんの言葉に何も返せませんでしたし……

とりあえず部屋に入る。
あ、本当にマネキンになってる。
部屋の真ん中にはシロお姉ちゃんの服を着たマネキンが置かれて……置き換わっていた。

そしてそのマネキンの正面に置かれていたのは何枚かのメモと重石がわりになっているPDAだった。

まずメモの重石がわりになっていたPDAに目を向ける。調べるのは勿論解除条件だ。

シロお姉ちゃんの解除条件は……Kでしたか。


https://vt-bbs.com/upl/1545221741-1.jpg


229 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:16:46 ID:qoofihSBVt
それでめめめお姉ちゃんや双葉お姉ちゃんを助けようとしていたり、わたくしを狙っていたのに一度だけわたくしを狙わずにロッシーちゃんを狙ったのですね。

理解しましたわ。


とりあえずPDAを見るのは一旦やめましょう。
シロお姉ちゃんのプレゼントのメモの確認もしたいですし。

拾い上げて一番上のメモを読む。
どうやらここにはシロお姉ちゃんが知っているルールが書かれているようだ。
さて、わたくしが知らないルールを見ましょうか。

ルール5はジョーカーについて。興味深いけれどざっと目を通した感じ今回シロお姉ちゃんが死んだ原因とは関係ないので飛ばす。そしてルール8は……これですわね。どれどれ……

▼ルール8
指定された戦闘禁止エリアの中で誰かを攻撃した場合、首輪が作動する。

230 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:18:13 ID:qoofihSBVt
なるほど戦闘禁止エリアの中で戦闘になったらデスペナルティだったのですね。それは重いペナルティですわ。
わたくしは戦闘禁止エリアの外から中を攻撃したのでペナルティは発生せず、逆にシロお姉ちゃんは戦闘禁止エリアの中ですでにピンを抜いた手榴弾を人に投げるという攻撃を行ったのでペナルティが発生したと。
……これ実は戦闘禁止エリアって自ら自分を反撃できない場所に置くっていう運営の罠なのでは?

総括いたしましょうか。
これはルールを知らなかったために戦闘禁止エリアで戦闘は出来ないという先入観が無かったおかげでわたくしが勝ち。
ルールを知っていたために戦闘禁止エリアが安全だという感覚が抜けきれなかったシロお姉ちゃんが負けた。
という感じですわね。


「ルールを知らなかったことが優位にはたらくなんて誰も予想しなかったでしょうね」

わたくしは独り言を呟いた。
わたくしの解除条件も一人達成し、残りは4人。
こんなラッキーパンチは今回だけでしょうが……頑張って行きましょう。

わたくしはしばらく、この安全で危険な戦闘禁止エリアでシロお姉ちゃんから譲り受けた情報やソフトウェアを確認しながら休憩した。

231 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:19:36 ID:qoofihSBVt
時間にご注意ください。

Side:金剛いろは 一人称視点 二階【00:20:49】


「はーっ!やっと着いたー」

私は今目的地の部屋のドアの前にいる。マップめっちゃ分かりづらいからさー道に迷ってついこんな時間になっちゃった。
二階のチェックポイント全て回れたし、隠し階段で三階に上がろう。

部屋に入る前にPDAを点ける。起動するのは【首輪サーチ機能】
さっきはこれで確認しないで歩いていたせいで戦闘に遭遇してしまった。
ちゃんとこれを見ていれば避けられたのに……銃の弾も減らしちゃった。
というかあの戦闘たぶん私、銃撃たなくても逃げられたよね?……まぁ生き残れたからよしとしよう。

PDAのマップを開く。この周辺、そして隠し階段を上がった先の三階にも首輪の反応が無いのを確認した。

じゃあ入ろうかな。

ガチャ


「えっ?」

この声は私が出した声じゃない。
出したのは隠し階段なぜかにいる……二人。私が部屋に入ってきて驚いたんだろう。

「何で……ここに人がいるの?」

私は銃を構える。

隠し階段にいたのは……
ふーさんとめめめちゃんだった。

232 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:21:21 ID:qoofihSBVt
すずすずはほとんど実際言ったことがある語録を言っています。どの台詞がどの配信の台詞か当ててみよう!

Side:神楽すず 三人称視点 二階【00:19:41】


現在、神楽すずはロッシーを袋小路に追い詰めていた。

「すずおねえちゃん。しろはすずおねえちゃんのことが好きなのにこうげきするの?」

ロッシーは後退りしながらナイフを構える。

「好きとか言ってナイフ向けてくる!全くもーそういうこと言うんじゃ……天国へ導いてあげましょうか」

「すずおねえちゃんがこうげきしてくるのってもしかして……しろがすずおねえちゃんよりもかわいいから?」

「……駆逐の時間だあああああ!」すずが突撃した。手にはトンカチを持っている。

ロッシーはナイフをすずが自分の間合いに入ってきたタイミングですずに向かって振りかぶった。

「殴ることでしか抵抗できない!」

233 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:22:48 ID:qoofihSBVt
すずは自分に近づいてくるナイフを強引にトンカチで叩き落とすことで斬られるのを防いだ。

「奇跡的に避けました……」

すずは冷や汗をかきながらもトンカチをロッシーに振り下ろす。

ロッシーはそれを前方に跳んで回避し、そのまますずに突進した。ロッシーはすずごと床に倒れる。

バタン

「グハッ……大丈夫ダメージ入ってない」

すずは思わぬ衝撃を食らったが、あまりダメージが無かったようだ。
すずはナイフを拾って逃げようとするロッシーの腕を掴んだ。

「死ね!…私は死にたくない!」

すずはロッシーを自分の方におもいっきり引っ張り、トンカチを振り下ろした。

234 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:23:33 ID:qoofihSBVt
数分後、すずが戦っていた袋小路にもちがやって来た。

「あっ!すずちん居た!良かった〜大丈夫だった?」

もちは立っていたすずに話しかけた。
すずはPDAを二つ―すずのPDAとロッシーが持っていた予備のPDAを両手にそれぞれ持っていた。

「あっ、もちさん。後ろ血まみれじゃないですか?大丈夫ですか?怖くて振り返れない」

すずはもちに話しかける。もちはすずの話していることにピンと来ていない様子だ。

「えーっとすずちん?後ろちょっと血が飛び散っているだけで何も無いけれど?」

「えっ?」

すずはあっさりと後ろを振り返った。もちの言う通り、後ろには少々の血が飛び散っているだけで何も無かった。

実を言うと今回登場したロッシーは電脳空間の更に中に作られたシークレットゲームの世界で作られた偽物のプログラムだ。
電脳空間からシークレットゲームの世界にアバターを作ってその中に意識だけ移しているシロやアイドル部とは違い、意識すら本物ではないプログラムだ。
HPが0になったら消滅するとプログラムされていたためにロッシーはマネキンすら残らずに消滅したのである。

235 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:24:08 ID:qoofihSBVt
そんなことを露知らず、すずはもちに戦闘の経緯結果を詳しく教えた。


「すずちんって人殺したことない?妙に動きがこなれてる気がするんだけれど」

すずの話を全て聞いたもちはこう評した。流石にいくら冗談とわかっているとはいえ、思うところがあったのかすずは反論する。

「私本当に人殺してないですよ?'たぶんどのゲームでも人殺してないと思います'」

「それは嘘」

「んんー!」

もちに即否定されてしまったすずは声にならない声をあげる。

「…人を殺めてしまった。法律ってやっぱり私たちを守ってくれてるんですよ」

「……案外それが真理かもねぇ」

もちはそんなことを言いながらPDAのソフトウェアを開く。

「あ、残り生存者数表示ですか?」

236 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:24:47 ID:qoofihSBVt
このソフトウェアは4人全員がいるときにもちが見つけたものだ。特に誰からも異論が無かったのでそのままもちのPDAにインストールしていた。
もちは今、それを開いている。

「そうそう……あれ?残り生存者数が11人になってる。さっき見たときは12人だったのに」

「11人ってことはあの戦闘でバラバラになってから二人死んだってことですね」

「そうそう……」

もちが相槌を打ちながら自分のバッグを探り始めた。そのとき

「見つけた!二人ともー!大変なことが!」

ちえりが二人の元に駆けこんで来たのだ。

237 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:25:17 ID:qoofihSBVt
Side:??? 三人称視点 二階【00:19:28】


りこは手を振りながら歩いていた。どうやらりこから少し離れたところに立っている???に気がついたようだ。

???もりこに気づいたようで……片手を伸ばして手を振り返す。

「いやーさっきぶりだねぇ……???」

りこは特に警戒することなく???に近づきながら話しかける。


???との距離が残り数メートルになったときにりこは何かに気がついたのか立ち止まった。

視線の先にあったのは手を振っていない方の腕。よく見るとそちらの手だけが肩に掛けたバッグの背後に隠れていた。
不自然なくらい、その腕は動いていない。

りこは表情を変えずに後ろに下がった。
だが、それは少し遅かったようだ。

238 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:36:30 ID:qoofihSBVt
バーン


りこの肩を銃弾を撃ち抜いた。

???がバッグの後ろに隠していた手で隠し持っていた拳銃をりこが逃げる前に撃ったのだ。

りこは事前に怪しいと気付き、逃げる準備を整えていたために何とか致命傷になりそうなところに当たるのを防ぐことはできた。
りこの顔が銃弾の痛みで苦悶の表情を一瞬だけして……痛覚軽減機能が働いたのか表情を元に戻す。
りこは撃たれたあと、すぐさま後ろを振り向いて???から逃げ出すように走り出した。

???はすぐに銃を構え直して発砲する。
その銃弾はりこの脚に命中した。

りこは一瞬よろめくがすぐに体勢を整えて痛みを押し切ってダッシュで逃げ出した。

???はりこを追うが、りこの足は怪我しているのに関わらず速く。やがて見失ってしまった。


しかし、???はりこを殺すことを決して諦めてはいなかった。
何故なら、りこの肩や脚からはずっと血が流れ続けており、彼女が通ったところに血が飛び散っていたからだ。

更に念には念を入れる気なのか???はPDAのソフトウェアを開いた。

そのソフトウェアの名前は【PDA探知機能】

PDAがマップに表示されるといったものだった。

239 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:42:33 ID:qoofihSBVt
一方???から逃げ出したりこは適当な部屋に逃げ込んだ。

「あっちゃー……油断したなぁ。これもう駄目かもねー……どうしようかな」

りこはドアを背にして座りこんでPDAを開く。
そして彼女は何度も特定のソフトウェアを開いたり、閉じたりを繰り返した。


するとPDAの表示が変わる。

≪隠しコマンドの入力を確認しました。隠しソフトウェア『メモ帳』を起動します≫


りこはメモ帳に何かを書きはじめた。
どうやら自分が脱落したときのための……誰か宛のメッセージのようだ。

どうやらりこは再び???に狙われて自分が死ぬと考えているようだ。誰かにいくつかの自分だけが知っている情報を書き出して……

りこは書き終えたのかPDAの表示を元に戻す。

「まぁ、頑張って逃げますかね。残業はもうこりごりだよ」

そしてりこは部屋を出た。


その数分後、りこは予感通り???に再び出会ってしまい……

凶弾に倒れた。


【牛巻りこ】脱落

240 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:44:17 ID:qoofihSBVt
Side:神楽すず 三人称視点 二階【00:20:01】


「ここ!この辺!」

ちえりはすずともちを先導して走っていた。廊下には誰かの血が飛び散っており、それを目印に目的地まで走っているようだ。

「!!!」

ちえりは曲がり角を曲がったところで急停止した。すぐにすずともちも追い付く。
今まで走ってきた三人は息を切らせながらも曲がり角の先に横たわった物に目を向けた。


そこにいたのは
首が外れているりこの服を着たマネキンだった。


「りこぴん……!」と思わずもちが言う。
りこが死んでいたのを発見したちえりが二人を見つけ、ここまで連れてくる最中でもちは既にちえりからりこが死んでいるという話を聞いていた。
しかし、実際にその姿を見て先程まで隣にいた人物の脱落に衝撃を受けているようだ。

241 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:50:42 ID:qoofihSBVt
初めてこの現場を見た二人はマネキンを確認してしたあと、少し離れたところに目立っている、おそらくりこを殺すのに使ったであろう拳銃を見た。

「それ、もう弾入っていないみたい」

先にりこのマネキンを発見していたちえりは既に床に落ちていた拳銃も調べていたようだ。
ちえりは二人が拳銃に視線を向けていることに気づいて、それについて説明しながらマネキンの方に駆け寄った。どうやら何かを探しているらしい。


「そういえば首輪が無いんですね」すすがふと思いついたように言った。
すずの言った通り、マネキンの頭部は首を拳銃で無理矢理何度も撃ち抜いたことにより体から取れており、首輪はこの場には無い。

「たぶん……解除条件4か10の人がりこちゃんをやったんじゃないかな?」
落ち着いたのかもちは思いついたことを言った。


「すずちゃん。はいこれ。よく考えたらここに置きっぱなしにせずに、ちゃんとちえりが持っていった方が良かったんだけど……」

マネキンから目当ての物を探しだしたちえりがすずにそれを渡す。

すずはそれを手が空いている右手で受け取った。

242 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:51:38 ID:qoofihSBVt
「りこさんのPDA……」

そこにあったのはりこのPDAだった。解除条件を確認してJであることを確かめたすずは疑問に思ったことを言う。

「なんでりこさんを殺した人は首輪は取ったのにPDAは取らなかったんでしょうか?首輪とは違ってPDAは基本的に持ってれば持っているだけ有利になるものだと思うんですけど」

「ちえりがりこちゃんを見つける直前までここにいて、ちえりが近づいてくる足音が聞こえたから慌てて逃げて回収するのを忘れちゃったとか?」

「腑には落ちませんが……それぐらいしか理由は思い付きませんね」


すずは自分の右手と左手を眺める。
右手にはりこの遺品。左手にはロッシーの遺品。

すずの解除条件に必要なのはあと3つだ。


「あなた達の気持ちは私が受け継ぎます」



第三章【エクストラゲーム】終

残り生存者数……11人

【A】 【2】 【3】 【4】

【5】 【6】 【7】 【8】

【9】 【10】     【Q】



next……第四章【"Who killed the Jack?" "I," said the Joker,】

243 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 21:53:42 ID:qoofihSBVt
Side:ばあちゃる

「はーいどうも世界初&#8265;男性バーチャルyoutuberのばあちゃるです。はいはいはい皆さま楽しんでいますかー!いえーいはいはいはい!え?前回と言っている内容が一言一句同じ?えーっ?そんなことはないっすよー!まあですね!遂に出ましたちえりーらんど送り!いやーまさかシロちゃんが最初なんて驚きでしたね!皆さんシロちゃんにかけちゃった人も多いんじゃないですかー?りこりこもね、まさか闇討ちされるなんてね!思わなかったですねぇギリギリで違和感を持ったのかPDAに何かをしていたみたいですけど気になりますねぇ!というわけで現在のレートはこちらです!」

ピノ 【10】×1.2
シロ 【K】×1.395  ≪DEAD≫
すず 【8】×1.567
ちえり【7】×1.654
いろは【5】×1.739
なとり【2】×1.944
もち 【Q】×2.0
あずき【4】×2.214
りこ 【J】×2.417  ≪DEAD≫
たま 【?】×2.417
めめめ【?】×2.545
イオリ【A】×3.4
双葉 【6】×4.25

「皆さんの中に最初にシロちゃんが脱落した人なんて予想できた方はいるんすかねー?まだベットOKですのでね皆さんお願いしますよー?もう死んだ人にはベットしないでくださいね!あっ!ばあちゃる君に負荷がかかってきたんでね。そろそろ終わります。おまけコーナーも現在準備中ですので少しお待ちください」

244 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 22:08:51 ID:qoofihSBVt
というわけで本日の更新は終了です。

さて最初の死亡者を予想できた方はいなかったのではないでしょうか!現在プロットは20回ほど変更されているのですが最初の死亡者だけは一度も変更されていません。
死に方についてですが、せっかくシークレットゲームを元ネタにするのなら最初の死因はシークレットゲーム恒例の死因にしようと思い、無知の利という形でアレンジを加えてみました。
そして二人目ですが……そもそも二人死ぬと思ってなかった方もいるんじゃないでしょうか。半ば不意打ちという形で訪れてしまった彼女の死ですが、まだ様々なことが謎に包まれています。誰がやったのか、なぜPDAを残した?なぜ首輪を?なぜこのタイミングで?そして最後に書かれたメモの内容は?
それはこれから明らかになるのでもしよろしければこれからもこのSSをよろしくお願いします。
感想や考察の一つ一つがめちゃくちゃ嬉しいです

ちなみに次回はおまけコーナー【脱落者の部屋】を更新する予定です

245 名前:1[age] 投稿日:2018/12/19 22:22:27 ID:qoofihSBVt
A【ヤマトイオリ】…QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。

2【八重沢なとり】…JOKERのPDAの破壊。このPDAのみ半径1m以内でJOKERの偽装機能は無効、初期化される。

3【???】…3名以上の殺害。ただし首輪の作動は含まない。

4【木曽あずき】…自分以外の首輪を3つ取得する。首を切り取っても、解除条件を満たし外すのを待つのも良い。

5【金剛いろは】…館全域の24個のチェックポイントを全て通過する。特殊効果として地図上にポイントの表示がされる。

6【北上双葉】…JOKERの偽装機能を5回以上使用。自分で使う必要も、近くで行う必要も無い。

7【花京院ちえり?】…開始から6時間目以降に全員と遭遇。死亡している場合は免除。

8【神楽すず】…自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する。

9【???】…自分以外の全参加者の死亡。手段は問わない。

10【カルロピノ】…首輪が5個作動すること。ただし2日と23時間より前に行うこと。

J【牛巻りこ】…開始から24時間以上行動を共にした人間が2日と23時間時点で生存していること。

Q【猫乃木もち?】…2日と23時間の生存。

K【電脳少女シロ】…PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

JOKERの持ち主【???】

246 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/19 22:29:17 ID:gRDuhy/ufA
更新乙です
リコピンを殺した犯人はジョーカー持ち疑惑のあるちえりちゃんかもちにゃんかな
首輪がないのは錯乱させるためでPDAは持っているのがバレたら危険だし

247 名前:名無しさん [age] 投稿日:2018/12/20 01:44:08 ID:uM4z/8sPXO
投下乙!
怪しいのはお嬢かなぁ
全員に遭遇するのが解除条件の筈なのに、>>207で牛巻すずすずもちにゃんの3人以外に会うのを避けてるのが気になる…けど一人だから会いたくないって事なんかなぁ…

248 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/20 06:45:40 ID:ka8xnB.T/6
更新乙です
ジョーカー持ちは3か9で確定だからなぁ
リコピン殺害も普通にありえる
あとオマケ楽しみ

249 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/20 07:17:11 ID:2FDJbMpUnX
たま会長は普通に3なのかな?
とすればあずきちと利害は一致するし・・・
そうなるとめめふた組がキーマンか?

250 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/20 23:58:12 ID:/VJ15D4fqD
警戒されないさっきぶりの相手であの時間にあえるならちえりちゃんかもちにゃんのどっちかのジョーカー持ちの方かな
さて渡ったJが本当に牛巻のものかどうか…

251 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/21 23:52:06 ID:EyqTJO2JFR
お嬢がジョーカーなら捨てる訳にはいかないだろうし
「途中経過を見せろ」で詰むしね
すずすずの持ってるJのPDAが偽物なら犯人はもちにゃんかな?
メタ的に考えたら牛巻の遺言の伏線回収の必要があるから本物だと思うけど

【BET】神楽すず
主人公補正を信じる

252 名前:1[age] 投稿日:2018/12/22 23:23:22 ID:pH/xoM13Rp
リレー休憩時間にしれっと投稿
おまけなんで読まなくてもOKです

メタ的なお話
本編中では語れない設定とか説明を脱落者の皆さんにしてもらうという物です。メタ的なことはなるべく喋らせませんが。
生放送の間の休憩コーナーみたいな感じですかね
考察コーナーは意図的におさらいコーナーくらいの発言力に調節してます。まぁ余興程度とでも思ってください


ルールル ルルル ルールル ルルル ルールールールールルー♪&#160;

【脱落者の部屋】


「みなさんこんにちは。シロです」

――軌道修正役のメンテちゃんです。人数が増えてきたらいなくなる予定です

「ハウディー!牛巻りこだよー!それにしてもここ敗北者の部屋って名前のわりにはお上品な部屋だね!」

「シロが最初来たときは監獄だったんだけど、プリズンブレイク社に協力を依頼して立派なお部屋に変えてもらいました!」

――ようするにシロちゃんのワガママ……じゃなくてシロ魔法の結果です

「メンテちゃん大変なんだね……まぁいいや。ここは文字通り負けちゃった人が来るところってことで良いんだよね?」

――そうです。負けた人はここで待機してもらいながら生放送をご覧になっている皆様への特別な動画を撮ったりします

253 名前:1[age] 投稿日:2018/12/22 23:23:46 ID:pH/xoM13Rp
「シロが最初にこの部屋に来たからぁ〜シロがこの部屋のヌシです!」

――では部屋のヌシのシロさん。これを読んでください。

「何々……分かりました!それでは最初のコーナー!【おしえて!シロリン】行ってみまーっしょう!……これコーナーの名前ついさっき決めたばかりでしょ」

――バレましたか。この企画自体さっき思いつきで決めました。

「……シロぴーも大変だね。それよりこのコーナーって何なの?」

「簡単に言うと質問コーナーみたいですね」

――そうです。では最初の質問です

254 名前:1[age] 投稿日:2018/12/22 23:24:14 ID:pH/xoM13Rp
『めめめちゃんがふーちゃんをおんぶして歩くシーンは感動的だったのですが、ちょっと疑問があったので質問させていただきます。たしか二人の自己申告ではふーちゃんの方がめめめちゃんより5cmくらい高かったはずです。が、それだとおぶるとき少し大変だと思うんです。けれど実際はめめめちゃんの方が身長が高く見えて楽々背負えてたように見えるのですけどどうなんでしょうか?』

「はいお答えしましょう。というわけでメンテちゃん身長順出して」

――はい。現在公開しているアイドル部の皆さんの身長はこうなっております。
145cm<カルロ・ピノ≒夜桜たま<150cm<もこ田めめめ(旧設定)<花京院ちえり<155cm<北上双葉<猫乃木もち<160cm<八重沢なとり<神楽すず<165cm=金剛いろは

「へぇ……めーめちゃんに旧設定って書かれているね」

――めめめさんはアイドル部に移籍した際に身長が伸びたみたいです。双葉さんよりも身長が高かったので背負いやすかったみたいですね。

「御披露目会で並んでみたときシロより高かったもんねー。そういえばこの表にりこぴん入ってないね」

――イオリさんとあずきさんもですね

「そもそも電脳空間のみんなの身長はシロもだけど基本的に可変式だし、3人はその辺考慮して言わなかったんじゃないですか?」

「えーっと。そう!シロちゃんの言うとおり!決して言うのをすっかり忘れてたとかそういうのじゃないよ!」

――今回のゲームにおける身長はあずきさんがたまさんとちえりさんの間くらい、りこさんとイオリさんが共になとりさん位のようですね

255 名前:1[age] 投稿日:2018/12/22 23:25:29 ID:pH/xoM13Rp
『あのPDAの解除条件に映っているトランプなんなんですか?模様と実際の解除条件の持ち主が違う気が……』


「あーあれはねーどっとライブのグッズを作ろうっていう話し合いの中で考案された物なんだけれど結局没になっちゃったやつなんだよね。牛巻ね3のデザイン結構気に入ってたんだけど」

「その人ごとの模様と実際の持ち主が合わないのは没とはいえ参加者の皆さんが予測出来てしまうからというのが一つ。もう一つはゲーム中で落ちていた誰かのPDAを拾うという機会があったときに誰の物か一発で分かってしまうのが一つ。最後にジョーカーの偽装と仕様が合わないのが一つって感じなんですかね」

「メンテちゃん!せっかくだから画像一覧公開してあげたら?」

――分かりました。


https://vt-bbs.com/upl/1545488729-1.jpg


256 名前:1[age] 投稿日:2018/12/22 23:26:00 ID:pH/xoM13Rp
『そういえば何でシロちゃんは解除条件がKだったのに、めめふたに解除条件を言わなかったんですか?PDAを集めるっていう解除条件なら裏切り警戒も分かりますけれど素直に協力を依頼した方が良かったのでは?』

「それはですねー基本的に言ったり心の中で言っていることで全部説明してあるんですけれど、今の状況を見るなら最初に言っても良かったかも」

「その心は?」

「思ったより賞金狙いの人がいなかった。もっとバンバン戦闘が起こるものかと思ってたんですよねー。戦闘が起これば基本的に勝った人はPDAを奪うから、どんどん一人辺りの所持数は増えていきます。だから一時的な協力関係が終わったあとからでも8の人の破壊さえなければすぐに集まると踏んでいたし、二人を見極めて大丈夫そうだったら三階まで上がったときに頼もうとも思ったよ?」

「なるほどーピノ様に執着していたのはやっぱり、もう二人を大丈夫だって見極めていたから?」

「ううん。でもきちんと色んな可能性を考えて、予想外なことが起きても良いように準備しておかないとね。失敗したとき別に用意していた方法でどうにかできるから」

「やっぱり事前準備大事だよねー」

――……。

257 名前:1[age] 投稿日:2018/12/22 23:26:55 ID:pH/xoM13Rp
――質問はとりあえずこれくらいみたいですね。

「ふーん。じゃあこのコーナーこれで終わり?」

――いえ、今回はもう一つコーナーがあります。

「えっなに?なに?」

――【これからどうなるでSHOW?】です。

「……前々から思ってたけどどっとライブのネーミングセンスってばあちゃる号だけじゃなくて全体的に酷いよね」

「りこぴんも安村とか変わらないんじゃ?」

「うるさーい!それよりもそのコーナーの内容は?」

――一つのテーマに沿って考察してもらおうっていうコーナーです

「なるほど。で今回のテーマは?」

――りこさんを殺した人がジョーカーの持ち主と同じなのかどうか。そして誰なのか。です

258 名前:1[age] 投稿日:2018/12/22 23:27:34 ID:pH/xoM13Rp
「……それ牛巻参加出来なくない?自分を殺した犯人知ってるし」

――なのでシロちゃんだけでお願いします

「あーっ!ハブだ!ハブだ!酷い!……まあいいけど。牛巻は質問役とかシロちゃんの考察に突っ込み入れる役をすれば良いのかな?自分だけ知っている情報は勿論言わないけどね」

「おっけまる!んーまずやっぱりりこぴん殺したのはちえりちゃんかもちちゃんかすずさんの誰かだと思うんですよね。りこちゃんが死んだタイミングから推測するにその周辺にいたのはその三人だけみたいですし」

「うーん。でもゴンゴンやピノちーも可能性はない?」

「ありますけどりこぴんの警戒が薄かったのはやっぱりずっと行動を共にしていた3人の可能性が高いんじゃないかなって。あとゴンゴンは首輪探知機能っていうバッテリーの消費が高そうなソフトを既に入れているのに、効果が似ているPDA探知機能を入れないと思うので、ピノちゃんはともかくゴンゴンの可能性はかなり低いと思います」

259 名前:1[age] 投稿日:2018/12/22 23:29:23 ID:pH/xoM13Rp
もうすぐ始まるので続きはシロちゃんの配信が終わったあとで

260 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/23 00:30:58 ID:pH/xoM13Rp
「じゃあその三人が牛巻を殺した理由ってなに?」

「ちえりちゃんともちちゃんは解除条件的に今殺す利点は無いので賞金狙いでもこのタイミングでの殺しは考えにくい。となると解除条件的に殺す理由があるのはすずちゃんだけです。だからりこぴんを殺した犯人はすずちゃん!って言いたいところなんだけれど……ジョーカーの持ち主の可能性があるのなこの三人な以上偽装していたら三人とも可能性があるんだよねー」

「……あれ?牛巻が持っている可能性は考えないの?」

「まぁ、りこぴんの可能性が無いわけではないけれど、その場合ほぼ確実に犯人はすずちゃんになる上に、りこぴんはちえりちゃんが探って何も言わない以上二つ持ってないでしょ?ちえりちゃんが見つけてわざとジョーカーを隠した可能性は勿論あるけれど、単純にりこぴんがジョーカー持ちな可能性はかなり低くなるよね」

「……誰がジョーカー持ちだと思うの?」

「まず……実はシロはすずすずがジョーカー持ちの可能性も結構考えてるんだよね」

「えっ?なんで?かぐらんが起きたところは心の声付きで放送されていたけれど、そこで手にいれた描写は無いよ?」

261 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/23 00:32:49 ID:pH/xoM13Rp
「うん。シロはすずちゃんが自分の解除条件を言った後に、ジョーカーを見つけた可能性はあると思うんだよね。8はジョーカーがどれか見分けた上で破壊しなければいけないし、持っている価値は高い。優位性を保ちたいんだったら言わないのは一つの選択肢になるよ」

「なんでその場合、このタイミングで牛巻を殺したの?」

「それはさっきも言ったけど8の解除条件の都合だよね。りこぴん殺せば自分の解除条件の壊す数に含めることが出来ないものを含めることができるし。ちょうど二人きりになるタイミングが出来たから殺っちゃったって感じかな。まぁこのパターンの場合証拠になるものがなくて全部憶測になっちゃうんですけどねー。それよりかはちえりちゃんともちちゃんの方が可能性あると思ってるよ」

「二人の内だったらどっちがジョーカー持ちの可能性が高いと思ってるの?」

「シロちゃんはジョーカー持ちイコールりこぴん殺しの犯人でジョーカーで本来の解除条件から変えていると思ってるんだけど、どちらか選べっていうならもちちゃんかなー」

「何で?」

262 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/23 00:34:06 ID:pH/xoM13Rp
「シロがジョーカー持ちで解除条件を変えるなら2かQの二択だから」

「なるほどーQは何となく分かるね。最後に話が脱線しちゃうんだけれど何で2も候補なの?」

「というかシロだったら絶対2。理由は解除条件が2の人と出会っちゃったときに被害が一番少ないから。他の解除条件だと2と出会ったときに2の機能を受けるのを拒否する理由を作れないけれど、2なら相手が2って言った時点でジョーカーだって分かったからっていう理由で戦闘に持ち込めるからね。そのまま殺せれば証拠隠滅。仲間を騙していてもセーフ!ジョーカー探知機能の存在を知っていたら変わったかもしれないけれど」

「ちなみに言い方的にシロちゃんももちちゃんかちえりちゃんかで結構迷っているみたいだったけどちえりちゃんがジョーカーっぽいって思った理由ってなに?」

263 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/23 00:35:17 ID:pH/xoM13Rp
「7の解除条件の特殊効果である出会った数のカウントが7人だったでしょ?あれってりこぴん、もちちゃん、すずちゃん、あずきちゃん、たまちゃん、ピノちゃん。そしてシロの7人だと思うんだよね。たぶんゴンゴンだけ遠かったから遭遇判定扱いになっていない。で、ちえりちゃんも確認しているんだからそれには気づいているはず。ちえりちゃんはゴンゴンが逃げていった方向に行ったんだよね。そしたら自分が単独行動だったとしても戦闘禁止エリアに入った音がしたら多少のリスクがあったとしてもゴンゴンが戦闘禁止エリアに入った可能性を考えるとそっちに行った方が良かったはず。なのきしないってことはちえりちゃんの解除条件って実は違うんじゃないかなぁって。まあこれに関しては慎重さによっても変わるからなんとも言えないけれど」

「考察が凄すぎて突っ込むところもタイミングも無かった……」

――白熱しているところですがそろそろ時間が来たみたいですね。最後に一言お願いします

「牛巻は死んじゃったけれど……みんなは強く生きろよ!」

「ばいば〜い!」

264 名前:1[age] 投稿日:2018/12/23 02:28:24 ID:pH/xoM13Rp
今日の更新はこれで終了です
14人リレーすごかったですね……
明日(今日)もお披露目ありますので楽しんでいきましょう

265 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/23 12:20:08 ID:fpz/n9liWJ
乙〜また更新待っています

266 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2018/12/24 00:18:47 ID:t69SAWKprb

自分はもちにゃんが怪しいと思ってる
A39聞いたのも9でQがいそうな反応か確かめた…とかは流石に考えすぎな気もするけど

267 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:03:19 ID:RLchmcLW0v
実は四章は五章とまとめても良いくらい短いです(長さで章を区切っているのではなく、キリの良さで区切っている故の弊害)なので今日二回に分けて、まとめて更新しちゃいます。たぶん二回目は今日のアイドル部配信が始まる一時間前頃になると思われます。

ところでいつもやっている時間の表示について思ったんですけれど経過時間6時間。つまり一日目の六時間目って【00:06:00】で表すよりも【01:06:00】で表した方が良かったのでは?と気づいてしまいました。
もう牛巻に説明させてしまっているので訂正不可能ですが。あとついでにコテハンが分かりやすいように章題付けるようにしてみました


第四章【"Who killed the Jack?" "I," said the Joker,】


Side:金剛いろは 三人称視点 三階【01:00:25】


「ねぇ!こっちに何かあるよー!」

「ごんざぶろうステイ!!ステイ!!」

「えっ?なに?ふーさん!?」

「とーまーれっていってるの!!」

「聞こえないよー!ふーさん!」


「なんなん!!ふつうとまれって言葉きこえなくても、なにか後ろで言ってたらとまるよね!なんでそのまま進んでいくの!?」

「はぁ、はぁ、一人背負っているめめめのことを少しくらい気遣ってよ!ゴンゴン!」

268 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:09:51 ID:RLchmcLW0v
このチームのラストはこちら→>>231


現在、隠し階段がある部屋で出会った双葉・めめめ・いろはの三人は協力関係を結び、一緒に行動していた。

いろはが明らかに負傷している双葉とその双葉を背負っているめめめという最も殺しやすい二人を目の前にしてなお悩むそぶりすら見せず撃たなかったことから双葉はいろはが殺す利点が無いと看破し、いろはとの協力を持ちかけた。

明らかに双葉と一緒に行くことでチェックポイント巡りを渋ったいろはだったがめめめが持っている『疑似GPS機能』の拡張ソフトウェアのことを知って一転、同行することと協力関係を結ぶことを決めたのだ。


「やっと二人来た……遅刻するなんて良い度胸めぇ!ちょっと裏来るめぇ!」

「めめめの目の前で真似するならせめて捏造語録はやめろぉ!」

めめめと双葉はいろはの元に追い付いた。いろはが見つけたと言ったものは防弾チョッキ……のようなものだった。防弾チョッキと言い切れないのは普通の防弾チョッキとは違い、腹巻きのような形になっており、心臓は守られない。

「監視カメラ係の人ー!いろは今からこれ着るから映像切ってねー!」

いろははそういうと服を脱ぎ下着だけになって防弾腹巻きを着た。
このゲームでは全員が自分と似せたアバターを使っているが放送事故防止の為に体と下着が一体となっているが、その上に着ている物はこういった装備を着るために脱ぐことが可能だった。

269 名前:1【四章:quot;Who killed the Jack?quot; quot;I,quot; said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:10:46 ID:RLchmcLW0v
「いやーそれにしても便利だよねーめめめちゃんのそのPDAの機能。階段までまっすぐだよー。いろはちょくちょく地図見間違えて迷ってたしー」

「感謝するならふたばちゃん背負うの変わってよーゴンゴン」

「えーっいろはあくまで一時的な同行で、いつでもふーさんに何かあったら置いてって逃げ出して良いんでしょ?じゃあいろはが背負う理由なくなーい」

「えーっ!ふたばちゃんを背負うの手伝うって言ったじゃん!嘘つきー!ゴンゴン薄情ー!酷いー!」

「それじゃあごんごんしかメリットないじゃん!たしかにおいていってにげだすのはいいって言ったけど!」

いろはの言葉に、ずっと双葉を背負い続けているめめめが抗議する。自分が進んでやっていることとはいえ、一度約束したことを反故にされたのは流石に怒りを覚えたのだろう。
さらに、双葉すらめめめに背負われている側の自分を立場を忘れて抗議した。

270 名前: 1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:13:11 ID:RLchmcLW0v
「ごめんごめんー!冗談だってー!ほらほら運ぶからさー」

いろはは中腰の状態で二人に背を向けた。双葉を載せろということだろう。
めめめはいろはの背中に双葉を直接移そうした。


「ちょっと待ってめめちゃん降ろして」

しかし、それに対して双葉が抗議した。

「えっ?ふたばちゃんなんで?」

めめめが疑問の声をあげる。いろはも声こそ出さなかったものの中腰の姿勢のまま双葉の方を見た。

「双葉、けがも痛くなくなってきてすこしは歩けるようになったから。まだ背負ってもらった方が早く移動はできるからごんごんにおぶってはもらうけれど」

めめめはその双葉の抗議に少しだけ疑うそぶりを見せたが結局信用して双葉を降ろした。
双葉は少し足を引きずっているが、ゆっくりと歩き、いろはの背中に載る。

三人は再び、階段の方に進んでいった。

271 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:17:11 ID:RLchmcLW0v
誰だ!毎回きちんとコテハン打たなきゃいけないようなめんどくさい英語の章題なんかにしたやつ!
俺だよ!


Side:神楽すず 一人称視点 三階【01:03:18】

充電ノコリ82%     01:03:18

   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  ル ー ル  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  マ ッ プ  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 機能拡張ソフト ┃
   ┗━━━━━━━━━┛

二人が寝静まっている中、私は起きてしまい、とりあえず時間をPDAで確認した。

開始から22時間経過したときに一階が二時間後に侵入禁止エリアになるという通知がPDAに届いたのを受けて、私達は予期せぬ出来事で侵入禁止エリアに足を踏み入れる可能性を考えて先を急いだ。
ちえりさんが持つ【地図機能拡張】のおかげで4階に繋がる階段にも比較的近い3階の戦闘禁止エリアまでたどり着いた私達はすでに疲労困憊で睡眠を取ることにした。
んですけれど……困りましたね。起きる予定の時間よりも早く起きてしまいました。

272 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:21:48 ID:RLchmcLW0v
……そうだ。せっかくですし、おかしいと思っていたことを調べましょうか。

普通に考えればりこさんをちえりーらんど送りにした犯人候補には当然私達三人も入る。
それは二人もわかっているはず。それなのに私含め、一切誰もそのことを口にしない。これはおかしい。普通なら疑うそぶりくらい見せても良いのに見せていない。
……まぁ私のことを棚に上げて言っているわけですけれど。

自分も同じように言わないでいるのだから理由は簡単に思い付く。
この二人が「このチームで仲間を殺す人がいるわけないよ!」っていう頭お花畑なわけはない。
となると変に角を立ててこのチームが分裂するのが嫌だからっていうのが理由なのでしょうが、それにしても誰も持ち物チェックをしようとしないのは怪しすぎる。首輪が無くなっている以上、首輪を隠し持っている人がいれば確実にりこさんを殺した犯人だ。

それなのに誰も言わないということは……二人とも犯人じゃなくて首輪を持っていないにせよ、バレたらまずい何かを隠し持っていてそれがバレるのを恐れたからでしょうね。

……実はロッシーさんが持っていた煙玉をいくつか隠し持っている私のように。

273 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:25:34 ID:RLchmcLW0v
このチームにおいて武器や拡張ソフトウェア、食糧などの隠匿は禁止だ。
最終的に誰の手に渡るかはともかくとして必ず報告しなければならない。
……基本的には見つけた人の物になるんですけれどね。

信頼のためには相手が自分に対して何が出来て、何が脅威となるかを把握することは必須だからこの方式にみんな納得した。一人だけ銃を隠し持っているとか不意うちが怖い。


私は二人が起きていないことを確かめると音を立てずに立ち上がる。そして、近い位置にいたもちさんが寝ている脇にある持ち物を入れたバッグをこっそり開けた。

中には……PDAが一つ入っている。解除条件はQ。ジョーカーではありませんね。
他に入っているのは……うわっこの人手榴弾持ってますよ。こんなもの隠し持っているなんて……

まあいいでしょう。私も持っているからお互い様です。完全には信用できないですし。
他は……基本的にみんなで分配したものですね。

274 名前: 1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:28:09 ID:RLchmcLW0v
あとはバッグに入れず直接手に持って寝ている可能性もある。

もちさんが寝ているところにこっそり近づいて何ヵ所かあるポケット部分をちょこんと触った。うわっ柔らかっ……じゃなくて……特に何も持っていなそうですね。


続いてちえりさんの方へ
バッグの中は……こちらもPDAが一つ。解除条件は当然7。
あれ?りこさんを殺すとなるとしたら実はジョーカー持ちで本当の解除条件は違うと予想していたけれどどちらもPDAを一つしか持っていないとなると……りこさん殺しの犯人は二人じゃないんでしょうか。じゃあ犯人はいろはさんかな。銃持ってたし。好戦的に見えたし。

持ち物は……うわぁ……この人毒薬持ってますね。ちえりさんに料理はまかせないようにしましょう。砂糖水ドライヤースコーンっていうエピソードからして元々させるつもりはありませんが。

275 名前: 1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:29:16 ID:RLchmcLW0v
まぁ戦闘禁止エリアの中で毒を入れようとしたらペナルティ発生しそうですし、それを思い付かないちえりさんではないでしょうし、少し気をつければ問題ないかな。

そういえばここでPDAを奪って逃げるっていう戦法も可能なんですよね……どうしましょうか。現在私が持っている破壊可能PDAは2つ。それに加えて二人の分を合わせて4つ。4つの中にジョーカーは絶対入っていないですし、私が壊さなければならないのは5つだからあと一個どうにかして見つければ……

いや、厳しいですね。この経過時間で一人で行動している時点で怪しいですからそんな簡単に取り入ることは難しいです。殺すにしても武器が圧倒的に足りない。もうすでに他は銃とか持っているはず。このまま二人と一緒に行っても解除条件はなんとかなりそうですし、止めときましょう。

私はちえりさんのボディーチェックも行って何も持っていないことを確認してから就寝した。


next……Side:カルロピノ

276 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:30:57 ID:RLchmcLW0v
原作内ではどうだったか忘れてしまいましたが、この作品内では同じ種類のソフトウェアが二個落ちていることはあります。


Side:カルロ・ピノ 一人称視点 三階【01:06:44】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このソフトウェアはPDA拡張ツール【トランシーバー】です。
二つのPDAにインストールすることで通話することができます。


          ※ 注 意 事 項 ※
@インストールする事によりバッテリー消費量が増加します
A強力なソフトウェアほどバッテリー消費が激しくなります
Bこのソフトでインストール出来るPDAは2台までです
Cインストール中は絶対にコネクタを外さないでください


        インストールしますか?
          (消耗度:普通)

       はい       いいえ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

わたくしははいを選択した。

このソフトウェアはわたくしが見つけたものではない。30分くらい前に???お姉ちゃんから渡されたものだ。

わたくしが居たのは換気ダクトの中。隠れていたのに???お姉ちゃんに見つかってしまった状況はたしか……

277 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:36:02 ID:RLchmcLW0v
たぶんこの書き方見たら文学を少しでもかじっている人は怒る気がしますが許してください。
あとAAいる?分かりやすいと思って入れてるんですがずれまくるし、いらない気がしてきた……
管理人さんまとめるときはAAの部分をカットしたり改変してくださって構いませんよ……すいません


Side:カルロ・ピノ 一人称視点 三階【01:06:48】


「そこに誰かいる?」


驚きで動きが止まる。わたくしが今いる場所がバレた……?なぜ?

そんなわたくしの心の中を読んだかのように???お姉ちゃんがわたくしがいる方向にPDAの画面を突きだした。
その画面に映っていたのは拡張ソフトウェア『PDA探知機能』
なるほどわたくしが換気ダクトの中で殺す隙を窺っていたのがバレたのはそういうことですか。

ここはとあるお部屋の換気ダクトの中。換気ダクトの中で休憩をしていたら、三人一緒に動いていたちえりお姉ちゃんともちお姉ちゃんとすずお姉ちゃんが手分けして動くという話が聞こえたので、その内の一人を狙おうと思ったのですが……
バレちゃあーしょうがない。逃げましょう。そう思ったとき。


なんと???お姉ちゃんがわたくしに対して手を結ぼうと言ってきた。
曰く、仲良くしているけれど裏切るつもりだから手伝って欲しいその代わり解除条件に協力するとのこと。


……これはどうしましょうか。まぁ組んでもヤバくなったら逃げれば良いですしあまりデメリットは無いですね。とりあえず聞くだけ聞きましょう。

278 名前: 1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:37:45 ID:RLchmcLW0v
「よくぞここにせんくぷ……せん……隠れていたことに気づきましたわね!カルロ・ピノですわ。条件によっては組みますよ???お姉ちゃん。とりあえずそちらの解除条件を教えてくれませんか?」

滑舌は置いておくとして、わたくしはすぐに攻撃されないようにさっき見つけた銃を構えて言った。金網越しなので見えないかもしれませんが。

???お姉ちゃんがPDAを操作し始める。たぶん解除条件のページを開いているのでしょう。
すぐに???お姉ちゃんはPDAの画面をわたくしの方に向け直した。


解除条件は……8。

8は確かPDA五個破壊が条件でしたわね。となると一緒に行動している二人を殺してPDAを奪おうっていうことでしょうか。
となるとわたくしがこれを手伝うメリットは二人の首輪を手に入れることが出来ること。

うーん。裏切りが不安です。首輪を貰いに来たところで殺されるのは嫌ですし、あと一押しほしいところ。

わたくしは強気に???お姉ちゃんに言った。

「わたくしの解除条件は10ですわ。ただ、手伝ったことの利益が二人分の首輪だとリスクと見合いませんし、裏切られるのも心配ですのでもう一押しなにかありません?」

279 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:40:30 ID:RLchmcLW0v
Side:カルロ・ピノ 一人称視点 三階【01:07:12】


それで???お姉ちゃんは一回目のお願いをちゃんとこなしてくれればりこお姉ちゃんの首輪を渡すと言って、さらにPDAの機能拡張ソフトウェア『トランシーバー』を金網の中に入れ込んできたんでしたわね。

とりあえずわたくしは協力関係を結ぶことに決めましたし、まずは頼まれた催眠ガスと拳銃を探しましょうか。
???お姉ちゃんは一度エレベーターで上の階に来ててそのときに見つけたけど、とりあえず取らずに四階のとある部屋に放置したとの話。その場所も教えてもらいましたし、二個ずつあるなら一個あげるとも言っていましたし、ささっと取りに行きましょう。
あと頼まれたのはこれは二回目でも良いとのことでしたが……誰かのPDAでしたっけ。わたくし自身で持ってていても良いですが余裕があったら渡しましょうか。

まぁ完全に信用してませんから渡さない可能性の方が高いですけれどね。
わたくし、既に首輪の作動を一つ確認していますが???お姉ちゃんにはそのこと言っておりませんし。

とりあえずわたくしは四階に行く方向に進んだ。


next……Side:夜桜たま

280 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 17:43:29 ID:RLchmcLW0v
Side:夜桜たま 一人称視点 三階【01:03:29】


「もしもーし。聞こえますかー」

『あっ、たまさん。いや、夜桜たまさん。聞こえてますよ』

私は今、四階に上がることができる階段の近くの部屋で上の階にいるあずきちゃんとトランシーバーで通話していた。

「なんでわざわざ言い直したの。バディ組んでからはずっと下の名前で呼んでいたじゃん」

『やっぱりフルネームで呼ぶっていう有言実行をした方が良いって思ったんですよ。それと……下の名前呼ぶときに名字も付けているだけですから下の名前呼ぶだけと変わらないんじゃないかって……思いますー』

「いや、距離感結構変わるんだけど。あとシロちゃんが有言不実行するべきだって前動画で言ってたよ。まぁいいや、それよりも準備して」

『……来ました?』

私が言っていることの意味を即座に理解したあずきちゃんが更に小声になる。

「うん足音が聞こえてきた。たぶんあっちの曲がり角から。二人か三人だと思う」

『分かりました。じゃあ挟み撃ち作戦実行ですね。……トランシーバーはこのままで』

「オッケー」

いつでも取り出せるようにPDAを二階で見つけて以来着ている上着の胸ポケットに入れる。


さぁ開始だ。三度目の正直と行こう。

281 名前:1[age] 投稿日:2018/12/24 17:46:30 ID:RLchmcLW0v
というわけで前半終了です。

さぁ、たまが待ち伏せしているところに現れたのは不幸続きの双葉チームなのかそれとも出番が無いなとりチームなのか!

予想でもしつつ後半戦をお待ちくださいませ

282 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 21:29:02 ID:RLchmcLW0v
Side:夜桜たま 一人称視点 三階【01:03:29】


息を止め、耳を階段の方に研ぎ澄ませる。この作戦の唯一の懸念点は私が今いる部屋に階段に行く前に入られる可能性だったけれど、まっすぐ階段に行ってくれて助かった。

カツ……カツ……

登る足音が聞こえる。そろそろかな。

「じゃあ行くよ」

小声で言った。あずきちゃんからの返事は無い。その代わりにPDAをコツコツと叩く音が聞こえる。
……あずきちゃんわかりずらいことするなぁ。

なるべく音を立てずにドアを開けて部屋を出る。

階段に近づき、こっそりと階段に登る人の様子を確認した。登っているのは……二人。

……あのダサいくつ下わかりやすいね。


「登っているのはごんごんとめめめちゃん。それじゃあ……さん、にー、いち、ゴー!」

私は勢いよく駆け出して階段を登る。手には既に拳銃。

バンバン!

「うわぁ!」

283 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 21:33:36 ID:RLchmcLW0v
銃声とともに上からめめめちゃんの悲鳴が聞こえてくる。あずきちゃんが二人に対して先制射撃をしたのだろう。

バン!

あれ?今の銃声……二つのものが被っていた気がする。たぶんごんごんかめめめちゃんのどちらかが銃を持っていたんだろう。
安全には狩れるとは思っていなかったけれど、できれば楽に行きたかったな。

『金剛さんが銃を持っていました。あずきは現在階段近くの柱に隠れています。あと、もこ田さんがそっちに行きましたよ』

「うん。見えたよ」

PDAから聞こえてきたあずきちゃんの言葉に対して短く返答した。
めめめちゃんが降りて来ているのを確認した私は銃を構える。
めめめちゃんはパニックになりながら降りて来ていて、私に気づいていない。

つまり今がチャンスだ。


バン!

「チッ!」

完璧なタイミングを狙ったけれど直前でめめめちゃんにバレて避けられてしまった。つい舌打ち……じゃなかった投げキッスをしてしまう。

「おらぁ!」

私に気がついためめめちゃんが何かを投げてきた。回避に成功。今投げてきたのはまきびしかな?

「おっと!」

めめめちゃんが投げた拍子によろめいて少し情けないような声を出した。勿論、それを見逃す理由はない。
私はめめめちゃんに銃を向けた。

……次はもう、外さない。

284 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 21:35:05 ID:RLchmcLW0v
「うわあああああああ!」

めめめちゃんが大声で叫んだ。

バン!

一発放った銃弾が命中し、めめめちゃんの体は一瞬だけぶれたあと、めめめちゃんの服とダサいくつ下を履いたマネキンに変わった。

……ふぅ、やっと一人か。


「こっちキルできたけれどどう?」

あずきちゃんの方の銃声も止まっていたのであずきちゃんに声をかける。

『ごめんなさい。逃げられました……金剛いろはさん防弾チョッキみたいなの付けているみたいですね……脚、腹、肩と三発も撃ち込んだのにダメージ受けたのは脚と肩だけみたいだったと思いますー』

「うーん。防弾チョッキみたいなの付けていたなら仕方ないか……それより怪我は大丈夫?ごんごんも銃持っていたんでしょ?」

『あ、そっちは大丈夫ですー。当たってませんから』

「そう。じゃあこっち来て、首輪ほしいんでしょ?」

『分かりました。じゃあ切りますね』

ピッ

285 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 21:36:49 ID:RLchmcLW0v
トランシーバーでの通信が終わる。

私はめめめちゃん衣装のマネキンを見下ろした。
初めての経験だったけれど……意外とすぐカタがついた。やっぱりバーチャルの中でも現実を再現している以上、漫画のような戦闘なんて起こり得ないのかも。
それにしてもさっきのめめめちゃんのよろめき……疲労してたみたいなよろめき方だったな。
こういう緊急事態のときだからこそ休養って大事だよね。


数分後あずきちゃんが降りてきた。
あずきちゃんが持っていたハンマーでマネキンを思いっきり壊して首輪を手に入れる。そしてめめめちゃんが持っていたPDAや持ち物を取ってその場を後にすることにした。
銃弾で空いた穴とかがある以上、もう一度ここでやるのはリスクが高い。次は五階に行く階段でやる感じかな。

……そういえばめめめちゃんの持ち物異常に少なかったな。まるで私達に襲われる直前に誰かに奪われたかのよう。

……まぁ関係ないか。一応襲われたときの用だけしておこう。


【もこ田めめめ】 脱落

286 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 21:40:08 ID:RLchmcLW0v
Side:北上双葉 一人称視点 三階【01:03:54】


めめちゃんの大声からだいたい20分経った。

戻ってこないということはやっぱりあの大声はそういうことだったんだろう。

双葉はめめめちゃんが置いていった荷物を背負う。

まだ足も手も痛い。けれどめめちゃんはきっともうこのゲームにはいない。
背負ってくれる人は戻ってこない。

だから双葉は潜伏していた部屋のドアをゆっくり開いて、廊下に出た。

少しずつ進んで行く。すぐにめめちゃんとごんごんが行った階段の近くまでやってきた。


「あっ」

もっと近づかないと分からないと思っていたから、心の準備ができていなかった。まさかこんな遠い所からでも分かるなんて。
やっぱり……か。

「もう……めめちゃんのダサいくつ下は遠いところからでもよくみえるなぁ」

思わず悪態をつく。めめちゃんが……いや、めめちゃんの代わりのマネキンが倒れているのはすぐに分かった。
めめちゃんはもう脱落してしまったようだ。

双葉を置いて、いや違う。双葉の代わりに。


next……Side:八重沢なとり

287 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 21:44:12 ID:RLchmcLW0v
Side:八重沢なとり 一人称視点 四階【01:06:51】


「イオリさん。見てください。あそこに人がいますよ?どうしますか?」

私達はようやく一時間ほど前に四階に上がることが出来た。そして今、ちょっと離れたところに足を引きずって歩いている人がいるのを見つけた。

「もしかして階段をあんな風にした犯人じゃないかって思っているの?」

イオリさんが私が言わんとしていることに気がつき、私に尋ねる。

私達がさっき登った階段には銃弾の痕があり、めめめさんのマネキンも転がっていた。……つまりめめめさんはここで脱落。ちえりーらんど送りとなった。
階段で戦闘があったのは確実。階段を上がってわりと近いところにいて、しかも足を引きずって歩いている人なんて何が飛び出してくるか分からない。
生き延びるためにはなるべく戦闘は避けておきたい。ここはバレない内に逃げるか……逆に不意を襲うかするべきだ。

しかし……

「ふたばちゃーん!脚大丈夫ー!?」

288 名前: 1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 21:46:00 ID:RLchmcLW0v
イオリさんが行ってしまった。仕方がない。私も行こう。知っているPDAの解除条件は多ければ多いほど良いですし。

「あっ、イオリちゃんなとちゃん」

双葉さんが警戒した目でこちらを見る。双葉さんが怪我した理由があの階段に関係あろうとなかろうと怪我している以上何らかの戦闘をしたんでしょう。
それなら私達を疑う気持ちがあるのは当然。
ですが……

「ふたばちゃん!イオリ達は双葉ちゃんを攻撃する気は無いから安心して!それよりその怪我大丈夫!?」

あっという間にイオリさんが双葉さんの前に立つ。既に双葉さんの警戒心は薄くなっている。
そうでしょうそうでしょう。イオリさんのお花畑っぷりを目の前にしたらどんな猛獣だって牙を抜かれてしまうんです。
よほどの敵対理由が無い限り、裏表が無いイオリさんを警戒し続けるのは難しい。
まぁ双葉さんが攻撃してくるようなそぶりを見せたらきちんと私が今持ってる武器で対応はしますが。……大丈夫そうですね。

「その怪我どうしたの?もしかして階段のめめめちゃんと何か関係がある?」

イオリさんのその言葉を聞いて双葉さんの目が変わる。……何か知ってますね。

「えっと……長くなるけれどいい?」

双葉さんはそう言うとなぜ自分が怪我したのかというところから始めた。

289 名前: 1【四章:quot;Who killed the Jack?quot; quot;I,quot; said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 21:47:34 ID:RLchmcLW0v
「というわけで今はふーちゃん一人なんです」

辛い顔をした双葉さんの話が終わる。なるほど……双葉さんの話はずいぶん長かった。消化しきれなかったので頭の中で話をまとめましょうか。

最初はシロさんめめめさんと三人でいたけれど、ピノさんによって分断されて双葉は大怪我を負った。私達も使った隠し階段を登っていく途中でいろはさんと出会って一緒に行くことにした。

ピノさん怖い……てっきり最初に動くとしたらシロさんかたまさんかすずさんだと思っていたんですけど意外。


そしてここからがあの階段に関わる話。
三階から四階に行く階段の近くまで来たところで待ち伏せされている可能性を考えて双葉さんを一度近くの部屋まで置いていくことにしたらしい。
階段は一番待ち伏せされそうなところですし、偵察なら誰かを背負っているよりも身軽な方が良い。万が一襲われたときも双葉さんがいない方が生存率が上がる。合理的な選択ですね。

290 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 22:17:03 ID:RLchmcLW0v
双葉さんに食糧などの持ち物を一時的に持ってもらって、二人は階段に行った。
双葉さんが少し待っているとなんと階段の方向から銃声が聞こえてくる。双葉さんはすぐさま部屋から出て様子を見ようとしたが、めめめさんの大声が聞こえてきてそれを止めた。

めめめさんが大声を出したときは緊急事態の合図。二人が戻ってくるか20分経たない限り双葉さんは部屋から出てはいけないと事前に決めていたとのこと。
双葉さんはめめめさんを助けに行きたい気持ちを押さえて、きちんとめめめさんとの約束を守った。20分経って階段まで足を引きずって行ったらめめめさんのマネキンしか無かった。と。


そ、壮絶すぎる……双葉さん不幸続きじゃないですか?足手まといになった自分を見捨てずにおぶり続けてくれた人が、自分を置いて先の安全を確認しに行って殺されていたって主人公の不幸な過去の典型例みたいなレベルの酷さです。

結果的にめめめさんといろはさんが罠を踏んだおかげで双葉さんは安全に四階に到達できたわけですし……そう思うとなおやるせないというか……

291 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 22:18:23 ID:RLchmcLW0v
「あっ!そういえばふたばちゃんの解除条件ってなに?」

イオリさんが流石にこの空気に耐えられなくなったのか話を変える。
そういえば解除条件聞き忘れていましたね。何なんでしょうか。ジョーカーでないことは既に分かっていますが気になりますね

「双葉の解除条件?双葉の解除条件は6だよ」

6!私と同じジョーカーに関わる解除条件!協力関係を結ぶことができますね。

「私の解除条件は2ですよ!敵対する理由は無いですね。双葉さんジョーカーを誰が持っているかとか知ってますか?」

「ううん。知らない。ごめんねなとちゃん」

まぁ簡単には行きませんか。Qでも無いってことでイオリさんとも敵対しないのはありがたいんですけれど。

「あー良かったーイオリ解除条件Aだから解除条件を人に聞く度にドキドキしちゃうんだよねー」

「えっ?A?」

双葉さんがその言葉を聞いて目を変える。もしかして……

「もしかして双葉さん。自分解除条件をAって名乗ってる人に出会ったんですか?」

「ううん。違う。」

292 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 22:19:40 ID:RLchmcLW0v
「ううん。違う。」

なんだ違うんですか。ちょっと残念。

「じゃあふたばちゃんは何に驚いたの?」

「……えっと二人は階段でめめちゃんのマネキン見たでしょ?」

「はい」

「つまりめめちゃんはすでに脱落しているん……で。双葉はめめちゃんの解除条件をしっているんだけど……」

双葉さんの言葉の歯切れが悪い。言いずらそうだ。

「それで?めめめさんの解除条件がどうかしたんですか?」

「死んだめめちゃんの解除条件が……Qだったの」


「えっ?」

「えーーーーーっ!」



イオリさんどうするんですか!まずくないですかこの状況!?

293 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 22:21:12 ID:RLchmcLW0v
Side:猫乃木もち 一人称視点 三階【01:07:50】


≪PDAの解除条件の偽装を8からQに変更してよろしいですか?≫
≪※変更してから一時間は別の解除条件に偽装することはできません≫

やっと一時間経って、解除条件をQに戻せた。
ピノっちと協力関係を取り付けるためには必須だったとはいえ、一時間解除条件が変更できないのはいつ見せろって言われるかと思うととても怖かった。
けれど何とか二人に変わった解除条件を見せずに済んで良かった。


続けてPDA探知機能を開く。
うーん既に充電が60%を切っている。流石にバッテリー消費が思いなぁ。
さて、一階のPDAは0、二階も0、三階に4つ、四階に9個……
もうこの階には私達しかいないらしい。

294 名前:1【四章:"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】[age] 投稿日:2018/12/24 22:31:33 ID:RLchmcLW0v
残り人数はあと私を抜いて9人。この全員を殺さなきゃならない。キャー大変。
……ぶっちゃけこの解除条件酷すぎない?みんなが100m走をやっている中一人だけフルマラソンやらされているようなもんだと思うんだけど。
あとで絶対プロデューサーに抗議してやる。

まぁ、運悪くもこれが来ちゃった以上はやるしかない。
焦ってはいけない。ピノっちが来るのを待つんだ。保険もすでにかけている。
私は落ち着いて待っていて……

最後にまとめて殺せば良い。



第四章【"Who killed the Jack?" "I," said the Joker.】終


残り生存者数……10人


【A】 【2】 【3】 【4】

【5】 【6】 【7】 【8】

【9】 【10】



next……第五章【埋火】

295 名前:1[age] 投稿日:2018/12/24 22:39:35 ID:RLchmcLW0v
ギャー肝心の一文が抜けました。

はぁ、なんで私こんなにこそこそ色々たくらんでいるんだろう。
でも仕方がない。だって私の解除条件は9。ジョーカーで欺かないと生きていけない全員の敵だ。

という文が293と294の間に入ります

296 名前:1[age] 投稿日:2018/12/24 22:41:37 ID:RLchmcLW0v
解除条件の一覧

A【ヤマトイオリ】…QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。

2【八重沢なとり】…JOKERのPDAの破壊。このPDAのみ半径1m以内でJOKERの偽装機能は無効、初期化される。

3【夜桜たま】…3名以上の殺害。ただし首輪の作動は含まない。

4【木曽あずき】…自分以外の首輪を3つ取得する。首を切り取っても、解除条件を満たし外すのを待つのも良い。

5【金剛いろは】…館全域の24個のチェックポイントを全て通過する。特殊効果として地図上にポイントの表示がされる。

6【北上双葉】…JOKERの偽装機能を5回以上使用。自分で使う必要も、近くで行う必要も無い。

7【花京院ちえり】…開始から6時間目以降に全員と遭遇。死亡している場合は免除。

8【神楽すず】…自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する。

9【猫乃木もち】…自分以外の全参加者の死亡。手段は問わない。

10【カルロピノ】…首輪が5個作動すること。ただし2日と23時間より前に行うこと。

J【牛巻りこ】…開始から24時間以上行動を共にした人間が2日と23時間時点で生存していること。

Q【もこ田めめめ】…2日と23時間の生存。

K【電脳少女シロ】…PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

JOKERの持ち主【猫乃木もち】現在の偽装……Q

297 名前:1[age] 投稿日:2018/12/24 22:57:33 ID:RLchmcLW0v
元々一つの章だった四章と五章を分けているので脱落者の部屋や馬コーナーはありません。代わりにおまけとして今までの章題の解説でもします

さてついに消去法もありますが全員解除条件が分かりました。
そして一人ちえりーらんど送りに……

まだ10人もいますが実はこの作品既に後半戦です。ある一人の死がキーとなり、ゲームが急激に加速していくのです。

次の更新は大晦日ぐらいになりそうですがよろしくお願いいたします

298 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/24 23:12:47 ID:goLSX9gmjd
更新乙です
これはイオリンがアレにいつ気がつくかによって展開変わりそうだね
気がつかなかったらちえりーらんど行き決定だし

299 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/24 23:28:35 ID:goLSX9gmjd
すずすずが寝ている間に探ってたのに見つけられないなんて、もちにゃん一体どこに9のPDAを隠しているんだろうか
別の部屋に置いてても壊されたら元も子もないし

300 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/25 11:15:23 ID:n3Fauo6iYx
というかイオリンは最後まで殺さずに終わりそう
事故でも起こらない限りは

もちにゃんがjokerと銃を隠したのはピノ様の時に見つけたダクトの中かな?あれならお嬢の地図にも引っかかりそうにないし

301 名前:名無しさん [age] 投稿日:2018/12/25 11:32:57 ID:dvHc.XaZP2
投下乙
もちにゃんジョーカーだったかぁ。騙されたなぁ

302 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:36:04 ID:weiCaB/PQZ
完全に私事になりますがこのSSを友人が読んでいたことが判明しました。
友人にVチューンを紹介したことがあるのをすっかり忘れてた……


Side:花京院ちえり 一人称視点 四階【01:10:18】


ちえりはPDAの【おしらせ】の欄をタップした。


【二時間後に二階封鎖のお知らせ】

ゲーム開始から36時間経過【01:12:00】で二階が侵入禁止エリアとなります。お急ぎください。


ちえりが見たいのはこのお知らせじゃない。
ちえりは画面をスライドさせた。


【隠しコマンドについてのお知らせ】

※このメッセージはジョーカー・予備も含めた全てのPDAに送信されています。

PDAの隠し機能【メモ帳】の機能を解放するためのコマンドをお教えします!
これさえあればもう紙にいちいち書かなくてOK!
コマンドは……


ちえりはコマンドを頭に叩きこんで、【お知らせ】ページを閉じ、コマンドを打ってメモ帳を開いた。

303 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:39:08 ID:weiCaB/PQZ
ちえりだよ(疑心暗鬼)

ちえり達三人は四階に辿り着き、とある部屋でちょっと休憩中。
私はつい一時間くらい前にメッセージが来て知ったメモ帳機能に紙に書いていたルールの一覧とかのメモの内容をうつす作業中です。

ちえりと同じように二人もメモ写し作業をしているみたい。

……二人といえば。

……寝ているときにどっちかがちえりの持ち物を漁っていたっぽいんだよなぁ。


ちえりがなぜそれを分かったかというとちえりのバッグのファスナーの金具の位置が変わっていたから。
どっちかが寝ているときにちえりのバッグを開けたっぽい。
中身は何も無くなっていなかったし、PDAにわざとつけたキズが今持っているPDAにもあるからPDAの入れ替えも無いみたいだけれど。

……もしかしたらその犯人がりこぴんを脱落させた犯人なのかもしれないな。

……でも、ちえり的に一番怪しい、一番裏切りそうって思っていたのはりこぴんだったんだよねー。
勿論りこぴんが誰かを襲って失敗して返り討ちにあった可能性もあるけれど。

304 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:42:48 ID:weiCaB/PQZ
最後にこのチーム書いたところは>>240です。安価書くの忘れてた……すいません


りこぴんを怪しいと思ったのは一人だけ明らかに持っている情報が多いと思ったからだ。
PDAの時計の見方とか、戦闘禁止エリアを知らせる機械が壊れているのに気づいたりとか……りこぴんは絶対ちえりが持っていない視点を持っている。
しかも先行して色々行動していたから知っている知識……というよりはゲームの運営側だから知っている知識って感じ。
まぁゲームの運営側ならこんなに早く脱落はしないって言われたらその通りだと思うけど。


……でもゲームの運営側ならメモ帳機能事前に知ってたりしないかな。

すずちゃんは自分のメモ帳だけを開いて、ロッシーちゃんとりこぴんのメモ帳は開いていない。
もしかしたら……りこぴんのメモ帳には何かメモが残っているかも。

無かったら無かったで別に良いし、二人に内緒でチェックしてみようかな。
ちえりはそう考えてすずちゃんに向かって声をかけた。


「あっそうだすずちゃん。りこぴんのPDAちょっと貸して。ちゃんと目の前で操作するからさー」

305 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:45:05 ID:weiCaB/PQZ
「良いですけれど……なんでですか?」

すずちゃんが少し怪しむような目で見てきた。
まぁ自分のPDAをジョーカーに入れ替えなんぞされたら死活問題だし、すずちゃんが警戒することは無理もないことかな。

だから安心させるためにちゃんとそれっぽーいデマカセを言おう。

「りこぴんのPDAに入っているソフトウェア見たいの。だめー?」

「あぁ『ソフトウェア一覧』。良いですけれどメモって無かったんですか?」

『ソフトウェア一覧』はまだりこぴんが生きていた頃、りこぴんが見つけたソフトウェアだ。このゲーム内で手に入る拡張ソフトウェアが全て載っているカタログ。
すでにりこぴんに見せてもらってメモはちゃんと紙でとってあるけれど……

「いやーメモポケットに入れたような気がしたんだけれどさー入ってなくて……どこかしらにはあると思うんだけど探すの面倒だからもう一回メモりなおそっかなーって」

勿論嘘。本当はバックの中に紙のメモがきっちりある。
けれど今はみんなそろって紙をPDAのメモ帳に移している最中だし、理由に違和感はないはず。


「なるほど。はいどうぞ」

「ありがとうすずちゃん!」

すずちゃんからPDAを受けとる。
一応本当にPDAにもメモりなおしておこうかな。
私はそう考えてりこぴんのPDAに入っている『ソフトウェア一覧』を開いた。

306 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:47:54 ID:weiCaB/PQZ
【ソフトウェア一覧】

1 地図拡張機能
地図上に部屋の名前と置かれているアイテムを追加表示する。
部屋の名前と置かれているアイテムの表示はそれぞれ消すことが可能。

2 擬似GPS機能
マップ上に現在位置を表示する。
マーカーの色は赤色。

3 首輪探知機能
首輪の位置をマップ上に表示する。ただし作動した首輪は除外。
マーカーの色は黄色。

4 ジョーカー探知機能
JOKERの位置をマップ上に表示する。
マーカーの色は紫色。


5 PDA探知機能
PDAの現在位置をマップ上に表示する。ただし破壊されたPDAとJOKERは除く。
マーカーの色は青色。

6 振動探知機能
館の動体センサーが収集した振動をPDAに表示する。
ギザギザ線で震源地を囲む。

7 トランシーバー
ネットワークを利用したトランシーバー機能。
音量調整やミュート機能も完備。

8 オートマトン
ネットワーク経由で遠隔操作可能な羊型自動攻撃機械のコントローラー。
マシンガンを背中に載せており、それを撃つ。

9 ドアコン
ドアやシャッターのリモートコントローラー。
ドアコンによって閉じられたドアは他のドアコンでも開くことができる。

10 遠隔爆破装置
爆弾とそのコントローラーのセット。
爆弾を分けて複数回爆発させることもできる。

307 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:49:31 ID:weiCaB/PQZ
11 ジャマー
機能作動中、範囲内の物はソフトウェアの探知に映らなくなる。
範囲はPDAを中心に半径10m。

12 残り生存者数表示
残りの生存者数を表示する。
表示方式は黒地にオレンジ色のアナログ数字。

13 侵入禁止無効化
侵入禁止エリアへ侵入しても首輪が作動しなくなる。
ただし、それ以外のペナルティによる首輪作動は起こる

14 カウントダウン
今いるフロアが侵入禁止エリアになるまでの時間を表示する。
表示方式は黒地にオレンジ色のアナログ数字。

15 罠探知機能
罠を探知し、PDAの地図上に表示する。
罠の種類の表示もされる。

16 ソフトウェア一覧
PDAの機能拡張ソフトウェアの一覧を表示する。
今あなたが使っている機能。

17 ルール一覧
ルールの一覧を表示する。
PDAのルールの項にも全部表示されるようになる。

18 換気ダクト見取り図
換気ダクトの通っている部屋や通路を表示する。
また探知するソフトウェアを持っている場合、その対象が換気ダクトの中にあった場合、換気ダクトのマップにもマーカーが表示される。

308 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:51:17 ID:weiCaB/PQZ
よし、メモも大体終わったし、目当てのりこぴんのメモを調べようかな。

ちえりはコマンドを入力した。

メモ帳が開く。すると……


☆メモ帳☆
現在二件のメモが保存されています。

▼『サブゲームマスター牛巻』

▼『牛巻りこが脱落したワケ』


……ビンゴ!本当にあるとはちえりと思ってなかったけどね!
サブゲームマスター牛巻がすごく気になるし、まずは上から読もう。たぶん下が遺書みたいなもんだろうけど。楽しみは後にしよっと。

ふむふむ……なるほど。……長いな。

長かったのでメモの内容を頭の中でまとめる。

309 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:53:19 ID:weiCaB/PQZ
りこぴんは実はサブゲームマスターで、色んな情報を事前に教えてもらっていた。ルールや隠し通路、この施設の電気や水を管理している隠し部屋など、そしてこのメモ帳機能。
もう一人サブゲームマスターがいるらしいがりこぴんもそれが誰だかは分からない。

……こんなところかな。隠し部屋とかの情報はメモっておこう。

あとはりこぴんが知っている誰がどの解除条件かなどがずらっと書かれていたり、何者かに壊されていた戦闘禁止エリアの感知センサーの話とかだけどこの辺はほぼずっと居たし大体知ってる。


……さて次はお待ちかねのメインディッシュ。何が出てくるかな〜?

310 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:55:02 ID:weiCaB/PQZ
▼『牛巻りこが脱落したワケ』
『このメモを見てるのが誰かは分からないけど君がこのメモを見てるとき、すでに私は死んでるだろう(一度書いてみたかった)
このPDAの最初の持ち主の牛巻りこです。現在の状況はもっちーに銃で襲われて負傷中。たぶんこのあと見つかってやられるからこれはメモを見つけた人への遺書代わり。牛巻が知っている限りの情報はもう片方のメモに書いてあるから……これを読んだ人牛巻メモを生かして勝って牛巻の未練を果たして!見てるのがもっちーだったら……牛巻は完全敗北だけど!とりあえず見てる人は強く生きろよ!』

……なるほど。もちちゃんがりこぴんをカルロピノ総合病院送りにした犯人でござったかー。
もちちゃんはQなのに殺しに行ったってことはジョーカー持ちか賞金狙いだね。
というかりこぴん襲われたあとにしては文章長くない?たぶん元々こういうときのために雛型を用意していたか書いている内につい筆が乗っちゃったんだろうなー。それでも焦ってるのから抜き言葉だったり文法が少しおかしい気がするけど。


よし、全部メモ完了。

311 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:57:09 ID:weiCaB/PQZ
「はい。すずちゃんありがとー!」

返却返却っと。

「どういたしまして……ちょっと長かったですね。なんか新しい発見でもありました?」

「ううん。何も?」

流石に長かったかな?ちょっとすずちゃんの心証が悪そう。
でも、このチームの中にもちちゃんという爆弾がある以上、優位性は欲しい。ちえりの解除条件はグループで行動した方が良いから爆弾があると分かっていてもチームから抜けることは難しい。

だからギリギリまで一緒にいて……もちちゃんにやられる前に逃げる。そのためにはなるべく多くの情報を握って、二人に渡さないように握り潰す必要がある。


……ごめんねすずちゃん。

もちちゃんに悟られないようにりこぴんのメモもう消しちゃった♪


next……Side:夜桜たま

312 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 01:58:36 ID:weiCaB/PQZ
Side:夜桜たま 一人称視点 四階【01:13:41】


「もしもしー。聞こえてるー?」

『はぁい。ついに来ましたか?』

私は今、五階に上がることができる階段の近くの部屋で上の階にいるあずきちゃんとトランシーバーで通話していた。
さっき成功した作戦を再び実行するつもりなのだ。

「うん。足音は二つかな」

『……その中に金剛いろはさんが入っているか分かりますか?もしいたらこの作戦は実行出来ないと思いますー』

「歩いてくる二人の声が少し聞こえるんだけれど声質はいろはちゃんじゃないかなー。たぶんその内の片方はイオリン。もう片方は自信がないけれど双葉ちゃんじゃないかなって思う」

歩いている二人の内の片方がたくさん喋っているから声の判別が付けやすかった。

『なるほど。じゃあ挟み撃ち作戦take2いけそうですね。……じゃあトランシーバーはこのまま』

「おーけー」

さっきと同じようにPDAを着ている上着の胸ポケットに入れる。

313 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 02:01:01 ID:weiCaB/PQZ
前回のこのチームの動きは>>282(また書き忘れた)


息を殺して二人が階段を昇りはじめる音が聞こえるまで待つ。

……足音が私がいる部屋がある廊下を通りすぎた。その先には階段だ。
足音を確認した私は万が一こっちの部屋にターゲットが来てしまった場合の為に隠れていた机の下から出た。

そろそろ階段の半分くらいまで登ったところかな?


……?あれ?喋る声は不自然なほど大きくなってる?


……!!階段を昇る音がいつまで経っても聞こえてこない!まさかこれは……陽動!?


……私は気づくのが文字どおり致命的に遅かった。

ガチャ

「……!双葉さんが言った通り!!」

ドアを開けたのはなとりちゃんだった。
なとりちゃんは部屋にいる私を見てすぐにこちらに突撃してきた。

「ちっ!」

私は銃を構える。しかし、そのときはすでになとりちゃんが私の目前に迫っていた。

「ちょっと眠ってくださいね」


なとりちゃんが手に持っていたのはスタンガン


それが私の体に触れると同時に私の視界は暗転した。

314 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 02:05:01 ID:weiCaB/PQZ
Side:八重沢なとり 一人称視点 三階【01:03:29】
前回のこのチームはこちら>>287


「ふぅ……予想していた通りだったね」

イオリさんがたまさんの持っていた拳銃を手に取りながら言った。

あのあと双葉さんは私達に着いてくることになった。ジョーカーが必要な双葉さんの解除条件を達成するには私と行動するのが一番良い。
行動が遅くなるのはデメリットでしたが、最悪の場合自分をおいてっても良いと双葉さんが言ったことで同行することになった。

上の階へと進んでいく上で、戦闘を回避するに越したことはない。
だから、めめめさんといろはさんが襲われた原因について考える必要があった。

三人で色々考えた結果、めめめさんが死んだ原因は下と上の挟みうちだという予想になった。
直接の決め手は階段の下に落ちていためめめさんが持っていたまきびし。

315 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 02:10:40 ID:weiCaB/PQZ
>>314時間を【01:13:43】に訂正します

まきびしが下に投げられているということは下から敵がやって来たからだろう。

けれど銃を持った敵が下からやって来たならまきびし一つだけ投げるという方法で応戦するわけがない。普通なら一目散に上に逃げるはずです。そのために双葉さんと20分待てという約束をしたのですし。
それなのにそれをしなかったということは……上にも敵がいたということ。
上と下からそれぞれ偶然襲われるなんて起こりうる確率は低いですから、しかもそれはきちんと作戦が練られた挟みうちです。

作戦を練っているなら、下から来る方は階段の下側の近くの部屋に潜伏しているはず。
それが一番確実だ。
ちなみにいろはさんがめめめさんを襲った可能性は考えていない。だってめめめさんを殺すならほぼ無防備な双葉さんを殺しに行かない理由がないから。

ともかく、いない可能性は勿論あるけれど用心するに越したことはないので、二人にわざと目立つようにしてもらって、忍び足で近くの部屋を見に行ったんですけど……
まさか予想通り本当にいるとは。

316 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 02:11:14 ID:weiCaB/PQZ
「双葉さん。スタンガン貸してくださってありがとうごさいました」

「ん。どーいたしまして」

双葉さんから借りたスタンガンを返却する。

「じゃあ私は上で待ち伏せてる人を捕まえに行きますけれどどっちかたまさん見張っててもらえませんか?」

「じゃあイオリが見てるよ」

「じゃあふーちゃんにその銃貸して。階段前見張ってる」

「はい。どうぞ!」

どうやら階段前を見張っててくれるようだ。双葉さんはイオリさんからたまさんが持っていた銃を受け取った。

「じゃあたぶんすぐ戻ってきますね。たぶん上の人は逃げているでしょうし」

「はーい」

ガチャ

ドアを閉める。階段前で双葉さんと別れた私はゆっくりと階段を登りはじめた。

317 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 02:13:28 ID:weiCaB/PQZ
五階に着く。人の気配は……無い。居るとしたら……近くの部屋かな?

ガチャ

行こうと思っていた部屋のドアが勝手に開いた。
部屋の中から人が出てくる。

「はぁい、風紀委員長」

そこにいたのは……あずきさん。

「降参するので撃たないでください」

手を挙げて部屋から出てきた。

「降参するなら武器を投げてください」

あずきさんは私の言った通りに持っていたアサルトライフルを床に投げた。
私は解除条件的に戦闘はなければないほど良いし、賞金狙いで殺すのも同行者が良い顔をしない気がする。いや、負けず嫌いな彼女なら案外認めてくれそうな気がするけれど。

「よくたまさんが既にやられているって分かりましたね?しかも逃げずに降参を選ぶなんて。降参しても命が無事になる保証は無いのに……まあ私は保証しますが」

318 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 02:15:13 ID:weiCaB/PQZ
私達はたまさんを制圧するときに声を出していないし、銃声だって鳴っていない。それなのに自分の不利を見抜いてしかも、逃げずに降参した理由が知りたい。
……もしや、これは罠なのでは?私はあずきさんが口を開くのを待った。


「PDAの拡張機能でトランシーバーがありましてーそれでたまさんと連絡を取ってたのでたまさんがやられたとわかりました。でもどうやら命は奪ってないみたいなんで降参しても大丈夫だなって思いましたー」

あずきさんの答えで私は納得した。
なるほど。たまさんのPDAはまだ取り上げていないからソフトウェアがバックグラウンドで動いていても気づかない。あずきさんがそれを聞いていたのなら降参したのは納得です。

あずきさんは言ったことを証明しようと思ったのかPDAを胸ポケットから取り出そうとした。


そのとき

319 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 02:16:51 ID:weiCaB/PQZ
バン!


PDAから銃声が鳴り響いた。


えっ?

私の方をあずきさんが睨む。おそらく命を奪わないんじゃなかったのか?と言いたいのだろう。
私だって頭の中は疑問符だらけだ。

「たまさんから銃は奪っていますし、たまさんの銃を持っている人は外に出ています!下にいる二人に誰かを殺す理由は無いですからたぶん部外者が入ってきてます!」

私もこんな状況予想外。
だって双葉さんもイオリさんも殺す理由なんて……

……いや、待てよ?双葉さんにとってたまさんはめめめさんを殺した人。普通ならデスゲームで復讐するメリットなどないけれど今回は賞金システムがあるから殺すメリットもちゃんとある。

それに……

「あずきさん。めめめさんのPDAって誰が持っていますか?」

あずきさんは急な私の質問に対して疑問を抱いたようだが、一応ちゃんと答えてくれた。


「夜桜さんが持ってますよ」

320 名前:1【五章:埋火】[age] 投稿日:2018/12/30 02:20:16 ID:weiCaB/PQZ
……確証が持てなかったからさっきイオリさんの解除条件について三人で考えていたときには言わないで、あとでもう一度考えようと言って棚に上げたけれど。イオリさんの解除条件について一つ思っていたことがある。

イオリさんの解除条件は『QのPDAの所有者を殺害する』文を読む限り最初にQを持っていた人を殺せとはどこにも書いていない。

つまり、QのPDA……めめめさんのPDAを現在所有している人を殺せば解除条件は達成できるのでは?


もし、これにイオリさんが気づいていたとしたら!
そういえば私はイオリさんにボディーチェックを一度もしていない。よく考えたら甘かった。

もしイオリさんが銃を隠し持っていて、今の音がたまさんをそれで撃った音だとしたら。

解除条件的には私達と敵対する理由は無いけれど。

今までイオリさんが私達に一切そういうそぶりを見せなかったというのが怖い。

あの子は案外負けず嫌いでイタズラ好きだから……

ゲームに乗り気で賞金も狙っているかもしれない。

その場合の次のターゲットは……


「あずきさん!とりあえず下に行きましょう!」

杞憂なら良いけれど……!

私はあずきさんを連れて、階段に向かって駆け出した。

321 名前:1[age] 投稿日:2018/12/30 02:22:31 ID:weiCaB/PQZ
本日の更新はこれで終了です
次回更新で五章も終わります。

ここでソフトウェアのお話しを一つ
原作をプレイした方ならわかると思いますが、実際のゲームではソフトウェアの種別があります。ですが原作内でもエピソードによって同じソフトウェアで違う効果だったり曖昧なので、削除しました。
ソフトウェアの名前や説明文も原作からほぼ書き直している上に効果も一部変更があります。

322 名前:名無しさん[age] 投稿日:2018/12/30 12:02:05 ID:L6LLcP3vrx
更新乙です
お嬢といいたまちゃんを撃った犯人といい、本格的に蹴落としあいが始まってますね…

323 名前:1[age] 投稿日:2018/12/30 23:07:32 ID:48Ow2jAyga
ミスの訂正です
【残り生存者数表示】と【カウントダウン】の表示方式は黒地にデジタル数字でした!
アナログ数字ってなんだよ……
あとside:なとりの階は三階じゃなくて四階です

ミス多くてすいません

324 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/01/03 17:44:54 ID:5Yv5Acn7FF
だいぶ遅くなったけど更新乙
続き楽しみにしてるで

325 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2019/01/04 00:55:17 ID:JLjiF9wi2r

あずきちの情報があればもちにゃんジョーカーがほぼ特定できそうだけどどうなるか

326 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 16:59:23 ID:weNDrzTzzr
Side:八重沢なとり 一人称視点 三階と四階間の階段【01:03:36】
この視点の前回→>>314

階段を駆け降りる二人の足音が響く。
私とあずきさんは今、たまさんとイオリさんが居た部屋へと向かっていた。

この建物の階段は何故か長い。私は階段を降りている間にあずきさんに要点をまとめて現在の状況説明をした。

「なるほど……イオリさんの解除条件がAで夜桜さんがQを持っているので殺す可能性があるのに、それに気づかなかったと……何で夜桜さんからPDA取っておかなかったんですか?」

「完全に忘れてたんです!」

たまさんの持っていた二つのPDAを取って置けば少なくともたまさんの反抗とイオリさんのたまさんへの攻撃は防げる。実際に何が起こっているかは分からないですけれどもしそのどちらかが原因の銃声だったら明らかに私の判断ミス。



「双葉さんがいない!?」

階段から降りるとそこにいたはずの双葉さんがいなかった。遅かった?!
ともかく銃を構えてイオリさんとたまさんがいた方向に向かう。すると

「えっ?あずきちゃん!?……なんで?」

銃を構えた双葉さんと……

「ふたばちゃん!勘違いだって!」

銃口の先に血まみれのイオリさんがいた。

327 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:00:21 ID:weNDrzTzzr
うわっ!なんですかこの状況!?イオリさんは見る限り怪我をしている様子は見られないから血はおそらく……たまさんのモノでしょう。
だとしたらさっきの嫌な予感通りイオリさんがたまさんを撃って部屋から出てきて、銃声に気づいた双葉さんがイオリさんを見て警戒しているっていう感じかな?


「あずきは風紀委員長に降伏を申し出ているので攻撃しません」

いち早くこの状況で行動をしたのはあずきさんだった。あずきさんは自分が敵ではないアピールをして、あずきさんを警戒している双葉さんの銃口が自分に向かわないようにしたようだ。

「二人ともそういうことなのであずきさんは敵ではありません!攻撃の心配はありません」

二人とも私の言葉もあってあずきさんを信用した様子だ。助かった!この状況であずきさんも双葉さんの攻撃対象になったら収拾がつけられなくなる。


「……二人とも私を攻撃するつもりはありますか?」

私は状況の確認をするために二人に聞いた。どちらも首を横に振った。

「双葉さんは部屋から急に銃声が聞こえて駆けつけてみたら、返り血がついているイオリさんを発見して警戒しているんだと予想したんですけれど、それで合ってますか?」

「うん」

328 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:02:21 ID:weNDrzTzzr
「違うよー!イオリはみんなと敵対する気はないよー!」

「じゃあその血はなんなん?」

「たまちゃんの血!」

「やっぱりやってるじゃん!」

「違うの!」

「たまちゃんマネキンになったってさっき言ってたよね」

「うん」

「その原因は?」

「それはイオリだけど……」

「ほら!」

収集がつけられなくなってる……イオリさんがたまさんを脱落させたのは間違いないっぽい。
けれどそれにしてはイオリさんの様子が変なんですよねー想定外のことだらけみたいな。とりあえず私達に対して攻撃する意思はなさそう。何でそう感じるのかはわかりませんが。
ともかくイオリさんは何か知っているみたいですけれどパニックで上手く言葉に出来ないようにみえるし、それが原因で双葉さんが勘違いしている気がする。

話を誘導すれば今回の話の流れが見えてくるかもしれない。けれど何を言えば……

329 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:04:13 ID:weNDrzTzzr
「……イオリさん銃は持ってないんですか?」

……!それです!ナイスですよ!あずきさん
イオリさんは今明らかに武器を持ってない。それなのに返り血がついているにしてはおかしい。
これが私がイオリさんから敵対意思を感じなかった理由かもしれない。

「銃?イオリは持ってないよ!……あっ!言うの忘れてたピノちゃんが!」

「ピノちゃん?」

急になんでピノさんが?

「こっち来て!」

イオリさんがたまさんが居た部屋の方へと急に走り出した。

「イオリさん!ちょっ!まっ!」

何はともあれ追うしかない。
私達は駆け出した。

330 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:06:24 ID:weNDrzTzzr
部屋の前に着くとイオリさんが部屋を開かずにドアに向かって叫んだ。

「ピノちゃーん!部屋に入っちゃ駄目って言われたけれどドア越しに話をするのはダメー?」

「……良いですよ。入ってきたら容赦なく撃ちますけれど」

「!!」

部屋の中から聞こえてきたのは間違えなくピノさんの声。
どういうこと?双葉さんはイオリさんが居た部屋に誰か入ってこないように部屋のドアが見える位置にいたはず。だから部外者が襲ってきたとしたら双葉さんはイオリさんなんか警戒しないはずだ。
それなのに双葉さんがイオリさんを警戒していたということは双葉さんはピノさんがこの部屋に入ったのを見ていないということだ。

「イオリちゃんどういうこと?説明して?」

双葉さんがそう言うと、イオリさんはこっちの方を向いて口を開いた。

331 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:08:16 ID:weNDrzTzzr
「たまちゃんがイオリのことナイフで襲ってきて!防御してたらピノちゃんが換気するとこから出てばーんって撃ってきて、たまちゃんの力が弱まったからゲームだしもういいやえいってイオリがたまちゃんを刺して、たまちゃんが死んじゃって、よく考えたらわかりあえたかもしれないって気づいて、イオリのばかばかばかばかー!って言ってたらピノちゃんが銃を構えて部屋に入ってきて今すぐ部屋から出たら殺さないって言われて、部屋からイオリ出てきたの!」

???えーっと?

「ピノさん?今イオリさんが言ってたことと何か相違はありますか?」

嘘には聞こえないけれど嘘の可能性があるし、何よりもピノさんに状況を説明してもらいたい。申し訳ないけれどちょっと整理しきれなかった。
ピノさんにもう一度説明してもらおう。

「相違はないです。わたくし偶然換気ダクトにいて悲鳴が聞こえてきたので来てみたらたまお姉ちゃんがナイフを持ってイオリお姉ちゃんに襲いかかっていたので、わたくしが背後からたまお姉ちゃんを撃ちました。それだけではたまお姉ちゃんは脱落しなかったのですが、わたくしが撃ったせいで力が抜けたのかたまお姉ちゃんは刺されまいと抵抗していたイオリさんに競り負けて逆にナイフで刺されてしまったようです。で、わたくしそのままイオリお姉ちゃんも撃ってしまおうと最初は考えたのですが、だれかが近づいてくる音が聞こえてきたので、イオリお姉ちゃんを外に出すことで時間稼ぎをすることにしたのです」

332 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:10:11 ID:weNDrzTzzr
話は長かったけれど分かりやすかった。整理しましょう。

まずたまさんを殺したのはイオリさん。原因はたまさんがナイフでイオリさんを襲ったことと、換気ダクトにいた通りすがりのピノさんがたまさんを撃ったこと。
ピノさんはそのままイオリさんも脱落させるのを考えたけれど、双葉さんが来る気配に気づいて、イオリさんを外に出すことで時間稼ぎをすることにした。

おそらくPDAか首輪のどちらかが欲しかったんでしょう。けれどイオリさんも殺してしまうと漁っている間にその誰かが来てしまう可能性があり、戦闘になるリスクがある。
それならばたまさんの返り血がかかったイオリさんを脅して外に出し、来ている誰かの足止めを無意識の内にさせつつ、イオリさんに事前にこの状況の説明をさせることで、戦闘になるリスクを減らすことが出来る……とこんなところでしょうか。

ピノさんはおそらくこれ以上の戦闘は避けたい。私達も無理にたまさんのPDAや首輪を狙う必要がない以上、わざわざドアを開けたりせずピノさんが居なくなるのを待つことにした。あずきさんだけは少し残念そうでしたが。

ともかくやがて部屋から一切の物音が聞こえなくなり、外から呼びかけ返事が無いのを確認し、部屋を開けると……


たまさんのマネキンが転がっており、PDAや首輪、持っていたらしいナイフまでもがピノさんに持ち去られていた。

333 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:11:53 ID:weNDrzTzzr
色々あったがようやく一段落した私達はとりあえず四階に上がり、あずきさんがいた部屋にいた。

どちらかといえばイオリさんの殺しは事故のようなものですし、警戒する理由は薄い。逆に事故とはいえたまさんを刺してしまったイオリのメンタルが心配だったけれど意外と平然としていてよかった。

サブマスターだとカミングアウトしてくれた双葉さんの情報によるとこのゲームではアバターの痛覚軽減機能があり、痛みが強ければ強いほど軽減されるらしい。
だからもしかしたら私たちの精神もある程度いじって戦闘に積極的に、メンタルを強くみたいな風にしているのかもしれない。そうでなかったらいくらゲームでアバターで本当に死ぬわけではないと言っても知り合いを殺そうとするのは相当の覚悟が必要だ。

それなのにわりと忌諱感なく殺しに行けるということはいじってあるんだろう。
よく考えたらゲームのスタートとばあちゃるさんの話を普通に信じてただのゲームだと思っているのもよく考えたらおかしいですし。

334 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:12:43 ID:weNDrzTzzr
「さて、これからどうしますかあずきさん?すっかり忘れていましたけれど降参していましたよね」

色々あって忘れてたけれどあずきさんは私達を襲おうとしていた。イオリさんよりも脅威度は高い。
一度降参はしたもののさっきとは状況が違う。あずきさんは自分のアサルトライフルを回収しているし、私達を殺しにかかる可能性はある。

「そういえばめめちゃんとごんごんをおそったのって二人であってる?双葉二人と行動してたんだよね。げーむだし、まったくもってうらみとかないけど気になって」

双葉さんが私の質問を遮ってあずきさんに問いかけた。あずきさんにずっと質問したかったようですね。まぁすぐに銃口を私達に向けようとしない辺り、敵対する可能性は低いから大丈夫かな?

逆に双葉さんがあずきさんを襲う可能性も考えてはいましたが、双葉さんの表情を見る限り冷静で、本当にゲームだと割りきってそうで良かった。

335 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:14:55 ID:weNDrzTzzr
「双葉さんも一緒に行動していたんですね。居たことに気づきませんでした。……合ってますよ。もこ田さんを襲ったのはあずき達です。ただ、金剛さんには逃げられちゃったので、金剛さんはたぶんどこかで生き延びていると思います」

「ごんごんちゃんまだ生きてたんだー良かったーイオリ心配してたんだよね」

イオリさんが安心しきったような顔で呟いた。
いろはさんまだ生きていたんですね。このゲームの中でいろはさんにはお世話になったので私も少し心配していましたが良かった。

「あ、先ほどの風紀委員長の質問に返答ですが。あずきの解除条件は殺しが必要ないので三人を襲うということはありません。三人とは別行動させてもらいたいなと思っています」

あずきさんの解除条件が殺しに関係ないなら必要なのはたまさんの方かな?まぁいいやその辺は今聞いてしまおう。

336 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:16:22 ID:weNDrzTzzr
「良いですよ。ただし、知っている解除条件とかの情報は教えてくれませんか?イオリさんも双葉さんもこれで良いですよね?」

二人が首を縦に振る。それを見てあずきさんは自分のPDAを差し出した。

「あずきの解除条件は4。現在持っている首輪は1つ。もこ田さんのです。できればたまさんのも回収したかったのですが……まぁあの状況じゃあ無理ですね」


https://vt-bbs.com/upl/1546676182-1.jpg


337 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:17:45 ID:weNDrzTzzr
「夜桜さんの解除条件は聞いていませんが、殺すことでメリットがあり、首輪は関係ない解除条件ってことでおそらく3か9かKですー。……ほぼ3だと思いますけれど。あとは花京院ちえりさんの解除条件はおそらく7ですね」

あずきさんが続けて自分以外の解除条件について話をする。うーんジョーカーについて聞きたい。
ジョーカーは私の解除条件にも双葉さんの解除条件にも関わってきますからね。

「機能拡張ソフトウェアでジョーカーは四人組のチームが持っていたっていうことが分かっているんですけれどあずきさん四人組のチーム知りません?」

「四人組ですか……あずきと夜桜さんが最初に襲って失敗したチームは花京院ちえりさん、猫乃木さん、りこちゃん、神楽さんの四人組でしたよ」

338 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:18:34 ID:weNDrzTzzr
あー!イオリさん追わずにそのまま一緒に居ればジョーカー簡単に手に入ったんだー!完全に失敗した!!

……もう後の祭りですね。仕方ない。私はあのときジョーカーがまだ拾われていない可能性が高いと思っていた。みんなのPDAを見た確認したあとにチームから離脱することは心証が悪すぎる。かといって5人で行動していたらジョーカーを探せない。

サブゲームマスターの双葉さんが教えてくれたジョーカーは誰かの初期位置の近くに置いてあるって情報を知っていればそんなマネしなかったのに!


「それで一つ提案と……お願いがあるんですがよろしいですか?」

あずきさんが明らかにイオリさんの方を見て言った。
……イオリさんに何か提案があるの?

「何?あずきちゃん」

339 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:19:18 ID:weNDrzTzzr
「夜桜さんがQを持っていました。そして夜桜さんを殺したのはイオリさんです」

あぁ、なるほどイオリさんの解除条件の話か。

「Aの解除条件にはQの持ち主を殺すとしか書かれていないからめめめさんのQのPDAを持っていたたまさんにトドメをさしたイオリさんはもう解除条件を達成しているのではないかということですか?」

「えっ!?そうなのー?あ、確かに!イオリ気づかなかった!」

えっ……イオリさん気づかずにたまさんにやり返したんですか?ええっ……

「そうです風紀委員長さん。話が早いですね。それでイオリさんに首輪を解除してもらって首輪と……できればイオリさんのPDAもほしいです。対価はあずきが持っている武器でどうでしょうか」

あずきさんの欲しいものは首輪と……PDAですか。

340 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:21:59 ID:weNDrzTzzr
イオリさんが解除に成功したらあとは誰も入れなくなった一階に降りればOKだ。首輪が無くなるから侵入禁止エリアに入ってもペナルティーは発生しない。
自分のPDAが命並みに大事なのは首輪を解除するときに自分のPDAを使わなければならないからだから、マップとか機能拡張ソフトウェアが無くても良いならPDAはもう必要なくなる。

けれど……PDAはあった方が便利ですし、元々敵だった人に渡すのは……


「首輪はともかく……なんでPDAもひつようなの?」と双葉さんが言った。

「PDA収集が条件の人に渡して首輪を解除してもらえば3つ目の首輪も獲得できます。……勿論PDAは貴重ですからPDAについては諦めても良いですよ」それに対してあずきさんが返答する。

さて、イオリさんのことですから私はイオリさんの決定に従いますが……どうでしょうか。首輪はともかく、PDAはあげない方が良いと思うんですけれど。


「いいよイオリ解除したらあずきちゃんに渡すよ」

イオリさんがあずきさんの話を承諾した。嘘でしょ?

341 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:22:38 ID:weNDrzTzzr
「イオリさん!?良いんですか!?」

「イオリは別にあずきちゃんに渡しても良いと思うけど……なとなとが欲しければなとなとにあげるよ?」

「いや、別に私は大丈夫ですけど……下に逃げるときにマップが無いとまずいんじゃないですか?」

このゲームの建物は階段がそれぞれ別の場所にある現実にはほぼありえないような構造になっている。マップが無かったら階段を手がかりがない状態で降りなければいけない。

「あっ、そっか。じゃあごめんねあずきちゃん、PDAは駄目かな」

イオリさんは私の言葉をきいてPDAを持たない場合のデメリットを理解したのか少し残念な顔であずきさんの方を見ながら言った。

「まぁ普通はそうですよね。大丈夫ですよ」

あずきさんも流石にPDAは貰えないと思っていたのかあっさりとして言う。

しかし、それに待ったをかける人がいた。

「……ちょっとまって」

双葉さんだ。

342 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:24:55 ID:weNDrzTzzr
「みんな双葉がサブマスターだって知ってるじゃん」

「いや、あずきは初耳です」

「あれ?説明してなかったの?」

「いや、特に重要な話でも無いですしすっかり忘れてました。ごめんなさい……で、それでそれがどうかしたんですか?」

私とイオリさんは既に双葉さんがサブマスターだという情報を教えてもらえている。ペナルティーは既に一度受けているから自由に言って良いらしい。
でも何で今その話を?


「実はこのちかくに一階から六階までじゆーにいけるエレベーターがあるのです!」

「えっ?そんなのマップには乗ってなかったよ?」

イオリさんのいう通り、双葉さんが言う『エレベーター』だとわかる何かはマップには乗っていない。
けれど言われてみると……

343 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:25:31 ID:weNDrzTzzr
「あ、もしかしてこのマップ上に書かれた謎の丸ってエレベーターを表していたのですか?」

あずきさんのいう通りマップには謎の丸が書かれており、その丸の表記は全ての階の同じ位置にある。何だろうなと疑問に思っていたのですがなるほど……

「これ明らかに表記が悪いですよ」

一度その場所に言ったことがある人かサブマスターじゃないと分からないっていうのは酷い。これはあとでばあちゃるさんに抗議ですね。

「でもこれでイオリちゃんはマップ必要無いでしょ?直接一階に降りられるし」

「ほんとだ!じゃああずきちゃんにイオリのPDAもあげるよ。じゃあまず解除だね!」

イオリさんはそう元気良く言うと自分のPDAを取り出した。
そのPDAを自分の首輪に当てれば解除できるはずだ。

344 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:26:29 ID:weNDrzTzzr
けれどイオリさんの腕はPDAを出すまでは勢い良かったもののそこから先が中々動かない。

さっきまでと違いイオリさんも少し緊張しているようだ。まぁ当然だろう。これの結果次第でゲームに脱落し、ちえりーらんど送りにされてしまうのだから。

「……」

あずきさんも双葉さんも表情を見ると緊張しているようだ。それは私も同じ。
やる本人じゃない私達まで緊張しているのだ。
いくらイオリさんといえ、勇気がいるだろう。


「……よし、やるよっ!」

イオリさんは意を決してPDAを首元に近づけた。

イオリさんのAのPDAが首輪に触れた瞬間、首輪から音が鳴った。


『おめでとうございます!首輪の解除に成功しました!』

345 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:27:25 ID:weNDrzTzzr
その言葉と同時に首輪から小さくカチッっという音が鳴った。

イオリさんがゆっくり首輪に手を伸ばし、首輪を動かすとイオリさんの首輪が外れた。

「やったー!」

首にかかっていた銀の拘束具が外れ、緊張も解けたのか。イオリさんが大きな喜びの声をあげた。


「イオリさんおめでとうごさいます!」

「イオリちゃんおめでとー」

「おめでとうごさいますー」


それに対して私達三人はそれぞれ祝福の言葉を言った。

よかったぁ……これでイオリさんは下の階に逃げこめばほぼ生存は確定。賞金狙いの人が首輪を解除して降りてきたときぐらいしか脱落することはない。

346 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:28:07 ID:weNDrzTzzr
「はい、あずきちゃん。首輪とPDA」

「ありがとうございます。大事に活用させていただきますね」

イオリさんがあずきさんとの約束通り外した首輪とPDAを渡した。

個人的にはやっぱりPDAは渡さないで自分で持っておくべきだと思うんですけれど……まぁイオリさんのPDAにはソフトウェアが入っていませんし、エレベーターで直接一階に行く以上、一階には武器もソフトウェアも無いだろうから追加でPDAを獲得することも難しいですし……PDA渡しても渡さなくても変わらなそうですね。

「じゃあエレベーターにれっつごー!」

私達4人は双葉さんのかけ声でエレベーターの方に歩みはじめた。

347 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:29:30 ID:weNDrzTzzr
「それにしても一階から六階まで自由に行けるとかチートじゃないですか?」

「その代わりマップからはここがエレベーターって分かりにくくなっているでしょ?」

「まあ確かにマップにはエレベーターとは書いてはいませんけれど……でも直接一階から六階に上がれるじゃないですか。しかも五階六階には軍用兵器もあるんでしょう?強すぎません?」

「……ふーちゃんはサブゲームマスターだけれど運営側ではないのでしりませーん!」

私達はエレベーターにたどり着いた。ここでイオリさんとはお別れになる。


「じゃあ先にヤマトイオリさんがエレベーターに乗って、一階まで降りたあと私達が六階に上がりましょう」

あずきさんがそう確認するように言った。六階に私達が行ったあと、一階にイオリさんが行く場合、一階二階三階より五階や六階のエレベーター前の待ちぶせの可能性が高いことを理由にその順番になった。

348 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:30:06 ID:weNDrzTzzr
それにイオリさんは首輪もPDAも持っていない状態でエレベーターを使うから、探知に引っかからないためエレベーターを使用していることがばれにくい。だから私達がイオリさんの後に使ってもリスクは高くならない。
つまりイオリさんが先にエレベーターを使うことで私達が脱落するリスクは変わらなくてもイオリさんが脱落するリスクは下がるのだ。


ポチッ

イオリさんがエレベーターの下ボタンを押した。
エレベーターのドアの上にある表示を見ると六階にあったエレベーターが四階に降りてくるようだ。


エレベーター……遅いなぁ。

「あれ?」

「双葉さん何かありました?」

349 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:30:45 ID:weNDrzTzzr
エレベーターがなかなか来ないけれどそれが理由ではないだろう。
このエレベーターのスピードが普通のエレベーターよりもかなり遅く設定されているということは事前に双葉さんから聞いている。こんなに遅いとは思いませんでしたが。

このタイミングで何か双葉さんに疑問ができたということはそれとは違うイレギュラーが起きているということだ。


「いや、そんなみがまえることではないけど。このエレベーター一度は使われてるっぽいよ。エレベーターはゲーム開始時点では一階にある状態だって教えてもらったから」

一度も使われていなければ一階にあるはずのエレベーターが六階あるということは誰かが一度使って六階まで上がっているということ。
そして階段で下に降りていない限りほぼ間違いなく六階に人がいる。


……待ち伏せている可能性もある。


私達は武器を構えた。もしかしたら乗った状態で降りて来るかもしれない。

だが、結局それは杞憂マンだったようで……


「誰もいないみたいだね」

結局エレベーターには誰もいなかった。

350 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:31:14 ID:weNDrzTzzr
「じゃあ乗るね……あ、忘れてたーなとなと!はいこれ」

イオリさんはエレベーターに乗る直前、急に振りかえって私に袋を渡してきた。

「これは……?」

「これはおどうぐ箱に入ってた物をまとめたやつ!何かに使えるかも知れないからあげるよー」

「……ありがとうごさいます」

まあ貰っておきましょう。メモもPDAで出来るようになったので紙もペンも使わない気がしますが嵩張らないですし、ハサミなんかは使えそうです。

とか考えている間にイオリさんがエレベーターに乗り込んだ。

「じゃあ行くね!みんなさんも頑張ってくださいね。ばいばーい」

イオリさんがボタンを押したのかエレベーターのドアが閉じ、ゆっくりとエレベーターが下に降りていく。

351 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:31:59 ID:weNDrzTzzr
「イオリちゃんずっと手ふってたね」

「そうですね。じゃあ次は私達が上に上がる番ですね」

エレベーターの数字の表示がどんどん小さい数字に変わっていくのを見ながら私達はのほほんと話していた。

危険があるとしたら上の階の待ち伏せだ。今エレベーターに乗り込むことができる3階も過ぎた以上、イオリさんに危険は100%無い。イオリさんの心配をする位なら間違いなく自分の心配をした方が良い。
三人とも……いや、イオリさんも含めて四人がそう思っていた。


……はずだった。

352 名前:1【第五章:埋火】[age] 投稿日:2019/01/05 17:35:27 ID:weNDrzTzzr


ドカン!!!


「えっ?」

下の方……エレベーターの下の方から爆発音が聞こえてきた。

「イオリちゃん!?」

まるでイオリさんが乗っているエレベーターのかご部分が爆発したかのよう。

あずきさんは慌ててエレベーターの上昇ボタンを押す。


上がってきたエレベーターには大きく爆発で壊れた壁と床、残った部分にも焦げあとがついており……
残った床にはマネキンのパーツが少しだけ転がっていた。


【夜桜たま・ヤマトイオリ】 脱落


Side:???

『機能拡張ソフトウェア:遠隔爆発装置を起動します』

『爆弾Aを爆発させますか?』

『→はい』



第五章【埋火】終



残り生存者数……8人


    【2】     【4】

【5】 【6】 【7】 【8】

【9】 【10】



next……第六章【偽の女王は自らを壊す】

353 名前:1[age] 投稿日:2019/01/05 17:51:50 ID:weNDrzTzzr
本日の更新はここまでです

最初の解除成功者は誰も予想していなかったと思いますしかし、まさかの死亡です。
PDAも首輪も無しにエレベーターで一階に降りるという気付かれる可能性がほとんど無いのにどうして???は爆発のボタンを押せたのか。実は今までに伏線は仕込んであるので予想できなくはないです。
ちなみにタイトルの埋火(中世の地雷のこと)はこの爆発のことを指しています。

読者視点ではたまちゃんの死にまだ何か隠されているように見えますがミスリードしないために言うと話の中で語られていることがほぼすべてです。
元々死ぬ直前のたまちゃん視点を入れる予定だったのですが、上手く出来ずに没になってしまいました。
とはいえこのままではかわいそうなので次のオマケコーナーで死んだときの状況を話してもらおうかと思っています

あと二章(+エピローグ)で完結予定です。あと少しですがよろしくお願いいたします

354 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/01/05 18:06:55 ID:a8PBiXfXfa
更新乙です
イオリン脱落しちゃったの悲しいけど、持ち物全部誰かしらに渡していたのが唯一の救いかねぇ……

355 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/01/07 00:14:22 ID:L7AEJjFeKS
更新乙です
BETがまだありなら、ピノ様に入れたいですね

356 名前:1【脱落者の部屋:夜桜たまに聞いてみて】[age] 投稿日:2019/01/16 14:24:22 ID:Cj7kzaoGEF
お久しぶりです脱落者の部屋と六章前半戦を一気に更新します。
これまで溜め込んだ伏線や謎が六章後半と最終章ラストで一気に開放されますのでここが最後の休憩タイムかも?


おまけコーナー【脱落者の部屋】

シロ「こんにちは!シロです。今回は趣向を変えてこんな企画を用意しました!」

めめめ「その名も!」

りこ「【夜桜たまに聞いてみて】!」

たま「視聴者視点で私の動きが分かりにくかったから自分で補足説明してっていう企画だよね。ところでイオリちゃんは?さっき爆発して脱落してなかった?」

めめめ「イオリンはさっき脱落したばっかりだからまだここには来れないみたい」

たま「へぇ……じゃあとりあえずコーナー始めようか。といっても私は当事者だからどこが分かりにくかったとか分からないんだよね。そもそも分かりにくいのはドラマ性を追求して私とイオリちゃんの戦い部分を映さなかったのが原因だし。というわけで分かりにくかったところ誰か質問して?」

りこ「はいはい!なんでさくたまちゃんはスタンガン食らったのにすぐ起きれたの?そもそもさくたまちゃんがスタンガン食らったのにすぐ起きたからなの状況になったんだよね?」

たま「気がついたら起きていたし、特に対策してなかったからそれは私にも分からないけれど……たぶん服越しにスタンガンを食らったから効果が薄かったのかも」

357 名前:1【脱落者の部屋:夜桜たまに聞いてみて】[age] 投稿日:2019/01/16 14:26:15 ID:Cj7kzaoGEF
めめめ「あーなるほどーふたばちゃんが持っていたスタンガンはシロちゃんが上から落としてくれたものだからそれで威力が下がったっていうのもあるかもね」

シロ「うーん。そもそも普通のスタンガンってきっちり首元に当てないと気絶させるのは難しいんだよね。だから服越しで一瞬でも気絶したってことは余程強いやつだったのかも。そもそも首輪があるから首にスタンガン当てるのって難しいし、ハズレ武器じゃない?」

りこ「首がネックだったか……」

たま「コラ」ぺしっ

りこ「いてっ」

めめめ「で、起きたたまちゃんはイオリンを襲ったわけだけど……襲った理由は想像が付くとして、武器取り上げられていたのにどうやって襲ったの?」

たま「スカートの中にナイフを隠していました」

りこ「おぅ…大胆ー!」

シロ「どうやって隠してたのか気になるー!見せて見せて!」

たま「シロちゃんなら見せても良いけれど……残念だけどさっきまでのゲームでの私達の体はあくまでアバターだから、今はナイフ持ってないかなー」

シロ「そうだった!……まぁシロは特権持ちですし、別にいつでもスカートの中見れますから〜?別に良いですよっ」

りこ「イオリンに襲いかかったけど失敗したんだよね?それは何で?」

たま「武器ないイオリちゃんがパイプ椅子使って思ったより抵抗してきたことと後ろから撃たれたことが原因かなぁ。力が抜けちゃってそのときにイオリちゃんにぐさっと」

358 名前:1【脱落者の部屋:夜桜たまに聞いてみて】[age] 投稿日:2019/01/16 14:27:15 ID:Cj7kzaoGEF
シロ「たらればの話になっちゃうけれどどうすれば良かったと思う?」

たま「気絶したままでいる。なにもしないでいれば命は無事だった」

めめめ「やっぱりそうだよね。抵抗したのはやっぱり自分のPDAが3だからなの?」

たま「うん。私が起きたときイオリちゃんしかいなかったし、何故かPDAも奪われてなかったから、逃げるなら今しかないって思って」

イオリ「なになにー?何の話ー?」

めめめ「あっイオリン!」

りこ「今はねー!さくたまちゃんがどうするべきだったのかって話してるんだよ」

イオリ「へー……たぶんなとなとに捕まっちゃった時点でたまちゃんはほぼ脱落だったんじゃないかなー」

シロ「何でイオリンはそう思ったの?」

359 名前:1【脱落者の部屋:夜桜たまに聞いてみて】[age] 投稿日:2019/01/16 14:27:48 ID:Cj7kzaoGEF
イオリ「だってイオリとたまちゃんが居た部屋の中にある武器はたまちゃんが持ってたナイフだけでしょ?で、たまちゃんが部屋の外に出たらそこには銃を持った双葉ちゃんがいるんだよ。イオリでも疑われたんだからたまちゃんなんてすぐ撃たれちゃうよ。それにね、部屋の中にいたらピノちゃんが来ちゃうから寝たままっていうのも無理だよ」

たま「すごい。なるほど」

めめめ「イオリンすごいね!」

イオリ「イオリねエレベーターの中の爆発で脱落しちゃってから負けたのが悔しくてどうすれば良かったのかずーっと考えてたの!」

りこ「あれは不意打ちだし回避しようが無いと思うけどね。でも反省会って大事だよね。いつまたばあちゃる号に強制レクリエーションされるか分からないし」

イオリ「うん。イオリもそう思う。それでね、話が脱線しちゃったけど連絡を伝えにきたの。……ん?連絡しにきたって言う方が普通なのかなぁ?でも伝えるって方が」

シロ「イオリちゃん。ごめん連絡ってなに?」

イオリ「あっ!そうだった。あのですねもうすぐこのゲームで一番迫力があるシーンが来そうだから皆見てだって!」

りこ「迫力のあるシーン……?あ、???と???が向かいあってる。……え!?ちょっ!それは不味くない!?」


ドカァン!!!


シロ「おほー!こいつぁすげぇや!」


≪ここからは第六章『偽の女王は自らを壊す』をお楽しみください≫

360 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:34:15 ID:Cj7kzaoGEF
第六章【偽の女王は自らを壊す】


Side:猫乃木もち 三人称視点 五階【01:08:57】
この人の視点ラスト→>>293


≪機能拡張ソフトウェア:残り生存者数表示を使用します≫


■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■□□□□□□□■■□□□□□□□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■□■ ■□■■■■■□■■□□□□□□□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■□■ ■□□□□□□□■■□□□□□□□■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■


もちの持つPDAの黒い画面の全体にオレンジ色のデジタル数字が表示された。

「残り7人かぁ……」

もちは自分を抜いた全員を脱落させる解除条件の為、残り生存者数を知るとこはとても重要である。
あと七人脱落させなければならないということを確認した彼女はまた別のアプリを起動した。

≪拡張機能ソフトウェア:トランシーバーを起動します≫

トランシーバーを使うには通話の相手もトランシーバーを起動しているのが条件だ。相手がトランシーバーを開いたことを通知する機能はあるもののピノがそれにすぐに気がつくとは限らない。
しかし、今回はもちが起動してすぐにピノがトランシーバー機能を開いた。それを確認したもちはPDAに向かって喋った。

「今どこら辺にいるの?PDA手に入れた?」

361 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:38:40 ID:Cj7kzaoGEF
『あ、もしもしもちお姉ちゃん。……わたくしは今五階の廊下です。PDAも無事手にいれましたわ』

もちはトランシーバーの機能をONしたまま『PDA探知機能』を開いた。
おそらくその表示からピノの場所を見つけるつもりなのだろう。

「ありがとうピノちゃん。それでPDAはなにを手に入れたの?」

「えーっと3とQです」

「!!……へー3とQかぁ。今一人で廊下にいるのね……ん?」

もちは何か気になることがあったのかマップのアイコンの個数を指を動かして数え始めた。

『?もちお姉ちゃんなにかありました?』

数え終えたもちは何か難しい顔をしはじめた。何か考えているようだ。

「ふぅん。ねぇさ、ピノっち。今いるとこどこだかマップでどの位置だか教えてもらえる?」

もちはピノの位置に正確に把握したが、ピノはそのことを知らない。もちはピノに自分が『PDA探知機能』のソフトウェアを持っているということを教えていないのだ。
もちはピノに『PDA探知機能』を持っている違和感を持たせないためにすでに知っていること知らないふりをして、ピノに聞き出した。



「なるほど……ここにいるんだね」

もちは何も知らないふりをして、ピノの場所を教えてもらうことに成功した。

362 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:43:40 ID:Cj7kzaoGEF
『それでもちお姉ちゃん。わたくしはどうしたらいいですか?できればもちお姉ちゃんに会わずに渡して首輪を欲しいんですけれど……』

ピノは協力関係を結んだもののまだもちに襲われることを未だに疑っている様子だ。

「あーまぁあたしは8。殺しに行くメリットがある解除条件だし、ピノっちが疑うのもしょうがないか……じゃあ分かった。そこに置いていいよ?」

『え?そこに?廊下にですか?』

ピノの動揺がPDA越しからも声で伝わってくる。

「うん。ちょうど近くにいるしね。それと首輪だけれど……ごめん!あたし、ボディーチェックされる前に!と思って作動させといちゃった」

もちの言う通り、もちはすずが就寝中こっそりともちの所持品をチェックする前にすでにりこの首輪を作動させていた。ピノの解除条件は自分の手で作動させるなどとは書かれていないため、この作動もピノの解除条件の作動した数には加算される。
しかし、その数作動した数をゲーム中に確認する方法は用意されていない。
そのため確実に作動した数が5以上になったことを判断するために自分の目で見るしかない。もちがそれを本当にしたか判断するすべが無いピノは当然その言葉を疑う。

363 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:45:30 ID:Cj7kzaoGEF
『え?それが睡眠薬とPDAの約束でしたよね?……PDA持ち帰っていいですか?』

「ええーっ!待ってよ!ちゃんと作動はさせてるからピノっちの解除条件自体は一歩前進してるよ!……とはいえやっぱり自分の目で見ないとピノっちも納得しないよねぇ」

「そりゃそうですよ。作動させた首輪は消えてしまうから証拠なんて残らないはず……もしかして録画するソフトウェアでも持っているんですか?」

ピノが想像で挙げたソフトウェアは存在していないため、本当に首輪を作動させたか確認するすべは作動させた瞬間を直接見る以外にこのゲームの中では存在しえない。

そのためもちがピノに提示したのは……


「あのさ、首輪を最低でも二人分、もしかしたら三人分作動させられる作戦があるんだけれど。それで首輪の一つの起動したかどうか分からなくても良くならない?」

元々渡す予定だったリターンを霞ませるような大きなリターンだった。

364 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:47:45 ID:Cj7kzaoGEF
この人のラストはここ→>>271


【「罠」にご注意を】
・「罠」はゲームエリア内随所に設置されており、踏み板や電子センサーによって起動します
・「罠」はプレイヤーの殺傷ではなく、集団の分断を目的としたものです。しかし、場合によっては致命的なダメージを与えることもあるのでご注意くださいませ


「ま、まずいですよこれは」

とある廊下にて神楽すずは焦っていた。

「トラップがある可能性は事前にはなしていたんですけどね」

彼女の独り言は廊下に小さく反響するが、誰も返事などしない。

なぜなら……


「どうやって二人と合流しましょう……」

現在、神楽すずは一人ぼっちだからだ。

365 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:49:44 ID:Cj7kzaoGEF
Side:神楽すず 三人称視点 五階【01:10:04】


「まぁ起きてしまったことはしょうがないですね。とりあえず合流を目指して進みますか」

すぐに冷静になったすずはひとまず目の前のシャッターから離れるように歩きはじめた。


数分前、すずもちちえりの三人はシャッターのトラップに引っ掛かり、少しだけ先行して進んでいたすずと、ちえりもちの間にシャッターが降りてしまい、分断されてしまっていた。

シャッターの防音は完璧なようですずはシャッター越しに大声で呼び掛けたが返事は無かった。
ちなみにすずから知るすべはないがちえりともちもシャッター越しにすずに呼び掛けはしていた。


「たしか何かのテレビ番組で非常時に誰かと合流したいときはどちらかがじっと留まっているよりも両方動いて探し回った方が良いみたいな話をしてたなぁ。何でだっけ?」

すずは視線をPDAのマップに向けて、小言を呟きながら歩んでいる。シャッターの反対側に行くための最短経路を進んでいるようだ。

366 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:53:32 ID:Cj7kzaoGEF
時間の訂正のお知らせです

>>360を【01:16:57】

>>365を【01:18:25】

に変更します

367 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:54:42 ID:Cj7kzaoGEF
すずでなければここで合流しないという選択肢を選ぶことも出来たが、すずの解除条件8はPDAを集めなければならないまののため、二人と合流する方がしないよりも合理的だ。

それにすずはちえりももちも武器こそ隠し持っていたものの、りこの首輪を持っていなかったし、PDAも一つしか持っていない。
……つまりジョーカーのPDAを所持していない。7もQもわざわざ殺しに行く必要が無い解除条件だ。
賞金狙いでなければ殺されることはない。

当然すずは合流することを選んだ。


「校則でトラックでの通学も禁止されてますし、ロケットランチャーも禁止されているけど……まぁここ仮想空間だし良いですよね」

368 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:56:40 ID:Cj7kzaoGEF
≪機能拡張ソフトウェア【振動探知機能】を起動しますか?≫

すずが開いたソフトウェアは建物内の振動を探知することができるというソフトウェアだった
高性能なだけあって弱点があり、一つはバッテリー消費がすごく大きいこと、二つ目は走っている振動でギリギリ探知することが出来るくらいで、歩いている者や止まって休んでいる者は探知できないこと。そして最後に近くに別の大きな振動があるとそれにかき消されてしまうということが弱点として挙げられる。


すずはこれを使い、二人がいる場所を判断しようとして……何か別の振動があることに気がついた。


「ん?これは……?」

すずは立ち止まった。
そして少し経ち、
その振動の方へと向かっていった。

369 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 14:59:22 ID:Cj7kzaoGEF
Side:花京院ちえり 一人称視点 五階【01:18:36】


ちえりだよ(警戒体制)


ついさっきちえりたちはトラップに巻き込まれてすずちゃんとはぐれてしまった。
そして今は、ちえりはもちちゃんと二人きりですずちゃん側の方に進んでいる。
……そう、もちちゃんとだ。

もちちゃんはりこぴんのダイイングメッセージ的なのによるとりこぴんを殺った犯人。二人きりのタイミングでやったみたいだから、もしちえりを殺すつもりならこの二人きりのタイミングがピッタリ。
そのためちえりは常に自分の視界の中にもちちゃんを置くことで警戒中。
なんだけど……

ただ、あまり警戒する必要は無いかなって思いはじめているんだよねー


「マップ的にたぶんコッチの方向!」

370 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:01:52 ID:Cj7kzaoGEF
その理由はもちちゃんの声には明らかに焦りが見えているからだ。
この焦りはすずちゃんと離れたときからずっとだ。こんなに焦っているということはつまりすずちゃんと分断されてしまったシャッターはもちちゃんも意図していないことということ。
たぶん何か計画があったんだろうけれど狂いが生じているのかな?たぶん急いでいるからちえりなんて構っている暇なんて無いのだろうっていうくらい無防備で逆にちえりが襲えそうなくらいだもん。



「たぶんこの辺だけれど……」

もちちゃんの動きが止まる。
もちちゃんはマップで予測を立てているだけって言っているけれど、ここまで早く走ってきて一度も迷ってないのを見るに明らかに探知系のソフトウェアを持っているのは間違いない。
普通はこんな簡単にボロを出すわけないから演技じゃなく本当に焦っているんだろう。
わざわざ自分がソフトウェアを隠し持っていることを遠回しにちえりに教えるメリットも思いつかないし。

となると気になるのはなんですずちゃんと別れてこんなに焦っているのかっていうことだけど……

……わからんちゃー

371 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:03:44 ID:Cj7kzaoGEF
「あっ!いた!」

曲がり角を先に曲がっていたもちちゃんの声でちえりは急いで曲がり角に行く。
廊下の先には確かにすずちゃんが居た。
すずちゃんはどうやらT路路の縦と横が交わる方にちょうどいるみたいでこちらの方じゃなくて横を向いている。


……ん???


「あ、あれー?もちちゃん。ちえりの見間違えかなぁ?すずちゃんがロケットランチャー構えているように見えるんだけどー」

「あーやっぱりこれあたしの幻覚じゃ無かったんだ」

すずちゃんのロケットランチャーを構えている方向はこっちじゃないから直接殺される心配は無い。

けれど問題はそこじゃない。

「ヤバくね?」

「ヤバい」

ちえり達は即座にさっきまでいた廊下に駆け込む。
こんな狭い場所でロケットランチャーなんて使ったらどうなるか。

……ここが電脳世界なの加味しても絶対まずいよ!!!

372 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:07:18 ID:Cj7kzaoGEF
「ぜったい気分とかノリで後先考えずに使ってるだろ!アレ!」

「ちぇりたん気持ちは分かるし、同じこと言いたいけれどチューニング!!」

「ハッ!んっんんー。やっほやっほちえりだよ」

そうちえりが声を元に戻した瞬間だった。


ドカァン!!

すずちゃんの方で爆発音のようなものが聞こえた。少し遅い気がするけれど慌てて耳をおさえる。

ちえりの脳内ではロケットランチャーの弾によって吹き飛んだ可哀想な誰かと、反動で吹き飛ばされながら延焼するすずちゃんのシーンが幻視した。


「うっわーこれはひどい」

発射後少しだけ待ってちえり達はすずちゃんの方に行った。
壁は少し抉れ、床は焦げている。

373 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:08:00 ID:Cj7kzaoGEF
すずちゃんがロケットランチャーを向けた方向を見ても誰もいない。
まぁ居たとしたら吹き飛ばされて何も残ってない気もするけれど。

そして反対側に目を向けると……

「すずちん大丈夫!?」

返事はない。服が少しこげ、太ももは擦り傷だらけ、ロケットランチャーの反動をくらったのか、完全に気絶したすずちゃんがいた。

「……普通反動を殺す為に後ろ側からも大量に水とか飛ぶよね?」

「水は飛び散ってるけど中途半端に飛び散ってるから……たぶん途中で壊れて衝撃が吸収しきれなかったんじゃない?」

「それで何で生きているんだ……信じられん。そもそも普通こんな狭い所で撃ったら撃った本人も焼け焦げちゃうのではー?」

「たぶんこのゲーム用に威力を下げたやつなんだろうねー。そうじゃなかったら今頃ここは六階にも四階にも行ける直通ルート開通しているだろうし」

「とりあえずすずちゃんは放置してアッチ見てみない?もしかしたらロケットランチャーから逃げ延びた人がいるかもしれないし」

374 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:19:16 ID:Cj7kzaoGEF
ちえりが指差したのはちえり達がやってきたT字路の更に奥にあるT字路だ。
それ以外にロケットランチャーの射程から逃げられる場所は目視できる範囲では存在しない。

逃げ延びた人がいるならここしかない。


ちえり達はこっそりと近づき同時に曲がり角を覗いた。

そこには


「余波で殺られたのかな?とりあえずすずちゃんロケットランチャーは禁止にしよう」

少しこげたごんごんの衣装と、かなりパーツがバラバラになったマネキンが周りにパーツや持ち物をばらまいて倒れていた。


【金剛いろは】 脱落

375 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:19:53 ID:Cj7kzaoGEF
ちえり達は一旦戻ってすずちゃんを起こすことにした。
勿論ロケットランチャーをこれ以上使われないように押収をしてからだ。たぶん一発限定だと思うけどよくわからないし一応ね?

「ぺちぺち、起きてー」


PDAを拾う前に起こすのはすずちゃんの解除条件的に目の前で拾った方が良いだろうっていう理由だ。すずちゃんが見てないところで回収して怪しまれたらめんどくさい。
まぁそこまで重要なことでも無いからすぐ起きなかったら諦めて回収に向かうつもりだけれど……

「ハッおはようございます」

「にゃっほーすずちん。ロケランぶっぱなして気絶した後の目覚めはどう?」

「全身をぶったのか痛いです。……私には身に余る代物でした」

「そもそもJKこんなの普通扱わないから」

376 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:22:00 ID:Cj7kzaoGEF
すずちゃんに状況を説明して、すずちゃんにもどうして撃ったのかを説明してもらった私達はバラバラにばらまかれたいろはちゃんの物を集めることにした。

すずちゃんの説明曰くあっちが先に銃を撃ってきたからだって言っているけれど……嘘だろうな。
ロケラン構えている間に銃で何発も撃たれてしまうだろうし、銃の射程範囲外から先制攻撃したか、私達がやってきた方の通路でロケラン撃つ準備をして、不意打ちぎみに飛び出して撃ったかのどちらかだろう。
狙いは賞金かPDAか……あるいは両方かな?


すずちゃんは全身打撲でまだ痛いらしいのでちえりともちちゃんが拾うことになった。
勝手にどちらかが取らないように何が何個落ちているかを数えてからだ。

落ちていたのはPDAと拳銃、いろはちゃんのマネキンが着ている防弾チョッキ的なのだけだった。
そして落ちていたPDAの数はなんと3つ。
これでジョーカーが混ざっていなければすずちゃんは解除条件を達成できる。

377 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:22:58 ID:Cj7kzaoGEF
ちえりは銃と防弾チョッキを拾うことになった。
防弾チョッキを取ろうとしていろはちゃんの服を見てたらあることに気がついた。
いろはちゃんの服には銃で撃たれた穴が何発もあったからもしかしたら元々誰かと交戦して弱っていたのかもしれない。

「はいPDA」

ちえりが拾っている間にもちちゃんがPDAを3つ拾ってきてすずちゃんに手渡した。ちえりが拾った銃と防弾チョッキはとりあえず放置かな。まずは解除条件のチェックだ。

「じゃあ解除条件見ますね」

解除条件はワンタップで見ることが可能。さて何が出るかな

「まずは3」

3っていうことは三人殺すのが条件のやつか。いろはちゃん自身が3の可能性も3に襲われて撃退して手に入れた可能性もあるね。

「次は5」

5はチェックポイント巡り。自分から殺しに行くような解除条件じゃないね

「そして最後は……えっ?」

すずちゃんが息を飲んだ。ちえりともちちゃんもPDAの中身を見る。


最後のPDAの解除条件は……8


そう、すずちゃんの持つ解除条件と同じものだった。

378 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/01/16 15:46:10 ID:Cj7kzaoGEF
本日の更新はこれで終了です。
遅くなって申し訳ありません。
すずちゃんのまさかの行動でやられてしまったいろはちゃんですが、実はちえりちゃんの考察通り、あずきちの銃で撃たれてわりと満身創痍でした。一番大事な急所こそ何とか防ぐことが出来ていましたが他にも色んなところを撃たれています。それでも逃げ延びて、五階までチェックポイントを埋めることができたのは凄いでしょうね。
さて次回まさかのジョーカーを発見し、4つのPDAを獲得したすずさんがどう行動するのか注目です

379 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/01/16 17:48:22 ID:KXe2nXTbpt
更新乙です
このタイミングのごんごん脱落は意外だった

380 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2019/01/18 00:01:28 ID:Fdkx3jJJZs

牛巻のメモでエレベーター知っただろうこととイオリン脱落にメリットのあるちえりちゃんが若干怪しく思ってるけど六階にエレベーターがあったのがなあ

381 名前:1[age] 投稿日:2019/02/08 18:57:12 ID:EEGfuMrQ1.
お久しぶりです
大変遅くなって申し訳ありません。1です
失踪したわけではないよという報告のために参りました。
更新ができていない理由は単純にとても忙しかったというのが一つ、もう一つは致命的に近い矛盾を発見して辻褄合わせに四苦八苦していたというのが一つです。
ようやくまとまった時間が見つかって辻褄合わせの方法も思いついたので来週の火曜日ぐらいに更新しよううと考えています

以上おしらせでした

382 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/02/08 19:38:24 ID:Rh4eX0Wiec
おお久しぶりだな
次の更新楽しみに待っとく

383 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/02/08 19:47:39 ID:Fb7ohhg81D
楽しみにしてるよ、更新に備えてもう一回読み直しておこうかな

384 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2019/02/08 23:41:06 ID:SWFnSMbB1t
お疲れ様です
実は自分はこのSSきっかけに(先月セールがあったのもあって)原作switch版の購入もしたので再開がとても楽しみです

385 名前:1[age] 投稿日:2019/02/15 23:22:06 ID:3A2.F/h8ed
今更になりますが原作には無い仕様や、原作とは異なるルールの解釈(特にジョーカー周り)がありますのでご了承ください。

矛盾点についてなのですが、色々考えた末におとなしく矛盾を作ってしまった原因である描写を削ることにしました。
変更点は>>235>>236の残り生存者数表示のソフトウェアをすずちゃんに見せているところです。
ここの描写を消して【すずちえりりこはもちが残り生存者数表示のソフトウェアを持っていることを知らない】ことにします。
後から設定変更して本当に申し訳ありません。

それと読み直しをしているときに気づいたのですが>>367のロケットランチャーの台詞の前にロケットランチャーを拾った描写が入るはずなのですが抜けていたみたいです。
そのせいで唐突に校則とロケットランチャーの話をし始めるワケわからない文になっていてすいません。

長々と書き連ねましたがついに六章が終わります。のでもう少しだけお付き合いいただければ幸いです

386 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:25:39 ID:3A2.F/h8ed
前回のあらすじを三行で
・すずのロケランにいろは散る
・もちえりがすずと合流
・いろはが持っていたPDAは何とすずと同じ8


Side:神楽すず 三人称視点 五階【01:18:46】


「えっ8?……あっ!それジョーカーだ!私のPDAはここにありますし!」

すずは8と表示されたPDAを見て驚いたように言った。
8と表示されているPDAが2つあるということは片方は確実にジョーカーであることは間違いない。
だが、すず本人以外にはどちらがジョーカーかは判別がつかないのだ。
そのため、もちとちえりはすずに対して少し疑いの目を向けていた。

すずの8がジョーカーだったとしたらすずの解除条件は別の何かということになる。
わざわざジョーカーで隠す解除条件なんてほぼ確実に他人に危害を加える系だろう。
だとしたらすずはいつか自分達に凶器を向けるかもしれないのだ。
だから二人が疑うそぶりをみせるのも仕方がないといえるだろう。

……実情はともかくとして。

387 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:31:32 ID:3A2.F/h8ed
「……ねぇさぁ、すずちゃんが持ってるPDAって本当に8なの?」

短い沈黙のあと、ちえりがおそるおそるといった様子ですずに切り込んだ。

「そんなわけ無いじゃないですか。ちえりさんは私を疑っているってことですか?」

それに対し、すずは自分が疑われているのだと気づいたのか少し目を鋭くして返答した。

それに対してちえりは顔色を変えずに言い返す。

「いや、そんなことはないよー?ただもしすずちゃんが気絶している間に、誰かが入れ替えとかしていたらまずいんじゃないかなーって思っただけだよー」

「それに関しては確かに否定はできません。でも中に入っているメモとかで見分けをつけられるんじゃないですか?」

すずはちえりの意見に納得したらしく、自分の持っていた8のPDAを操作しはじめた。
ちえりもいろはの8のPDAを操作してメモの項を開く。


「ほら、ちえりさん見てくださいよこれ」

すずのメモの中にはルールの写しや色々な情報が書かれていた。
一方、ちえりが持つ8のメモの中には一切ルールの写しは書かれていないどころかメモ自体一個も作られていないか全て消されているようだった。

388 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:35:54 ID:3A2.F/h8ed
「じゃあちえりの勘違いかー」

ちえりはそれを確認して満足したのかおとなしく引き下がることにしたようだ。
が、まだ納得がいっていなかった者が一人。

「でもさーメモなんていつでも写せるし、逆に消すことだって出来るんだから分からないよ?あたしはアンインストールが気軽にできないソフトウェアの方を確認した方が良いんじゃないって思うんだけど。たしか……すずちゃんの方には振動探知のやつが入ってたよね」

もちがちえりから8のPDAを受け取り、すずに問いかけた。
もちはいろはが持っていた8のPDAのソフトウェアを調べるようとしているようだ。
しかし、その前にその問いかけを予期していたのかすずは自身のPDAのソフトウェア選択画面を開いてもちの前に差し出した。

「そう来るんじゃないかと思っていましたよ。はいどうぞ」

その画面にはちゃんと一つだけ『振動探知機能』の項が。

「一応保険で聞いてみたけれど……まあ普通にすずちゃんの持っているやつが本物だよねーごめんねすずちん疑っちゃってー」

もちは申し訳なさそうにしながらすずに言う。

それに対して
「立場が逆だったらたぶん私も同じことしてましたし、二人とも別に大丈夫ですよ」とすずも返した。

389 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:38:14 ID:3A2.F/h8ed
「えっ?ソフトウェアの数多っ!?」

もちが驚いた声で呟いた。どうやら一応いろはの8のPDAに入っているソフトウェアを調べていたらしい。その言葉が気になった二人はもちが持つPDAの画面を覗きこんだ。


≪ソフトウェア一覧≫

【PDA探知機能】
【トランシーバー】
【遠隔爆破装置】
【残り生存者数表示】


「4つもって……よほど運が良かったか協力者がいたかかなぁ」

「まぁ4つもソフトウェアが入っている経緯なんか考えなくても良いんじゃない?今はちえり達が持っているんだし。ソフトウェア4つも入っているPDAがゲットできてラッキーって思っていればさ。充電残量は少ないけれどジョーカーだからすずちゃんが破壊する必要も無いし」

390 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:43:51 ID:3A2.F/h8ed
「そうか。ジョーカーは壊さなくて良いから中に入っているソフトウェアが失われないっていう利点もあるんですね。……あ、そうだ。おそらく私が壊すことになるでだろういろはさんが持っていた他の2つのPDAのソフトウェアも今の内に調べておきましょうか」

そう言ってすずは床に置かれていたいろはが持っていたPDAの内、5のPDAを手に取った。

「じゃあもちちゃんとすずちゃんがソフトウェアのチェックと……あとついでに書いてあるメモの確認をお願いね。メモから前の所有者の情報とか脱落した原因とかが分かるかもしれないから。ちえりはジョーカーの解除条件をどうやって変更できるか調べとくよ」
ちえりはそう言って自分の視線をいろはの8のPDAに向けた。


「ソフトウェアとメモだね。おっけまーる」
もちもそう言って床に置かれていた3のPDAを拾った。

391 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:49:48 ID:3A2.F/h8ed
「あー!ジョーカーの解除の仕方がわからんでござるー!普通のPDAと違うところなんてないよー!」

ちえりはジョーカーの偽装の解除法が分からなかったのか叫ぶように言った。

「簡単にジョーカーだってばれないように偽装解除の方法は難しくしてあるんですよきっと!これがジョーカーであるということだけ分かっていれば問題ありませんし投げ出して良いですよ」

今にも投げ出してストレスのあまり暴れそうにも思えるちえりに対してすずはジョーカーの仕様を予想しながら言った。
事実、彼女達は知らないがジョーカーの偽装を解除する方法はジョーカーの偽装が解かれた状態でのみ確認することが出来るため、偽装した状態では所持者が戻す方法を言わないでいると2のPDAの効果で強制的に解除されない限り元に戻すことはできない。


「実際にそこは重要じゃないよね。それよりすずちん5のPDAは勝手に壊れちゃったけど3のPDAは壊す?それとも壊さない?手に入ったのはすずちんのおかげだしさ。あたしはすずちんが決めるべきだと思うよ」

いろはが持っていた二つのPDAの内、3のPDAには【トランシーバー】と【カウントダウン】、5のPDAには【首輪探知機能】と【地図拡張機能】が入っていた。

392 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:55:43 ID:3A2.F/h8ed
しかし、それを調べた直後に5のPDAが急に黒くなって一切反応しなくなりどうならPDAが壊れてしまったようだった。
PDAが壊れたことに最初は酷く慌てた三人だったが、原因はほぼすずのロケットランチャーと推定され、壊れた瞬間に持っていたのもすずだったので、すずの半径5m以内で破壊するという解除条件に含まれていると最終的に考えて三人は胸を撫で下ろした。
ちなみに一階二階ではアイテムとしてPDAを守る強化カバーや保護フィルムやバッグがときおり落ちており、それらに守られていた他のPDAは無事に済んだようだ。

壊さなかったPDAはもちとちえりに譲渡される予定のため、有用なソフトウェアが入っているものは当然壊さない方が良い。
だが、終盤になるとそれに応じて手に入ったPDAの中に入っているソフトウェアが有用である確率も高くなっていくので、厳選をしているといつまでも解除が出来なくなってしまうからある程度は割りきる必要がある。

既に壊したPDAが1つ、確実に壊す予定のPDAが2つ。すずは熟考して口を開いた。


「壊します。トランシーバーは対応する相手じゃないと通話できない仕様なのでジョーカーとは通話できませんし、カウントダウンは既に五階にいますし、大丈夫だと思います」

393 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:57:38 ID:3A2.F/h8ed
すずの決断は壊すことだった。二人も壊していいと思っていたのかすんなり決まった。


「そういえば途中で壊れた5はしょうがないとして3にはメモが一個も無いなんてー!……もちにゃん消してないよね?」

「ちぇりたんジョーカーの解除方法調べるのメンドーになったのか、わからんちゃーとか言ってあたしが3調べてるのずっと後ろから眺めてたでしょ!」

「そうなんだよねーマジで一枚も無いとか持ち主は面倒くさがりなんだろうなぁ」

そのまま今後の話し合いをする三人。
三人は熱中するあまり近づいてくる足音にすぐに気がつかなかった。

いろはのマネキンからほんの少しだけ離れた場所にいた三人は、迫り来る彼女がいろはのマネキンの近くまで来たところでようやく後ろから足音がするのに気がついたようだ。

彼女達が振り向いた先には


「お久しぶりです。すでに首輪を解除した人のPDAを持っています。あずきが4なのは皆さん既に知っていますよね?解除条件8の神楽さん。もし誰かの首輪を持っているなら交換しませんか?」


かつて彼女達を襲ったあずきが立っていた。

394 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/15 23:59:01 ID:3A2.F/h8ed
Side:木曽あずき 一人称視点 五階 【01:19:02】


ついに見つけた。風紀委員長が言っていたジョーカーを持っている4人で一緒に動いているチーム。あずきとたまさんで襲って失敗したチームでもある。
どうやらりこさんが欠けているようですけれど……会議していた様子だし別行動しているとは思えないのでたぶん脱落したのだろう。

そういえばこのチームがジョーカーを持っているって風紀委員長が言っていたなぁ。
もし、ジョーカーを持っていることを隠してきたら知っていることをバラしてジョーカーを持っていない二人を味方につけて隠し持っていた人を殺してその人の首輪で解除すれば良いか。
たまさんが聞き出した解除条件のラインナップは78JQと安全なものだったけれどジョーカーを隠し持っている以上信用できない。たまさんがおそらく3だった以上、隠さなきゃいけない解除条件なんてほぼ9の全員殺害。

持っているって正直に言ってくれた場合は警戒する必要はあまりありませんし、風紀委員長と北上さんに献上したいところですが……連絡手段とか無いし……
……既にあずきより先にこのチームに接触している、もしくはあずきと神楽さんが解除したあとに残り二人と運良く遭遇することでも祈りますか。

とりあえず自分の用件を手短に言おう。

395 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:01:27 ID:3A2.F/h8ed
あずきは既に首輪を二個持っているから、亡きヤマトイオリさんのPDAをエサに首輪と交換すれば解除条件を達成できる。


「お久しぶりです。すでに首輪を解除した人のPDAを持っています。あずきが4なのは皆さん既に知っていますよね?解除条件8の神楽さん。もし誰かの首輪を持っているなら交換しませんか?」


この4人の解除条件はたまさんと襲ったときに神楽さんから聞き出した。もしかしたらあのとき嘘を言っていた可能性はある。けれどたまさんから聞いた神楽さんの様子や言い方から考えるにおそらくない。少なくとも神楽さんが8は合っているだろう。
その証拠に

「ちょっ、ちょっと待ってくださいね。あっちで作戦会議してきます」

そう言った神楽さんの両手にはおそらく戦利品と思われるPDAが3つも握られている。
この戦場も地面が少し抉れているくらいだし、相手の持ち物が壊れても問題ないとなると8しか無いだろう。

396 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:04:24 ID:3A2.F/h8ed
まぁ数分後分かることですけどね。

あずきは神楽さんが二人を連れて更に廊下の奥に移動して作戦会議的なものを始める様子を眺めた。


……時間が勿体ない。待っている間に金剛さんの遺体でもチェックしましょうか。

金剛さんの服はボロボロですが大事なところは一応隠せるようなボロボロのなり方だ。ほら、アニメとかで良くみるやつ。
……マネキンと入れ替わるプログラムがあるから大丈夫とはいえ、何かプログラムのミスがあって生身風アバターのままになってしまうとだと垢banされてしまうから、何重にも保険をかけて健全を維持しようっていうことなんだろう。
涙ぐましい努力がひしひしと伝わってくる……このプログラム組みに駆り出されなくて良かった。良かった。

さて肝心の首輪の方だけど……首輪の形状こそ保っていますけど……これは無理ですね(諦念)完全に壊れている。
あずきの解除条件は作動が必要な10の解除条件とは違って持つだけでいいので、もしかしたら数に含まれる可能性もある。けれど……
あずきは博打は打たない主義。神楽さん達の返事を待ちましょうか。


さて数分後、戻ってきたすずさんの返答は……イエスだった。

397 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:07:21 ID:3A2.F/h8ed
Side:神楽すず 一人称視点 五階【01:21:32】


「残念ながら私達は今、首輪を一つも持っていません。そこのいろはさんの首輪は壊れているので解除条件にはおそらく使えません。でも、あずきさんの持っているPDAが貰えるなら私の解除条件であるPDA五個破壊の条件は満たすことが出来ます。それを解除したあとの首輪でもよろしければ」

「……交渉成立。と思いますー」


そんなこんなを経て現在、あずきさんを含めた私達は、私がPDAを破壊するにあたってちえりさんの『地図拡張機能』を使って戦闘禁止エリアへと向かっている。

このゲームにおいて時間は大切だ。
時間をかけて部屋を回ればソフトウェアや武器が手に入るし、逆に言えば他プレイヤーより先に部屋に辿り着かないと取られてしまう。『地図拡張機能』を使ってどの部屋に何があるかが分かる私達ですら誰かに先に取られてしまっていてお目当てのモノに辿り着けないことが多々あった。
睡眠や食事、休憩も大事だし、侵入禁止エリアが下からどんどん増えていくというルールの都合もある。
そんな今すぐやることで得られる時間の余裕という大きなリターンを捨ててまで、戦闘禁止エリアで行う理由は万が一誰かがやって来て妨害されたときに困るから……とみんなの前では言ったけれど、本当は部外者だけでなくもちさん、ちえりさんも警戒してのことだ。

勿論他者の乱入も警戒しているけれど、ジョーカーに入っていたソフトウェアである『生存者人数表示』によれば残りはあと7人。つまり私達の敵になる可能性があるのは表面上は3人だけ。

398 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:20:57 ID:3A2.F/h8ed
私達にはジョーカーに入っている【PDA探知機能】で近づいてくれば分かるし、ちえりちゃんのPDAに入っている【ドアコン】で来る経路をシャットアウトすることも出来るから妨害される確率は低い。

更にあずきさんが先程、ジョーカーを持っているか聞いてきたので正直に持っていることを伝えたところ、なとりさんと双葉さんがジョーカーが必要な解除条件だから余裕があったら渡してくれと言われたから、二人の解除条件は2と6。妨害するメリットは賞金狙いでなければ無い。
ジョーカー持ちだったり、既に死んでいる可能性もあるけれどジョーカーだったらいろはさんとほぼ交戦しているから負傷しているはずだし、あずきさんは数時間前まで共にしてきたようだから最低でもどちらかは生き残っているはずなので更に私達を妨害してくる可能性は低くなる。


だから、ここで今すぐ解除しても良いのにわざわざ戦闘禁止エリアに向かっているのはほとんどもちさんちえりさんを警戒してのことなのだ。
ちなみにあずきさんを警戒する相手に含めていない理由は取り引きを持ちかけたのに自ら壊す理由が見つからないからだ。

399 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:22:27 ID:3A2.F/h8ed
二人がずっとジョーカー持ちじゃないことは、二人が寝静まっているときに自分の目で一つしかPDAを持っていない確かめているから本当は警戒する必要はあまり無い。けれど、ちえりさんが露骨に私を警戒しているのが引っかかった。
露骨すぎてもちさんへの警戒のカモフラージュのために私を疑っているようにさえ思える。
もしかしてちえりさんは私が知らない何かを知っている?
ちえりさんは『地図拡張機能』を使っているのもあってソフトウェア入手を優先的に手に入れることが可能だったから私が知らない情報を知っている可能性は高い。

知らないことの対策を建てるのは難しい。この場合の有効打は防御を固め、相手に攻撃させないこと。
ゲームプレイ中の私はヒートアップして脳筋になりがちだけれど流石にこういう状況なら攻撃以外もする。……牽制とか。


そう、この提案は私からの牽制も兼ねている。


こっちはお前らを警戒している。闇討ちしようとしても無駄だっていう牽制を。

400 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:24:53 ID:3A2.F/h8ed
私、もちさん、ちえりさん、あずきさんは目当ての戦闘禁止エリアとなっている部屋へと辿り着いた。
そして私だけがその部屋に入って、残り三人は廊下で待つことにした。

戦闘禁止エリアとなっている部屋にも幾つか種類があり、私が今いるこの部屋には鍵がかけられる機能と、床に一人しか入れない小さなスペースだけど爆発が防げるシェルターのようなものがある。部屋自体も大きくないコンパクトサイズだ。
おまけに外にいる3人にはナイショだけどドアの前でこっそり中にあった物を使って軽くバリケードを作っておいた。
この部屋なら外に何があっても生き延びることができそうだ。

出来るものならかかってこい。


私の持っているロッシーちゃん、りこさんのPDAといろはさんの持っていたPDA。そしてあずきさんが持ってきたPDA。私の解除条件に必要な4つのPDAを机の上に並べる。
私のPDAとジョーカーのPDA、そして既に壊した5のPDAは間違えて破壊しないようにポケットの中に。

401 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:28:03 ID:3A2.F/h8ed
ジョーカーもいろはさんの8だと分かっているし不安材料は無い。
ジョーカーの中に入っていた拡張機能でPDAの位置を調べた結果、きちんとこの場所にある4つのPDA、私の8のPDA、他の三人がPDAを一つずつ持っている結果しか出なかった。
5のPDAは確実に壊れているし、直前に三人の解除条件も見せてもらってちゃんと4、7、Qだったから、誰かが解除条件を偽装してくる可能性も薄い。
やっぱりちえりさんの警戒は私の考えすぎでしたかね?


私は相棒のトンカチを取り出した。ロッシーちゃん討伐にも役立ってくれた相棒だ。少し緊張して周りを見渡す。やっぱりこの部屋があまり大きくないですね。
当たり前だけれど部屋には私以外誰もいない。この部屋に入る前に見た廊下の光景はドアの近くでちょこんと座るあずきさん、その近くで壁に背を預けて立っているもちさん、少し離れた位置で立っているちえりさん……だったかな。


「あー緊張するー!」

PDAの強化フィルムは全部剥がした。さっきフィルムが貼ってある状態で軽くトントンとトンカチで叩いてみたが、電脳世界だからかフィルムを貼るだけで耐久力が飛躍的にアップして画面に小さなヒビすら入らなかった。

402 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:29:31 ID:3A2.F/h8ed
「よし、じゃあやりますか」

私はいよいよ意を決してトンカチを一つ目のPDAに振り下ろした。

パリン

画面が割れる音。トンカチの振り下ろし方をミスったのか腕が痛い。これがあと三回だと思うと気が遠くなる。

「神楽さん。PDAを壊したらちゃんと壊れたか確認した方が良いのでは……と思いますー」

あっ忘れてた。

「あずきさんありがとうございます。失念してました」

「すずちん〜実は一個壊れてなくて解除失敗とかやめてよー?」

「……気をつけます」

私は助言にならってPDAのスイッチを入れるボタンを押した。
電源は……点かない。壊れている。

「よしじゃあ次行きましょう」



最初の一回こそ緊張していたものの一度壊せばあとは意外と簡単。
私はついに最後の一個に向けてトンカチを振り下ろした。

パリン

電源は……点かない。

403 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:30:13 ID:3A2.F/h8ed
よし、やりました。じゃあPDAを首輪に近づけて解除すれば達成ですね。

「皆さん全部壊しました!今から首輪解除します!」

「解除失敗したら即死亡でちえりーらんど送りなんだから最後にもう一度破壊できてるか確認しておきなよー」

「そうですね。最終チェックします」

もちさんのアドバイスに従ってもう一度PDAの電源を確認をはじめた。

そのとき


パァン


「えっ?」

隣の部屋から発砲音が鳴り響いた。

404 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:40:43 ID:3A2.F/h8ed
Side:猫乃木もち 三人称視点 五階【01:21:40】


パァン


「えっ?」


銃声の後、最初に聞こえた声は木曽あずきの驚きの声だった。
彼女はその声を出した直後、マネキンに変わる。

あずきの近くにいたもちは即座にちえりの方を振り返った。

しかしちえりは既にもちから距離を取っている。

「もちにゃん。ちえりはさっさと逃げるよ」

バァン

その台詞の最中にも銃弾が放たれた。が、誰にも当たらない。

更に一発の銃弾と、手りゅう弾が投げられたが、両者共にほとんどダメージを負わず、手りゅう弾を避けるために両者の距離が広くなっただけだった。

405 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:42:02 ID:3A2.F/h8ed
お互いがお互いをぎゅっと睨む。
しかし、直後相手の姿が見えなくなった。

ガシャン!

二人の間に鉄のカーテンともいえるようなシャッターが降りたのだ。

「ドアコン……か」

もちはすずがいる部屋の扉に寄りかかって小さな声で呟いた。



「そっちで何かあったんですか!?」

緊急事態だと判断したすずは隣の部屋から呼びかけた。まだ首輪の解除はしていないが、何があってもいいように体の半分は既にシェルターに入れている。

「ちぇりたんがあずきちを撃った!私は何とか取り押さえようとしたんだけど、銃と手りゅう弾で距離を取られてドアコンでシャッター降ろされて逃げられちゃった!」

もちはすずに急いで説明した。

しかし、すずはもちに対して一切の応答をしない。

406 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:43:55 ID:3A2.F/h8ed
「何やっているのすずちん。聞こえる?信じられないかもしれないけれどとりあえず一度出てきて!そしたら分かるから!」

もちはそれを不信に思って少し焦ったように言った。


「手りゅう弾です」

その焦りに呼応するかのようにすずはようやくもちに向かって口を開く。

「へ?」

すずの急な言葉に当然もちは面食らった。

「ど、どういうこと?」


「おかしいと思ったところですよ」

「えっおかしいところって?」

「私、二人が寝静まっている中こっそりと二人の持ち物を調べたことがあったんですが、そのとき手りゅう弾を隠し持っていたのは……もちさんです」


「あのーもちさん」


「本当はもちさんがあずきさんを撃ったんじゃないですか?」

407 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:53:51 ID:3A2.F/h8ed
「やだなーすずちん。あたしはQだよ。殺す理由なんて無いじゃん。確かに手りゅう弾は持ってるけれど、ちぇりたんも手りゅう弾を持ってたんだよ。あたしは使ってない」

「手りゅう弾の後ろに小さく白く数字が書かれているはずです。何て書いてありますか?」

「えっ?」

「私、こういうときの為に数字を書いていたんですよ。ありますよね?読めますよね?」

「………………」

もちは何も言えなかった。


「やっぱりそうでしたか。手りゅう弾を相手に投げられたのに自分のやつを投げ返さないのはおかしいと思ったんですよ。……今この部屋に入って殺そうとしても無駄ですよ。ドアには鍵がかかっていますし、バリケードも作ってあります。爆発物を投げ込もうとしてもシェルターがありますし、この部屋には人が通れるくらいの大きさの換気ダクトも無いですからね」

すずは牽制するかのように言った。

408 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:54:56 ID:3A2.F/h8ed
「それに今から私は首輪を外すんでこの中でも戦闘できるようになりますからね。この部屋入ってきた瞬間、鉛玉をプレゼントしてあげますよ」

更にすずは言葉を続ける。ちなみにこの言葉はブラフだ。現在のすずの武器はトンカチの他には煙玉ぐらいしか無い。食糧はこの部屋に充分あるので立て籠るのには困らないが。

「はぁこれは完敗だね。すずちんの予想大当たり。……せっかくだしさぁ首輪を外すカウントダウンでもしてくれない?そのあとに完全勝利宣言でもしたら視聴者のみんなは喜ぶと思わない?それだけしたらすずちんは諦めてちぇりたん追うからさ」

「しょうがないですね。私達アイドルですからね。パフォーマンスは大事です。じゃあカウントダウンしましょう」

409 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:56:04 ID:3A2.F/h8ed
すずはもちの提案に応じるようだ。

「じゃあ始めますよ」


「5」


「4」


「3」


「2」


バァン


1のカウントダウンの直前に銃声が響いた。


銃声が鳴ったのはもちがいる廊下。


銃を撃ったのは……もち。


撃った先にあったのは……強化フィルムを剥がしたもちの持つQのPDA


もちのPDAが壊れると同時に

すずの首輪から音声がピーピーという機械音と共に流れた。


『神楽すず様。あなたはPDAを6つ破壊しました』


『解除条件の達成失敗により15秒後に首輪が作動します』

410 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 00:58:58 ID:3A2.F/h8ed
「!!」

すずは驚きで言葉がでないようだ。


「8のPDAの解除条件には別に誰が壊せ〜なんて一言も書かれていないからね。博打だからできればやりたくなかったけど」

もちはすずと視聴者に語りかけるように説明した。
もちの言う通り8のPDAの解除条件は【自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する】であり、もちはドア越しとはいえすずから5m離れていない所でPDAを破壊したため、『すずの半径5m以内で』破壊されたPDAの数は合計6個となり、すずは解除条件を満たすことに失敗したことになった。
破壊するという文の解釈によってはすずが破壊したPDAのみがカウントするようにも読めるため、もちは自分で破壊しても意味が無い可能性が高いと考え、この作戦をする気は無かった。
しかし、もちはこの状況ですずをちえりーらんど送りにするためには解除条件失敗に賭ける他なく……賭けに勝った。

411 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 01:04:02 ID:3A2.F/h8ed
「くっ、そうかあずきさんのPDAを壊せたのか!」

すずはそんなことを言いながら、せめて部屋から出てもちに一矢報いようとするがタンスで自分で作ったバリケードが邪魔で外に出ることが出来ない。

「あ、そんな方法があったとは!しまった自分のQ壊しちゃった」

「壊しちゃったーって……自分の壊したら首輪解除出来ないですよ!」

バリケードを壊しながらすずがツッコミを入れる。忘れがちだが自分のPDAが破壊されると首輪の解除にはPDAが必須の為、首輪が解除ができなくなりゲーム終了直前に死亡がほぼ確定するため自分のPDAは自分の命に等しい。

「あたしの解除条件Qじゃないから問題無いよ」

カウントダウンは残り6秒。

「えっ?でもPDAはずっと一個しか持ってないはず!」

「らんどの土産に教えてあげる。あたしは本物のQを手に入れたのはついさっき。あたし本当は数字の9だけど、すずちゃん達と出会った直後にとある場所に隠してて、ず〜っとジョーカーだけを持っているんだ」


「ずっと自分のPDAを持ってないとか……これには完敗です。私や皆さんの分まで頑張ってくださいね」

すずがそう言った直後、すずの体はマネキンと入れ替わった。


「……オッケー頑張るよ」



【木曽あずき・神楽すず】 脱落

412 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 01:26:37 ID:3A2.F/h8ed
Side:猫乃木もち 一人称視点 五階【01:22:18】


「さてトランシーバー……っと」

あたしはドアの鍵穴付近を無理やり壊して開けて、バリケードも何とか崩してようやくあずきちのPDA、すずちんのPDA、ジョーカーのPDA、二人の首輪を確保した。
シェルターを見てここ逃げられたら完全に負けていたなと思いながらピノちーと連絡を取るために残り充電も少ないジョーカーを開いた。

『もしもしもちお姉ちゃんですか?』

「うんそうだよ。ピノちーのおかげもあって首輪三個ゲットしたよ」

『あ、上手くいったんですね。おめでとうございます』

「それでピノちー。首輪取りに来るでしょ?場所は……」

『お断りします』

「えっ?」

『もちお姉ちゃんの本当のPDAって9ですよね?』

「えっ?違うよ……8だよ」

危ない危ない、ピノちーの前では8だと言うことにしていることをつい忘れそうになってしまう。それにしても何で9だって分かったの……?

413 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 01:27:42 ID:3A2.F/h8ed
『トランシーバー機能って実は相手が了承していなくても接続可能なんですよ』

「……盗聴可能ってこと?」

『はい。わたくしもちょっと前に気づいた機能なんですけれどね。なぜか相手のバッテリーは消費せずにその分自分が倍消費するという意味わからない仕様になっているんですけれど電脳世界ですし……まぁちょっとそれを使っていたらつい聞いちゃったワケなんですよ。すずお姉ちゃんともちお姉ちゃんの会話を』

あぁ、なるほどさっきのらんどの土産に言ったやつ。しくったなぁ。

『元々もちお姉ちゃんのことは警戒していましたし、これが無くても行かなかった気もしますが全員殺さなければいけない9とは絶対仲良くなれません。わたくしが首輪三つ手に入れば解除できるのは知っているのですから大人しく解除させてもらえるわけがありません。誘き寄せて殺す気だったのでしょう。ではさようなら』

通信が切れる。色々調べたら確かにそういう機能があった。

414 名前:1【第六章:偽の女王は自らを壊す】[age] 投稿日:2019/02/16 01:32:31 ID:3A2.F/h8ed
相手のトランシーバーを勝手に起動しているだけだからちゃんと注意していればやられているのが分かるし、一度使うとしばらく使えないみたいだから切っちゃえば問題無いけれど……

「やっちゃったなぁ……ちぇりたんも逃しちゃったしピノちーも今回でやる予定だったからなぁ。元々みんなへの妨害でPDAを一気に壊しておくのは確定してたけど余分に一個壊しちゃったのは痛かったな。一気に5人ちえりーらんど大作戦が……」

そういえば残り何人なんだろう?ふと気になったあたしは【生存者人数表示】のソフトウェアを開いた。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■□□□□□□□■■□□□□□□□■ ■□■■■■■□■■□■■■■■■■ ■□■■■■■□■■□■■■■■■■ ■□■■■■■□■■□■■■■■■■ ■□■■■■■□■■□■■■■■■■ ■□■■■■■□■■□□□□□□□■ ■□■■■■■□■■■■■■■■□■ ■□■■■■■□■■■■■■■■□■ ■□■■■■■□■■■■■■■■□■ ■□■■■■■□■■■■■■■■□■ ■□□□□□□□■■□□□□□□□■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■


五人。

あと四人かぁ……いけるかな?

いや、やるしかないね。



第五章【偽の王女は自らを壊す】終



残り生存者数……5人


    【2】

    【6】 【7】

【9】 【10】



next……第六章【Fake number】

415 名前:1【BETタイム】[age] 投稿日:2019/02/16 01:42:56 ID:3A2.F/h8ed
ばあちゃる「はいはいはーい世界初?!男性バーチャルyoutuberのばあちゃるです。いやー今までBETしてくださってありがとうございました。ついに5人出揃った!ということでね。なんと今までのBETは別のBETをご用意しましたんでね。ご説明いたしますとー生存者を予想するっていうのは同じなんですが違うのはですねー【花京院ちえり・北上双葉】みたいな感じで生存するのはこの組み合わせだ!っていう予想をするっていうのが違うんですねー。いやーばあちゃるくんはみんな応援したいんでね【猫乃木もち・北上双葉・花京院ちえり・八重沢なとり・カルロピノ】みたいに全員にあげたいところなんですけれどねー。猫乃木もちにゃんは9の解除条件的に一人でしか勝てないのでもちちゃんと他の人を入れて投票は駄目みたいなんですよねーこれ皆さんも注意ですよー。というわけでそろそろ負荷もかかってきたのでね!終わりにします!」

416 名前:1【BETタイム】[age] 投稿日:2019/02/16 01:45:22 ID:3A2.F/h8ed
要約
ゲーム終了時に誰が生き残ってるかを完璧に当てる投票ゲーム
誰と誰が生き残ってるみたいに予想してください

※もちにゃんの解除条件は9(自分以外全員死亡)なので他の人と一緒に生き残るパターンが無いことに注意してください

417 名前:1[age] 投稿日:2019/02/16 01:49:23 ID:3A2.F/h8ed
A【×ヤマトイオリ×】…QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。

2【八重沢なとり】…JOKERのPDAの破壊。このPDAのみ半径1m以内でJOKERの偽装機能は無効、初期化される。

3【×夜桜たま×】…3名以上の殺害。ただし首輪の作動は含まない。

4【×木曽あずき×】…自分以外の首輪を3つ取得する。首を切り取っても、解除条件を満たし外すのを待つのも良い。

5【×金剛いろは×】…館全域の24個のチェックポイントを全て通過する。特殊効果として地図上にポイントの表示がされる。

6【北上双葉】…JOKERの偽装機能を5回以上使用。自分で使う必要も、近くで行う必要も無い。

7【花京院ちえり】…開始から6時間目以降に全員と遭遇。死亡している場合は免除。

8【×神楽すず×】…自分のPDAの半径5m以内でPDAを5個破壊する。6個以上破壊した場合は首輪が作動する。

9【猫乃木もち】…自分以外の全参加者の死亡。手段は問わない。

10【カルロピノ】…首輪が5個作動すること。ただし2日と23時間より前に行うこと。

J【×牛巻りこ×】…開始から24時間以上行動を共にした人間が2日と23時間時点で生存していること。

Q【×もこ田めめめ×】…2日と23時間の生存。

K【電脳少女シロ】…PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

JOKERの持ち主【猫乃木もち】

418 名前:1[age] 投稿日:2019/02/16 01:55:05 ID:3A2.F/h8ed
勝利条件まとめ

2 八重沢なとり:猫乃木もちが持っているジョーカー破壊する

6 北上双葉:猫乃木もちが持っているジョーカーを5回使用(内確実に3回は使用済)

7 花京院ちえり:八重沢なとりと北上双葉に出会う

9 猫乃木もち:他全員の死亡

10 カルロピノ:首輪が5個作動する(現在3つ作動済だが、内二つはピノ視点では確実性が無い。現在たまの首輪を所有)

419 名前:1[age] 投稿日:2019/02/16 02:03:27 ID:3A2.F/h8ed
というわけでようやく六章が完結いたしました。次はようやく最終章である七章です(>>414で間違えて六章って書いていますが)ちなみに一度だけあった分岐によってこのタイミングでの生存者のラインナップが変わります。(合計5人なのは変わらない)
次の投稿も少し遅くはなりますが今回の一ヶ月という期間ほどにはならないはずなのでBETや考察でもしてお待ちしていただけると幸いです。
あ、本当のPDAの隠し場所はいくつか伏線を貼っているのでよく考えれば分かるかもしれません(えぇ…嘘だろって思うところです)

420 名前:1[age] 投稿日:2019/02/16 02:11:00 ID:3A2.F/h8ed
>>417
ミスの訂正
【電脳少女シロ】→【×電脳少女シロ×】

421 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/02/16 16:19:46 ID:fcOlyuOdnG
【八重沢なとり・北上双葉・花京院ちえり】の三人と予想

最終章も期待してます!

422 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2019/02/16 20:52:33 ID:3AENtXgCnc
あずきちもちにゃん警戒してそうだったけど脱落かあ
予想はさくらんぼアイスで
【花京院ちえり・カルロピノ】
(あと>>418の解除条件ジョーカー確実に4回使用済みじゃないですかね)

423 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/02/16 22:42:08 ID:tOXqud7vyR
更新乙です
予想は【八重沢なとり・花京院ちえり】で

424 名前:1[age] 投稿日:2019/02/17 00:32:28 ID:toc98AIEIJ
>>422
無→Q→8→Q→8
なので確かに四回使用済ですね間違えてました!

あずきちはジョーカーを隠された場合めっちゃ警戒しましたが、ジョーカーを隠されなかったのでそれぞれのPDAは言われた通りで賞金狙い以外で殺されることは無いと思っていたのと完全に不意打ちだったのが原因でおなくなりーになっちゃいました。
ジョーカーを持っていることを言うか言わないかに気をとられていつ手に入れたかを聞かなかったのがポイントですかね。

425 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/03/25 22:59:40 ID:QiaefIefBB
【花京院ちえり・カルロピノ】かなー
単純に従業員にはならなそうw
でも個人的に頑張ってほしいのはふーちゃんとなとなとかな
続き期待して待ってます

426 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:26:43 ID:9QKwsKVEVJ
大変お久しぶりです。遅れて申し訳ありません。
こんなに遅くなったのは忙しかったのに加え、ほぼ書き終わったデータが消えて最初から書き直すモチベが無くなったのが原因です。

設定変更:トランシーバーの仕様を『相手のバッテリーは消費せずにその分自分が倍消費』から『相手のバッテリーも消費するけれど自分は倍消費』に変更します


Side:花京院ちえり 一人称視点 五階【02:01:38】

ちえりだよ(常在戦場)

ちえりが今いるここはさっきの戦闘禁止エリアとはまた別の戦闘禁止エリア。
もちちゃんから逃げてからはずっとここで隠れながら休んでいる。

「ここまで辿り着いたのは良いけれど……すずちゃんが万が一やられちゃったらここもバレちゃうなぁ」

【地図拡張機能】を使ってほぼ最短で戦闘禁止エリアに辿り着くことはできた。これでしばらくは安全のはず。

けれど完全に安心は出来ない。普通に考えたらもちちゃんが戦闘禁止エリアで閉じこもっているすずちゃんを殺ることは無理。
でも万が一出来ちゃった場合、現在すずちゃんが持っているジョーカーに入っている【PDA探知機能】でここにちえりがいることがバレちゃう。
しかもそうなっちゃったらもちちゃんには戦闘禁止エリアを突破できる何を持っているということだから安心なんて出来ないのだ。

427 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:27:21 ID:9QKwsKVEVJ
とりあえずここまで来る途中にあったシャッターをいくつか【ドアコン】を使って閉めたり開けたりして遠回りになるようにはしておいたけれど……
殺られちゃっているなら焼け石に水のような気がするし、休憩したらさっさとここから出て解除条件解除を目指す予定でござる。


とりあえず今後の方針でも考えよう。

ちえりの解除条件は開始から6時間目以降に全員と遭遇するのが条件。
リスクを負ってでも動き回らなきゃいけないので基本的には遭遇を期待しながら歩き回るのが方針となる。

ちえりのPDAには探知系PDAは入っていないからそれを見つけるために『地図拡張機能』でソフトウェアが配置されている部屋を片っ端から巡るのもありかも。

りこぴんのダイイングメモによれば同じ種類のソフトウェアは2個ずつあるらしいから、ジョーカーに入っていた『PDA探知機能』とかごんごんが持っていたPDAの一つに入っていた『首輪探知機能』とか見つけられれば大分楽になる。
それとメモにはここの施設の一部を管理している部屋の場所も書かれていたから一度そこを確認しに行くのもありかもしれない。
だけどそんな余計なことをして最終目標にして最大目標の首輪の解除に遅れちゃ意味無いし……

428 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:28:25 ID:9QKwsKVEVJ
……そういえばちえりはあと何人と出会えば良いんだ?

ちえりの解除条件は開始から6時間目以降に全員と遭遇するのが条件。達成するのが難しく見えるけれど死亡したら免除してくれるし、出会った数のカウントまでしてくれるからそこまで難しくはない気がする。

ゲーム開始以降に会ったのはりこぴん、もちちゃん、すずちゃん、たまちゃん、あずきちゃん、ごんごん、ピノちゃん、シロちゃんの8人。
で逆にまだ会っていないのは双葉ちゃん、なとちゃん、イオリン、めめめちゃんの4人のはず。

ただこの4人に出会えば解除条件達成して終わり……というわけじゃあない。


だってカウントによればちえりの出会った人数は7人ということになっているのだ。


これはつまり、ちえりが出会ったと思っている8人の内、誰かしら一人は遭遇できていない扱いになっているということ。
遭遇判定の条件は自分の半径3m以内に人が入ることだからずっと行動していたすずちゃんもちちゃんりこぴんは確実に遭遇している。それとあずきちゃんとたまちゃんと会ったときに遭遇人数をチェックしたらちゃんと2人分カウントされていたからこの2人でも無い。

429 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:29:09 ID:9QKwsKVEVJ
となると可能性として残っているのはごんごん、シロちゃん、ピノちゃんの三人。
この三人と会ったのは二階での乱戦のとき。乱戦だったから誰と出会ったことになっていないかちょっと記憶が曖昧なんだよねー。
出会っていない判定がごんごんだったら既にリタイアしているから問題ない。けれどそうじゃなかった場合、死んだのを確認するか会わないといけない。
今のところ出会ってない方も考えると双葉ちゃん、なとちゃん、イオリン、めめめちゃんの内、あずきちがイオリンは脱落したって言っていたはずだから会わなくて問題ない。
それでも3+2で5人も会わなきゃいけないのはつらい。

この5人の中でも何人か脱落していたら楽なんだけど……


あと気になるのはもちちゃんの目的。
りこぴんのメモを信じて警戒していたから突然の凶行から逃げおおせることができた。けれどなんでもちちゃんが急にあのタイミングで私達を殺そうとしたのか未だに分からない。

もちちゃんの解除条件はQだ。これは疑いようも無い。ジョーカーを持ってなかったし、PDA探知機能で持っているそれぞれのPDAの数を調べたときも一つしか持っていなかった。

みんなで寝てるときにすずちゃんがちえりともちちゃんの荷物漁っていたのに特に何も反応しなかったっていうのももちちゃんがQである根拠の一つとなっている。
……すずちゃんが漁っているのに気がついたとき、PDAを盗んで逃げようとしない限り、静観することにして寝たフリしていたけど今考えるとこの選択は正しかったなぁ。
もしすずちゃんを糾弾することにしたとき、絶対ちえりはもちちゃんを起こす。
さっきの動きから察するにもちちゃんは絶対すずちゃんをちえりーらんど送りにすることを提案して、ちえりはたぶんそれに乗せられてすずちゃんをちえりーらんど送りにした瞬間、後ろからドカン!ってもちちゃんに殺られてたと思う。

430 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:30:12 ID:9QKwsKVEVJ
ともかく、解除条件が理由で殺しにきたワケじゃないだろうから……可能性としては
『賞金狙い』

『手を組んでいる人がいてその人の為に殺しに来た』
の2パターン。このどちらかかな?

賞金狙いするにはりこぴんを狙うのが早すぎる気がするし、あるとしたら手を組んでいる方かなぁ?
となると手を組んでいる相手の可能性があるのはPDAに関わっている解除条件2つか首輪に関わっている解除条件2つだろうけど……前者のすずちゃんと後者のあずきちゃんは殺しのターゲットになった以上協力者じゃないだろうし、すずちゃんのPDA破壊前に動かなかったからKの『PDAを集める』解除条件では無い……となるともちちゃんの協力者は10の『首輪を5個作動させる』かな?

一応、りこぴんを殺したときとあずきちを殺したときの理由が違う可能性もなくはない。
でもりこぴんのダイイングメッセージには『急に襲われた』って書かれていたから、少なくともりこぴんを自発的に狙っているだよね。
そう考えると可能性はやはり低そうだ。

431 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:30:51 ID:9QKwsKVEVJ
タッタッタッ

そんなことを考えていると靴の音が聞こえてきた。
近づいてきているといっても一直線にこちらって感じの音じゃないし、来たのは偶然っぽい。

ただ偶然だろうとちえりの解除条件的に誰が来ているか確認する作業は必須。逃げるわけにはいかない。
その音がする方に振り返りながら立ち上がる。

照明が多い場所に陣取って座っていたからか、はたまたテンションのせいでそうみえているのかは分からないけれど、自分がこれから行く先がどこかどんより薄暗く感じる。


「できればまだ会ってない人が良いなあ」

ちえりはそう小さく呟きながら緊張で少し震えながら歩きだした。


next……Side:カルロ・ピノ

432 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:38:17 ID:9QKwsKVEVJ
Side:カルロ・ピノ 三人称視点 六階【02:02:21】


「……流石に首輪は切り取られていますか。もちお姉ちゃんが9なら首輪を解除されて下の階に逃げられるのは何としてでも阻止したいでしょうし、作動しないように六階まで運ばれたのでしょうね」


ここは少し前にもちの裏切りがあった廊下。
既に首輪が取られたあずきのマネキンを眺めながらピノは呟いた。
もちとの事前の作戦会議で、もちがどこで殺しを決行するのかを知っていたピノは少し時間を置いてから一応手を組んだ目的である首輪が残っていないか確かめようとやって来た。

「……りこお姉ちゃんの首輪を作動させたっていうのが本当か分からない以上、確実に作動したって分かっているのはすずお姉ちゃんの一つだけ。たまお姉ちゃんの首輪を入れても2つ……まずいですね」

更にピノは独り言を呟いた。彼女がわざわざ自分の思考を口にしているのはこの放送を見ている視聴者達に自分の思考を開示する為……だけではない。

彼女の真の狙いはもちがトランシーバーの盗聴機能を使ってくることを見越して嘘の情報を掴ませることだ。

433 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:39:11 ID:9QKwsKVEVJ
今回のケースの場合、本当のピノが知っている確実に作動した首輪はすずとシロ、それと約一時間前に侵入禁止エリアになった四階に置きっぱなしにしておいたたまの首輪の計三つである。

全員殺しが解除条件であるもちに自分の解除条件の残りがバレてしまった場合、厄介なことになるのは確実。
と考えたピノは自分の達成数を少なく誤認させることで相手の想定よりも速く解除して逃げ切る作戦に出た。

最初からもちとの同盟を信用していなかったピノは自分がシロを脱落させたことが絶対に漏れないようにしていたため、この嘘がバレる心配は無い。

ちなみに相手がトランシーバーの盗聴機能を使っているかどうか自体はトランシーバーのソフトウェアを表示していれば確認することができる。
しかし、それも画面を付けて見ている以上バッテリーを消耗する。

終盤戦を前にした状況でなるべくバッテリーの消耗は避けたかったピノは、一々盗聴されているかどうかは確認はしなくとも、もちへの対策と視聴者へのサービスも兼ねて嘘を交えた独り言をときどき漏らすことにしたようだ。


「もちお姉ちゃんでもすずお姉ちゃんがお星さまになった部屋は突破できてないでしょうから、ジョーカーは手に入るはず!とおもったのに……まさかドアごと破壊するなんて、アイドル部のお姉ちゃん方は脳筋しかいらっしゃらないのでしょうか」

434 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:39:57 ID:9QKwsKVEVJ
ピノの視線の先には、穴あきになったドアとその先にあったであろう少し焦げているバリケードの残骸があった。
どうやら五階から入手することができるようになった軍事兵器の火力で押しきったようだ。
部屋を眺めてみると小さなシェルターの扉が跳ね上がっており、むりやりこじ開けられた形跡がある。そしてその中にあるのはすずのマネキンだけ。
既に破壊されたPDAも武器もジョーカーも持ち去られていた。


「作動した首輪は消えるってルールに書かれていましたから……マネキンの首が切られていないのに首輪が無いこの状況から考えてトランシーバーで聴こえていたおはなしがウソって可能性は低そうですね。わたくしを混乱させるためにわざわざ切っておいた方が良かったはずなのにしなかったってことは、思ったよりあずきお姉ちゃんから首輪を外すのに時間がかかったんでしょうかね」

そんなことを言いながらピノはPDAのマップを開き、今後の動きを考え始めた。

435 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:40:47 ID:9QKwsKVEVJ
タッタッタッ


「!!」

マップを見はじめてから数分後、ピノは廊下から足音がするのに気がついた。

熱心に考え込んでいたせいで接近に気がつくのに遅れたピノは慌てて銃を構えようとして……
今いる部屋が戦闘禁止エリアだったことに気がつく。

銃を構えるのをやめてドアの脇まで音を立てないようにこっそり音がする方を見る。


廊下の先の曲がり角の手前、ちょうど自分の方から見える位置に来たのは……

436 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:48:48 ID:9QKwsKVEVJ
八重沢なとりだった。



Side:八重沢なとり 三人称視点 五階【02:02:33】


一方、ピノがなとりに気がついたときになとりは別のことに気を取られていた。

「あれは……あずきさんのマネキンですかね?ドアも壊れてますし、ここで戦闘があったのかな?」

なとりの発言はピノの存在に気づいていないと言っているようなもの。
この発言を聞いたピノは今すぐドアから出て攻撃を仕掛けるか、それともこの部屋の前まで来るのを待って攻撃を仕掛けるかで悩みだす。
あくまで冷静に、どっちの方がメリットがあるかを考えるピノだったが、この次の発言で多いに焦ることになる。


「ちょっとこっち来てください。ここで戦闘があったみたいですよー」


なとりがこの場所に興味を持ってしまった以上、このままでは確実に自分の存在が見つかる。これまでは来ているのはなとり一人だと考えていたので別に問題は無かったが、実際は二対一、もしかしたら三対一とすらなってしまうかもしれない。

437 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:49:49 ID:9QKwsKVEVJ
圧倒的に不利であり、勝てる見込みがない。どうしてもちえりーらんど送りになりたくないピノは死にたくないので必死に頭を働かせる。

そしてピノは不意打ちが可能で一対一の状況にできる今このタイミングで攻撃を仕掛けて逃げることに決めた。


バタン!


壊れかけで存在価値を無くしかけているドアを勢いよく開け、ピノは廊下に踊り出た。


「えっピノさん!?」


なとりは急に出てきたピノに驚き足を止めるも……その手に握られた拳銃に気づき、急いで元いた廊下に戻る。


「逃がしませんっ!」


パァン!

ピノが一発撃ったものの、それはなとりの体に当たらなかった。
なとりは当たらなかった幸運を喜びながら元々来ていた廊下へと逃げ込む。

438 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:50:47 ID:9QKwsKVEVJ
一方ピノは追撃をせず、なとりが廊下へと逃げ込んだ瞬間に逆方向に逃げだした。
なとりはこのあと仲間を引き連れてこちらに戻ってくるだろう。どう考えても不利だ。そのためピノは元々一発撃ったら即座に退散するつもりで行動していた。「逃がしません」と言ったのもすぐに逃げるためのブラフであり、逃げるときはドア側の壁に沿って走ることで開けっ放しのドアで少しでも自分の体を隠す。
など彼女が思い付く限りの手段を取った。

確かにピノはこの場で出来る中で最上の手を取っただろう。

だが、結局彼女はこの場から逃げ出すことは出来なかった。


彼女にとって不運だったのは2つ。

1つは本来この戦闘禁止エリア前の廊下はT字路のようになっており、なとりが居る方向を除いても2方向を選んで逃げられたはずなのに、ちえりがもちから逃げるときに【ドアコン】を使ったことにより、片方は行き止まりになっていたこと。
このせいでピノの逃げるルートは最初から一択だった。

439 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:52:03 ID:9QKwsKVEVJ
そしてもう1つはなとりの同行者のスピードが人間離れした速度だったこと。


その不幸を知らぬピノはなとりをさっさと振り切るために曲がり角を確認もせずに曲がってしまった。

その結果、挟み撃ちをするために回りこんだ『同行者』と対面することになってしまったのだ。



「えっ?」


パァン!

疑問符を頭に浮かべたまま、ピノは『同行者』に撃たれてしまう。

ピノが負った傷自体は軽かった。
が、銃弾に何か塗ってあったのか彼女は脱力して膝をついてしまう。


なとりと思われる足音が近づくのを聞きながら彼女は小さく呟いた。

「何だこれ……」


nest……side:北上双葉

440 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:56:43 ID:9QKwsKVEVJ
始めに断っておくが、八重沢なとりの『同行者』は北上双葉ではない。

何故ならほぼ同時刻、双葉はそのとき花京院ちえりと会っていたのだから。


Side:北上双葉 三人称視点 五階【02:02:20】


双葉とちえりが現在いるのはほの薄暗い廊下。
部屋に入っていない理由は、互いに互いを警戒をしており戦闘になったときに逃げられるようにするため、そして双葉の現在の武装では部屋に入るのが難しいからだ。


「ちえりちゃん情報交換におうじてくれてありがとう」

そのような状況で双葉は戦闘にならず『平和』に情報交換できることに微笑んだ。



「……感謝の心があるんならその銃口を下ろして貰えると助かるなーって」

一方、ちえりの口元はひきつっていた。

441 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:57:16 ID:9QKwsKVEVJ
「なに、ちえりちゃん?双葉は手も足もけがしてるんだよ?この武装があってもちえりちゃんにやられちゃう可能性があるんだけど」

双葉の言う通り、彼女の手足は未だに怪我をしていた。
持っているのが『普通の武装』であったならば確かにちえりの方が有利だっただろう。

だが、そうではなかった。


「い、いや、その武装なら怪我してても問題ないのではー?こんな状態じゃ安心して情報交換できないと思うのですが」

ちえりは少し震え声になりながら言い回しを変えて武器を下ろさせようとした。

「え?もう安心で平和な状態が整っているでしょ?」

おそらく本気でそう思ってはいないのだろうが、双葉はすっとぼけたような顔をして言った。
あるいは『双葉にとっては安心で平和な状態』という意味なのかもしれない。

ともかく双葉の持つ強力な武装により、ちえりは説得(脅)されて、公平(一方的)な情報交換が行われることになり、それは見かけよりかは円滑に進んだ。

双葉が提供した情報は自分となとりの解除条件、たまとイオリの脱落、自分がサブマスターであること。
一方、ちえりが提供させられた情報は『りこがサブマスターであり、ダイイングメッセージの情報を持っていること』を除いた全ての情報。

442 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:58:19 ID:9QKwsKVEVJ
ちえりがりこがサブマスターである情報を秘匿した理由は双葉が持っていたサブマスター権限で貰える情報とりこの情報に若干の差違があることに気がついたからだった。
これは双葉かりこが嘘の情報を混ぜているから……とはちえりは思わなかった。少なくとも双葉とりこで渡される情報が元々少し違いがあったと考えた方が自然だと思ったようだ。
りこと双葉の情報の差違は一つだけ。りこの情報に書かれていた『この施設の電気の管理室』の情報が双葉には無く、その代わりに双葉は『この施設にある監視カメラの管理室』の情報を持っていたという点だけ。

双葉が先にこの情報を提示してくれたおかげで自分が持つ情報との差違に気がついたちえりは、自分が持つりこの情報以外の情報を洗いざらい吐くことで怪しまれることなく情報を秘匿することに成功したのだった。


数十分後、PDAにちえりから聞いた情報を全てメモし終えた双葉は「気になることができた」と言って、すっと立ち上がる。

443 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 16:59:15 ID:9QKwsKVEVJ
「ちえりが言うのもなんだけどさーここでちえりのこと脱落させた方が良いんじゃないのー?」

「えっ?ふーちゃんの解除条件に必要ないし」

「いや、でも賞金とかあるじゃん。後々賞金狙いのちえりにやられちゃうかもよ?」

「……もしかしたら生き残っている全員が協力しなきゃいけなくなるかもしれないから人手は多い方が良い」

「甘くなーい?そんな考えだとさ、いつか後悔するときが来ると思うよ?」

「なにその悪役みたいなせりふ。……あぁ、ちえりちゃんは元ヤンだもんね」

「ちえり悪役じゃ無いし、元ヤンでも無いよ!」

「げんふりょーにん?」

「現不良人でもないよ!……ともかくお互い頑張ろうね」

「うん。じゃあね」

「ばいばーい」

そんな会話をして双葉はちえりと別れて別の場所に向かった。


双葉が消えたあとちえりは双葉と逆方向にゆっくり進んでいた。
ほの薄暗い廊下で彼女は悩ましそうな顔をして呟く。


「……ちえりも六階に行こうかな」


next……Side:猫乃木もち

444 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:06:16 ID:9QKwsKVEVJ
Side:猫乃木もち 一人称視点 六階【02:05:12】


充電ノコリ10%     02:05:12

   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 解 除 条 件 ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  ル ー ル  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃  マ ッ プ  ┃
   ┗━━━━━━━━━┛
   ┏━━━━━━━━━┓
   ┃ 機能拡張ソフト ┃
   ┗━━━━━━━━━┛

「もうバッテリーも限界だね。さっさとアレを回収しに行かないと」

あたしはジョーカーのPDAの充電残量をチェックしながら呟いた。
PDAのバッテリーはソフトウェアを使用する度に減っていき、バッテリーが切れると首輪の解除を含めた全てのPDAの操作が一切出来なっちゃう。
そうなってしまったPDAは投石の代わりにくらいしか使えない。

さっきの出来事で何とかあずきちゃんとすずちゃんからPDAを奪うことはできたけれどPDAを余計に壊すハメになっちゃったのが痛かった。

PDAをすずちゃんに壊させて全員の生存確率を下げつつ……
何の横槍も入らずにPDAを壊せたという警戒心が薄くなるタイミングであずきちとちぇりたんを脱落!
コロシアイに気がついたすずちゃんが部屋から出てきた瞬間に撃ち殺す!

っていう考えたあたしから見てもこれカンペキじゃーん?っていうワルな作戦だったはずなのだ。

445 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:08:24 ID:9QKwsKVEVJ
……それなのに二人の、特にあずきちの警戒心が強くて中々不意打ちできなかったし、
シャッターのせいで一人取り逃すし、
最悪外からドアこじ開けて外から蜂の巣にすれば良いかなーって思ってたのにバリケードとかシェルターとかのせいで籠城されかけるし、
そのせいでQのPDA壊すハメになったし、
上手くいかないもんだねー。

まぁ今落ち着いて考えたらすずちゃんの籠城については毒ガス撒き散らすとかPDA壊す以外にも色々出来たなぁって思うけれど。

Qを壊したせいであたしが今持っているPDAはあずきちの4、すずちゃんの8、ジョーカーだけ。
……そうあたしのPDAは無い。一旦別の場所に隠して置いているのだ。
だからジョーカーのバッテリーが切れる前にあたしのPDAを回収しなければ色々と困る。

ちらりと『PDA探知機能』を見て、誰も近くにいないことを確認したあたしは更に足を進めた。


10分後、急いだ甲斐もあって、何の波乱も無く回収に成功。
このまま何もなければ良いなぁと思ったんだけど……

計画がさっきから崩れまくっているあたしが波乱無く過ごせるはずがなかった。
PDAを回収し終えて、元居た場所に一旦戻ろうと歩いていたあたしの前に現れたのは……


「……もちちゃんちょっと待ったっ!」

そう言いながら足を引きずって睨む双葉ちゃんだった。

446 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:09:46 ID:9QKwsKVEVJ
Side:北上双葉 一人称視点 五階【02:03:56】


「ということでたぶんQじゃなくて9が本当の解除条件だと思いますよ?」と???ちゃんが言った。

現在、私達は五階のとある部屋で情報交換をしている。

……???ちゃん曰く、もちちゃんの解除条件は9らしい。ここで嘘をつく理由も無いし、9なのはほんとうっぽい。
そういえばちえりちゃんと情報交換したときに、ちえりちゃんはもちちゃんはQって言ってた。
ということはつまりちえりちゃんといっしょに行動していた三人とあずきちゃんは全員だまされていたということだよね。

……ん?それっておかしくない?
たしかちえりちゃんがもちちゃんがQだと断定した理由の中に、睡眠を取っている最中にすずちゃんがみんなの荷物漁っていて……みたいなのがあったはず。
ほんとうのQのPDAの持ち主はめめちゃん。
これはずっとめめちゃんと行動していた自分が信じなくて誰が信じるのだ。
ということはすずちゃんが確認したときもちちゃんが持っていたPDAはQに偽装したジョーカーだけ……ということになる。

447 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:12:07 ID:9QKwsKVEVJ
PDAが壊れたら自分のリタイアが確定するのに隠していた?
寝ているときに見られる可能性を考えて寝る前に隠しているのだとしたら、毎回隠さなきゃいけないはず。

集団で行動してて寝る前に取られないような場所に自分のPDAを隠して、隠していることを他のメンバーに一切気取られない?
そんなの無理でしょ。


……もしかしてもちちゃんは


「何か思いついたんですか?」


無意識にハッとなってしまったのか???ちゃんが聞いてきた。
確かに思いついた。これならどうしてアレが起きたのかの説明もつく。
けれど……もし本当にこれをやったのだとしたら、もちちゃんは相当勇気がある。
かなりの部分が説明できるし


「……うん。なんでイオリンのエレベータが爆発したのかわかったよ」


ふーちゃんやっぱり名探偵の才能あるかもしれない。

448 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:16:05 ID:9QKwsKVEVJ
Side:猫乃木もち 一人称視点 六階【02:05:32】


「……双葉ちゃん。あたしに何かよう?もしかしてあたしを殺しにきた?あたし血生臭いの嫌なんだけど……」

色々と聞きたいことはあるけれどとりあえず軽いジョブから。

現在のあたしの武装は六階で拾った防弾チョッキにヘルメット、それにプラスチックのバックラーと防御特化な装備。この装備なら目の前の相手に不意を打たれることは無いだろうし、即戦闘!じゃなくて多少は情報収集する余裕はある。最終的には脱落してもらうけれど。
この装備は逃げるときに少し不安があるけれど相手は手負いだしね。


「うそつき。もう三人はころしているでしょ?」

……!あずきち、すずちんはともかくりこぴんまで知っている?警戒レベルを少し上げよう。
けれどもしかしたら二人分しか知らないけれどカマを掛けているってパターンもありえる。
というかそちらの可能性の方が高い。
とりあえずジョーカーで誤魔化すべきかな。


「そんなことないよーだってあたし殺す旨みが薄い解除条件だよ?」


と言いながらジョーカーのPDAを取り出す。
……双葉ちゃんか。双葉ちゃんには始めて会ったからどれに偽装したら良いか分からない。今ジョーカーの偽装は8にしているけれど……Qにすれば問題無いかな。

449 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:18:57 ID:9QKwsKVEVJ
「ほら見てあたしのPDAはQ。殺す意味はほぼ無いよ。たぶん双葉ちゃんは誰かに嘘をつかれたんじゃない?戦闘が起きてくれるとうれしい人はたぶんいっぱいいるよ?」

誤魔化せるかなどうかなと思っていたけれど上手く誤魔化せたみたい。

あたしの言葉は聞いた双葉ちゃんは緊張していた顔が和らぎ、少し考えるそぶりを見せたあとこう言った。

「そっか。じゃあさ、ふーちゃんの解除条件は6なんだけど。ジョーカーもってたり、もってる人を知ってたりする?」


6?……6!忘れてた!そんな解除条件あったね!……あたし今まで何回ジョーカーの偽装使ったっけ?
1、2、3、4……うん。今の合わせて最低五回は使ってるね。
この場で双葉ちゃんを殺れば何の問題も無いけれど、逃したときのことを考えるとちゃんと6のPDAのことを考えて使う回数をセーブするべきだったな。


「もちちゃん苦虫をかみつぶしたような顔をしてるね。何か知ってるでしょ?」

どうやらあたしの心の中での後悔が顔に現れていたようで、あたしがジョーカーについて何か知っていることがバレてしまった。
どうにかして誤魔化さないと。

450 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:21:17 ID:9QKwsKVEVJ
「うん。シロちゃんがジョーカーのPDAを持ってたんだよねー。さっきまで一緒に居たんだけどついさっき別れちゃって……それで別れなきゃ良かったなって思ってさ……」


よっしゃー!我ながら良い誤魔化し方。
きっと10人中9人は騙される演技だっただろうね。
たださ、人を騙す演技というのはそもそも相手が全ての事実を知っていたら意味をなさないわけで。


「ぜんぶウソでしょ?」


「えっ?」


「もちちゃんの本当のPDAは9だし、今見せたのはジョーカーの偽装。そしてりこぴん、イオリン、あずきち、すずちゃんを殺した犯人でもある。違う?」

どうやら双葉ちゃんは10人中の1人……どころか真実を知っていたらしい。

双葉ちゃんが言っていることはほぼ合っている。イオリンについては心当たりが無いからそれ以外はだけど……いや、心当たりが無いことも無いかな?

ともかく何を知っているのかが分からなくて怖いからさっさと脱落してもらおう。

451 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:32:16 ID:9QKwsKVEVJ
あたしは双葉ちゃんにバレないようにこっそり腰に手を当てて閃光弾を手に取ろうとした。

「まってよもちちゃん。視聴者のみんなも今盛り上がっていると思うよ?ここにいるのは二人だけなんだからそう急がなくても良いんじゃない?せっかくなんだしふーちゃんの推理を最後まで聞いて欲しいな。どうしてバレたか気にならないなら、別にしょうがないけれど」

けれどその行動はばれていたようで直前でストップがかかってしまう。
確かにどうしてバレたのかは凄く気になる。気になるけれど……予期せぬ事態が怖い。
さっさと脱落させるのが一番楽かつ安心だけれど何故バレたかが分からないとこの先足をすくわれてしまうかもしれない。

うーん。あ、そうだ。伏兵がいるかどうか判別する方法をあたしは持っていた。
ジョーカーとすずちゃんのPDAを取り出して『PDA探知機能』『振動探知機能』を使用。反応は……あたし達二人以外の反応は六階に無し。
近くに階段もない以上、これで双葉ちゃんが時間稼ぎしている間に近づいた協力者があたしを殺すことを狙っているという可能性はほぼ無くなった。

なら……聞いても大丈夫かな?

452 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:34:28 ID:9QKwsKVEVJ
「使ったのは……PDA探知機能?分かったとはおもうけどここにいるのは双葉だけだよ」

あたしがPDAを操作している間静観していた双葉ちゃんが訊いてきた。

「そうだよ。確かにこの階にはあたし達以外いないみたいだね」

実際は振動探知機能も使っているけどわざわざ余計なことまでいう必要はないよね。

「そう、そのジョーカーに入っているPDA探知機能がもちちゃんの行動の鍵……じゃあこれからふーちゃんが考えた推測を言うけれど殺さないでね」

「しょうがないなぁ良いよ」

「まずちえりちゃんりこちゃんすずちゃんの三人との最初のコンタクトでもちちゃんは自分がQのPDAって言ったっていうことはその時点でジョーカー持ちだったっていうことだよね」

「そもそもあたしのPDAはQだから前提が間違っているけれどね」

「まぁちょっと待って。この推理はもちちゃんが9であるという前提で組んでるからその可能性は今はスルーするね。ちゃんともちちゃんが9である根拠は後で話すし、とりあえず続けるよ」

あたしが9である根拠ねぇ。ピノちゃんに聞いたとかだろうけれどピノちゃんが嘘をついているパターンは考えないのかな?

453 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:41:48 ID:9QKwsKVEVJ
「その時点でジョーカーを持っていたならばたぶん開始してすぐジョーカーが手に入ったんだろうね。いち早く二つのPDAを手に入れたもちちゃんはきっと誰よりも早く行動指針が建てられたはず。自分が有利な状況にあるならアクティブに動けるし、ジョーカーにもルールが二つ書いてあるから状況把握もしやすかっただろうしね」

「へぇ、まるでジョーカーを仕様を把握しているみたいな言いかたじゃん。もしかして最初にジョーカー持っていたのって双葉ちゃんだったりする?それでごんごんに渡ったとか」

「ふーちゃんはサブゲームマスターですゆえ、そういう仕様は把握済です」

「サブゲームマスター……そういうのもいるんだね。今更そこは嘘だとは思わないけどサブゲームマスターがこんなに干渉しても良いの?」

「教えてもらえるのは有利になりすぎない程度のゲームの仕様とこの世界で不具合が起きたときの対処法くらいだし、それ以外の条件は普通のプレイヤーと変わらないから問題無いと思う。駄目だったら今干渉しているだろうしね」

454 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:42:20 ID:9QKwsKVEVJ
サブゲームマスター……?サブゲームマスターねぇ。双葉ちゃんが嘘を付く理由も無いし、本当にそういう役職があるんだろうな。
有利になりすぎない程度の情報しか渡されないなら序盤での事故死もありそうだし、サブゲームマスターが序盤で死んだら世話無いからもう一人くらいいそうだなー。


「話をもどすよ?……りこちゃんは銃でやられていたらしいね。でも二階の時点で銃っておかしいんだよ。だって銃は三階より上にしか無いから。となると銃をもちちゃんが既に持っていた理由は一つ。その時点で一度上の階に行っていたんだ」

双葉ちゃんはどんどん話を続ける。

「でも一階一階は凄く広いから三階まで行って戻ってきてすずちゃんたちと合流っていうのはとてもじゃないけれどむずかしい。罠で落ちるのも隠し階段を見つけるのも結局時間がかかる」

「となると可能性はひとつ。エレベーターしかないよね」


……これマジで全部バレてる感じかな?

455 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:43:00 ID:9QKwsKVEVJ
「ジョーカーを手に入れたもちちゃんは誰よりも早く行動を開始して……たぶんすぐエレベーターを見つけた。エレベーターはどの階に行っても同じ位置にあるからみんなが寝ている間とか数回は行けたはず。そのときに銃とか拡張ソフトウェアとか手にいれていた。違う?」

「違う?って言われてもそもそもあたしQだし、なかなかスジが通っていておもしろいなとは思ったけどね?」


「おうじょうぎわがわるいなぁ。……ところで9が一番おそれることってなんだと思う?」

「……そりゃ誰かが首輪を解除して侵入禁止エリアになっている階層まで降りることなんじゃないの?」

「うんうんそうそう。だからPDA探知機能を手に入れたら間違いなく安心すると思うんだよね。9は。降りる階段を目指して動くPDAがあったらそれを狙っていけば動けば良いんだし」

「ただ一つだけ予兆が読みにくく、しかも対処が間に合わないのがある。それがエレベーター」

「罠とか隠し階段は?」

456 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:46:25 ID:9QKwsKVEVJ
「そんな起こる可能性が低いものの対処法を考えて実践なんかしていたら最終目標の全員死亡が達成できないよ?そんなあほなことしないよねもちちゃんは」

「……」

「さてここでもちちゃんは考えました。『今まで便利に使っていたけれどよく考えたらこれ危ないなぁ。爆破でもしておこうかな』と」

「ふぅん。それでエレベーターが壊れているっていう話?」

残念ながらそのままの答えじゃ外れなんだなぁ。そこさえバレていないなら問題ない。あたしがずーっと頭を動かして思いついた一世一代のトリックがまだ誰にもバレていないって分かっただけでも双葉ちゃんの長い推理を聞いた甲斐があったってもんだ。

「と、話が行けば簡単だったんだけれどもちちゃんが考えたのはもっとリスクがあってフクザツなやり方だった。」

……

「ところでさ、さっきもちちゃんが脱落させたメンバーの中にイオリちゃんを混ぜてたじゃん。イオリちゃんってさ首輪の解除に成功してエレベーターで下の階層に降りる途中でなぜかエレベーターが故障して脱落しちゃったんだよね」

「うん。あずきちが言ってたからそれは知ってるよ。……それをあたしがやったって?無理だよそんなの。どうやってイオリンが降りるタイミングがわかるのさ」

457 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:48:16 ID:9QKwsKVEVJ
>>456訂正

「ところでさ、さっきもちちゃんが脱落させたメンバーの中にイオリちゃんを混ぜてたじゃん。イオリちゃんってさ首輪の解除に成功してエレベーターで下の階層に降りる途中でなぜかエレベーターが爆発して脱落しちゃったんだよね」

「うん。あずきちが言ってたからそれは知ってるよ。……それをあたしがやったって?無理だよーそんなの。爆発させること自体はソフトウェアさえあれば誰でもできるだろうけどどうやってイオリンが降りるタイミングを把握できるの?」

458 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:49:27 ID:9QKwsKVEVJ
「ジョーカーに入っている『PDA探知機能』があるじゃん。あれを使ったんだよ」

「エレベーターにPDAの反応があって降りているときに爆破したと……。でもさ、あずきちに聞いたけれどイオリンは首輪を外してPDAもあずきちに渡していたみたいじゃん?エレベーターの中にいるかどうかは振動探知機能じゃ分からないだろうし、双葉ちゃんの推理だとおかしくない?」

「だから自分の9のPDAをエレベーターに仕掛けたんでしょ?エレベーターに直接PDAを仕掛けておけばPDA探知機能で探知が可能だから」


「…………自分の生命線であるPDAをずっと持ってないって流石にバカなんじゃ」

「9は持っている方がリスクが大きいし、ジョーカーも持っていたから問題なかった。だから思いきって9を隠した」

「エレベーターに仕掛けてたら爆発させるときに壊れちゃうんじゃないの?」

「中に入る人を脱落させるのが目的ならそこまで威力は必要ないよね?床を破壊するだけでもまっ逆さまに落ちて終わりだし。あと爆弾を仕掛けたのはエレベーターだろうけれどPDAをつけたのはエレベーターを上下させるのに重要なヒモの方だろうし爆発に巻き込まれて壊れる可能性は低いよ」

459 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:50:16 ID:9QKwsKVEVJ
……完璧にバレていると分かった以上、もう待つ必要はない。9である根拠についてまだ教えてもらっていないけれど早く排除する方が優先順位は高い。
あーあ、どうせ9っていう無理ゲーだし、博打打ちまくりのやり方やっちゃおうかなーと思って上手く嵌まったのになぁ。

「ふぅん。面白い予想だね。あとは9の根拠とかを教えてもらえば終わりかな?ちなみにこれって双葉ちゃん一人で考えたの?」

気を反らすためにこっちが質問を振る。双葉ちゃん以外にこのことを知っている人がいたら困るし、最後にこれだけは聞いておきたい。

「ふたりで考えた」


「誰と?」


「えっとねぇ……」

双葉ちゃんが口に出すのを迷っているのか一旦言葉を止めて……ん?あたしよりも後ろの方を見た?
もしかしてあたしの背後に何かいるの?
でもここで双葉ちゃんに何かされるのも怖い。

460 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 17:51:05 ID:9QKwsKVEVJ
どうしようか

双葉ちゃんが再び口を開いた。

結局、あたしは振りかえった。そしてそこにいたのは。

「なとちゃん!」

緑の服に短いスカートの少女と、その周りには何体もの四足歩行ロボット。
そのロボットの口の中には銃口があり、あたしの方に向いている。
勝手に動くロボット。明らかに四足歩行する羊のフォルム、そして特徴的なちょーださい足のカラーリングからも考えてあれらが『オートマトン』だろう。

タッタッタッタ

あたしの背後で双葉ちゃんが遠ざかる音が聞こえる。
なるほどさっきまでの双葉ちゃんの大演説は味方がオートマトンを揃えてくるまでの時間稼ぎだったんだねぇ。
『PDA探知機能』にも『振動探知機能』にも一切引っ掛からなかったのが気になるところだけど目の前にいる以上、そんなこと考えても仕方がない。
あたしは少しでも防御しようと大急ぎで後ろ走りしながらバックラーを構える。

数秒後には銃口から銃弾の嵐が降りかかった。

461 名前:1【第七章:Fake number】[age] 投稿日:2019/05/29 18:02:05 ID:9QKwsKVEVJ
最終章前半戦これにて終了です
は?お前嘘だろって位置に9は隠していましたが皆さん分かりましたでしょうか。
たぶん正解者はいないと思います。
補足になりますがもちちゃんは最初の六人で集まった時点で9は置いていっています。もしもなとなとによってジョーカーしか持っていないとバレた場合、誰かに盗まれたから自分のPDAが何か分からない。と言う予定でした。
293辺りでもちちゃんが9だと分かるときに解除条件画像が出てこなかったのもそもそも持っていないからというオチでした。
せっかくなので今貼ります
次回は最終更新です。ストックが無いのでまた遅くなると思います

462 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/05/29 19:04:33 ID:TDdvG9nDAY
投下乙!
待ってたぜ

463 名前:1[age] 投稿日:2019/05/29 19:07:38 ID:9QKwsKVEVJ
貼れてなかったので再掲


https://vt-bbs.com/upl/1559124458-1.jpg


464 名前:1[age] 投稿日:2019/05/29 19:10:15 ID:9QKwsKVEVJ
何で二回もミスってるんですかね……


https://vt-bbs.com/upl/1559124615-1.jpg


465 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/05/29 19:34:49 ID:jWFdmouA.T
更新乙です!!
ずっと楽しみに待ってました!

466 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/06/13 03:55:28 ID:ch3A40kml7
更新されてる!すごい楽しく読ませてもらってます!最終話も楽しみにしてます!

467 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/11/14 03:46:11 ID:ZwlE635Rdw
最近見初めてすごいハマりました!

< 12345
▲▲▲全部▼▼▼戻る
名前 age
コメント
画像ファイル


- WEB PATIO -