彼女がいないifの世界に迷いこんだ話
※キャラ崩壊注意
※前作『キズナアイが変わる日』とは一切関係がありません
※今回は魂設定なしで普通にみんなキャラとして出てくるので頭の中でキャラを動かしながら読んでも問題ないです
※たぶん3回くらいに分けての投稿になります
ジリジリジリジリ
スマホの目覚ましが鳴り響く。朝だ。私はスマホを手に取るとベッドから這い出て、カーテンを開いた。
そこから見える景色はいつも通りだったけど時間のせいか人が少ないように感じた。
顔を洗ってうがいをする。今日のスケジュールは朝から忙しい。料理作っている暇はない。何を食べようかな。
やっぱりおばちゃん付きのKIOSKが電脳世界に欲しいなぁ。
……スタッフさん達に頼めば何とかならないかな。
適当にピザトーストを作って食べたら、予定より早く準備が終わってしまった。時間が余ったしインターネットを見て暇を潰そうかな。私はそう考えてパソコンを開いた。
何をしようかな……そういえば昨日の夜、ニコニコのコメントは見たけどyoutubeのコメント欄は見ていない気がする。
そうだ昨日投稿した動画のコメント欄をチェックしよう。
私はyoutubeの自分のチャンネルを開こうとyoutubeの検索欄に自分の名前を打ちこんでいく。検索欄からわざわざ行こうとしているのはプライベートアカウントから別のアカウントに切り替えるのは面倒くさかったからだ。仕方がないよね。
「電脳少女シロ……っと」
打ちながら自分の名前を呟く。【電脳少女シロ】これが私の名前。自分の名前を検索するということのむず痒さを感じながら開かれた自分のチャンネルを見る。
さてさて昨日の動画は……ん?
「あれ?……何かおかしいような……」
動画のページを開く前に何か違和感があった。いったい何だろう……
「んー?ヘッダーもアイコンも変わってないよねー?何が違う……ん?」
何がおかしいかはわかった。けれどこんなこと流石に起こり得ないはず。
あまりに信じられなくて二度見する。え?え?どうして?私が寝ていた一晩に何があったの?
「何で……チャンネル登録者数210万人……?」
え……い、意味不明が止まらない……
ピピピピピピピ
スマホの電話の音が鳴り響く。この音を鳴らしているのは私だ。ほっぺをいくら引っ張っても夢から覚めないことを確認した私はとりあえず状況確認しようとあの人に電話をかけてみることにした。
……電話帳に登録してあったから『いない』なんてことはないはずだけど。
朝起きたらチャンネル登録者数が100万人くらい増えていただけ。そのはずなのに、喜ばしいことのはずなのに、さっきから嫌な予感が止まらない。もっと何か根本的なところで変化があった。そんな予感。
なかなか電話に出ない。妙な汗が出てきた。悪い予感ってもしかしたらこれなのかな?……もしこの電話にアイツが永遠に出なかったらどうしよう。
ピッ
「もしもし!」
やっと相手が電話に出た。遅い遅い遅い。相手の声が聞こえてくるまで数秒のはずなのにえらく長い時間に感じられた。
「はいもしもし。シロちゃんですねー何かばあちゃるくんにご用ですかー?」
やっと出た電話から聴こえてくる声はいつも通りちょっとうざくて……いつも通りでちょっと安心した。
さて、昨晩何が起こったのか確かめないと。
「ねぇ馬!シロの登録者数昨日から何人増えたかわかる?」
「えっ?……ちゃんとは分からないですけど800人くらいじゃないっすかね?」
800人……?最近のチャンネル登録者数は60万もいっていないはず。800人じゃ絶対に届かない。あの約210万人という数には。
「え?150万じゃなくて?」
「何言っているんですかシロちゃーん。そんなに一気に伸びてたら、ばあちゃる君も今頃慌てててシロちゃんの電話に出れる状態じゃないっすよー。シロちゃんだって150万人達成に1年かかったんですよ。大丈夫っすか?寝ぼけてません?」
え?どういうことなの?馬の言い方ではまるでもうとっくに電脳少女シロのチャンネルの登録者数は200万人を突破しているかのようだ。
「あれ?シロの記憶だとチャンネル登録者数は60万人くらいだったはずだけど……」
この言葉は確認のためのもの。これが肯定か否定によって今日の私の身の振り方が変わる。肯定の言葉が欲しいけれど、たぶん来るのは……
「何言っているんですかシロちゃん!二ヶ月前に200万人突破したじゃないですかー。あ、もしかしてSirogamesの話をしてるんっすか?いや、でも60万人なんて結構昔のこと……」
うすうす予想はついていたけど急に150万増えたわけじゃないんだ。記憶喪失?パラレルワールド?私の頭の中にいくつもの可能性が浮かぶ。普段なら笑いながら一蹴するような妄想だ。
……というか何か馬他にもおかしなこと言ってない?Sirogamesが60万人突破?嘘でしょ?
「ねぇ馬?最後にSirogamesの撮影したのいつだっけ?」
「えーっと昨日じゃなかったですかね?時のオカリナの撮影をしたはずっすよー?」
Sirogames用の動画って撮影したことあったっけ?みたいに直球で聞かなくてよかった……
どうやら私はSirogames用の動画をちゃんと撮っていることになっているらしい。
こうなってくると今日の私のスケジュールがどうなっているかが気になる……私の記憶通りなの?
「ねぇ、今日の動画ってコラボ動画の撮影だよね?キズ……」
「そうです!今日はコラボ動画の撮影。それもアカアカことミライアカリさんとのコラボ企画でフゥゥゥゥゥ!」
私の言葉を途中で打ち消されたことへの怒りよりも先に疑問が沸いてくる。
えっミライアカリちゃんと?今日の撮影はキズナアイさんとだったはずだ。あの憧れのアイさんとついに企業案件も絡まない初のコラボ。そのはずなのに……もしかして私は記憶喪失なのかな?あとで日付をチェックしよう。
「あれ?シロちゃんなんか別の人の名前を言いませんでした?ばあちゃる君の気のせいっすかね?誰の名前を言ったんすか?」
私の言葉を打ち消したことに悪びれもせず、聞いてくる。これだからパリピは。たまに好感度上がるようなことするのにどうしようもない。まぁ答えてあげましょう。
「キズナアイさんって言ったんですよ」
「……ごめんなさい。ばあちゃる君は無知なので、その方の名前を知らないっすね。バーチャルyoutuberの方ですか?」
心臓がうるさい。汗が大量に流れている。私の直感がさっきの嫌な予感はこれだと言う。うるさい、嘘だ。嘘だ。
「えっ、チャンネル登録者数一位にして、最初のバーチャルyoutuberである親分のキズナアイさんですよ?」
「えっ何言っているんすかシロちゃん?最初のバーチャルyoutuberもチャンネル登録者数一位もシロちゃんですよ?やっぱり寝ぼけているんじゃないっすか?」
私は適当に電話を済ませ、茫然としながらもPCと再び向き合った。
何分経っただろうか?チャンネルがあることを確認できればドッキリかって済ませて、すぐ電脳世界の自分の家から出て、馬をぱいーんするはずだった。
けれど……まだまだキーボードを叩く音は部屋の中に鳴り響く。
更に何分か経ち、私は遂にPCを閉じて家を出た。
でも目的は達成出来ずに諦めただけだ。
キズナアイという名前はいくら検索しても見つからなかった。
『キズナアイがいない世界』
今日の更新は終了です
イラストを貰えたのが嬉しすぎてちょくちょく設定をまとめていたところ、最近のSSが盛り上がりそうなのを見てつい投稿してしまいました。
駄作かも知れませんがよろしくお願いします
本日投稿する予定だったのですが、書いていた内容が今騒動になっているアレに触れないことも無いようなものだったので騒動が収束するまでちょっと待たせていただきます
申し訳ありません
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